バトルROワイアル@Wiki

2-202

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202.死神対死神 [放送後]


「ふざけるな……ふざけるなよ……!」

ピピピピという嫌な音は徐々に早く、徐々に大きくなっていった。
♂クルセは敏感にそれを感じ取った、死神が自分へ近づいてきていることを。

「俺は死なない!死ぬはずがない!」

吼える様に喉から搾り出された声も、掠れた声にしかならなかった。
相当体にダメージは残っている。意志と反し体は遅々として進まない。
ずるずると半身を引きずるようにして歩く。

(俺はこの島に死ぬために来たのか?いや、違う!)

(俺は生きるために、今ここにいる)

(死ぬ直前まで諦めない奴もいた。死ぬ直前まで他人を案じる奴もいた)

(死が背後に迫っているというのに、それを感じさせない奴もいた)

(そうだ…奴に出来たんだ…そう、奴には出来た、ならば―)

「俺に…俺に出来ぬはずはない!」

♂クルセは吼えた。
魂が震えるほどの狂気の雄叫び。それは海岸中を響き渡った。
バリリと音が鳴るほどに歯を食いしばると♂クルセはユラリと体を前に傾けた。
ふっ、と力を抜き倒れるかのように前のめりになるその瞬間。
♂クルセは足を取られる砂場をまるで整地された地面であるかのように歩き出した。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

(動け、動け俺の体!走れ俺の足!)

更に加速する♂クルセ、しかしその耳に変わらず張り付く嫌な音。

ピピピピピピ

最早かなりの速度で鳴り響くその音に苛立ちを覚えながらも♂クルセは走った。
その表情は吼えていた時とは打って変わって、静かな瞳を湛えていた。
表情こそは穏やかなままに、内面から溢れ出る狂気をむりやり抑えているかのような無機質な表情。

(死神よ…そこまで俺の命を取りたいか…だがそれは無理だ…)

(何故ならば、俺こそが死神だからだ…)

ふいに♂クルセが何かに気付いたかのように首に手をやる。既に首輪の音は鳴り止んでいた。
♂クルセはゆっくりと減速するとその場に膝をついた。

「ぜっ、ぜぃ…はぁはぁ…はぁ…」

激しく肩で息をする。不思議と痛みも、疲れも感じなかった。そして、思考すらも沈黙していた。

「ふ…ふふ…まだ、生きている、か…」

ぶるぶると震える自分の手を見つめる。
不思議と顔に笑みがこぼれる。
ふいに喉の奥から何かがこみ上げてくるのを感じ口を押さえた。

「ぐぇ…がはっ、おぇ…ぐぁっ、はぁ…」

胃から逆流した嘔吐物、一欠けらも物が混じってない液体。
そしてそれに混じって出てくる赤い液体。
そして次々に襲い掛かってくる疲労。そして痛覚。

「ぐぁぁ!っが!あぁあ…!」

海岸でまるで腹痛を我慢するかのように丸くなり呻く♂クルセ、次々に覚醒していく感覚に体が耐え切れないその代償。
狂気によって全ての感覚を封じ込め、その狂気がさめた時。それまでの全てがその者に降りかかる。
耐え切れない痛みに浜辺を転げるようにのた打ち回る。
そして、背中に刺さったナイフが傷をえぐった。

「がぁ!く、かぁ…うあああああああああ!」

背中に手を回し乱暴にナイフを引き抜くとそのまま投げ捨てる。
痛みは引かない、しかしもう転げまわることもなくなっていた。
痛みで体がびくびくと痙攣する、しかし体は動かない。
仰向けのまま苦悶の表情を浮かべたまま、時折びくりと思い出したかのように動く体。
死神と死神との死合はまだ終りそうにもなかった。

(俺は、死なない!死ぬもんか!死んでたまるか!)


<♂クルセイダー>
現在位置:E-3にはいってすぐ
髪型:csm:4j0h70g2
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し) ナイフ(近くに投げ捨ててある)
状態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身
   吐血 嘔吐 オートバーサークによる反動



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