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135 人ではない者達の遭遇


 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。

 薄い、無臭の粘液を足跡として、蟲は進んでいた。とうに血の後は地や草木にふき取られている。
 獲物を求めてしばらく、奇妙な気配をやや遠くで見つけてからは本能的にそちらへ向い出した。蟲にとっての獲物よりは近い種の王の下へ。

 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。
 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。

 ふと、ただ草木だけが立ち並ぶだけの周囲に小さな異変が起きた。行く匹かの小さな小さな羽虫が、蟲を見つけ観察するかのように遠巻きに回りだしたのだ。
 空中のそれを察知する術を持たないのか、それとも無視しているのか、蟲は変わらず進む。

 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。
 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。
 ずるり。ずる…

「ほう」
 そう声を上げたのは、紫色の長髪を美しく垂らし、女王蜂の冠をのせた一人の魔女。くるり、くるりと持て余すようにカウンターダガーを持て遊んでいた。
 何はともあれと言わんばかりに羽虫を偵察も兼ね遠巻きに纏わせながら疲れも知らずに東へただただ動かしていた足を止めた。
「山脈の先の洞窟の蟲翁まで人間どもの意向で連れ出されておるのか」
 大変じゃとてお互い、と人の喉からは到底発音する事の出来ない奇妙な言語で蟲に話しかけると、長髪を一房指に巻きつけて、また離す。
 羽虫など何の足しにもならないほどと体躯を持った蟲は、草と人を食している。そのため、彼女らの種とは友好不可侵の関係を保っていた。
「おぬしらの仔も山で良くやっておる。こんな所に引きずり出される前まではであるがな。其方の方はどうだ、我が仔らの幾許かが其方の洞窟に棲み始めて長いが……どうした」
 くるくると手の短剣を回しながら近況を淡々と話していた口を止めて、彼女は不審げに眉根を寄せた。
「おんし何故喋らぬ。洞窟の蟲翁は我らを知らぬようになったとでもいうのか」
 憤慨する彼女に、弁解するように体を震わせて否定を示す蟲。特殊な方法でつむぎ出す言語を蟲はまだ使いこなせない。
「…嗚呼、成る程。蟲翁は蟲翁でもまだ児であったか。大方人間らが卵でも捕って来たのか」
 人の腹から孵化する様子はなかなか見物であるな、と昔見た光景を思い出して忍び笑いを漏らす。

「おんし、私の言う事は分かるな。簡単でよい、答えよ」
 肯定。
「もう一つ、私に似た…つまり器の気配が近くに或るのは分かるか?」
 肯定。
「場所の特定はできおるか」
 否定。
「ふむ…まあ私に出来ぬのにおんしに出来るわけがなかろうて。近づけば器の判別は付くな?」
 肯定。
「分かった。おんしは自由に獲物を探して這い回れ。ただし、私の器を喰うな。そして器を見つけたら私に教えろ」
 肯定と疑問。
「何、力一杯体を震わせて叫べばよい。人間どもには分からずとも私や羽虫や…まぁあとは動物共も分かるだろう。良いな」
 肯定。
「私は禁止区域とやらの影響を受ける様子だから、これから北に向う。おんしは何事にも縛られず自由にせい。ただし器の事は忘れるな」
 肯定。

 奇妙で一方的な会話が終わると、彼女は北へ体をむけた。蟲は一礼するように体を曲げて、すれ違うと何処へと動き出す。

 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。

 (禁止区域、とやらに器が取り残されていた場合、自らが入って行けない上に動かせる羽虫だけではどうにもならないと危惧していたのだが、あの蟲がいれば平気であろう。
複数の人間と同時に対峙すれば危ないが、一対一ならばたとえ孵ったばかりでも負けやしないだけの力が蟲にはある)
 そう、独白して、人間の魔女に仮の身を置いている女王蜂は歩き出した。


<ミストレス>
現在位置・・・G-8、これから北へ
容姿…髪は紫、長め
所持品・・・ミストレスの冠、カウンターダガー(♀アサの遺品は拾わず)
備考…仮初の身(見た目はWIZ)だが、時々ミストレスの翼が背に現れる
備考…飛ぶ虫を操れる。蟲と話せる。器探しの協定?を結ぶ。
備考…GMの用意した体に入った(首輪ついた)ことで、各能力減退。
目的…「器」を探し出し、ついでにジョーカーを殺して山に帰る。

<蟲>
現在位置…G-8から獲物(人)を求めてどこかへ
備考…寄生虫。孵ったばかりだが力はそれなり。
目的…獲物を食べる。ミストレスの器を見つけたら知らせる。


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