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悪魔のZ、そして白いGTRに敗北してからと言うものの、涼介の様子が変わった事を啓介は感じていた。
啓介にとっての涼介は尊敬できる兄の域を超え、信仰の領域に等しい物なのだ。
その揺れる兄の姿は同時に今まで築いてきた啓介自身が崩れ去るのと同じである。

「あの日の湾岸線での出来事から兄貴は変わっちまった・・!神奈川エリアの遠征中だってのにコレじゃあ先が思いやられるぜ!」

夜も深けてきたコンビニの駐車場で苛立たしそうな様子の啓介と、対照的に落ち着いた拓海の姿があった。

「仕方ないですよ・・俺だって前に秋名で親父のインプに負けた時はショックでしかたから」
「でもな藤原 俺は首都高の連中なんか認めないぜ!あんなのクルマのパワー差だけに決まってる・・パワー だけで勝ち負けが決まる程クルマの世界は甘くない!俺はそれを証明してやる・・兄貴の為にもな」
「啓介サン・・気持ちはわかりますがあまり藪をつついてヘンな物出さないでくださいよ 俺達は風当たりが強いんですから」

吸っていたタバコを足で踏み潰すと、啓介はFDに乗り込み走り去っていった。


一方その頃、都内のある貸し倉庫では、昼間高橋兄弟と一揉めした北見の姿があった。
倉庫の中に所狭しと並ぶ様々な工作機器は一介の自転車屋が扱うようなレベルの代物では無い。

「どうだい?B・B(ブラックバード)クルマの様子は」
「少しリアが上がっている方が僕の好みですネ」

B・B・・本名、島達也。首都高エリアでその名を知らぬ者はいない超A級の走り屋である。 首都高を本気で走る者からは尊敬と畏敬の念と、彼が駆る黒いポルシェをかつて世界最速を誇ったRFUイエローバードに準えてB・B(ブラックバード)と呼ばれている。

「しかしアレだな 近頃の若者はオメーみたいに礼儀ってモンをわきまえてるのが少ないネ・・今日なんかプロジェクトDとか言うヘンなのに絡まれて参ったぜ(笑)」
「プロジェクト・・D?北見サン その話詳しく聞かせてもらえませんか?」
「ナンだよ・・B・B 珍しいじゃねーか オメーが他人に興味示すなんてヨ」
くくく・・と含み笑いを込めて北見が言う。
一方島はそんな北見のからかいに顔色一つ変えずに口を開いた。
「この前北見サンに横浜までクルマを持ってきてもらいましたよネ?その時にI大の中年の医師がプロジェクトDとか言っていたんですヨ」

I大の医師・・その言葉を聞いた北見は作業の手を止める。

「なぁ・・そのI大の医者ってのはひょっとして城島ってヤツじゃあねーか?」
「よくご存知ですね」
「まーな パープルシャドウと言えば俺達の若かった頃じゃソコソコ有名だったんだヨ そこの城島ってのがやたらと理屈っぽくてな 聞いた話じゃあ医大生だってゆーじゃねーか・・そうか」
いつしか北見の目は遠くを見つめていた。続けてくれ、と島に話をうながす。

「その城島先生なんですが・・群馬からやって来たプロジェクトDと名乗るチームと走ったらしいんです 結果は引き分けと言っていましたがそのチームには高橋涼介という名の医大生がいた・・と言っていましたヨ」
「へーそうかい・・実はナ 昼間うちに来たんだよその高橋涼介ってのと啓介ってのが」
「一体何の用で?」

くくく・・ 再び含み笑いを北見はこぼす。

「笑ったぜ 悪魔のZのコトを教えてくれだってヨ(笑)あいつ等首都高でも走るつもりなのかね?」

一方その頃の関越道では、黄色いFD3Sが練馬インターを抜けていた。

「待ってろよ・・白いGTR そして悪魔のZ・・!」