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リスクを考える

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リスクを考える


リスクを考えるときに、期待収益率や標準偏差とかで、どれくらいのリスクを許容できるのかを計算しようとする方法があります。リスク分散の計算とか、VaRを導き出したりというようなことです。いわゆるモダン・ポートフォリオ理論といわれるものです。

『デイトレード』(林康史著)にこんな記述があります。

日々の取引を行っている現場の視点から見ると、そういった統計的なデータだけに基づいて、現実のリスク管理ができるのだろうかと疑問に感じます。

標準偏差に基づいて、例えば現時点で500円の株価が1年後に400円から600円の価格帯に入る確立が68%と考えた場合、リスク自体が予測になってしまうのです。本来、予測は完璧には管理できませんから、それを100%信じて取引するわけにはいきません。

そこで、自分でリスクを管理するときにはどうするかというと、損失の絶対額で管理するほうがはるかに現実的です。具体的に価格で管理していくことが必要になるのです。

思わずうなってしまいました。リスクの計算が、実は単なる予測になってしまうということ。予測である限り、それが外れる場合もあるということです。

資金分配


ではリスクを考えるには、具体的にどのようにすれば良いのでしょう?『デイトレード』を参考にして考えてみました。色々と考えられるとは思いますが、あくまで一つの例としてです。

  • 資金を12等分して、1ヶ月で取れるリスクの最大値とする。
  • 1ヶ月で取れるリスクの最大値を4等分して、1週間で取れるリスクの最大値とする。
  • 1週間で取れるリスクの最大値を5等分して、1日で取れるリスクの最大値とする。

例えば100万円の資金があるとすると、1日あたりのリスク許容額は4166円になります。これはドル円1枚のポジションだと、42pips動いたら損切りをしなければならない額です。1日で42pips程度動くことは頻繁にあります。そう考えると、42pips動いて損する以上に、利益が出る可能性が高いところでエントリーしなければなりません。当然、42pips動いて損が出た場合には、そこで損切りしてその日のトレードを中止にします。

この考え方の良いところは、許容できるリスクの最大値とそのリスクを取る期間が、あらかじめ決まっているところです。

リスクとリターン


42pipsを最大許容リスクとした場合、そのリスクに対してどれくらいのリターンを目安とすれば良いのかも、ある程度決まってきます。例えばドル円の場合、1日で100pips程度上下することは時々はあります。しかし、天井と底で上手くエントリーできるとは限りません。200pips以上動くときは、年に数えるほどしかありません。

そうすると、おのずと狙えるリターンは21pips~84pips程度になるでしょうか。例えば、リスクと1:1となる42pipsのリターンを狙った場合、5割以上の勝率がないと利益を出すことはできません。もし7~8割以上の勝率があるとすれば、42pipsのリスクに対して半分の21pips程度のリターンでも収益をあげることは可能です。とはいえ、7~8割以上の勝率をあげるには、プロのトレーダー並みの実力が必要かもしれません。

もちろん、1日に何回もトレードを繰り返し、エントリーとクローズのポイントを上手くつかむことができれば、100pips以上の動きをとらえられるかもしれません。その場合でも、同じように1日あたりの最大許容リスクを決めておけば、損失を限定することができます。

自分のトレード手法や傾向を考えて、勝率とリスク対リターンのバランスをどのあたりに持っていけば良いのか、自分なりの基準を考えることが肝心といえるでしょう。

レバレッジ


42pipsを最大許容リスクとした場合、取れるレバレッジもおのずと決まってきます。ドル円の場合、1枚のポジションでは42pipsの損が出たらクローズすることになります。2枚のポジションでは21pipsでクローズすることになります。21pips動くことは常にあるので、場合によってはあっという間に損切りすることになるかもしれません。10枚のポジションを持ったとしたら、一瞬で損切りすることになるかもしれません。

トレード中止基準


たとえ自分の基準を作ったとしても、負けが続けば資金はどんどん減っていきます。そこで、負けが続いた場合には、いったん取引を止めて、トレードのやり方を見直すようにします。

『TFブレイクアウト』(トウキョウフォックス著)にこんな記述があります。

負けが続いたらどこかで取引を中止して、取引の方法を再検討するべきです。わたしは5回連続で負けたら、いったん取引を中止するつもりでいますが、先ほど述べたように5回連続で負けた経験は今までありません。もしも勝率が落ち、5回連続して負けることがあれば、取引の方法に何か問題があるはずです。ならば無理をして取引を続けずに、速やかに中止して、取引方法や手法の検討をするべきでしょう。

この考え方を元に、私なりにトレード中止基準というのを考えてみました。

  • 3連敗したら、トレードを中止し、1日休む。
  • 1日の損失が4200円を超えたら、トレードを中止し、1日休む。
  • 5連敗したら、トレードを中止し、トレードを1週間休む。
  • 週の損失が21000円(4200*5日)を超えたら、トレードを中止し、トレードを1週間休む。
  • 合計損失が84000円(4200*20日)になったら、トレードを中止し、資金分配とトレード手法を見直し、トレードを1ヶ月休む。
  • 合計損失が252000円(4200*60日)になったら、トレードを中止する。最低、3ヶ月はトレードしない。資金が元に戻るまで働き、元に戻った時点でトレードを再開する。

まとめ


今回は100万円を基準にして、デイトレードを行う場合の1日のリスク許容範囲を考えてみました。腕に自信があり、資金効率を上げたければ、もう少しリスクを取っても良いかもしれません。あくまで一つの例なので、個々のケースにより色々と変わってくるはずです。

もちろん、資金分配やリスク許容範囲の考え方は、他にも色々とあります。どのようなやり方であれ、勝率とリスクとリターンのバランス、最大許容リスクと期間、トレード中止基準を決めるのが大切になるでしょう。

少なくとも、最大許容リスクと期間、トレード中止基準は、市場の動きに関係なく、自分自身で決められるものです。自分なりの基準を作っておけば、相場の動きに左右されずに自分の考えの元でトレードすることができます。トレードなので、常に上手くいくとは限りませんが、大きな損失は避けられるはずです。

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