先頭のススメ

目次


0. 先頭のススメ

先頭が好きです。みんなが自分を見ていてくれる。それに班の先頭を走る開放感。地図読まなきゃいけないし道に迷わないようにしなくちゃいけないけど、仕事していると感じられる。めっちゃ目立つしね。
みんなからは常に注目の的。後方確認で振り向くと最後尾と目が合うけど、すぐにさようなら。前はしっかり見てないとね。さながらロミオとジュリエットのようだと思う。

前を見ながら後ろも見る。当然ながら一番大変な仕事かもしれない。度胸が必要。余裕が必要。何より、みんなの信用が必要。
これから先頭を引く1年生向けに、先頭で培った経験を元に書いてみました。
最後尾の虜もあわせて読むことをお勧めします。追記とか、削除とか大歓迎です。

1. 先頭の心得

いい休憩場所をみつける、いいペースを保つ、時間ぴったりに目的地に着くとか、これは先頭の上手い下手の話でそんなのは走れば身につきます。
重要なのは、先頭は班員の安全を守る立場にいると自覚すること。
先頭を信頼して班員はついてきています。その班員の信頼を先頭は背負っていることを意識するのが大事なのです。
班員の安全を守るためにも、先頭でありながら振り返って後ろの班員を見る。
誰か遅れてないか?とか顔色悪い人いないか?とか気付いてあげられるようになりましょう。

2. 立ち位置

当たり前ですが先頭は、班の先頭を走ります。先頭の視界は広く、路面状況や対向車の有無、信号なども一目でわかります。
しかし、後ろからだと前の人の背中ぐらいしか見えず視界はかなり狭いのです。
そのため先頭は、走る場所として段差の少ない白線部分~道路側を基本として走る。
※基本的に路肩(白線より歩道側のスペース)は走りません。
路肩が大きく開いている場合や車道が狭い場合や交通量が多い場合は、安全のために路肩を走行しましょう。
狭い路肩には溝や段差などがあり、後ろからだと気づかないことが多いので注意。後ろの人に障害物がある事をきちんと手信号で伝えましょう。

3. ペース

ⅰ速度
  • 平坦路は(無風状態の場合)時速20㌔前後を目安に。
※新歓の時期以外なら平地は、班員の体力に合わせて多少早く走っても(時速25㌔までなら)大丈夫。
  • 上り・下りは班員の体力や斜度に合わせ無理なく走りましょう。
※上りで速度を上げても実は大した時間の短縮にはなりません。平地で速度をあげることで上りで頑張ることなく、結果として早く目的地に着けます。
ⅱ休憩
休憩は1時間~1時間半に1回を目安に。10分程度休めば、体力は回復します。
先を急ぐ場合は休憩のインターバルを伸ばしたり、休憩時間を減らしたり工夫しましょう。
ⅲ出発時
信号待ちからの発進などは、意識的にゆっくり発進する。特にパワーのある男子が先頭の場合、発進で後続をぶっちぎってしまいがちです。
「行きます」の掛け声の後に、必ず後ろを振り返って班員を目視して、準備できてるか確認してから出発しましょう。

4. 手信号のタイミング

先頭が手信号を出して後ろに伝わるまでに5秒ほどはかかります。全員に手信号が伝わった後その行動をすると最低でもさらに+5秒。あわせて10秒はかかります。
そのため手信号は、その行動をする15秒前遅くとも10秒前には出し終わるようにしましょう。

5. 信号

信号や交差点を通過する場合、先頭と最後尾ではかなりの時間差があります。
先頭は青だったけど、後ろのときは赤に…なんて事がないように、信号・交差点があることを認識した段階で、車道の信号だけではなく歩行者用信号にも注意を払わなければならない。

