0. stand up to the victory!
ディスクブレーキ全盛、Vブレーキを使っているバイクなど、一部MTBとクロスバイク、それから油圧のVを使うトライアルバイクくらいのものである。重量面で些かリードがあるというが、それも知れたもの。ディスクブレーキの絶対的な制動力と安心感にはどうしたって勝つことは難しい。
それでもVブレーキが好きだと言い張る。「何でいまさらV?」だとか、「Vにする利点なんてあるの?」、そう訊かれたとして、答える言葉はひとつで十分、「好きだから」。簡潔にして最強の言いわけ。それこそが勝利への近道。
1. Vブレーキ
数少ない利点
Vブレーキ vs ディスクブレーキや各種メンテナンス本にもあるように、Vブレーキの利点は、重量、メンテナンス、輪行、初期コストである。しかし更に特筆するべき利点があり、それはリム直径の最も外側で制動できることによる。
その意味として、スポークに負担がかからない、よってホイールの組み方に制限がない。また、ディスクブレーキでかかる、ホイールの中心部分の制動によるスポークの「たわみ」もないため、非常に機敏に制動力を得られるのである。
カチカチ
上述のため、Vブレーキは突きつめれば、現状の自転車のブレーキで最もカッチリしたブレーキタッチと制動を得られる、筈である。しかし結局のところワイヤー引きのため、またほとんどのブレーキパッドがゴム製のため、最終的なカチカチ感は油圧式ディスクブレーキには劣ってしまう。
ブースター
Vブレーキの制動力強化に付きものなのが、ブレーキブースターである。Vブレーキがリムに与える力が、台座の付いているフォークやシートステイに逃げてしまうのを抑える。馬蹄の形をしている。
要するにフレームの剛性を補強する部品なのだが、使われていたのはフレーム剛性が今と比べて低かった時代であり、最近ではそう使われることはない。一部かけられる力の強いパラレルリンクの頃のXTRや、トライアル用の油圧Vブレーキでは使われることが多い。
使用効果は低いがないわけではない。特に、リムで音鳴りがする場合は使ってみてもいいかも知れない。
2. 油圧Vブレーキ
概要
主にトライアル競技で使われる。Vブレーキとは言っても実際の構造はディスクブレーキに近い。ディスクローターの代わりにリムがあり、レバーでかけたオイルの圧力でリムにパッドを押し当てる。パッドの動きは完全にリニアで、ワイヤーで引くよりも圧倒的に大きな力をかけられるため、また、パッドも専用のため制動力は非常に高い。
ただ、制動をかけた瞬間にホイールがロックするため、トライアルにしか使用用途がないとも言える。その上音鳴りが大きい。
トライアル専用
ディスクローターがない分、ディスクブレーキよりは軽量である。また、多少重心を体の方に持ってくることができる。トライアル競技はクイックな動きが多いためこのふたつの利点は大きい。
そのクイック性により、Vブレーキの数少ない利点である(どちらかと言うとディスクの欠点だが)、ホイールのたわみの小ささを欲しがるライダーもいる。ほぼストップとゴーしかないため制動の極端さもむしろ効果的かもしれない。
当然トライアルでしか使われない。
3. ブレーキシュー
4. あとがき
shimanoがVブレーキを広め始めてからたかが10年で、それのついたMTBはなくなろうとしている。ディスク化は歴史の流れであり、いずれ全てのMTBがVブレーキではなくなるだろう、それは喜ばしいことだ。しかしそうであろうと、Vブレーキを愛して止まないおバカさんはきっといるのである。
どうせディスク化するならば、せめてVブレーキの事を知ってからディスク化するがいい。Vブレーキが好きなら、もう少しそれの事を知って欲しい。
まずは知ること、そしてそれを有効に使えるか。それもまた、勝利への近道。
最終更新:2012年01月02日 04:40