「番長GSS③」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

番長GSS③」(2012/09/02 (日) 17:04:11) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*番長G・SS ***合計点 +8 #contents ***+2『ひとりぼっちのお月さま』 なんという中二力…!  殺は生まれてすぐに、病で右目を失った。  幸いにして左目は無事だったので、暮らしに不便を感じることは、それほどなかった。しかし、幼い子供にとって、他人と違うということは、どれほどに精神を脅迫し弱らせるものか。殺は前髪を伸ばして右目を隠すようになった。  他の人々の許に居場所のなかった殺は、はずれにある、桜のところにいることが多かった。  その木は、もう花も咲かない老木だったが、どっしりと張った根が、その木の積み重ねてきた、時の厚みを表していた。  人々には忘れられている木だったが、殺はなんとなくそこにいるのが好きだった。そこでは他人の目を気にする必要もなかったし、幹の窪みに身体を預けていると、なんだかこの桜に優しく守られているような気がしたから。  その日も、桜の許に腰かけていた殺は、日差しが気持ちよくて、ついついうたた寝をしてしまった。殺が目覚めると、辺りはすっかり真っ暗になっていた。慌てて起き上がった殺がふと見上げると――  満開の桜。夜の闇の中、ぼうと花弁のひとつひとつが、浮かび上がっていた。そしてその先には、満月。  なぜ、花が咲いているのか。なぜ、満月の日ではないのに、満月が出ているのか。それらの疑問が頭に浮かぶよりも早く、殺は眼前の光景の美しさに心を奪われていた。  しかし、その美しさに見惚れると同時に、何か言い知れぬ畏怖のような感情も抱いていた。彼女の今まで培ってきた経験と語彙では表すことのできない、違和感。  そして、唐突に声が響く。殺の他に人はいない。それは内に直接響いてくるような声だった。 (――見えるのか、俺が)  誰なのか。自分の他には誰もいない。他にあるのは、桜と……月。  夜の闇の中で明るく美しく、しかし幻のようにぼんやりと、捉えどころのないようにも見える桜と対照をなすかのように、その向こうにある月は、ぎらぎらと存在感を放っている。 (普通の人間と話すのは、一体いつぶりか……)  殺は改めて月を見据えた。月に口があって、話しているのが分かるわけでも、声が月の方から、空気を伝わってくるのが分かるわけでもないが、殺にはなぜか確信できた。この声の主が、今頭上で輝いている月であることを。 (お前は、この『ツキノワ』にいつもいたから、俺たちの気を帯びてしまったのかもな)  そして、やや間をおいて、殺は言った。 「……あなたは……何?」  自然と、口から言葉が出てきた。なぜか、もう怖いとは思わなくなっていた。  それは、もうすっかり慣れ親しんでいた、この場所の安心できる雰囲気が、なぜかその声からも感じられたからか。  それとも、自分が『普通の人』だと認めてもらえたのが、なんだか嬉しかったからか。 (……さあ、なんだろうな。どちらにもなりきれない、半端ものというところか)  月の言葉には、一言一言に、ことば以上の年月や想いの重みが感じられた。 「ずっと、ここにいるの?」 (ああ。俺は土地につく『モノ』だから、寄り代となるツキノワ(忌み地)が必要だ。ここ以外の景色は久しく見ていない)  そして、口調が今までよりも幾分か柔らかいものになって、言った。 (……だから、お前の見ているものを話してくれないか)  ――そうして、月と殺はぽつりぽつりと話し始めた。  月は自分自身については多くを語ろうとしない。殺の話を聞き、今の世界のことを聞きたがった。  この月は一体何者なのか。神か、怪(あやかし)か……しかし、その『神』は、神にしては、あまりにも頼りないように、殺には見えた。  