026.暗中模索
「くっ………なんだってこんな事に………」
女クルセイダーが闇ポタで飛ばされたのは川の畔、その上流と思われる森の中だった。
まぶたの裏には未だに、GMの非道な行為が鮮明に焼きついている。
民を守るために常に前衛で勇敢に戦ってきた彼女だが、今は困惑と恐怖のせいか、覇気が感じられない。
呆然と座りつくしたまま、彼女はずっと考え続けていた。
ゲームに乗るか、否か。
誰か既に乗ってしまった人間がいるかもしれない。自分を獲物と見定めて背後から忍び寄り、今まさに襲おうとしている輩がいるかもしれない。
考えた。自分の心に、何度も何度も問いかけた。だがいくら自問したところで、答えは一つだった。
まぶたの裏には未だに、GMの非道な行為が鮮明に焼きついている。
民を守るために常に前衛で勇敢に戦ってきた彼女だが、今は困惑と恐怖のせいか、覇気が感じられない。
呆然と座りつくしたまま、彼女はずっと考え続けていた。
ゲームに乗るか、否か。
誰か既に乗ってしまった人間がいるかもしれない。自分を獲物と見定めて背後から忍び寄り、今まさに襲おうとしている輩がいるかもしれない。
考えた。自分の心に、何度も何度も問いかけた。だがいくら自問したところで、答えは一つだった。
乗らない。乗れるわけが無い。
自分は聖騎士だ。人々の命を守るのが使命であり、その使命は同時に、自分にとって誇りだった。
今までずっと貫いてきたものを、今更捨て去れるというのだろうか?
不可能だ。それはこれまでの自分をすべて否定することになる。ならば―――
やることは決まっていた。
なるべく多くの人と共に、このくだらない殺人ゲームから脱出する。
今はまだ途方も無い目的かもしれない。方法の糸口さえ掴めていない。が、大勢で協力するならきっと道も見えるはずだ。
今までずっと貫いてきたものを、今更捨て去れるというのだろうか?
不可能だ。それはこれまでの自分をすべて否定することになる。ならば―――
やることは決まっていた。
なるべく多くの人と共に、このくだらない殺人ゲームから脱出する。
今はまだ途方も無い目的かもしれない。方法の糸口さえ掴めていない。が、大勢で協力するならきっと道も見えるはずだ。
「とりあえず、所持品の確認だ。せめて身を守れるくらいの物は出るといいが………」
自分に戦う気が無くても、相手がどうかは分からない。
いざとなれば素手で対応することも不可能ではないが、それではいささか心許ない。
周囲に人の気配が無いことを確認すると、配られた大きな鞄の中身を取り出し始めた。
大きい箱の中身は………
いざとなれば素手で対応することも不可能ではないが、それではいささか心許ない。
周囲に人の気配が無いことを確認すると、配られた大きな鞄の中身を取り出し始めた。
大きい箱の中身は………
「ナイフ、か………」
自分も駆け出しの頃に使った覚えのある小振りの刃物が、大きな箱にちょこんと収められていた。
扱えない弓などが出るよりは運が良かったのかもしれないが、これではちょっとした事ですぐ折れてしまうかもしれない。
扱えない弓などが出るよりは運が良かったのかもしれないが、これではちょっとした事ですぐ折れてしまうかもしれない。
「こっちは………?」
不安と期待を胸に、小さな箱の封に手をかける。
中には、鈍く光る青色の石が詰め込まれていた。
ブルージェムストーン。強力な魔法を使うときに媒体として使われる魔力石だ。
プリーストやウィザードなら有効活用できたかもしれないが、クルセイダーである彼女には活用する手段が無い。
中には、鈍く光る青色の石が詰め込まれていた。
ブルージェムストーン。強力な魔法を使うときに媒体として使われる魔力石だ。
プリーストやウィザードなら有効活用できたかもしれないが、クルセイダーである彼女には活用する手段が無い。
「まあいい。何かの役に立つかもしれん」
ナイフを腰に、ジェムストーンを袋に戻すと彼女は立ち上がる。
まずは上流に行くことにした。高いところから、地理を把握しようと考えたためだった。
まずは上流に行くことにした。高いところから、地理を把握しようと考えたためだった。
「探すんだ。きっと協力してくれる者がいる………信じろ」
クルセイダーは歩き出した。
大きすぎる不安と、一握りの希望を胸に。
大きすぎる不安と、一握りの希望を胸に。
<♀クルセイダー ナイフ1個、ブルージェムストーン3個 獲得>
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