頭文字D vs 湾岸MIDNIGHT
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頭文字D vs 湾岸MIDNIGHT
ja
2008-04-03T21:25:35+09:00
1207225535
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伝えるというコト⑨
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/63.html
<p>911とFCに合流するZ、バトルの様相は三つ巴となる。<br />
道幅は狭い羽田線ではあるが、道路の構造自体は直線を基調としており、瞬間的なオールクリアさえあれば大台も夢ではない。<br />
但し、それは踏み切れればの話である。<br />
高価なパーツをつけても、それを生かし、そして踏み切る腕を持っているのは全体の内2割にも満たないだろう。<br />
一般車がばらけていく・・近づくオールクリア、200km/hを超える速度でスラロームを繰り返しつつ機会を待つ3台。<br />
京浜運河のS字を抜ける、オールクリア───<br /><br />
震える空気を身にまとったZがFCの背後から一瞬早く飛び出し911と横並びになる。<br />
C1合流までの約1.5kmのストレート、条件は整った。<br />
速度が乗り視覚効果的に狭さを更に感じるがそれをものともせず速度は更に乗っていく。<br /><br />
250・・260・・280───FCのスピードメーターの針は林の言った限界に近づく。<br /><br />
───ここまでか・・あのZとそしてポルシェには追いつけないのか───<br /><br />
280・・285・・290・・・・<br />
だが涼介の思惑とは別にFCの加速は止まらず、二台との距離も離されるでもなく食らい着くFC<br /><br />
───回しきった先のもう一伸び・・コレはまるで魔法(マジック)だ ついていける・・あの二台に───<br /><br />
300km/h───涼介も啓介も体験した事の無い未知の領域に飛び込む三台。<br />
その頃には調度レインボーブリッジからの合流が近づき再度道路の流れが鈍る、勝負は再びC1に持ち込まれた。</p>
<div class="mes">C1を普通に走っていれば100km/h割る浜崎橋だが羽田線や台場線からの合流は大幅な減速を強いられる事は無い。<br />
200km/h超の速度で汐留めS字に突入していく三台。<br />
この先のS字でアドバンテージを獲る事が出来れば先頭を走るのは容易い。<br />
Zか、911か、それともFCか?<br />
ラインをアウトに振るZに対し、中央車線を選ぶ911、そしてそれに続くFC。<br />
汐富めS字、オールクリア、稀に見るベ
2008-04-03T21:25:35+09:00
1207225535
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伝えるというコト⑧
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/62.html
<p>先行する911との速度差は既に100km/h近い、FCの前方で右から左へワープするかのように911は汐留めSを抜けて行く。<br />
C1で一番広い3車線、クリアな一番右側の車線をFCは加速する。<br />
200・・220・・体験したコトの無い速度域に啓介の体は硬直する。<br />
スピードメーターの針が230を指すか指さないかでFCはフルブレーキ、一番イン側を走る一般車を避けながら一番アウトの車線へFC が飛ぶ。<br /><br />
───コーナーの鉄則はアウトインアウトだがあのままインを走っていれば間違いなく一般車とクラッシュしていた 兄貴はそんなコトもわかるのか?───<br /><br />
右に左に、そして溢れるパワーを大胆に、繊細に扱いながらのスラローム。<br />
パワー差の出にくい銀座エリアに突入する911とFC、その差は徐々に詰まりつつある。<br />
迫る銀座S、200km/hを超える速度からの減速勝負が土橋、そして京橋への加速勝負へ繋がる。<br />
メーター読み150km/hのコーナリング、啓介が以前に911を追っていた速度より数段上のコーナリング速度である。<br /><br />
C1で最もツイスティな数寄屋橋でついに911を射程圏内に納める。<br /><br />
───ここからだ ここからの京橋の登りの加速はパワー勝負になる・・頼むぞFC!───<br /><br />
銀座エリアで3速固定だったギアを2速へ。<br />
一瞬のホイールスピンの後にグリップを回復するFC、矢のような勢いで京橋を駆け抜ける。<br />
先行する911、メーターの針が240を越し、江戸橋JCTが迫る。<br />
以前より更に乗った速度、そして事故の記憶により啓介の体は硬直した。<br />
