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フェルマータ

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chikugogawa

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当たり前なことを確認してみましょうか。
fermata 名 女 [英 stop] 1.停留所、駅、2.立ち止まること、停止、休止、3.(保存のため肉や魚に)火を通すこと、4.(音)フェルマータ、延声記号(イタリアでは通常coronaという)

つまりここでは、漁れた「銀の魚」に火を通すという3番の意味ですね。

そんなわけないです。

じゃぁ気を取り直してこの最後の音の高さの確認。音は下から順にソレシソ。つまりこの曲の調である#ひとつのト長調の主和音(ソシレ)そのもの。主音のソをベースとソプラノに持ってくるという最も安定な和音。ベースはしっかり、テナーは楽に、アルトは音の高さを正確に無理せず、ソプラノははっきり出せば、まぁその程度のことできれいな和音になる。ちょっと低めですけどね。音量も小さいから気楽にいけますよね。

2つの記号の確認。まずアクセント。直前のスタカートでできたわずかな隙間から、低音域のハミングでピアノという聞こえにくい和音を鳴らすので、やや存在感を主張する程度に出す。まぁよくある展開ですので、ありがちな形にはまればそれでいい。
もう一つの記号はlunga。これもイタリア語で長いという意味。もともとフェルマータは、その下の音符を長く伸ばせ、という意味にとってもよくて、どのくらい延ばすかといえばそれはセンスの問題なのだけど、たとえば音符通りの長さの倍くらいが目安では?といわれたりする。そこにlungaがつくとなれば、倍よりも有意に長く延ばすという意味で、つまり結構長い。どんなに短くても本来の音符よりは長く延ばすべきだから4拍分以上は延ばすし、その直前にあるテヌートよりも長いだろうと期待されるので、結局テヌートで延ばすより長いはずの「ただのフェルマータ」よりさらに長く延ばすことになる。

もっと注意が必要なことがある。クレシェンドとデクレシェンドだ。
ここでは単に全音符にフェルマータをつけておしまいなのではない。その前にわざわざ4分音符があり、そこにクレシェンドが書いてある。そしてフェルマータ。その後ろにデクレシェンド。アウフタクトでアクセントつきで入ってすかさず1拍だけクレシェンドしてフェルマータに入るところまではあわただしいながら何をすべきかはわかりやすいと思う。
問題はそこから。もしここにdim.とかperdendosiとかmorendo(いずれも消え入るようにという意味)とか書いてあればだんだん静かになって終わればいい。それしかありえない。でもこの楽譜の書き方だと、pからクレシェンドして大きくなった音量のままでフェルマータしていて、そのあとデクレシェンドして終わる、という解釈がふつう(だと思う。多少自信がないのだが)。

歌うとき、もはやここで楽譜を見る意義はほとんどないですよね。指揮者が今回どのくらいlungaを長く取りたいのか、どういう音量の動きをさせたいのかを良く見て、その動きに合わせましょう。


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