027.裏切り者
『裏切り者』
1:主人、もしくは味方を捨てて敵方についた者
1:主人、もしくは味方を捨てて敵方についた者
2:期待に対して背いた者
砂漠の上に、暗殺者が一人。
破れた上着の裾を、風に嬲られるままにさせながら、歩いている。
目指すは唯一つ。あのホールで見た♀プリーストの元。
逃げる者は追いはしないが、向ってくる者や立ちはだかる者は残らず殺す。
破れた上着の裾を、風に嬲られるままにさせながら、歩いている。
目指すは唯一つ。あのホールで見た♀プリーストの元。
逃げる者は追いはしないが、向ってくる者や立ちはだかる者は残らず殺す。
信念という名の妄執を胸にし…しかし、男は急に立ち止まった。
再開の光景が、自己の状況確認を煙に巻いていたからだ。事実、箱の中身も確認していない。
ごそごそと袋に手を遣り…頭ほどの大きさもある箱を両手で取り出す。
再開の光景が、自己の状況確認を煙に巻いていたからだ。事実、箱の中身も確認していない。
ごそごそと袋に手を遣り…頭ほどの大きさもある箱を両手で取り出す。
「……どれ、開けてみるとするか」
その中には、一言で言うなら、色がなく、その代わりに闇があった。
箱の内張りも黒ならば、箱に入っていた物も、真っ黒い布で幾重にも梱包されている。
箱の内張りも黒ならば、箱に入っていた物も、真っ黒い布で幾重にも梱包されている。
「これは、なかなか」
期待できるか?箱をぽい、とその辺に投げると、♂アサシンは布を解いていく。
布と同様に、真っ黒い刃がその下から覗いている。
期待できるか?箱をぽい、とその辺に投げると、♂アサシンは布を解いていく。
布と同様に、真っ黒い刃がその下から覗いている。
「…裏切り者、か。ツイてるな」
それは、人を殺す為だけの武器である。
それから、何故かその刀身には、13という数字が乱暴に彫りこまれていた。
それから、何故かその刀身には、13という数字が乱暴に彫りこまれていた。
「もう一つは…目隠し!?」
ツイている。ツキすぎていると言ってもいい。
しかし、箱に収められたそれを持ち上げてみると…
しかし、箱に収められたそれを持ち上げてみると…
「なんだ…頭巾かよ」
幸運への感謝は、一瞬にして落胆へと変じていた。
箱に、再び頭巾を積めると、それを投げ捨てる。
箱に、再び頭巾を積めると、それを投げ捨てる。
「まぁ、一つは当りだったわけだ。幸運、と思っておくか」
腰に、鞘に収めた裏切り者をぶら下げる。そしてまた、歩き始める。
…彼が手にした武器は『裏切り者』。そして、彼はその武器の名を深く考える事は無い。
<♂アサシン 裏切り者、一個獲得 頭巾、破棄>
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