バトルROワイアル@Wiki 2-121


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121 再会 [早朝]


それは東の空が黒を白く塗り替え始めた二日目の早朝の話。
森から僅かに外れた木々がまばらに生えた丘の上を、1組の男女が歩いていた。

男の方は頭からフードを被っているため、髪型は分からない。
けれど身につけている服の様子から男がアサシンであることは明らかであった。
周囲を探る眼光の鋭さから、彼が数々の修羅場をくぐってきたアサシンであることも想像に難くはない。

一方の女はというと、金髪を美しくなびかせた絶世の美女、からはほど遠いが、一般にはかわいい系に分類される顔立ちである。
冒険者が一度は袖を通す服、ノービス服を着ていることから彼女がノービスであることは間違いないと言えよう。
真剣に辺りを見回し、突然の外敵に備え警戒している♂アサシンの表情とは正反対のあどけない表情が、
彼女が女性というより少女と表現すべき年齢であることをなんとなく教えてくれる。

「帰って来た時に理由は分かる、か」

♂アサシンのすぐ横を、しっかりとした足取りで前を一歩一歩確かめるように歩く♀ノービス。
その淡い褐色の瞳を横目にちらりと見、それから再び視線を前方へ戻し、♂アサシンは小声でそう呟いた。

───お前には生きる価値がある

♂アサシンはこの島に来る前にマスターから言われた言葉を、そして草原地帯で♀ノービスに言った言葉を思い返していた。
生き残ることができるのは、たったひとりだけ。つまり、♀ノービスを生かすということは自分が死ぬということである。
それでもそんな言葉を♀ノービスに告げてしまった自分と、その自分を信じた♀ノービス。
生粋のアサシンとして生きてきた今までの自分の人生を根本から否定してしまった自分の行動に、
♂アサシンの頭の中は、これでいいんだという確信と、これで良かったんだろうかという不安が未だ、ぐるぐると回っていた。

もしかして俺って本当に───

そこまで考えてから♂アサシンはぶるぶると首を横に振る。
そこから先の言葉を考えなくて済むように、傍らを歩く♀ノービスの反対方向に顔を背け、視線を上にあげる。

「空がだいぶ明るくなってきた、な」

浮かんだ言葉を無理矢理口にすることで先ほど脳裏を掠めた単語を消したいのであろう、♂アサシンはぽつりとそんなことを言った。
よほど恐ろしいのか、♂アサシンは尚も言葉を続ける。

「そういえば青箱、開けてなかったよな。すっかり忘れてたぜ。
 武器もないし、今すぐ開けて中身を確認しておいた方がいいよな」

隣りを歩く♀ノービスを全く見ることなく、♂アサシンは勢い良くまくし立てた。
今までの彼を知るものが見たら思わず噴き出して笑うであろう醜態である。
けれど、♀ノービスはそんな♂アサシンの様子を気にすることもなく、ニコニコと朗らかに笑う。

「そうですね、それじゃあそこの木まで行ってから開けませんか?」

言って♀ノービスは30mほど先にある木立付近を指差した。

ふたりは周囲を警戒しつつ、目標とした地点へ足を進める。
が、付近まで来たふたりはそこで何かに気付いたのか一気に走り始め、一本の木の下に駆け寄った。

「♂アサシン・・・さん・・・」

震えている♀ノービスの肩を右手で抱きながら、♂アサシンは眼下に横たわっているソレを見つめる。
僅かに憂いを含んだ瞳に映っているのは、ひとりの女性の亡骸。自分と同じ組織に属していた女のナレノハテ。
そう、そこには見るも無残な姿の♀アサシンが物言わぬ形で横たわっていた。

GMジョーカーの定時報告を♂アサシンは聞いていた。だから♂アサシンは♀アサシンの死を知らなかったはずはない。
ただ、それでも実際に彼女の死を、事実を目の当たりにした♂アサシンの心は平常心ではいられなかった。
だからお前は甘いんだ。マスターが今の♂アサシンを見たらきっとそう言うだろう。
少女ひとり殺せず、仲間の死に対し冷静さを失うなんてことはアサシンにとっては問題外のことである。

それでも♂アサシンは♀ノービスの肩を抱き締めながら、♀アサシンの亡骸をずっと、見つめていた。

「知ってる人・・・ですか?」

♀ノービスの声で我に返った♂アサシンは、そこでようやく自分が♀ノービスを強く抱き締めていたことに気付いたのか、
慌てて彼女から手を放し、♀アサシンのすぐ側へふわりとしゃがみこむ。
すっと両目を閉じ、ゆっくりと息を吸い、そしてふうっと息を吐き出す。

「あぁ、何度か一緒に任務をこなしたことがあった。ただ、それだけの関係だったけどな」

───それだけには見えませんでした

かすかに発せられた♀ノービスの声。
その声に気付かなかったのか、気付いていないフリをしたのか、♂アサシンは土を掘り起こし、♀アサシンを埋葬し始める。
♀アサシンの脇に備えるように置いてあった一輪の花を目にすると、それを手にとり、一緒に埋めた。

「さて、時間を無駄に使ったな。早く青箱の中身を確認するとしようぜ」

振り返り、♀ノービスを見ながら話す♂アサシンの瞳に先ほどまでの憂いはない。
きっと触れない方がいいんだろうな、とでも♀ノービスは思ったのだろうか。彼女は何も言わず♂アサシンの横にちょこんと座った。
鞄からゴソゴソと青箱を取り出し、ふたりはお互いの顔を見、それから視線を青箱へと移し、青箱を開けた。


<♂アサシン><現在位置:丘の木立(D-6)>
<所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2>
<スキル:クローキングLv10>
<備考:♀ノービスを生き残らせると決意、♀アサシンとは顔見知りだった?>


<♀ノービス><現在位置:丘の木立(D-6)>
<所持品:ソード、未開封青箱×1>
<スキル:死んだふり>
<外見:ノビデフォ金髪>


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