強烈なGを受けながら911が先行する形で二台は9号線へ突入して行く。</p>
<div class="mes">「水温OK・・油音OK・・」<br />
「今日もベストコンディションじゃない?Z───て(笑)」<br />
「オイオイ・・いきなりやって来Zに乗せろって言ってそりゃナイんじゃねーのォ?」<br /><br />
FCと911のバトルが繰り広げられる直前、横羽線上を走るS30の姿があった。<br />
助手席にはレイナの姿も
2008-04-03T21:23:11+09:00
1207225391
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伝えるというコト⑦
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/61.html
<p>終電を逃した勤め人を乗せるタクシーの姿も大分減り、時折オールクリアの状態を見せるC1にFCの姿があった。<br />
路面の継ぎはぎが車体を細かく上下に揺らす。<br />
限界まで攻めるでもなく、かと言って中途半端に流すでも無い。<br /><br />
「こうしているとまだ走り始めた頃のコトを思い出すよな」<br /><br />
流れる景色を見ながら啓介が呟いた。<br /><br />
「どうした?急に」<br />
「覚えてるか?兄貴・・俺がレッドサンズに入る前のコト」<br />
「忘れるもんか 初めてお前をFCのナビに乗せた時ときたら・・・・地元では名の知れたワルが泣きそうになったのは笑ったぜ」<br />
「しょーがねえだろ 俺だってあんな経験初めてだったんだから・・それからしばらくは兄貴の横に乗ってたよな」<br />
「こうしてお前とタンデムするのは秋名以来だな・・あれからもう1年か 早い物だ」<br /><br />
ハンドルを握りながらこれまでの思いを馳せる涼介。<br />
群馬最速を目指した遠征、拓海との出会い、プロジェクトD、そして首都高。<br />
既にただ楽しいだけでは済まなくなった走るという行為、だがその中で得た掛け替えの無い物、それを継いでくれる仲間に対し<br />
伝えられるのは走るという行為を通してのみ。<br /><br />
北の丸トンネルを抜け、赤坂STへ。<br />
FCの車速が乗っていく。<br /><br />
「啓介・・今夜のタンデムがお前との最後のタンデムだ」<br />
「え?」</p>
<div class="mes">「な・・待ってくれ兄貴!そりゃどういう意味だ!?」<br /><br />
涼介の突然の申し出に狼狽する啓介。<br /><br />
「そう泣きそうな声を出すな・・・・お前は俺の考える公道最速理論の完成型に限りなく近い 既に俺から学ぶ技術は無いだろう・・勿論またこうやって出かけるコトもあるだろう・・だが これからはお前がお前の意思で考え走る番だ」<br />
「・・・・」<br /><br />
呆然とする啓介を乗せFCは芝公園方面へ抜けて行く。<br />
迫る浜崎橋、200km台からのブレーキングにFCは鼻を沈める。<br />
フロントに荷重がかかり切った事を確認し、
2008-04-03T21:21:37+09:00
1207225297
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伝えるというコト⑥
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/60.html
<p>客の姿がまばらな深夜のファミレス、通常の座席とは少しだけ隔離された場所にある座席に紫がかった煙が立ち込める。<br />
座席には喫煙席のマーク、テーブルの上には走り屋系のクルマ雑誌が置いてある事から席の主達は走り屋と窺い知れる。<br /><br />
「なぁ・・ここんとこよく出る白いFCって知ってるか?」<br />
「見たことないけど噂では聞いたコトあるぜ・・なんでもプロジェクトDのFCらしいぞ」<br />
「プロジェクトDって”あの”プロジェクトDか?あいつ等峠専門なんじゃねーのかよ?」<br />
「そこなんだよな・・でも見たってヤツの話だと群馬ナンバーでレッドサンズってステッカーが貼ってあったって言うぜ?」<br />
「レッドサンズ?」<br />
「プロジェクトDが出来る前に群馬最強と言われたチームらしい・・で 白いFCはそのチームのリーダーのクルマだって話だ」<br />
「で・・・・速いの?」<br />
「実測は大台(300キロ)行くか行かないかみたいだけど兎に角250前後がバカっ速でバトル向きだってサ・・実際湾岸でも大台に乗せるのは条件が良くないと難しいから」<br />
「ふーん・・ところでさ―――」<br /><br />
煙草の灰を灰皿に落とし、彼等は別の話題に興じるのだった。<br /><br />
一方、人の噂は千里を駆けるとはよくぞ言ったもので、連日首都高に現れるという涼介の噂は群馬県でも実しやかに囁かれていた。<br />
