※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「ちぇー、なんでだよ。」
「俺の車だろ、アレは。どこいくかしらねーけど自分の乗ってけ。」
文太はタバコ大きく吸い込むと、一気に吐き出した。
「お前、今週は無いのか?なんとかって遠征チームは」
「もう一台が高速で事故ったから今週はなし。」
「高速…ね。そうか、お前らの話はいつも勝ちばっかりでおもしろくないんだよなぁ。」
「なんだよ、ソレ。こっちだっていっぱいいっぱいやってんだぜ。筑波の時なんか事実上負けだよ。」
「城島だっけか?あいつまだ峠はしってんのか…。」
「なんだよーオヤジ、城島サンしってんのかよー。」
「ま、昔な。あいつは元々峠屋じゃなかったんだぞ。」
「え?」
「引き際がわかんなくなったから、峠に来た――。ってしきりに言ってたな。」
「どーいう意味だよ。」
「さぁな。やだねー、欲深いやつは。ま、せいぜいがんばれよ。」

―週末―

「あー楽しかった!たまにはいいよね、こういうの。」
「うん。でもごめんな、乗り心地悪かったろ。」
ガ ー ッ
車内にはデフの音がこもる。
「ううん、全然へーきだよ。別にあたし車で人選んでるわけじゃないし。なんだっていいよ、拓海クンが一緒なら。」
「え…(照れるぜ、まいったなー。)」

[すごい夜景がみたい。]
ミカのリクエストに答えて、拓海は首都高にのった。
11号台場線。
別に拓海にしてみれば何となくここかな、と思って走っているだけである。
「レインボーブリッチってすごく綺麗だよねー。そういえばさー――。」
なんでもない会話を交え、緩やかにカーブを曲がる。
一昔前の車では、路面から伝わるショックも多い。
「(そういえば啓介さんが事故ったのもココなんだよな…。)」
「ちょっと、たーくみクン聞いてる?」
「え…うん、あぁごめん。」
「あのさ…しばらく遠征ってないんだよね?じゃ来週も遊べるかな?」
「多分大丈夫だと思うよ。」
「じゃぁさ、来週は…その…」
車内にこもるノイズが、ミカの言葉を遮る様に響いていた。

その時だった。
明らかにはるか後方から迫るライト。
直後にハチロクのリアに吸い付いたようにビタつけする。
左右に揺れているライトからは、かなりの敵意を感じる。

「なんだよ、カゴ組んであるからやる気かと思ったらながしてるだけじゃネーカ」
「やめとけよ、さっきみたろ?女連れだゼ」
「尚更むかつくじゃネーカ。ココはデートスポットじゃないんだっての」
「はは、お前おとなげねーナ。たかがハチロクだぜ?あんなんやっつけたって何にもなんねーヨ」
太いタイヤ。低い車高。威圧感を与える羽。厚みを感じる排気音。
彼らは見た目からして、ルーレット族である。

「(ちぇー。気分わりーな。)」
あまりに露骨な行為に、拓海は嫌悪感を覚えた。