バトルROワイアル@Wiki NG2-35


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NG.勇気 [2日目夜]


♀ハンターは♀スパノビと連れだって歩いていた。
なんとはなしに繋いだ手が、なんだか心地よい。
薄暗くなった道も、♀スパノビと二人ならあまり恐くは無かった。
ふと空を見上げると、彼方から声が聞こえてきた。
それは♀ハンターにしか聞こえない声、ずーっと昔からこの声に支えられて生きてきたのだ。

『白い服の人は、塔、そしてお墓の下に入っていったよ』

数羽の雀はそれだけ伝えると、空の彼方へ飛び去って行った。
♀ハンターは♀スパノビの手を引き立ち止まる。

「はい? どうしました?」

♀ハンターはぼそぼそと下を向きながら言う。

「……えと……さっきの……塔と、お墓の下だって……」

一瞬きょとんとした♀スパノビだったが、聡明な彼女はすぐに♀ハンターの言いたい事に気付いて笑顔になる。

「そうですか、お見事です♪」

♀ハンターは褒められたのが照れるのか、頬を赤く染めて更に下を向いてしまう。
不意に♀スパノビが♀ハンターに覆い被さってくる。
♀ハンターはその勢いに体を支えきれずに地面に倒れる。
何か気に障る事でもしてしまったのか? ♀スパノビは険しい表情で立ち上がって♀ハンターに背を向ける。

「あ……あの……」

悪いことをしたのなら謝ろうと声をかける♀ハンター。
しかし、♀スパノビは♀ハンターに背を向けたまま、珍しい強い口調で言った。

「敵です。備えてください」

♀スパノビの視線の先には、♂ローグが立っていたのだった。
♂ローグは心の中で一人呟く。
『まったく、当たらねえ時はてんで当たらねえのに、出る時ぁまとめて出てきやがるぜ』


♀スパノビは♂ローグを一瞥しただけで、それを殺人者と断じた。
漂う血臭、いやらしい悪意に満ちた笑い。
問わずにはいられなかった。

「あなたは、一体どれだけの人を殺したのですか」

♂ローグは笑って答えた。

「そりゃココに来てからの話か? それともココ来る前の分も合わせての話か?」

最早語るべき何も無い。♀スパノビは全身全霊を込めて、この男の意図を阻止せんと構えた。
♂ローグはすたすたと歩き、無造作に♀スパノビの攻撃圏内に入る。
即座に♀スパノビがダマスカスを振るう。
それを包丁でいなす♂ローグだったが、♀スパノビは手首を回転させてすぐさま第二撃を振るう。
同じく手首の回転で包丁の向きを変えた♂ローグはそれを受け止める。
絡み合う包丁とダマスカス。♀スパノビは♂ローグが包丁に力を込めるより一瞬早く、ダマスカスごと一歩前に踏み込む。
高い姿勢であった♂ローグは、不覚にもその♀スパノビの動きで僅かに体勢が崩れる。
その隙に♀スパノビは♂ローグの短剣を払いのけ、返す手で♂ローグの顔を狙う。
のけぞってそれをかわした♂ローグは数歩後ろに下がるが、♀スパノビは果敢にも更に前へと踏み込んでいった。


♀ハンターは二人の戦いを震えながら後ろで見ていた。
恐い、♂ローグの殺意が恐い、♀スパノビをかすめる包丁が恐い、♀スパノビが居なくなってしまうかもしれないのが恐い。
必死に自分の鞄を漁る♀ハンター。
中からはトラップと短剣が一つづつ。
短剣がぶんぶん振るわれる場所は恐いので、遠くから何か出来る事は無いか考える。

『えとえとえとえと、どどどどどうしよう、どうしよう……』

混乱しながらも、準備を整えると、二人が戦う場所に一歩、一歩と近づいていく。
恐くて恐くてどうしようもない、しかし、それ以上に何かをしなければならないような気がした。
それをしなければ、♀スパノビが居なくなってしまうような気がしたのだ。
ある程度の距離まで近づくと、トラップを置き、そしてその隣の地面に短剣を突き刺した。
すぐに走って後ろの方に下がる。
そして、二人の戦いを食い入るように見つめた。
♀ハンターにとって、これが精一杯の勇気だったのだ。


♀スパノビにも、♀ハンターが何かをしていたのはわかったが、何せ後ろでやっているので何をやっているのかわからない。
それに、この♂ローグの強い事。一瞬でも気を抜けば一撃で喉笛をかき斬られそうだ。

