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どこかに向かう音楽

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chikugogawa

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今日は2度目の「さようなら」の後ろに、デクレシェンドではなくて、クレシェンドがあるぞって話。

っと、その前に、曲全体の構成を見直してみましょう。
『筑後川』で一番のサビといえば、「筑後平野の百万の~」ってところですよね。
この旋律は「II ダムにて」でほとんど同じバージョンがやや軽めに演奏されて、「V 河口」で本物がより壮大な形でやってくる。このp.48の「ちくごへいやの」のffへは、同じページのあたまにある、pの「さようなら」からの3回あるクレシェンドで、「川はうたうさようなら」と歌いながら到達する。ここと同じ形が書かれているのが、いま問題にしているpp.45-46の「さようなら、さようなら、川はうたうさようなら」。
蛇足っぽいけど、さらに遡れば2度繰り返すpp.43-44での「かわは、(かわは)、かわは、(かわは)おおきくなる。」が、同じ形。

『筑後川』ほどの有名曲、「河口」ほどの定番中の定番で、一般人でも知っている人がやたらいる曲ともなれば、全体は覚えていなくても、「筑後平野の百万の~」ってところくらいはサビとしての聞き覚えがあったりする。(そういう有名曲でなかったとしても)そのサビに向かうクレシェンドはまさにベタな展開として聞かせていいし、そのひとつ前の同じ展開では、そういうところに向かおうとしていて、まぁ、今回はなぜか不発でまた小さくなってしまいましたが、って展開でいい。
サビをこんなにはっきり予想させる展開、ってことです。

一度目の「さようなら」がフォルテ基調のクレシェンド、デクレシェンドなのだから、普通なら二度目の「さようなら」はピアノ基調でクレシェンドすればその次はデクレシェンド。p.43の「かわは、かわは」もそういう展開。それを敢えてクレシェンドしていくのは、この音楽が向かっていく先があるってこと。次のページを見ただけではどこに向かっているのかわかりにくいです。でもちょっと冷静に考えれば余裕でわかる行き先。

だから思わずデクレシェンドしてしまうあなた。音楽の感性としては自然です。
でもまずはクレシェンドしましょう。書いてあるとおりに歌うべきです。
ただ、楽譜に歌わされるようなアップアップした音にならないように、気持ちが、この音楽の向かう先を捉えていてください。
そしてテクニカルには、この二度目の「さようなら」を抜いて歌ってしまうと、大きな音に戻せません。音量をコントロールできる範囲内に音を置きましょう。



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