神ならば孤独であり孤高であることを、当然のこととして享受しているはすだが、その『神』は、あまりにも、孤独に疲れているかのようにも殺には見えたからだ。  むしろ、殺が接してきたそこらの人間よりも、よほど人間的であるかのようにすら、そのときの殺には思えたのだった。  殺が自分の話を終えると、少しの沈黙の後、月の声が響いた。 (――つまり、お前は目が欲しいのか)  そして、次に驚くべきことを言った。 (ならば俺がお前の目になってやろう)  さらに付け加える。 (その代わり、お前は俺の目になってくれないか) 「……え?」  最初、殺は、月の言っていることがどういうことなのか、よく分からなかった。 (今までは桜(こいつ)についてきたから移動したことはなかったが、お前自身が俺のツキノワになれば、お前の目となったまま共に行くことができるかもしれない) (お前の右目の孔を俺の棲みか――ツキノワとしよう) (安定させるのには――その傘を使えばいいか)  言っていることが、なんとなく分かってきた後も、月の言っている具体的なことは、やはりよく分からなかった。 「え? わかんないよ。どういうことなの? ……目が、見えるように、なるの?」 (俺も今では、こんな姿に成り果ててしまったが、お前の一部となることで、俺の一部を取り戻すことができる) (両目がそろって、はじめて一人の普通の人間だとするなら……お前と俺は二人で一人)  その後、月はやや厳かな口調になって、続けた。 (その代わり、条件がある。この『目』は他の人間の前で開いてはいけない) (もう欲やら野心のために使われるのは御免だからな。お前のことを信用してやるということだ)  実際のところ、そのときの殺には、月の言っていることのほとんどが理解できていなかっただろう。  ただ、ひとつだけ理解できたことば。 「ふたりで……ひとり」 「ふつうの……にんげんに」  殺は、左目で月をしっかりと見つめていた。  そして右目の義眼を外し、前髪をよけて右の眼窩をあらわにする。 「……いいよ」  月と、その周囲の空気、そしてそこに纏わりついている、夜よりも濃い『闇』が、風のうねりとなって、殺の右目に吸い込まれてゆく。  それに伴い、月の輝きは徐々に弱く、おぼろげに。  桜もだんだんとその存在感が薄くなり、輪郭が不鮮明になっていくように見えた。 「え、桜が……?」 (桜(こいつ)も連れて行く。こいつは、もう俺なしではこれ以上留まることはできないからな。まあお前には、ただの桜にしか見えていないのだろうが)  それが殺自身にとって何を意味しているのか、何を暗示しているのか――そのとき、自分の理解を超える出来事の連続に、すっかり判断力を失っていた殺は、月の言葉の意味について、深く考えるということをしなかった。 「この桜は……何なの?」 (こいつも、もう俺の一部。魔人なんてものほど、不確かで、また多様なものもいないからな。見た目だけで判断してはいけない) 「やっぱり、よくわかんない」 (……まあ分からなくてもいい)  右目に集約されていく闇の奔流がおさまり、静けさが戻ってくると、殺は、瞼の上から右目に触ってみた。  右目には、闇のような虚ろなモノが詰まっていることが分かった。しかし、それは義眼と同じように、確かな質量を持っていた。  気づくと、横に置いていた、何も絵柄のなかったはずの傘に、月と桜の絵柄が写りこんでいた。  この出来事は、殺にとって果たして幸せなことだったのか。ただ、月に思い違いがあったとするなら、それは殺が幼すぎたことなのかもしれない。  殺が『普通』でありたいと思っていたのは、他の人間と普通に接し、また普通に接してほしいという思いからくるものであり、また『右目』が欲しかったのは、それによって他の人間に『普通』であると認めてほしかったからだった。そして、禁忌を破ったらどうなるかということまで想像を及ぼし、賢明な判断をするには、殺はまだ幼すぎた。 「……あは、すごいきれい。