『スキル使う余裕与えたら負けですね。このまま競り合っても体力差で負け……では』

短剣を振るいながら、ぼそぼそと呟く♀スパノビ。

「……わたしの声が聞こえますか?……倒す為……わたしに……」

僅かに聞こえてくる♀スパノビの声に、♂ローグは彼女の意図を察する。

「てめえっ! ふざけた真似してんじゃねえ!」

言葉を止めるべく突き出された♂ローグの右腕と包丁、♀スパノビはこれを待っていた。
しゃがみながら思い切り懐に踏み込み、包丁をかわしざまに♂ローグの右腕を取り、♂ローグに背を向ける形になりながら、下から肩を使って全力で突き上げる。
完全に逆腕を取られた♂ローグは短い悲鳴と共に、包丁をその手から落してしまう。
♀スパノビはここぞとばかりにダマスカスを♂ローグの脇腹めがけて突き出す。
しかし、相手は悪鬼♂ローグであった。
♂ローグは落した包丁の回転に合わせて右足を上げ、包丁の柄の部分が足の甲に乗り、かつ包丁の刃が足の甲に対して直角に位置するように足で包丁を受け止める。
体を捻りながら♀スパノビのダマスカスをかわし、同時に右足を振り上げて♀スパノビの腹部目がけて包丁の刃を蹴り上げる。
体勢と包丁のバランスの関係上、深手を負わせる事は出来なかったが、♀スパノビの脇腹には包丁による切り傷が刻まれた。
これにより、♂ローグは遂に♀スパノビとの距離を取る事が可能になる。それは♀スパノビの敗北を意味していた。
だが、♀スパノビは先ほど♂ローグに背を向けた時、微かな勝利の可能性を見付けていたのだ。
♂ローグが距離を取った後でトンネルドライブに入ろうとしたその時、♀スパノビは♀ハンターが地面に突き刺したフォーチュンソードに飛びついていた。

『こう見えても私、運試しには自信があるんです』

転がりながらフォーチュンソードを♂ローグに向かって投げつける♀スパノビ。
♂ローグはトンネルドライブに入る直前だった事もあり、反応が遅れる。
それでも剣を左腕で弾いたのは見事であったが、その先は♂ローグにも予想外であった。
運悪くフォーチュンソードの柄が♂ローグの服の袖にひっかかったのだ。
そこを起点に、半回転しながらフォーチュンソードの刃が♂ローグの顔面に迫る。
刃は振り上げた腕を起点にしていた為、♂ローグのちょうど両目の高さであり、彼が全力で振るった左腕の反動を味方につけていた。


♀スパノビは空気が変わったと感じた。
戦闘には流れというものがある、彼女は幾多の経験からそれを悟っていた。
♂ローグの顔前に浮いているフォーチュンソード。
その刃を右手で握る♂ローグ。

幸運を悪意が凌駕した瞬間であった。

♀スパノビは大声を張り上げる。

「♀ハンターさん! 逃げてください! この男はもう止められません!」

♀ハンターの反応は予想出来たが、それでも一縷の望みに賭けたかったのだ。
だが、現実は♀スパノビの予想した通り、♀ハンターは震えてその場に蹲るだけであった。
それでも諦めたり絶望したりするのは♀スパノビの信条に反する。
♀スパノビは頭に巻いたシルクリボンを一挙動で外し、その端を左手で握る。
♂ローグは右手に持ったフォーチュンソードをゆっくりと落す。
フォーチュンソードと一緒に♂ローグの右手から血が滴る。
♀スパノビが一足飛びに踏み込み、ダマスカスの間合いの外から♂ローグの虚を突いて左手のシルクリボンを振るう。
ダマスカスより間合いの遠いそれで♂ローグの目を狙ったのだが、♂ローグはそれをトンネルドライブでかわす。
咄嗟に振り返る♀スパノビ。
♂ローグはちょうど包丁を拾い上げている所だった。

『最後のチャンス! 間に合って!』

♂ローグに斬りかかる♀スパノビ。
しかし、♂ローグが包丁を振り上げ、それを受け止める方が先であった。
お互いの短剣がぶつかり合って止まり、二人の中間点で震える。
僅かでも力を抜いた方がその短剣に差し貫かれる。
力の差は歴然である。
苦悶の表情を浮かべる♀スパノビに、♂ローグは珍しく静かに、しかし確実に短剣を突きだしていく。
逆転の手を数多浮かべながらも、無表情の♂ローグにはその全てが切り返されると思われた。
少しづつ、少しづつ♀スパノビの胸に近づく包丁の刃。
もうこれ以上もたない、そう思われた時、♀スパノビが思い浮かべた最後の生存の可能性は、恐怖に打ち震え、茂みの影でその様を見ているだけであった。

「……あっ、あっ、あっ、あああああっ」

包丁は吸い込まれるように♀スパノビの胸に突き刺さる。
ダマスカスが地に落ち、彼女はゆっくりと地面に倒れ伏した。
余りの激痛に、焦点の合わない♀スパノビの目が、再度♂ローグを捉える。
彼は、何かを彼女にしようとしているようだったが、♀スパノビは胸を襲う激痛のせいで視界が狭くなり、彼が何をしているのかわからなかった。
すぐに更なる激痛が♀スパノビを襲う。
そうしてようやく♂ローグが何をしているのか理解出来た。