それは当然FDを失っている啓介の耳にも届いてくる、そう、あの時の須藤とのいろは坂でのバトルの時のように。<br />
夜もふけ始めた頃にガレージの電気シャッターが開けられる音を啓介は聞いた。<br />
続いて、FCのEg音が響いてくる。少し考え、啓介はガレージに向かう。<br /><br />
「兄貴―――」<br />
「なんだ?啓介」<br />
「いやその・・」<br />
「どうした?ボーっと突っ立って・・久しぶりに俺の隣に乗ってみるか?」<br />
「あ ああ」<br /><br />
二人を乗せたFCは前橋インターから関越道へ入る。</p>
<div class="mes">数時間後、羽田近辺。<br />
いつの日か涼介と島が落ち合ったあの喫茶店に再び島の姿があった。<br />
2008-04-03T21:20:10+09:00
1207225210
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伝えるというコト⑤
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/59.html
<p>赤城の頂上にて島との邂逅を拓海と啓介が果たしていた頃、御殿場市内に涼介の姿があった。<br />
電車を乗り継ぎ、駅から降りれば林のいるGSは歩いてすぐ着く距離ではあるが、まだまだ照りつける日の光は強く たちまち汗が吹き出して来る。<br />
やがてアスファルトの照り返しによる陽炎で揺らめく林のGSを見つけた時に、涼介は彼が林に預けたFCの姿を見つけた。<br />
元々の必要最小限の装備であった姿から大きく変わり、高速域での安定性を持たせる為のエアロパーツがまず目に付く。<br /><br />
「おーよく来たな ま入れよ」<br /><br />
涼介の姿を見つけ、林がGSの事務所から現れる。<br />
事務所の中に通された涼介は、クーラーの冷風を浴び一息をついた。<br /><br />
「すみませんお仕事中に・・組み上がったと聞いたらいてもたってもいられなくなって」<br />
「まさか本当に群馬から電車で来るなんて思ってもいなかったヨ 結構な大バカだなって(笑)あ コレは褒めてるのよ」<br />
「FC・・大分変わりましたね」<br />
「前のままだとEgに車体がついてこれないからナ・・フロントカナードにオーバーフェンダー・・あと流行りのGTウィングなんてのも ま つけてみた」<br />
「この状態でどれくらいなんですか?」<br />
「パワーか?5速で8500回して500馬力ってところだナ 300km/hに届くか届かないかギリギリの線だがその変わり中速を重視している 6000回ってれば不満の無い動きを車体がする筈だ」<br />
「ありがとうございます・・それと林さん 残りのチューン代ですが―――」<br />
「いらねーヨ」<br />
「え?」</p>
<div class="mes">突然の林の申し出に涼介の頭は一瞬混乱した。<br /><br />
「林さん・・どういうコトですか?これだけチューニングが進んでいてその額で済むハズはないと思いますが」<br />
「いーから聞けよ・・兄さん 聞いた話だとあんたまだ学生だろ?それがこの前ポンっと50万も持って来た・・こりゃどう考えても<br />
マトモな金じゃねえ あの金はチームの遠征費だったんじゃないのか?」<br />
「・・・・」<br />
「とコレは俺の勝手な推論なんだ
2008-04-03T21:18:45+09:00
1207225125
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伝えるというコト④
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/58.html
<p>「凄いクルマですね・・アレ」<br /><br />
ルームミラー越しにポルシェをちらりと見ながら呟く拓海。<br />
先ほどまでの涼しい様子とは打って変わり、額にはうっすらと汗が滲み出ている。<br />
見るもの全てを魅了する悪魔のZとは対極に見るもの全てを威圧するその姿は、正にコインの表と裏。<br />
同じでありながら相成れない双子の存在と言えるだろう。<br /><br />
峠では完全に持て余す700馬力の大パワー車を当たり前のように振り回す。<br />
拓海がこれまでに出会った事の無いタイプのドライバーと言えよう。<br />
だがポルシェは拓海を威圧するでもなく、その走りを綺麗にトレースする。<br />
決して首都高の走りを押し付けるわけではなく、峠に存在するそのルールを目の前の相手から学び取るかのようだ。<br /><br />
「啓介さん 後ろのポルシェ・・」<br />
「俺達を煽るでもなく抜くでもなく合わせている・・中々出来る芸当じゃねーな 流石兄貴を認めただけはあるぜ」<br />
「え?啓介さんは後ろのクルマのドライバーを知ってるんですか?」<br />
「ああ・・ちょっと な」<br /><br />
