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2-087

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087 ビューティフルデイズ


ホルグレン。
多くの冒険者が知っている通り彼は職人である。
そして同時に、泣きもするし、笑いもする一人の人間である。
だが、ベートーベンやミケランジェロなどの多くの偉大な芸術家と同じように
彼も社会生活を営む上である一つの欠点を持っていた。

ホルグレンは人の話を聞くのが苦手だった。
耳に入ってこないといってもいい。
彼の心にもっともすんなり入ってくるのは太陽のように熱せられた鉄と彼自身のハンマーの叫び。
他の事は彼にとってはたいした問題ではなかった。

7段階まで精錬してくれと頼まれた武器を
没頭しすぎて、8段階にまで精錬しようとして叩き折ったことも一度や二度ではない。
「クホホ…」
がっかりした彼の反応は当然こうである。
どの冒険者もまさかホルグレンが楽しみながら叩き折ったなどとは思わない。
ホルグレン自身も依頼が実は成功していたなどということには気付かない。
彼の妻だけが夫のいつもの失敗を横目で見ては気づかないフリをして
冒険者達に「残念でしたね」と控えめな言葉をかける。
そんなことがあった日の夜には必ず妻の怒声と鉄拳がホルグレンに炸裂するわけだが。

彼の娘がまだ子供の頃、ポリンに襲われて怪我をしたことがある。
ポリンは何とか粉砕したが娘も派手な怪我を負っていた。
妻は当然ホルグレンにそのことを報せに走る。
「大変! あの子がポリンに襲われて怪我をっ」
「なにぃ!?」

彼が娘に走り寄ってまずしたことは


ゴンッ!!

鉄拳制裁であった。

そのあと当然のごとく妻のコークスクリューをくらう彼の言い分は
「だって、おまえ! あいつがまた他所様の子に怪我させたって…あれ!? 言ってなかった?」
「・・・」
「あっ、あれだ! あいつまた紐なしバンジーやってたん――」
彼が記憶を辿ろうとできたのは(正確には想像力を働かせていたわけだが)そこまでだった。
妻の拳がホルグレンの顎にクリーンヒットしていたから。


そんな毎日だったが幸せだったと思う。
叶うことのない願いかもしれないが、また親子3人で暮らしてみたい。
母親似の娘も元気でやっているに違いない。

「だったら、俺がまず生き残らなきゃだな」

そう考えホルグレンは追い詰められたら逃げ場のない灯台を出る。
ハンマーを持つ手にぐっと力を込めて。

職人ではなく父親としての力を込めて。

〈ホルグレン 持ち物:タバコ ハンマー カード帖 現在位置:灯台(J-6)→??〉


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