赤城の頂上にて島との邂逅を拓海と啓介が果たしていた頃、御殿場市内に涼介の姿があった。
電車を乗り継ぎ、駅から降りれば林のいるGSは歩いてすぐ着く距離ではあるが、まだまだ照りつける日の光は強く たちまち汗が吹き出して来る。
やがてアスファルトの照り返しによる陽炎で揺らめく林のGSを見つけた時に、涼介は彼が林に預けたFCの姿を見つけた。
元々の必要最小限の装備であった姿から大きく変わり、高速域での安定性を持たせる為のエアロパーツがまず目に付く。
「おーよく来たな ま入れよ」
涼介の姿を見つけ、林がGSの事務所から現れる。
事務所の中に通された涼介は、クーラーの冷風を浴び一息をついた。
「すみませんお仕事中に・・組み上がったと聞いたらいてもたってもいられなくなって」
「まさか本当に群馬から電車で来るなんて思ってもいなかったヨ 結構な大バカだなって(笑)あ コレは褒めてるのよ」
「FC・・大分変わりましたね」
「前のままだとEgに車体がついてこれないからナ・・フロントカナードにオーバーフェンダー・・あと流行りのGTウィングなんてのも ま つけてみた」
「この状態でどれくらいなんですか?」
「パワーか?5速で8500回して500馬力ってところだナ 300km/hに届くか届かないかギリギリの線だがその変わり中速を重視している 6000回ってれば不満の無い動きを車体がする筈だ」
「ありがとうございます・・それと林さん 残りのチューン代ですが―――」
「いらねーヨ」
「え?」