月夜って、こんなにきれいだったんだ……」  初めて、ふたつの目で見る景色。柔らかい月明かりが、殺を照らしている。  月のきれいな、夜だった。 ***+3「外宇宙への放出」 銀河BTてお前wwww AD18654  人類はついに宇宙の果てに到着した。 それまでに、宇宙は有限であるという答えが出ていなかったわけではない―― だが、この一歩は、前人未踏の領域に人類が足跡をつけたという以上の意味があった。 自分たちは、閉ざされた鳥籠の中の鳥にすぎないということを、身をもって味わうこととなったのだ。 箱庭の中で魔人の能力のインフレはとどまることなく進み、そして飽和していった。 それから一万年以上の時が流れた。 オオツキ・TENGAにより発表された「宇宙オナ○ール論」 この学説が物議を醸すことになった。 すなわち。 宇宙を埋め尽くすほどの巨大な銀河BTを召喚、 銀河BTによって精製された新たなる開拓の種子は、 この学説が正しければ、宇宙の外部へ出ていくことができる、という考え方ができるのである。 銀河BT召喚能力、そして、それをさらに巨大化させるロックジョーの歌声。 限りある宇宙の大きさは、膨張するBTを容赦なく締め付けることになる。 そして生まれた白き河はいつか届くだろう。 宇宙の外部にある新たなる宇宙。 人類の命のゆりかごへと……。 ***+3「番長決定前親睦会」 番長Gは腐女子ばっかりか! ロック「うふふ、ようこそお集まりいただきました」 首領蛙「ゲロゲロ、今日はゆっくりしていってね」 スーリエ「スーさん達が一生懸命おもてなしするよ」 宇宙に漂う番長小屋の一室に番長グループが集合していた 呼びかけたのは番長グループアタッカー軍団「エロスエンジェル」 というかスーリエその人である 白金「くそ、何でこんな所にこなきゃあいけないんだ」 伯爵「そりゃあ仲間なんだからじゃないでしょうかねえ」 結構な人数が欠席しているにもかかわらず 白金他数名は律儀にも集まっているのだ 一般生徒も数多く見られるが何故か女性が多い 首領蛙「ゲロ!!まずは料理を食べていただくゲロ~」 合図とともに皆の前に料理が運ばれてくる ころす夫「うひょー美味そうだお」 レッゾ「こいつはグランデ(大きい)なサルシッチャ(ソーセージ)だぜ」 観月はじめ「んふっ、かじると中からアツい肉汁が溢れて来て美味ですね」 白金「まあ美味い事は認めるけどなあ」 首領蛙「ゲロゲロwスペース鹿児島産の宇宙黒豚をふんだんに使った高級品ゲロ~」 ブーッ テカテカと黒光りするソーセージを咥える男たちを見て 殺(あやめ)は鼻血を噴き出した ロック「アラアラ純情ねえwさて次は飲み物を用意したわ」 皆の前にコップが配られた コップの形が歪でなんだか飲みにくそうだ 白い液体にクリームたっぷりでバナナがトッピングされているパフェのようだ レッゾ「へえ?ドルチェ(甘い)だなあ、カルピスか?ずいぶんスクーロ(濃く)作ったもんだなー」 須獄「口のまわりにクリームがついてしまった、美味しいけど、なんだか飲み難い形ですね」 ロック「一応ブランドデザインのグラスなんだけどねー、うふふ」 白金「食い難いんだよこのバナナ」 ころす夫「美味しいお」 超一郎「美味い美味い」 スーリエ「スーさんおススメの宇宙台湾バナナよー」 一生懸命バナナを咥えている男性陣の口の周りは白いネバネバでベトベトだ ブーッ!! 殺(あやめ)は鼻血を噴き出した -K-「あらあら良いものが見れましたわ」 リリィ「あとでカップリング談義しようぜ」 ラザホー「写真はバッチリよ、今度書く絵の参考になるわ」 コスモ「!!!!(妄想が暴走している)」 極萌「素敵な企画ね…流石は次期番長さん」 部屋の片隅で番長グループの女性幹部がベーコンレタスバーガーを食べながら怪しげな笑みを浮かべている スーリエ「喜んで貰えてスーさんも嬉しいよ」 ロック「うふふふふ企画したかいがあったわ」 首領蛙「ゲロゲロゲロ、コンゴトモヨロシクゲロ~」 その後こうして特に山も無ければ意味もなく落ちもないような親睦会は終了し 数日後、圧倒的な女性票を獲得したスーリエが番長に選ばれたのである