いや、何をしているのかはわかったが、何故そんな事をするのか、どうしてそんな事が出来るのかは理解出来なかった。
最初に見た時同様、薄汚い下卑た笑いが♀スパノビのすぐ目の前に見える。
信じられない程の悪意、邪気、それが今、自分に向けられているのだと考えると、♀スパノビは生まれてこの方味わった事の無い恐怖を感じた。

「いやーーーーーーーーーーっ!!」


行為が終わる頃には、♀スパノビは完全に動かなくなっていた。
そしてゆっくりと♂ローグは振り返る。
震えのせいで、前がまともに見えなくなっている♀ハンターを、♂ローグはせせら笑う。

「仲間を見捨てたな。ご立派だぜ、ハンター様よぉ」

一歩一歩と近づく♂ローグ。
不意に足下から叫び声が聞こえた。

『わーーーーーーー!!』

トーキーボックス。その中の声は♀ハンターの大声であった。
最初、その意図を計りかねた♂ローグであったが、眼前の♀ハンターの腰抜け具合から、一つの可能性に思い至る。

「よお、お前まさか……この声でびっくりさせて隙作ろうとか思ってたんじゃねえだろうな……」

♀ハンターは♂ローグの言葉にびくっと体を震わせる。
その反応を見て、♂ローグは♀ハンターが本気でそう考えていたと確信し、耐えきれずに大声で笑い出した。

「ぶわーーーーーっはっはっはっは! お前バカだろ! 頭悪いにも程があんぞ! だーーーっはっはっは、こいつは傑作だ!」

腹を抱えて笑い転げる♂ローグ。
だが、♀ハンターはただただ恐怖するだけである。

「こんな間抜けが相棒じゃこいつも浮かばれねえなぁ。良い腕だったがよ、こーんなバカ連れてたんじゃどうしようもねえや! ぶはーっはっはっは、腹痛ぇぞちくしょうめ!」

その言葉は、♀ハンターが一番聞きたく無かった言葉であった。
一生懸命支えてくれてたのは♀ハンターにもわかっている。
だからこそ、♀ハンターも頑張って彼女とうまくやろう、彼女の力になろうと思ったのだ。
でも、やっぱり♀ハンターは役立たずで、♀スパノビは死んでしまった。
♂ローグは笑いを収めながら、♀ハンターに近づく。

「いや~、マジで笑った。こんだけ笑わせてくれたんだ、いつもなら生かしておいてやる所だが、今はそうもいかねえんでな」

ゆっくりと包丁を振り上げる♂ローグ。

「抱くのはもういい、次は斬り刻んで楽しむとするぜ」

見上げた先にある♂ローグの笑う顔。
♀ハンターはこの顔に見覚えがあった。
劇場に引きずり出された時、会場を埋め尽くす人々が見せる顔。
どんなに綺麗な人でも、こうやって笑うととっても醜く見える。
でも、みんなとても楽しそうだった。

『ねえ、ふぁるぅ、やっぱりあたしっておかしいのかな? おかしいからみんな笑うのかな』

♂ローグの包丁が全身に突き刺さるが、♀ハンターは全然別の事を考えていた。

『おかしいよね、ふぁるもおかしいと思うよね。あはは、あたしもおかしくなってきたよ。楽しいね、ふぁる……ねえ……ふぁるは、私を見て……笑う?』

♂ローグの哄笑に合わせて定時放送が聞こえてくる。
ギリギリでの追加だ、GM達が慌てる様が想像出来て♂ローグは少し愉快な気分になれた。

既に息絶えた♀スパノビが倒れている。
彼女の倒れたすぐ隣、上から覗いては見えない場所、ぬかるんだ地面が乾きかけたそこに、明らかに自然の物と違う傷がある。

傷は『塔と墓の下にGMが居る』と読めた。

恐怖に震え、自らの生存が絶望的なその時でさえ尚、彼女は戦う事を止めなかった。


<♀ハンター 現在位置・・・F-7>
<所持品:スパナ 古い紫色の箱 設置用トーキーボックス フォーチュンソード>
<スキル:ファルコンマスタリー ブリッツビート スチールクロウ>
<備考:対人恐怖症 鳥と会話が出来る ステ=純鷹師 弓の扱いは??? 島にいる鳥達が味方>
<状態:びしょ濡れ。♀スパノビを信頼、死亡>

<♀スパノビ 現在位置・・・F-7>
<外見:csf:4j0610m2>
<所持品:S2ダマスカス シルクリボン(無理矢理装着) 古いカード帖(本人気付いていない) オリデオコンの矢筒>
<スキル:集中力向上>
<備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)>
<状態:びしょ濡れ。♀ハンターの生い立ち、鳥との会話能力を知る、死亡>

<♂ローグ>
現在位置:I-6
所持品:包丁、クロスボウ、望遠鏡、寄生虫の卵入り保存食×2、青箱×1
外見:片目に大きな古傷
性格:殺人快楽至上主義
備考:GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す
状態:全身に軽い切り傷。



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