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「拓海③」(2008/03/08 (土) 20:43:27) の最新版変更点
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「すみません、ちょっと聞きたいんですけど…ここから一番近い高速の入り口ってドコですか?」<br />
異形の車から降りてきた青年は丁寧に池谷に道を聞いている。<br />
歳は拓海とさほど変わらないだろう。しかし、ラフな格好の中にも、どこか育ちの良さを感じる。<br />
「(なんだよ、コノ違和感――。)」<br />
「拓海、なに不機嫌な顔してんだよ~!旧車だぜ?旧車!かっくぃいよな~」<br />
「別に不機嫌なわけじゃないよ、ただ何か変な感じがしてさ。」<br />
「なんだそりゃ?」<br />
「なんかこう、好意のある相手にメールを送ったけど、返事がこない時についついセンター問い合わせをする感じ?」<br />
「わけわからんやつ~。まさか新しい彼女でもッ!?」<br />
「へへ、内緒。」<br />
「なぁにぃ!親友の俺に隠し事かよ~!」<br /><br />
「あ、ドモ。わかりました、ありがとうございます。」<br />
「いえいえ、珍しい車ですね。ドライブですか?」<br />
「えぇ、ちょっとふらっと。気がついたら最近地元ばっかりだったんで(笑)」<br /><br />
ク、クン…キュキュ ガ オ ッ ! ガォ! ガオァ!<br /><br />
異形の車に火が入る。<br />
その時だった。<br />
確かに拓海はみた――。<br />
異形の車から放たれるオーラのようなものを―――。<br />
蒼い炎。<br /><br />
全てを焼き払い、とりこんでいく様な威圧感。<br /><br />
全てを捨て去り、何も無いような孤独感。<br /><br />
「すげぇ…なんだよ、アレ…。」<br />
その車から放たれたオーラは、一瞬拓海を包み込んだが、何事もなく消え去った。<br />
同時に異形の車も店を後にする。<br />
低く、それでいて透き通るような排気音だけが周囲に残っていた。<br /><br />
「どーしたんだよっ、ボケっとして。相変わらずだなお前~。」<br />
「あぁ、ごめん。何か疲れてんのかな俺――。」<br /><br />
「(呼んで…た?俺を?)」<br /><br />
ピリリリ<br /><br />
その時、拓海の携帯が鳴った。<br />
「うぉ、なんだびっくりさせんなよなー。お…」<br />
煙たがるような顔が一転して、にやついてしまう。メールの送り主はミカだった。<br />
『仕事ぉわったカナ?ぉつかれ様!拓海クン、今週末も遠征バトルなの?』<br />
今週、遠征はない。<br />
『いや、今週遠征はないんだ。だからどこか出かける?もしミカがよかったらだけど…』<br />
即返信。<br />
スイッチはいると、案外拓海はマメなのかもしれない。<br />
「くぅう~!ぜってー女だよ!なんでお前ばっかり…いいなぁ…」<br />
傍らでは、イツキが悔しさと羨ましさに身を震わせていた。<br /><br />
『そぉいぇば、今お台場で何だか面白いィベントやってるんだって!この前友達がね――。』<br />
電話なら数分で済むやり取りを帰宅した後も続け、3時間近くメールした末、週末はお台場に行く事になった。<br />
ミカ曰く、イベントがあるとか夜景が綺麗だとか言ってたし、結構楽しめそうだ――。<br />
「どーせ高速だしなぁ…インプ借りていこうかな。」<br />
ドカドカ<br />
「おーぃオヤジ、週末インプ借りてもいいか?」<br />
「…」<br /><br />
けだるそうな表情を浮かべ、文太は言った。<br /><br />
「ダメだ―――。」<br />