*番長G・SS ***合計点 +8 #contents ***+2『ひとりぼっちのお月さま』 なんという中二力…!  殺は生まれてすぐに、病で右目を失った。  幸いにして左目は無事だったので、暮らしに不便を感じることは、それほどなかった。しかし、幼い子供にとって、他人と違うということは、どれほどに精神を脅迫し弱らせるものか。殺は前髪を伸ばして右目を隠すようになった。  他の人々の許に居場所のなかった殺は、はずれにある、桜のところにいることが多かった。  その木は、もう花も咲かない老木だったが、どっしりと張った根が、その木の積み重ねてきた、時の厚みを表していた。  人々には忘れられている木だったが、殺はなんとなくそこにいるのが好きだった。そこでは他人の目を気にする必要もなかったし、幹の窪みに身体を預けていると、なんだかこの桜に優しく守られているような気がしたから。  その日も、桜の許に腰かけていた殺は、日差しが気持ちよくて、ついついうたた寝をしてしまった。殺が目覚めると、辺りはすっかり真っ暗になっていた。慌てて起き上がった殺がふと見上げると――  満開の桜。夜の闇の中、ぼうと花弁のひとつひとつが、浮かび上がっていた。そしてその先には、満月。  なぜ、花が咲いているのか。なぜ、満月の日ではないのに、満月が出ているのか。それらの疑問が頭に浮かぶよりも早く、殺は眼前の光景の美しさに心を奪われていた。  しかし、その美しさに見惚れると同時に、何か言い知れぬ畏怖のような感情も抱いていた。彼女の今まで培ってきた経験と語彙では表すことのできない、違和感。  そして、唐突に声が響く。殺の他に人はいない。それは内に直接響いてくるような声だった。 (――見えるのか、俺が)  誰なのか。自分の他には誰もいない。他にあるのは、桜と……月。  夜の闇の中で明るく美しく、しかし幻のようにぼんやりと、捉えどころのないようにも見える桜と対照をなすかのように、その向こうにある月は、ぎらぎらと存在感を放っている。 (普通の人間と話すのは、一体いつぶりか……)  殺は改めて月を見据えた。月に口があって、話しているのが分かるわけでも、声が月の方から、空気を伝わってくるのが分かるわけでもないが、殺にはなぜか確信できた。この声の主が、今頭上で輝いている月であることを。 (お前は、この『ツキノワ』にいつもいたから、俺たちの気を帯びてしまったのかもな)  そして、やや間をおいて、殺は言った。 「……あなたは……何?」  自然と、口から言葉が出てきた。なぜか、もう怖いとは思わなくなっていた。  それは、もうすっかり慣れ親しんでいた、この場所の安心できる雰囲気が、なぜかその声からも感じられたからか。  それとも、自分が『普通の人』だと認めてもらえたのが、なんだか嬉しかったからか。 (……さあ、なんだろうな。どちらにもなりきれない、半端ものというところか)  月の言葉には、一言一言に、ことば以上の年月や想いの重みが感じられた。 「ずっと、ここにいるの?」 (ああ。俺は土地につく『モノ』だから、寄り代となるツキノワ(忌み地)が必要だ。ここ以外の景色は久しく見ていない)  そして、口調が今までよりも幾分か柔らかいものになって、言った。 (……だから、お前の見ているものを話してくれないか)  ――そうして、月と殺はぽつりぽつりと話し始めた。  月は自分自身については多くを語ろうとしない。殺の話を聞き、今の世界のことを聞きたがった。  この月は一体何者なのか。神か、怪(あやかし)か……しかし、その『神』は、神にしては、あまりにも頼りないように、殺には見えた。  神ならば孤独であり孤高であることを、当然のこととして享受しているはすだが、その『神』は、あまりにも、孤独に疲れているかのようにも殺には見えたからだ。  むしろ、殺が接してきたそこらの人間よりも、よほど人間的であるかのようにすら、そのときの殺には思えたのだった。  