乱れ撃ち読書録@chipmunk1984

太陽の簒奪者

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太陽の簒奪者



書名: 沈黙太陽の簒奪者
著者: 野尻 抱介




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紹介

西暦2006年、水星から突如として噴き上げられた鉱物資源は、やがて太陽をとりまく直径8000万キロのリングを形成しはじめた。日照量の激減により、破滅の危機に瀕する人類。
いったい何者が、何の目的でこの巨大リングを創造したのか?――異星文明への憧れと人類救済という使命の狭間で葛藤する科学者・白石亜紀は、宇宙艦ファランクスによる破壊ミッションへと旅立つが……。新世紀ハードSFの金字塔、ついに文庫化!

評価

評点:★★★☆☆( 5/10点)
ハードSFのホープと言われる著者の短編集.確かにネタ的にはハードSFですが,読みながら『無限アセンブラ』とか『宇宙のランデブー』とか『ロシュワールド』とか『銀河旅行』とか過去のSF作品が頭をよぎるだけで,新しい世界を切り開いているとは言えず,残念な評価になりました.元ネタみたいなモノを読んでいなければ楽しめたのかもしれませんがそれでは本末転倒ですよね.逆にこれ読んだ初心者が前出をパクリとか言い出しそうで怖いですわ.初心者向けとも言えないし,かなり読み手を選びますね.


おまけ

軽い文体とテーマを考えると『ハード・ラノベ』というとしっくりする気がします.きっと,SF読み始めの頃に出会っていれば評価はもっと高くなったかもしれませんが,すれっからしとなった今ではこれでもちょっと高めの評価だと思っています.(もう元ネタが全部分かっちゃいますし.)同じ著者の「沈黙のフライバイ」もそうだったのですが,元ネタを消化しきっていない割に元ネタに対するリスペクトがないというのが私にとっては致命的でした.特にこの作品では,レーザー推進についてロバート・L・フォワード(『ロッシュワールド』)に多くを頼んでいるのに,作中で『あれは欠点だらけだよ』とか書く(同じことを言いたいにしても言い方ってものがあるでしょう)その神経が許せずさらに1点減点しています.








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