時刻は0時過ぎ。
プロソト 亀有店前の道を歩く黒羽大介。
「
まだ、終わっていないのか··」
通り過ぎざまに誰にともなくつぶやいた。
向かう先は「水道橋バイク 亀有店」屋上。
そこはこの街を一望できる唯一の場所。
トコトコトコトコ…
ガチャン
「
遅かったな」
黒いフォーマルスーツを身につけた男が黒羽に語りかけてきた。
「
見回りだよ。今夜は空気がへちょいからね」と、よくわからない事を言う。
へちょいってなんだよ。
「
ヤツはまだなのか?」スーツの男が言う。
黒羽は腕を組み、「
後30分くらいだろう。こちらから仕掛けてもかまわないな?」
逆にスーツに問いかける。
へちょい空気が漂う屋上にどこからともなく聞こえる金属音が。
カッキーン
「
隠れろ、大介」
スーツが黒羽を庇うように前に出る。
「
よっ」
明るい声で話しかけてくる青い騎士。
手には楽器のような、長い獲物を構えている。
「
一曲どうだい?」
身構える黒羽。
「
あんたは一曲披露するためにこんな場所にきたのかい?やる気満々じゃないか」
青い騎士は笑いながら返す。
「
ハハハ。メイドの土産だよ。何を隠そうオレはメイドスキー…」
言うが早いかスーツ男の見えない攻撃が青い騎士の口元に!
「
ちょwおまww」
「
先手必勝だ」
冷酷に語るスーツ男。手にはダイコン
「
野菜鉄砲使いか・・!」
青い騎士の額に青筋が浮かび上がる。
「
食べモンを粗末にするんじゃねぇ!!」
言うや否や青い騎士は手にした楽器を吹き出した。
♪ペペロペロペロペロペロ♪
とっさに下がるスーツ男
「
くっ・・!」
「
よけるなー!」
無茶を言う・・!
視覚できない音波の攻撃なんて
避けようと思って避けれるわけではない。
衝撃を殺すため、ピーマンの肉詰めを取り出す
スーツの男。
「
はぁーーー!!」
肉を撒き散らしながら音波を吸収する!
「
やるじゃないか。」
演奏を停止し、笑いながらこちらをみる青い騎士。
「
アーチャー。一旦引くぞ。」
黒羽は敵の異変に気がついた。
この場で決着をつけてもいいのだが、ヤツがこれから繰り出そうとしている攻撃を
アーチャーと呼ばれたスーツの男が防ぐことはできないと感じたからだ。
無言で頷くアーチャー。
黒羽の手をとり
「“
ここは一旦、ほふく前進で離脱しよう”」
と、呪文を詠唱する。
すると、なんということでしょう。
目にも留まらぬ速度で青い騎士の脇を通り過ぎる
アーチャーと黒羽。
「
なっ・・・!!」
あまりの速さに青い騎士は反応することもできない。
ちっと舌打ちをし、青い騎士は姿を消した。
最終更新:2007年01月30日 04:24