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「都心にもこんな静かな所があるんですね」

ジャズの流れる小さな喫茶店に涼介と島の姿があった。
時計の針は午後10時を回った所を指している。

「ココは僕がまだチームにいた頃の隠れ家だったんだヨ・・毎週土曜日にはよくたまったものさ」

コーヒーカップを手に持ちながら島が言う。

「君が会いたいと言っていたS30Zの乗り手・・彼は午前2時くらいに現れると言っていたヨ」
「まだ大分時間がありますね」
「首都高を回っていれば意外と早く時間は過ぎるモノさ・・それに君には聞きたいコトもあるし」
「と・・言いますと?」
「君はプロジェクトDというチームを率いている・・と言ったね?ソレはどんなチームなのかな?」
「はい 県外遠征を専門のチームです 下りと上りをそれぞれのドライバーが担当しその二人にサポートチームが着きます」
「凄いね・・まるで耐久レースを転戦するチームだ」
「ええ 各地のトップと言われる人を相手にしますからそれでやっと・・と言うレベルです」

涼介も口元にコーヒーを持って行く。

「それで・・君は何かわかったのかい?」
「え?」
「走る仲間を集めてチームを作る・・よくある話だ そしてその存在をアピールしたい気持ち・・それも解らないでもナイ・・だけどその先が君には見えているのかな?」

島は涼介の目をじっと見つめる。
その目は涼介が箱根で林から感じた、彼自身を試した時の感覚に似通っている物だった。

「僕達のしているコトはどう考えてもおかしい・・公道を300km/hで駆け抜けるのもワインディングを駆け抜けるのも普通の人から見たら間違いなく理解されない・・その行為をあえて外に向けてアピールするという行為は必要ナイと思うんだ それをあえてする・・それに意味はあるのかな?」

二人のいる座席に緊張感が走る。
少しの間、手元に目を落とす涼介。

「伝えたいと言ったら変ですか?」
「伝えたい?ソレは第三者に・・という意味で?」
「勿論その部分はゼロではありません・・先生は先程あえてHP(ホームページ)等でアピールする必要は無いと仰いましたね?」
「言ったヨ・・ただでさえ僕達は肩身が狭い それに昨今のインターネット上での環境を考えると何がきっかけで日常に飛び火する かわからないからね・・余計なお世話かもしれないがもしも君のチーム活動が事件性のある物としてご両親や大学に知れたらど うするつもり?」
「それは―――」

涼介は目線を島に移し口を開いた。

「その時は自分が責任を取ります」