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「拓海④」(2008/03/30 (日) 18:06:46) の最新版変更点
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「ちぇー、なんでだよ。」<br />
「俺の車だろ、アレは。どこいくかしらねーけど自分の乗ってけ。」<br />
文太はタバコ大きく吸い込むと、一気に吐き出した。<br />
「お前、今週は無いのか?なんとかって遠征チームは」<br />
「もう一台が高速で事故ったから今週はなし。」<br />
「高速…ね。そうか、お前らの話はいつも勝ちばっかりでおもしろくないんだよなぁ。」<br />
「なんだよ、ソレ。こっちだっていっぱいいっぱいやってんだぜ。筑波の時なんか事実上負けだよ。」<br />
「城島だっけか?あいつまだ峠はしってんのか…。」<br />
「なんだよーオヤジ、城島サンしってんのかよー。」<br />
「ま、昔な。あいつは元々峠屋じゃなかったんだぞ。」<br />
「え?」<br />
「引き際がわかんなくなったから、峠に来た――。ってしきりに言ってたな。」<br />
「どーいう意味だよ。」<br />
「さぁな。やだねー、欲深いやつは。ま、せいぜいがんばれよ。」<br /><br /><div class="mes">―週末―<br /><br />
「あー楽しかった!たまにはいいよね、こういうの。」<br />
「うん。でもごめんな、乗り心地悪かったろ。」<br />
ガ ー ッ<br />
車内にはデフの音がこもる。<br />
「ううん、全然へーきだよ。別にあたし車で人選んでるわけじゃないし。なんだっていいよ、拓海クンが一緒なら。」<br />
「え…(照れるぜ、まいったなー。)」<br /><br />
[すごい夜景がみたい。]<br />
ミカのリクエストに答えて、拓海は首都高にのった。<br />
11号台場線。<br />
別に拓海にしてみれば何となくここかな、と思って走っているだけである。<br />
「レインボーブリッチってすごく綺麗だよねー。そういえばさー――。」<br />
なんでもない会話を交え、緩やかにカーブを曲がる。<br />
一昔前の車では、路面から伝わるショックも多い。<br />
「(そういえば啓介さんが事故ったのもココなんだよな…。)」<br />
「ちょっと、たーくみクン聞いてる?」<br />
「え…うん、あぁごめん。」<br />
「あのさ…しばらく遠征ってないんだよね?じゃ来週も遊べるかな?」<br />
「多分大丈夫だと思うよ。」<br />
「じゃぁさ、来週は…その…」<br />
車内にこもるノイズが、ミカの言葉を遮る様に響いていた。<br /><br />
その時だった。<br />
明らかにはるか後方から迫るライト。<br />
直後にハチロクのリアに吸い付いたようにビタつけする。<br />
左右に揺れているライトからは、かなりの敵意を感じる。<br /><br />
「なんだよ、カゴ組んであるからやる気かと思ったらながしてるだけじゃネーカ」<br />
「やめとけよ、さっきみたろ?女連れだゼ」<br />
「尚更むかつくじゃネーカ。ココはデートスポットじゃないんだっての」<br />
「はは、お前おとなげねーナ。たかがハチロクだぜ?あんなんやっつけたって何にもなんねーヨ」<br />
太いタイヤ。低い車高。威圧感を与える羽。厚みを感じる排気音。<br />
彼らは見た目からして、ルーレット族である。<br /><br />
「(ちぇー。気分わりーな。)」<br />
あまりに露骨な行為に、拓海は嫌悪感を覚えた。<br /></div>
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