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じゃぁ

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chikugogawa

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以前、少しの間フランスの田舎町に滞在していたとき、いつもの昼飯メンバーから、おきまりの展開で、何か日本語を一つ教えてくれという話になって、とっさに「じゃぁ」という言葉を教えました。
フランスのお昼時の挨拶はボナペティ。朝はぼんじゅーる、さばさばとか言い合っている展開が、昼飯時は通りすがりの人とボナペティボナペティと言い合っている。私がフランス語を話せないので、テーブルに着くとグッドアパタイトとか言われるんですが、いや、それは英語でもボナペティでいいんですけどって。だいたいそれじゃ芸能人は歯が命になっちゃうでしょ。
日本での食事時の言葉は、いただきます。ごちそうさま。一応、さぁ召し上がれ、お粗末様、という言葉もあるけどマイナーな部類。つまり日本では食べる側の人の言葉中心。でもボナペティは、テーブル上で言えば「さぁ召し上がれ」に相当するから、いつものタイミングで何か言葉を発しようとしても英語やフランス語では言葉が出ない。しかもテーブルやレストランを離れても、道行く人とボナペティと言い合っているから、もはやイミフメイ。そろそろ食事も終わったことだし、戻りましょうか、という気持ちに相当する言葉はない。
そんな状況だからとっさにその言葉を教えた。「いただきます」「ごちそうさま」などという母音だらけの長い言葉は、しるぶぷれとかえんとしゅるでぃぐんぐが難しいくらいに難しい。だから一言だけの言葉にしたというのもある。
「じゃぁ」という言葉の意味を、「これから何かを始めるときに一番最初に言う言葉」と説明しました。と、言い始めて一抹の不安を感じたものの、とりあえずそう言い切りました。子供の頃、あまり見てなかったけどたまに見ることもあった番組でおきまりの番組を切り出す言葉が、「それではそろそろまいりましょうか、NTV、紅白歌の、ベスト・テン!」だったので、「それでは」とかそれをもっと短縮した「じゃぁ」って言葉は(何かを打ち切って)次のことを始めるときの言葉に違いない、と。
冷静に考えると無理もあるんだけど、でも、全員揃ったから食べ始めようか、というボナペティに相当する一番簡単な日本語は「じゃぁ」だと思ったし、さらに全員食べ終わったことだし戻ろうか、というときも「じゃぁ」でいい。
何かことが進むときの言葉なのだから、前向きに、前向きにとらえてみたいと、まぁ、無理があっても、そう思う。


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