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複前打音

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chikugogawa

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「銀の魚」3小節目。最初の小さな見せ場がアルトにやってきます。そこまで全体はpp。この音量を出すのに体を硬くしてしまっていなければ、つい気持ちがゆれるだけで大きくなってしまうこともある、って感じに大きくしてみたいところです。本番ではやらないにしても、脳内ですごく色っぽく、大人の女の魅力たっぷりに歌ったところを創造してみてください。それを節度を持って色に出でにけり我が恋は って風なのはどうでしょう。

小技がひとつありますよね。装飾音の小さな音符。これは装飾音符の中でも複前打音という音符。小さな音符はソとラの音で16分の連符として書かれていますが、お約束というか楽典の決まりごとで、32音符の速さで演奏します。装飾音符が付いているソの音を鳴らすタイミング、つまりこの小節のちょうど4拍目でまず装飾音符のソを32分音符の長さ鳴らし、続いて装飾音符のラの音を同じく32分音符の長さ出して、さらに続いて装飾された音符のソを残りの長さ、つまり1/8 – 1/32 – 1/32 = 1/16 ってことで16分音符分の長さ伸ばして4拍目の裏の音、ミにうつる、ってことになります。
これが、装飾音符がひとつしかない長前打音なら装飾音符どおりの長さで演奏するし、装飾音符に斜めの一本線が書き込まれていたら装飾音符の長さが半分になります。って感じでややこしいのでちゃんと覚えておかないとちょっと勘定が合わなくなるかもしれません。
http://www.mmjp.or.jp/music-access/musicroom/abbelliment.htm

長さについて楽典的にはそうなのですが、一方でこういう記譜法は、もともと口頭で伝承されていたものを無理やり書き残したものでもあるので、杓子定規に長さがどうだというのではなく、装飾した感じになるように、もっと平たく言えばこぶしをつけた感じになるようにうまく回してください。そこで大人の魅力の出番なわけですよ。もちろんアルトのパート内で揃う必要はあります。でも、合唱の他3パートは音をのばしているだけだし、ピアノパートはずっとお休みだし、拍がゆらいでも特に問題ない場所です。もちろんやりすぎると恥ずいですが、何にもしないのも芸なさ杉でよっぽど恥ずかしいです。パート内の動きへの集中力、指揮者を見ること、ゆれる動きに対応できる柔らかな体と呼吸。ぶっつけ本番ってわけでもないのだから、練習のときからお互いのせめぎあいをやり合って欲しいところです。


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