殺が自分の話を終えると、少しの沈黙の後、月の声が響いた。 (――つまり、お前は目が欲しいのか)  そして、次に驚くべきことを言った。 (ならば俺がお前の目になってやろう)  さらに付け加える。 (その代わり、お前は俺の目になってくれないか) 「……え?」  最初、殺は、月の言っていることがどういうことなのか、よく分からなかった。 (今までは桜(こいつ)についてきたから移動したことはなかったが、お前自身が俺のツキノワになれば、お前の目となったまま共に行くことができるかもしれない) (お前の右目の孔を俺の棲みか――ツキノワとしよう) (安定させるのには――その傘を使えばいいか)  言っていることが、なんとなく分かってきた後も、月の言っている具体的なことは、やはりよく分からなかった。 「え? わかんないよ。どういうことなの? ……目が、見えるように、なるの?」 (俺も今では、こんな姿に成り果ててしまったが、お前の一部となることで、俺の一部を取り戻すことができる) (両目がそろって、はじめて一人の普通の人間だとするなら……お前と俺は二人で一人)  その後、月はやや厳かな口調になって、続けた。 (その代わり、条件がある。この『目』は他の人間の前で開いてはいけない) (もう欲やら野心のために使われるのは御免だからな。お前のことを信用してやるということだ)  実際のところ、そのときの殺には、月の言っていることのほとんどが理解できていなかっただろう。  ただ、ひとつだけ理解できたことば。 「ふたりで……ひとり」 「ふつうの……にんげんに」  殺は、左目で月をしっかりと見つめていた。  そして右目の義眼を外し、前髪をよけて右の眼窩をあらわにする。 「……いいよ」  月と、その周囲の空気、そしてそこに纏わりついている、夜よりも濃い『闇』が、風のうねりとなって、殺の右目に吸い込まれてゆく。  それに伴い、月の輝きは徐々に弱く、おぼろげに。  桜もだんだんとその存在感が薄くなり、輪郭が不鮮明になっていくように見えた。 「え、桜が……?」 (桜(こいつ)も連れて行く。こいつは、もう俺なしではこれ以上留まることはできないからな。まあお前には、ただの桜にしか見えていないのだろうが)  それが殺自身にとって何を意味しているのか、何を暗示しているのか――そのとき、自分の理解を超える出来事の連続に、すっかり判断力を失っていた殺は、月の言葉の意味について、深く考えるということをしなかった。 「この桜は……何なの?」 (こいつも、もう俺の一部。魔人なんてものほど、不確かで、また多様なものもいないからな。見た目だけで判断してはいけない) 「やっぱり、よくわかんない」 (……まあ分からなくてもいい)  右目に集約されていく闇の奔流がおさまり、静けさが戻ってくると、殺は、瞼の上から右目に触ってみた。  右目には、闇のような虚ろなモノが詰まっていることが分かった。しかし、それは義眼と同じように、確かな質量を持っていた。  気づくと、横に置いていた、何も絵柄のなかったはずの傘に、月と桜の絵柄が写りこんでいた。  この出来事は、殺にとって果たして幸せなことだったのか。ただ、月に思い違いがあったとするなら、それは殺が幼すぎたことなのかもしれない。  殺が『普通』でありたいと思っていたのは、他の人間と普通に接し、また普通に接してほしいという思いからくるものであり、また『右目』が欲しかったのは、それによって他の人間に『普通』であると認めてほしかったからだった。そして、禁忌を破ったらどうなるかということまで想像を及ぼし、賢明な判断をするには、殺はまだ幼すぎた。 「……あは、すごいきれい。月夜って、こんなにきれいだったんだ……」  初めて、ふたつの目で見る景色。柔らかい月明かりが、殺を照らしている。  月のきれいな、夜だった。 ***+3「外宇宙への放出」 銀河BTてお前wwww AD18654  人類はついに宇宙の果てに到着した。 