バトルROワイアル@Wiki 2-179


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179.薔薇の花 [2日目夕方]


 通り雨というには長すぎた雨がいきおいを弱めはじめたころ、偶然見つけた集落、その中の一軒の小屋で身を寄せあい、雨をやり過ごしていた♀WIZたち5人は、外から聞こえてきた不穏な音にぎょっとして、顔を向けあった。

 どうやらすぐ近くで、何者かがあらそっているらしい。雨音にまじって聞こえてくる金属音はあきらかに、剣と剣とがぶつかりあう音であった。

 小声ですばやく相談をした結果、クローキングを使うことのできる♀WIZが偵察を行うことで、話はまとまった。

 先行する♀WIZが状況を確認し、クローキング状態の♀WIZを見ることのできる♂プリーストが後方からフォローするということである。

 残った♂シーフ、♀商人、それから♂セージは♂プリーストからの指示があるまでは待機することになった。あくまで偵察が目的であり、雨の中での無茶な行動は可能な限り避けたいというのが♂セージの思惑であった。

 ♀WIZはクローキング状態のまま、そっと小屋の扉を開けて、そろりそろりと足を進めた。いくらクローキングを使えたところで、足音まで消せるものではない。用心してもしすぎるということはないのである。

 少しずつ音のよく聞こえる場所まで近づいたところで、彼女はじっと目を凝らした。雨が多少は弱くなったとはいえ、まだ外はそれほど明るくはなかった。

 遠めに見た彼らは、どうやらクルセイダーとアルケミストのようであった。そしてもうひとり。クルセイダーの男に体当たりしてアルケミストを助けた男は、♀WIZが知っている人物であった。

 ♂騎士であった。

(いけない・・・・・・)

 ♂騎士の姿をひと目とらえて、♀WIZはにわかに動揺した。彼らとはまだかなりの距離があったが、♂騎士が普通の状態ではないことがわかってしまったのである。

 彼のからだは全身、血まみれであった。

(彼が・・・・・・殺されてしまう・・・・・・)

 気がついたとき、♀WIZは走り出していた。息を殺すことも忘れ、♂騎士を助けようとして彼女は思わず、その場から飛び出したのであった。

 クローキング状態であったことで、容易に♂クルセイダーの不意をつくことができると思ったのであろう。

 ♂騎士はまだ立ってはいたが、全身が血と汗と泥とでぐちゃぐちゃであった。それでも♂騎士は、なおも♂クルセイダーに向かおうとした。

 ところがそこで、♂クルセイダーがなぜか一目散に逃走しはじめた。

(嘘・・・・・・私の気配に気づいたの!?)

 ♀WIZはおどろくほかなかった。♂クルセイダーがそこまで冷静さを保っているとは思っていなかったのである。まさかクローキングのまま近づこうとしている自分の気配を、雨の中で気づくことができるとは、彼女は予想もしていなかった。

 ♀WIZが♂アルケミストと♂騎士の近くまで来たときにはもう、♂クルセイダーは集落を利用して、まんまと姿を消していた。

「俺だけでも生きろだって? 馬鹿言うな! 生きなきゃいけないのはあんただろうが!!」

 ♂アルケミストの悲愴な声があがった。どうやら♂騎士はやはり、瀕死の状態であるらしい。

 ♀WIZは後ろに振り向いて、急いで♂プリーストの姿をさがした。がっしりとした体躯に修道女のヴェールを身に着けた♂プリーストは目立つのか、すぐに見つかった。
隠れるのはあまり得意ではないようであった。

 ♀WIZはすばやく右手をあげて、おいでおいでと手のひらをひらつかせた。成熟した大人である彼女がふと見せた子供のようなその仕種はとてもかわいらく、♂プリーストは飼い犬のように♀WIZに向かってまっしぐらに駆け寄ってきた。ただし、♂プリーストがそれをすると、犬ではなく、ミノタウロスの突進であった。

 ♂アルケミストは♂プリーストの足がたてた雨土をはねさせる音に気づき、わっと声をあげた。どうしようもないほどに不意打ちだったのである。

 ♂騎士の上半身を抱きしめながら、やってきた♂プリーストをキッとにらみつけた。

 敵意がむき出しであった。

 ♂プリーストは♂騎士の様子を見るや、♂アルケミストを腹の底から出したような大きな声でどなりつけた。

「バカやろう! なに無理な姿勢とらせてんだ。はやくそいつを横に寝かせろ。はやくっ!!」

 あまりの大声におどろいたのか、内容におどろいたのかはわからなかったが、♂アルケミストは♂プリーストの声にはっと我に返った様子で、あわてて♂騎士を地面に横たわらせた。

 すかさず♂プリーストがぶつぶつと祈祷の言葉をつぶやきはじめた。右手がぼうっと青白くひかり、彼はそのまま手のひらを♂騎士の傷にかざした。

「♂騎士、しゃんとしろよ。、嬢ちゃんの分まで生きるんだろ。おら、おめぇも呼びかけろ。人間の五感で最期まで生きてんのは聴覚なんだよ。だからこいつが旅立っちまわねぇように、必死になって呼びかけろ」

