バトルROワイアル@Wiki 2-223


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223.B.O.T. [2日目深夜]


へし折られた刃にはいかなる殺傷力も残っていなかった。
しかし魔槍はどこまで行っても魔槍であった。
ヘルファイアはその力の残滓を文字通りの残り火と変え、
血の色を思わせるかすかな光を灯し続けた。

ほどなくして。
「ちっ。やっぱ焚き火してる馬鹿なんざ居ねえか」
赤光にひかれてやってきた♂ローグが吐き捨てた。
罠の可能性も考えわざわざトンネルドライブで近付いたのが馬鹿らしくなってくる。
彼は腹立ちまぎれに折れた槍の穂先を踏みにじった。
靴越しにじんわりと熱さを感じる。
「…いや。まだ熱いってこたあ、さっきまで誰かいたってか?」
そう言えば地面にもだいぶ踏み荒らされた跡がある。
つい最近、誰かがここで争ったに違いない。
♂ローグは素早く地面に伏せ、顔を横にして周囲を見渡した。
自分が飛び道具で狙われるのはごめんだし、視線を低くして眺めれば立ってては見えない微妙な凹凸が分かったりするのだ。
近くに誰か潜んでいれば見えるかも知れない。
「ん…?」
すぐに地形としては不自然な盛り上がりを見つけた。
伏せた人間のようなものが1つ。ただし頭がない。
そして少し離れたところにいわゆる土饅頭が2つ。
「どういうこった?」
身を起こして♂ローグはつぶやいた。
墓を作ったということは生き残ったのが仲良しごっこを続けてる奴だったってことだ。
放置されてる死体が襲ったか裏切ったかした奴だろう。
だが、墓を作る時間を掛けたとすると戦いが終わったばかりだという予想とずれる。
彼は土盛りに歩み寄り…無造作に蹴り崩した。
人1人分の穴を掘って土をかぶせただけの墓はあっさり崩れ去る。
現れた遺体を見て、彼は低く口笛を吹いた。
「いいツラになったな、おい」
ぐしゃぐしゃに叩きつぶされ土にまみれた顔はもはや判別不能だが、その挑発的な衣装は見間違えようもない。
彼が騎士とプリーストのカップルを狙ったときに邪魔してくれたダンサーだ。
試しにもう1つの墓も暴いてみるが、こっちは真っ黒に焦げていてよく分からない。
「確か今朝にはもう死んでたよな、おめえ」
埋葬されてなかった♂剣士も含め朝の放送で発表されたメンツのようだ。
つまりここで戦闘があったのは丸1日近く前のことになる。
彼は舌打ちした。
「ったく。だったらなんでまだ熱いんだおめえはよ」
ヘルファイアに毒づく。
もちろん槍が答えるはずもない。
♂ローグは試しに持ち上げてぶんとひと振りしてみた。
火球が撃ち出されることはないが、ちろちろ燃える残り火が一瞬大きくなり夜空に光の弧を描く。
「…そういうことかよ」
どうやら魔力がかすかに残っているらしい。
それが刃を熱しているだけだ。
と言っても刃が折れている以上、マッチかアイロンの代わりぐらいにしか役立つまい。
彼は魔槍を投げ捨てた。

だが。
赤い光の弧が宙に描かれたとき、それを見た者が意外なほど近くに居た。
距離にしてほんの百歩ほど。
昼間なら間違いなく視認できる距離。
しかし月光だけで見つけるにはわずかに足りない距離。
そんな位置に♂スパノビは巨体を縮こまらせることもなくただじっと座っていた。
足元では♀BSが静かな寝息を立てている。
闇の中、動かずただ座っている彼らには♂ローグも気付けない。
♂スパノビ達のかたわらには地図が広げられていた。
散り散りになった仲間達がどちらに行ったかを考えるため♀BSが広げたのだ。
しかし座り込んだ途端に朝からの疲れが噴き出し、そのまま寝てしまった。
♂スパノビは彼女を見守る。
起こした方がいいのかどうか判断がつかない。
このことに限らず、彼はえらい人に命令してもらわないとほとんど何もできない。
修練所のえらい人は何か難しいことを言っていた。

レオはこう言った。
「お前、もしかして生まれつきのバトルオーダートリッパーか」
BattleOrderTripper、略してBOT。
戦うよう命令を受けると半ば催眠状態に陥り、死ぬか終了を命じられるまで戦い続ける人間のことである。
彼らはある意味バーサーカーと似ているが、いくつかの点がはっきり異なる。
まず上位の者に命令されない限り症状を起こさないこと。
バーサーカーのように戦いの中で自然に狂乱状態になることはない。
次に肉体的には常人と変わらないこと。
異常な戦闘力や生命力を発揮することはなく、その分肉体的限界に達するのが遅い。
場合によっては不眠不休で数日間戦い続けることもある。
そして最後の違いは指定された「敵」しか襲わないこと。
催眠状態に陥るとほとんどの精神活動が止まるが、敵とそれ以外を区別することだけに単純化された判断力は残る。
余計な事を考えない分その反応は早く、また恐怖にとらわれることもない。
以上の特徴からBOTは命令者にとって都合のいい兵士だと思われ、作成法が確立されて一時期さかんに作られた。
しかし、である。
肉体的には常人止まりな上に臨機応変さに欠け、戦場で対等の相手と戦えばすぐに死ぬ。
しかも外見で敵味方がはっきり区別できないと役に立たない。
したがって力に劣る敵――民間人に対する無差別攻撃や、害獣を根絶やしにする目的にしか使えなかった。
今となってはほとんどの国家でその利用が禁止されており、せいぜいタチの悪い商人が密漁目的で配下に細工しているぐらいである。

ところが♂スパノビには生まれつきその素地があるらしい。
そして彼は彼自身にもよく分からない基準で従うべき「えらいひと」を決める。
法律や王国の兵士達はえらいひとではなかった。
だからこそこんな所に送られることになった。
しかし、今の彼には「ぼず」が居る。
もしも♀BSが命じれば彼は死ぬまで戦い続けるだろう。

♂スパノビは迷った末に♀BSへそっと手を伸ばした。


<♂ローグ>
現在地:F-6
所持品:ポイズンナイフ クロスボウ 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2 未開封青箱
外 見:片目に大きな古傷
備 考:殺人快楽至上主義 GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す なるべく2人組を狙う
状 態:全身に軽い切り傷

<♀BS>
現在地:F-6
所持品:ツーハンドアックス 古いカード帖
外 見:むちむち カートはない
備 考:ボス 筋肉娘 覚悟完了
状 態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。

<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOTかもしれないが症状は未発現
状 態:HPレッドゾーン



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