(a)信号、歩行者信号が共に青の場合
止まる必要は無いので、しっかり安全確認をし後方からの左折車と対向の右折車に充分注意を払いながら進む。

(b)信号が青で、歩行者信号が赤の場合
車道の信号もすぐ赤に変わることが予想できるため、歩車分離式で無い限り停止する。

(c)信号が青で、歩行者信号が点滅している場合
先頭の判断力が試される。
・歩行者信号が点滅し始めて間もない、ある程度の速度で信号のすぐ近くまで接近している場合
急に止まることも危険なために安全を確認しながら交差点を通過し、班の後方までしっかり通過できたかを必ず確認しよう。

・距離が遠かったり赤に変わるなと判断できたり判断に迷った場合
休憩もかねてきちんと止まる方が良い。
手信号を出しても先頭が止まれない場合は、急に止まらず先頭集団は信号を通過し、途中の上級生が後ろを止めるようにしましょう。

※歩行者信号が点滅する時間帯は、後方からの左折車と対向の右折車が無理矢理にでも通ろうとすることが多いので、安全面からも止まることを推奨する。

※補足トリビア

<2段階右折>

自転車は交差点を右折する際、「2段階右折」をしなければなりません。この2段階右折、厄介です…。

~これで君も2段階右折マスター~

①右折するべき交差点にさしかかります。前方が青であり、かつ余裕がある場合、2段階右折を覚悟しましょう。
②2段階右折の動作に入ります。しかし、いきなり右折してはいけません。まずは直進しましょう。
②交差点のすみで止まり、方向を右に変えましょう。このとき、後続の停車スペースを確保するため、先頭は前のほうに停止するのがコツです。
③当然、信号は赤になっていますので、待ちます。
④青に変わったら、走り出します。

…とまあ、恐ろしくめんどうくさいのが2段階右折です。チャリ部では①の段階で信号が赤の場合、手前横断歩道を渡ってしまう場合が多いです。

<青矢印>

上のようなルールがあるため、自転車は「右折用矢印信号」に従うことができません。「左折・直進用矢印信号」には従うことができます。ただし左折する場合は巻き込みに要注意です。

<歩車分離式信号>

一見、「自転車は車なんだから、車両用信号に従えばいい!!」と思われますが、そう単純ではありません。この手の信号には、歩行者信号の下に「歩行者・自転車専用」と書かれている場合が多いです。…どっちだよ!!

①歩行者用信号が「~専用」と書かれている信号の場合

ここはとても重要なのですが、「~専用信号」にのみ従うことができます。車両用信号には従えません…。

②別に「~専用」ではない場合

なんと、どっちにも従えます。自転車最高です。


6. 追い越し

車道を走っていると障害物や、路上駐車を避けるために追い越しが必要となる場面が必ず出てくる。
先頭は、追い越すべき路駐や障害物を確認した時点で(接近の15秒前には)
後方の道路状態を確認する。それと同時に最後尾にアイコンタクトを行い安全を確保してもらう。

a.最後尾が車道側に大きく出ることで後方の安全が確保できた場合
安全が確保できていることを確認し、手信号を出し追越できるように車道側に出る。
障害物を通過後、歩道側に戻り後方全員が通過できたかを必ず確認する。

b.大きなトラックが来ていたり、車列がある等
上記の理由により最後尾の上級生が安全を確保出来ていない場合は、無理矢理追越するのではなく必ず一時停止して状況を判断する。
(ⅰ)車列がすぐに捌けるのであれば、安全を確保した後追い越し。
(ⅱ)安全が確保できない・時間がかかると判断した場合は、歩道を通行するようにしよう。

※また、駐車している車のドアが急に開くことがあるので、避ける際は思い切って大きく避けよう。特にタクシーは急発進したりすることもあるので注意。


※補足トリビア

<バス>

停車中のバスは追い越してはいけません。条件がそろえば法律上は問題ないのですが、チャリ部の場合だと一度追い越してもどうせすぐに追い抜かれます。そして次のバス停で何食わぬ顔で停車しています。また追い越しても次のバス停で…の繰り返しです。そしてその度に神経すり減らし、危険を冒して追い越しを行わなければならないのは、割に合いません。以上の理由からチャリ部ではバスを追い抜くことはしません。