「え・・・・・・あ、あぁ。生きてくれよ。目を覚ましてくれよ。♂騎士。俺、このままじゃお前にいろんなものを借りっぱなしじゃないか」

 ♂プリーストが敵じゃないということを理解したのであろう。♂アルケミストは♂騎士の耳元で、祈るように呼びかけはじめた。

 ♀WIZはいつのまにかクローキングをといており、絹糸のように美しい銀色の髪を雨に濡らせながら、真摯な顔もちで♂騎士に呼びかける♂アルケミストをじっと見ていた。

(この目、わかるわ・・・・・・この子は彼を、ほんとうに大切に思ってる・・・・・・)
(私には・・・・・・もう・・・・・・・いなくなってしまったけれど・・・・・・)

 ♀WIZは睫毛をわずかに伏せて、自分が一番大切であった彼のことを想った。

 それからすっと顔をあげ、意を決した様子でヒールを続けている♂プリーストに告げた。

「♂プリーストさん、どうか彼らのことをよろしくお願いします。私はあの♂クルセイダーを追います」

 ♂プリーストの顔色がさっと変わった。とんでもない話であった。

「ひとりでか? 冗談だろ」

それでも♂プリーストは♀WIZの方を向くことなくヒールをかけつづけていた。♂騎士の状態にはすこしの余裕もないのである。♂アルケミストもまた、休むことなく♂騎士に呼びかけつづけていた。

「おそらくは彼も手傷を負っているはずです。私はいまが好機だと考えます」

 ♀WIZの語気が普段とは別人のように強く、♂プリーストには彼女がまるでなにかに憤っているように感じられた。

「積極的に殺すっていうのか? その行為はすくなからず、周りの人間を不安にするぜ」

「構いません。殺さなければいけない人を殺せるときに殺しておかないと、あとできっと痛い目を見ます。それに私はあの♂クルセイダーがどうしても許せませんから」

「知ってる人間を傷つけたからか?」

 ♂プリーストは抑揚を変えることなく、静かに聞いた。♀WIZは問いかけにすばやく答えた。

「違います。ただあの♂クルセイダーを殺せなくて、GMジョーカーが殺せるはずがないと思ったのです」

 本当の理由とは違っていたが、♀WIZはあえて言わなかった。いま口にしたことも嘘ではなかったからである。

「あんたは薔薇だな。美しくも非情な棘を持ってるってことか」

 ♂プリーストは、♀WIZを止めることはできないと感じたのか、しぶしぶながらも了承した様子であった。きざなセリフに、♀WIZがくすりと笑った。

「似合いませんよ、そういうセリフ」

「ぐっ・・・・・・それよりほんとうにひとりで大丈夫なのか?」

「ありがとう。でも大丈夫です。私、あなたたちよりもずっと強いんですよ」

 そう言って、♀WIZは妖精のようにいたずらっぽく笑った。すぐに真顔にもどしてしまったのではあるが。

「──それでもひとりではどうにもできないことがあるんです。だからここで待っていてください」

「わかった。ほかの連中には、こいつをなんとか助けられたら、そのあとで伝えにいく。終わったらすぐに戻ってこいよ。あんたがいなくなると、俺の逆毛もしょんぼりして、しおれちまうからよ」

 集中してヒールを使い続けていることで、♂プリーストの声には力があまりなかった。それでもいまできる精一杯のはげましを、♀WIZに贈ったのであった。

「そうそう、そういうセリフの方がずっと素敵ですよ」

 ♀WIZはマフラーをなびかせながら、ふわりと身をひるがえした。

「いきます」

 そのまま♂クルセイダーが逃走したと思われる方角に向けて、彼女は走りはじめた。

 気がつけば雨はあがり、夕日が彼女の背中を黄金色に照らしていた。


<♀WIZ>
現在位置:D-5(集落)
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)、クローキングマフラー 案内要員の鞄(DCカタール入)
外見特徴:WIZデフォの銀色
備考:LV99のAGIWIZ、GMに復讐、♂プリ、♂シーフと同行 ♂クルセイダーを殺そうと、彼を追う

<♂プリースト>
現在位置:D-5(集落)
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外見特徴:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備考:殴りプリ ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行 ♂騎士治療中

<♂シーフ>
現在位置:D-5(集落)
所持品:青箱(未開封)、多めの食料
外見特徴:栗毛
備考:ハイディング所持 ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
   盗作ローグ志望でちょっと頭が良い 右肩負傷(軽傷なのでヒールで治りそう)
   小屋で待機

<♂セージ>
現在位置:D-5(集落)
所持:ソードブレイカー 青箱(開封済みの可能性アリ)
容姿:マジデフォ黒髪
備考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? ファイアウォール習得 GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
   左足負傷 小屋で待機

<♀商人>
現在位置:D-5(集落)
所持:青箱2(未開封)
容姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備考:割と戦闘型 ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
   ♂セージに少し特別な感情が……?
   小屋で待機

<♂騎士>
現在位置:D-5(集落)
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
状態:痛覚を完全に失う ♂クルセイダーに負わされた傷から激しい出血、瀕死状態
備考:♂アルケミを真の意味で認める 時々GMの声が聞こえるが、それに抵抗する
   瀕死の状態

<♂アルケミスト>
現在位置:D-5(集落)
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
状態:やや混乱状態 右肩に浅い傷 必死に♂騎士の傷を塞ごうとしている
備考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型


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