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2小節×5つ×2回

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chikugogawa

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「さあ遠い旅行が始まる」という言葉。文節をはっきりさせてみると「さあ/遠い/旅行が/始まる」と切れる。楽譜上で文節ごとの割当小節数を数えてみると、2・2・2・4。これをもう一回繰り返し。曲の速さもあって、ここでは1小節を一拍で振る指揮になることが多いかと思われます。合唱パートもピアノパートも2小節ごとのかたまりと捉えてみるのに不都合はなく書かれている。その2小節ごとの2小節目はいずれも付点4分音符。すると2小節ごとのかたまりはある種、2拍子のような音楽を感じさせることになります。
2拍子なら標準的には1拍目が強拍で、2拍目が弱拍。言葉のアクセントやイントネーションから言っても「さぁ」は1音節目、「とおい」も1音節目、「りょこうが」と「はじまる」は細かく言えばややこしいけど、「が」や「る」にアクセントがくることは普通ない。

ところが、ピアノパートを見てみると最高音を各2小節目の頭に置く作曲。ピアノに乗って歌うなら、最初の6小節間での強拍は各2小節目になる。ソプラノもアルトも「とおい」と「りょうこうが」の2回で「い」や「が」に高い音をもらっている。この数年、若奥様世代で流行し、多くの人から嫌われている半疑問と呼ばれるイントネーションになってしまっているのだが、まぁそんなことにめげず少なくともこの2回については「い」や「が」をある程度大きく作ることは容認されるはずだ。程度問題として、とおいの「と」やりょこうの「りょ」よりも大きく作るかどうかは指揮者の判断。ユーミンなら日本語本来のアクセントを逆転させることになんのためらいもないところだけど、ここでそれをやるのは多少勇気のいる選択肢かもしれない。
ようやく話が戻って、「さあ」。ベースを見れば上昇系なので、その後の動きも合わせると「あ」をある意味不自然なくらい力点をおいて作ってもいいかもしれない。とはいえ主旋律のソプラノは「さあ」で下降音。「あ」にテヌート記号をもらっている意味をどう捉えるか、その後の動きとの連携をどう考えるか。作り方はいろいろありえます。少なくともテヌートしているのだから音響として「あ」を安易に抜いてしまうことはありえない。どの程度でやってみるのかのコンセンサスを練習で探っていきましょう。

そうは言っても「はじまる」はおさめる方向で作るよね。で、すっとおさめるならそこも2小節あれば十分なのに、「はじまる」は4小節。この部分全体を見てみると2・2・2・4は2小節のかたまり5つ分。音楽として自然な4つじゃなくて5つ。相変わらず少し長くできています。楽譜にかじりついて木を見て森を見ずというか目の前の音符だけをなぞって歌っている間は難しさに気づかないかもしれません。でも音楽を大きく捉え始めれば、普通の音楽になじんでいる人ほど、不自然、暗譜しにくい、と感じるかもしれません。ちょっとだけ注意しておいてください。



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