もちろん、高速バスなど「まだまだ時間かかりそうだなー」ということが明白な場合は追い越してかまいません。待ってる時間が無駄です。

7. 橋・陸橋

橋や陸橋は、白線の路肩部分がない場合がほとんどです。
そのため橋を渡る場合は、後続の車がいなく安全に通行できると判断した場合を除き歩道を走るようにしてください。
交差点を超える陸橋に関しては、場所により自転車通行禁止です。また安全のためにも、横着せず交差点を通るのがよい選択だと思われます。

8. トンネル

トンネルの走行は暗く路肩がない場合がほとんどなので、基本は歩道を走行する。
歩道のないトンネルは、充分に速度に気をつけ走行するようにしてください。
トンネル内では必ずライトを点灯し対向車と後方車両に自転車だとわかるようにしよう。

9. 落下物

路肩には路面のヒビや沈下、ゴミなどの落下物、排水溝などがあり、後方にいる班員からは視界に入らないことが多々あります。
先頭はただそれらの危険を避けるだけでなく手信号(と声)で後方の班員に伝えるようにしましょう。
※歩道上にあるポールや柵、車道上のポールコーンや反射ブロックなどもしっかりと後方に伝えてあげましょう。

10. 歩道

自転車が歩道の走行を認められるのは次の場合です。
(a)自転車歩道通行可の標識等がある場合。
(b)道路工事をしているとき、駐車車両や交通量が多いなど、車道を安全に通行することができない場合。

道路交通法第63条の4第2項
  • 歩道を通行する場合は、歩道の中央から車道よりの部分を通行しなければならない。
  • 歩道を通行する場合、すぐ停止できるような速度で徐行すること。
  • 歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。
  • 自転車通行指定部分がある時は、指定部分を通行しなければならない。
  • 自転車通行指定部分については、指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行すること。

歩道は歩行者が優先となるので人の多いところでは、自転車から降りて歩くことも大事です。

11. 歩道から車道

休憩が終わった後やトンネル・橋の歩道を走った後に車道に入るときは特に注意が必要。先頭が車道に入るときは車が来てなくても、後ろはそうとは限りません。
そのため、一時停止(または徐行)を行い、充分に安全確認をしてから車道に入るよう指示する。
ただし、最後尾が先に車道を走り安全を確保している場合は、徐行し安全を確認しながら車道に入るよう指示をする。

12. 渋滞

信号待ちなどで車列に渋滞が出来ているとき、路肩を走りますが注意が必要です。
路肩が狭いときに追い越しをすると転倒などの危険があります。また大型車の脇で止まるのも発進時に巻き込まれる危険があります。
そのため充分な空間がある場合を除き、無理矢理進まない。渋滞が続くようなら、歩道を走行することも視野に入れよう。

※信号待ちの車列の脇は、自転車2台分以上のよほど広い間隔がない限り無理やり進まず止まりましょう。

13. 道路標識

自転車は軽車両なので道路標識に従わなければならない。
※特に『止まれ』は細い道から大きい道への出口や信号のない交差点によくあります。みつけたら必ず止まり安全確認をしましょう。

14. 最後に

先頭のススメはあくまでもマニュアルです。旅先には思いもかけない交通事情があるものです。
そのときに大事なのが『止まる』こと、そして『相談する』ことです。
安全が確保できないなら安全第一で止まる。判断で困ったら、先輩に相談するために止まる。常に班員の安全を第一に考えて行動し、後方確認もしっかりすれば安全に旅が出来ます。

そして先頭力向上の一番の道は、チャリで走ること。一人でもいい、二人以上ならなおさらいい、走って走って先頭の走り方を覚えてください。


先輩の金言


「その班の一日をどこよりも楽しくすることが先頭の仕事だ。そのためには『安全』は絶対条件。でもそれだけじゃあダメなんだ。」
by M.K

「大事なのは『想像力』これは経験によってのみ培われる。お前はいつも自転車に乗っている時、何か考えてるか? 注意しているか? 先頭の能力はそこで決まる。」
by S.I

最終更新:2012年03月19日 16:10