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拓海から彼の父、文太が首都高を走る悪魔と呼ばれたZの事を知っていると聞いた翌日、涼介と啓介は藤原豆腐店の前に居た。

「ごめんください」

涼介は引き戸を開ける。

「おう、あんたか・・」

ぶっきらぼうな様子で店主と思しき男性が涼介を迎える。
彼の名は藤原文太。
その名が示す通り、藤原拓海の父親である。
常に眠そうな半開きの目と煙草の匂いがトレードマークの無愛想な人物ではあるが、かつて北関東を走っていた者はその名を知らない者はいない伝説の走り屋という過去を持つ。

「拓海なら今配達で留守だぜ、で・・豆腐でも買いに来たのか?」
「・・折角ですから厚揚げ下さい。実は一つ聞きたいんです」
「・・何だ?」
「・・悪魔のZをご存知ですか?」
「・・知ってるよ。あんた悪魔のZに負けたんだってな。拓海から聞いたよ」
「お願いします藤原さん!!悪魔のZについて教えて下さい!!」
「ああ。あのZはただのZじゃねえ。普通のS30ZじゃまずFCには勝てないだろう」

文太は胸のポケットから煙草を取り出し火をつける。
ふぅー・・・・吐き出された煙が広がり、そして消える。

「もったいぶらねえで教えてくれよ!いったい普通のZと何が違うんだ!?」
「よせ、啓介!」
「でもよ兄貴!」
「そう焦るんじゃねえよ。ゆっくりと説明してやっから。まず通常のS30はL型の2000ccで馬力は120馬力だ。ハチロクと大差はない。だが、悪魔のZはL型の2800ccに乗せかえられ、さらにボアアップされて3100にされている」
「3100cc・・・・」

涼介は小さく呟いた。

「でターボを組むんだ。シングルで軽く250馬力、ツインターボなら350馬力以上だろう。」
「S30ZにL-28改ツインターボ!?」
「でもよ、それでも350馬力だろ?兄貴のFCだってそこまで行かなくても250馬力前後はあるぜ。なのにあの抜かれ方はどういう事なんだ!?」
「ああ、だがこれ以上のことには俺にもわからないことがある、なぜなら悪魔のZはまるで意思を持つかのようにくるおしく、身をよじるように走るらしいからな」
「いったいどこの誰がそんな化け物のようなマシンを作り出したんだ?」

身を乗り出して問い詰める啓介。
再び大きくタバコを吸い、文太は思い出したように答える。

「地獄のチューナーと呼ばれた北見淳という男だ。」
「地獄のチューナー・・・?」
「ああ。20年前富士サーキットでそいつに会ったことがあるんだ」
「!?北見さんという人は今どこに居るんです!?お願いです!教えて下さい!!」

啓介に続き、今度は涼介が身を乗り出す。

「残念だがそいつの居場所はもうわからねえ。経営していた自動車工場もかなり昔につぶれちまったようだし、事故で死んだって言うヤツもいる」
「そうですか・・・・藤原さん、ありがとうございました」
「おう、毎度あり」

涼介と啓介は豆腐屋を後にする。

「やれやれ・・居場所がわかんねえんじゃ探しようがねえな」

「北見淳・・・・啓介、ケンタには東京に知り合いがいたな?」
「あ?ああ・・まさか兄貴、その北見ってヤツを探すつもりなのか?」
「勿論だ・・・・久しぶりだぜ、こんなに血が騒ぐのは」