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フーガの終わりの盛り上げ

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chikugogawa

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前にも書いたように、フーガ演奏の第一の基本はテーマがはっきり聞こえること。ここでは2,3分続くような大フーガでなく、テーマを4パートで歌い終わったらおしまいという最も短いタイプなので、ともすればそれだけで終わってしまう。実際、各パートとも歌い始めにはフォルテと書いてあり、いずれも同じ(くらいの)音量で歌えってことだとわかる。単独で歌っているアルトはもともと目立ちやすいものの、3パートを従えて最後に出てくるソプラノは油断すると聞こえない。だから他3パートは理性的に歌うべき。
ところが、楽譜をよく見てみると、最後まで同じなのではなく、最後の小節にだけ、他とは違うクレシェンドが書いてある。
アルト、テナー、バス、の3パートはテーマを歌っているとき最高音の「こー」にだけ短いクレシェンド。
これに対しソプラノは「おこー」にクレシェンドで、「あー」が無いぶん、リズムを間延びさせている。しかもそのクレシェンドは他3パートにもある。
フーガの終わり方はリズムや入り方を少し変えて切迫感を与えてなんだか大騒ぎな感じにして終わることが多い。短いながらここでも最後とわかるように少しいじってある。音楽的に欲しいのは盛り上がり感。この最後の小節では、テーマを歌っているソプラノを立てるなどという意識はもはや不要で、全パートでもうなんだかわからないように持ち上げたような感じを与えたいところ。
ソプラノはもともと実音として最高音で歌えるので、無理をしなくても目立ちます。しかも観客の耳にこのテーマが入ってるだろう頃合いなので、ある程度鳴っていれば聞き取れてしまうものです。まわりが大きくてもあせらず、のびのびと大きな声で挑んでください。他3パートもクレシェンドを見たら遠慮は要らないはずです。

「いち万びきの河童よさわげ」あるいは「じゅう万びきの河童をてらせ」という一番の盛り上がり部分へいい形でつなげるための仕組み。そこへ向かうために大きくなっているという意識が大切です。



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