バトルROワイアル@Wiki

2-096

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096 BKの名を掲げて【夜間】


「私としたことが油断したわね……」
このエリアに逃げ延び、まずしたことはメイルを脱ぎ
左わき腹のえぐられた傷を手当てしたことだ。
服を裂いて作った簡易的な包帯で巻いた。
食事を摂取したことにより血は随分と戻ったようだ。
私はこの深い森林で身を隠しながら死んだように眠っていた。
バードとの戦いの時のように簡単に見つかるような
場所で休息をとるというような愚かしいことはもうしない。


「放送から何時間ぐらい眠ってしまったのかしら……」
ここに逃げる途中で放送を聞いた。
矢は当たっていないはずなのだけれど……とヘッドドレスの矢痕をまじまじと眺める。
それほど体が休息を欲していたということなのだと思う。


闇はどこまでも深い。
だけどそれと分かるのは満月が対比させているからであろうか。
「満月……ね。風情を感じるべきなのかしら?」
安っぽい三文小説には満月には人を凶暴化させたり
人間が化け物に変わったりするような力があるという
描写が多々あるが私にはそんなことどうでもいい。

「ただ……私の目的を果たしやすくしてくれるのはありがたいわね」
月光が私の辿り逝く道を示してくれる。
獲物へと続く道を。
実益こそ私にとっての満月の存在理由。

*


まず、私はF-3に戻ることにした。
理由としてバードを始末したかったというのがある。
彼は間違いなく最強クラスのプレイヤーだ。
もちろん甘さと馬鹿な語り癖はあるがここで生かしておいたら脅威になる。

「あいつが故意に矢を外したとは思えないわね……」
ヘッドドレスの傷跡に触れる。
ならば、何らかの負傷をしていると考えるのが自然である。
このメイルオブブリーディングの魔力なのかもしれない。
もしくはスリープアローとあのバード自らがしゃべったのだ。
それによる昏睡なのかもしれない。
何にせよ今がチャンスということだ。

足音を消し静かに忍び寄る。
見覚えのある木が見える。

TBlバスタードソードを片手に持ち、片手で地面を突きながら
地を這うように木ににじり寄る。
神経が恐ろしいほど研ぎ澄まされていく。
満月の光で少しずつ木の周辺が見えてくる。


「な!?」
そいつはバリスタを構え、木の前に居た。


待ち伏せされたか!?
私は思いっきり横に跳んだ。
しかし矢はとんでこない。
わき腹に激痛が走る。
タイミングをずらしているのか!
舌打ちをしさらに地を何回も転がる。
激しい激痛に襲われるが耐え忍ぶ。

しかし矢はまだとんでこない。

「私、焦らす男は大嫌いですわ!」
手ごろな木陰に転がり込むとバードに向かって毒づく。
しかし、返事がない。

「あなたにしては随分と無口ね!一体どうしちゃったのかしら?」
……
相変わらず返事は来ない。
いい加減おかしいことに気がついた。

「まさか……ね」

*


私はスリープアローを拾い集める。
何かしらに使えるかもしれないし
また弓が手にはいるかもしれないからだ。
バリスタは諦めた。
私には到底扱いきれない代物だ。

バードは月明かりを浴びながら静かに事切れていた。
木を背もたれに体育座りの格好であった。
右手はバリスタをひざ上に乗せ射撃体勢をとらせている。
左手は羽帽子を目深におさえていた。
口は何が可笑しいのか不敵な笑みの形でつりあがっている。

「結局、あなたは最後まで道化だったわね……」
地面には夥しい血の跡が見てとれる。
死因は失血であろう。
そして死を悟った道化は私を相手に最後の芝居を打ったというわけだ。

「そしてまんまと私は踊らされたわけね……フフ」
先ほどの滑稽な一人芝居を想像すると思わず噴出してしまった。

「だけど、このままじゃむかつくわね。あなたには仕返しをしないと気がおさまらないわ」
そう言って私は彼の羽帽子を取り上げ
代わりに私のヘッドドレスを彼の頭につけた。

「道化に格好いい死に方はさせてあげない」
そう言って私は彼の血染めの羽帽子を目深にかぶり
微笑しながらその場を後にした。

満月を背に……。

Bloody Knight はまだ血を欲しがる。

後、七人……。


<グラリス>
位置:E4→F3
容姿:カプラ=グラリス
所持品:TBlバスタードソード 普通の矢筒 スリーピングアロー十数本
   案内要員の鞄(DCカタール入り) メイルオブブリーディング
   羽帽子(バードの物)
状態:左脇腹負傷 激しい動きをすると激痛
備考:連弩破壊により喪失 敗北により油断は消えている

<バード>
位置:F3
容姿:BSデフォ白
所持品:バリスタ 普通の矢筒
状態:失血死
備考:死亡

<残り38人>


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