それまでに、宇宙は有限であるという答えが出ていなかったわけではない―― だが、この一歩は、前人未踏の領域に人類が足跡をつけたという以上の意味があった。 自分たちは、閉ざされた鳥籠の中の鳥にすぎないということを、身をもって味わうこととなったのだ。 箱庭の中で魔人の能力のインフレはとどまることなく進み、そして飽和していった。 それから一万年以上の時が流れた。 オオツキ・TENGAにより発表された「宇宙オナ○ール論」 この学説が物議を醸すことになった。 すなわち。 宇宙を埋め尽くすほどの巨大な銀河BTを召喚、 銀河BTによって精製された新たなる開拓の種子は、 この学説が正しければ、宇宙の外部へ出ていくことができる、という考え方ができるのである。 銀河BT召喚能力、そして、それをさらに巨大化させるロックジョーの歌声。 限りある宇宙の大きさは、膨張するBTを容赦なく締め付けることになる。 そして生まれた白き河はいつか届くだろう。 宇宙の外部にある新たなる宇宙。 人類の命のゆりかごへと……。 ***+3「番長決定前親睦会」 番長Gは腐女子ばっかりか! ロック「うふふ、ようこそお集まりいただきました」 首領蛙「ゲロゲロ、今日はゆっくりしていってね」 スーリエ「スーさん達が一生懸命おもてなしするよ」 宇宙に漂う番長小屋の一室に番長グループが集合していた 呼びかけたのは番長グループアタッカー軍団「エロスエンジェル」 というかスーリエその人である 白金「くそ、何でこんな所にこなきゃあいけないんだ」 伯爵「そりゃあ仲間なんだからじゃないでしょうかねえ」 結構な人数が欠席しているにもかかわらず 白金他数名は律儀にも集まっているのだ 一般生徒も数多く見られるが何故か女性が多い 首領蛙「ゲロ!!まずは料理を食べていただくゲロ~」 合図とともに皆の前に料理が運ばれてくる ころす夫「うひょー美味そうだお」 レッゾ「こいつはグランデ(大きい)なサルシッチャ(ソーセージ)だぜ」 観月はじめ「んふっ、かじると中からアツい肉汁が溢れて来て美味ですね」 白金「まあ美味い事は認めるけどなあ」 首領蛙「ゲロゲロwスペース鹿児島産の宇宙黒豚をふんだんに使った高級品ゲロ~」 ブーッ テカテカと黒光りするソーセージを咥える男たちを見て 殺(あやめ)は鼻血を噴き出した ロック「アラアラ純情ねえwさて次は飲み物を用意したわ」 皆の前にコップが配られた コップの形が歪でなんだか飲みにくそうだ 白い液体にクリームたっぷりでバナナがトッピングされているパフェのようだ レッゾ「へえ?ドルチェ(甘い)だなあ、カルピスか?ずいぶんスクーロ(濃く)作ったもんだなー」 須獄「口のまわりにクリームがついてしまった、美味しいけど、なんだか飲み難い形ですね」 ロック「一応ブランドデザインのグラスなんだけどねー、うふふ」 白金「食い難いんだよこのバナナ」 ころす夫「美味しいお」 超一郎「美味い美味い」 スーリエ「スーさんおススメの宇宙台湾バナナよー」 一生懸命バナナを咥えている男性陣の口の周りは白いネバネバでベトベトだ ブーッ!! 殺(あやめ)は鼻血を噴き出した -K-「あらあら良いものが見れましたわ」 リリィ「あとでカップリング談義しようぜ」 ラザホー「写真はバッチリよ、今度書く絵の参考になるわ」 コスモ「!!!!(妄想が暴走している)」 極萌「素敵な企画ね…流石は次期番長さん」 部屋の片隅で番長グループの女性幹部がベーコンレタスバーガーを食べながら怪しげな笑みを浮かべている スーリエ「喜んで貰えてスーさんも嬉しいよ」 ロック「うふふふふ企画したかいがあったわ」 首領蛙「ゲロゲロゲロ、コンゴトモヨロシクゲロ~」 その後こうして特に山も無ければ意味もなく落ちもないような親睦会は終了し 数日後、圧倒的な女性票を獲得したスーリエが番長に選ばれたのである

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: