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「すみません、ちょっと聞きたいんですけど…ここから一番近い高速の入り口ってドコですか?」
異形の車から降りてきた青年は丁寧に池谷に道を聞いている。
歳は拓海とさほど変わらないだろう。しかし、ラフな格好の中にも、どこか育ちの良さを感じる。
「(なんだよ、コノ違和感――。)」
「拓海、なに不機嫌な顔してんだよ~!旧車だぜ?旧車!かっくぃいよな~」
「別に不機嫌なわけじゃないよ、ただ何か変な感じがしてさ。」
「なんだそりゃ?」
「なんかこう、好意のある相手にメールを送ったけど、返事がこない時についついセンター問い合わせをする感じ?」
「わけわからんやつ~。まさか新しい彼女でもッ!?」
「へへ、内緒。」
「なぁにぃ!親友の俺に隠し事かよ~!」

「あ、ドモ。わかりました、ありがとうございます。」
「いえいえ、珍しい車ですね。ドライブですか?」
「えぇ、ちょっとふらっと。気がついたら最近地元ばっかりだったんで(笑)」

ク、クン…キュキュ ガ オ ッ ! ガォ! ガオァ!

異形の車に火が入る。
その時だった。
確かに拓海はみた――。
異形の車から放たれるオーラのようなものを―――。
蒼い炎。

全てを焼き払い、とりこんでいく様な威圧感。

全てを捨て去り、何も無いような孤独感。

「すげぇ…なんだよ、アレ…。」
その車から放たれたオーラは、一瞬拓海を包み込んだが、何事もなく消え去った。
同時に異形の車も店を後にする。
低く、それでいて透き通るような排気音だけが周囲に残っていた。

「どーしたんだよっ、ボケっとして。相変わらずだなお前~。」
「あぁ、ごめん。何か疲れてんのかな俺――。」

「(呼んで…た?俺を?)」

ピリリリ

その時、拓海の携帯が鳴った。
「うぉ、なんだびっくりさせんなよなー。お…」
煙たがるような顔が一転して、にやついてしまう。メールの送り主はミカだった。
『仕事ぉわったカナ?ぉつかれ様!拓海クン、今週末も遠征バトルなの?』
今週、遠征はない。
『いや、今週遠征はないんだ。だからどこか出かける?もしミカがよかったらだけど…』
即返信。
スイッチはいると、案外拓海はマメなのかもしれない。
「くぅう~!ぜってー女だよ!なんでお前ばっかり…いいなぁ…」
傍らでは、イツキが悔しさと羨ましさに身を震わせていた。

『そぉいぇば、今お台場で何だか面白いィベントやってるんだって!この前友達がね――。』
電話なら数分で済むやり取りを帰宅した後も続け、3時間近くメールした末、週末はお台場に行く事になった。
ミカ曰く、イベントがあるとか夜景が綺麗だとか言ってたし、結構楽しめそうだ――。
「どーせ高速だしなぁ…インプ借りていこうかな。」
ドカドカ
「おーぃオヤジ、週末インプ借りてもいいか?」
「…」

けだるそうな表情を浮かべ、文太は言った。

「ダメだ―――。」