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温もりの笑顔と冷たい笑顔Another side smile and tears

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温もりの笑顔と冷たい笑顔-Another side -smile and tears-


NG:Another side -smile and tears-

逃げていく鍛冶屋の鞄から転がり落ちる一つの実。
「これは…イグドラシルの実!?」
それを拾うと一目散に冷たくなった少女の元へと駆け寄る。
「ほら…食べろよ、食べれば…元気に…なるだろ…」
しかし、その凍りついた笑顔の口は、堅く閉ざされ開かない。
「貸しな」
有無を言わさず弓手の手からイグ実を奪い取るのは、セージ。
彼女はそれを口に含み、咀嚼し、少女へと口移しで飲ませていく。
何回も、何回も。
その実を全部、冷たい少女に嚥下させるまで。
最後の一口を飲み込んだとき、死んだはずの少女はゆっくりと目を開く。
「ん…皆、そんな心配そうな顔してどうしたん…?」
少女の眼前には今にも泣きそうな顔が三つ、並んでいた。
「なんや…えらい疲れたわ…そうやなぁ、でも…楽しかったわ…」
「もういい、しゃべるな」
流血は止まっていたものの、このままではせっかく吹き返した命が、またどこかへ行ってしまう。
そう直感したセージが、アルケミストの少女を制止するが。
――既に少女の耳に、音は届いていなかった。
「最初は…不幸やと思ってたんや…こんな、くだらないゲームなんかに参加させられて…
でもな、最初にセージの姉御…に、あって…安心したんや。少し、幸せ感じれたわ…
アチャ君…。キミにもあえて、ほんま良かった。
あの時は殴ってすまへんかったな…姉御と会う前のうちに、被りすぎてたんや…キミが。
だから…ほっとけへんのや…。これからも、頑張れ…な。
このパーティの、唯一の男なんやから…男として、胸張れや…。
ああ…ほんま、眠いわ……。少し、眠るわ――――」
「おい…おいっ!?…寝るな…寝るなよ…っ!」
弓手の言葉もむなしく、その身体は力なく倒れこむ。
そうして、一度息を吹き返した少女は。

同じ場所…弓手の腕の中で、安らかに笑顔を浮かべ、息を引き取った。
それはそれは、ただ本当に眠るように、安らかに、幸せそうに。


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