そう答えた啓介は少しバツが悪そうな顔をした。<br />
一つの線で繋がるかのように、赤城を駆け上る二台。<br />
頂上のレッドサンズの溜まり場である駐車場にハチロクが滑り込むとポルシェもそれに従いついて来る。<br />
そして運転席から現れたのは紛れもなく、あの島 達也であった。</p>
<div class="mes">「驚きだな・・やっぱりアンタか」<br /><br />
偶然か、それとも必然か。<br />
同じ水域に住んでいる者同士の引き合う力の不思議さに驚くのは島もであった。<br /><br />
「気晴らしで峠に来てみたんだが・・人は本当に不思議なモノだね」<br /><br />
ちらりと視線を横にする島、目が合った拓海が「どうも」と頭を小さく下げる。<br /><br />
「で 一体何の用だ?」<br />
「特に用はナイよ ただ峠を流していたら君がいた・・それだけだ」<br />
「こちとらアンタと会って以来ツキに見放されちまった感じだぜ・・兄貴も首都高首都高ってバカみたいだぜ」<br />
2008-04-03T21:17:06+09:00
1207225026
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伝えるというコト③
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/57.html
<p>「もしもし・・啓介さんですか?藤原です」<br /><br />
携帯から拓海の声が響く。<br />
啓介の交通事故から約1ヶ月、Dの遠征が中止になっていた事もあり、久々に聞く声だ。<br /><br />
「藤原・・久しぶりだな その・・・・今回の事故の件では色々迷惑かけたな」<br />
「いえいいんですよ・・それより啓介さんの体はもう大丈夫なんですか?」<br />
「ああ 俺の方はもうなんともないんだがFDがな・・」<br />
「そうですか 実は今高崎市内にいるんですが良ければ軽く流しませんか?」<br />
「そうだな・・俺もちょっと滅入ってた所だ 待ってる」<br /><br />
しばし後に、住宅街に太く濁った音が響いてくる。<br />
音の主は拓海の駆るハチロク(AE86)Gr-A仕様の4AGが奏でる純粋なレーシングサウンドに部屋の窓がビリビリと細かく揺れる。<br />
助手席に啓介を乗せ、ハチロクは高崎市内を北に抜け、前橋へ、そして赤城へと登っていく。<br />
赤城に入った頃、乗り込んでからずっと黙って外を見ていた啓介が口を開いた。<br /><br />
「兄貴は俺を・・いや俺達Dをどう思ってるんだろうな?」<br />
「どうって言われても・・今はしょうがないですよ 啓介さんのFDも修理中ですし」<br />
「藤原・・俺が首都高で事故ったのは知ってるよな?俺は湾岸線での一件依頼ちょっと様子の変わった兄貴の目を覚まさせようとした・・<br />
だけど結果はどうだ?俺達を放ってFCに手を入れ今じゃすっかり別人だ・・何の為に俺達は辛い遠征を繰り返して来たんだろうな」</p>
<p>気の利いた答えを咄嗟に返せず静まりかえる車内。<br />
ゴトゴト・・・・と道路に仕込まれた蒲鉾で車体が跳ねる音が響き渡る。<br />
二人を乗せた86は何も言わず、ただ赤城を登るだけだ。<br /><br />
「俺にはよくわからないですけど・・・・涼介さんはこれまでもずっとしてきたコトに意味はあったじゃないですか だから信じて待ちましょうよ」<br />
「・・・・」<br /><br />
再び黙り込む啓介。<br />
その時だった、二人は確かに聞いた。<br />
ハチロクに呼応するかのようなエキゾーストノートを。<br />
それは何
2008-04-03T21:15:42+09:00
1207224942
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伝えるというコト②
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/56.html
<p>昼間の日差しの代わりに電灯が辺りを照らす御殿場市内。<br />
夏の終わりを告げ始めた虫の音も、国道を走る家路に向かうクルマの音にかき消される。<br />
その様子は昼間とあまり変わらない印象を受けるが、国道に面したあるGSの様子は昼間の物とは少々違っていた。<br />
涼介が林に正式にFCのチューニングを依頼し2週間・・店を閉めた後にピットに残る林の姿がそこにはあった。<br /><br />
「所長―――いるぅ?」<br />
「オキか・・調度イイから一服すっか 俺ウーロンな」<br />
「えー自販なんか目の前にあるじゃねーかよォ」<br /><br />
ピットの中央に置かれたFC、そして作業台の上にはその要となる新たなREの加工が行われている所だった。<br /><br />
「所長 あの群馬のアイツのEgはどんなにするのさ?ただポート削るだけってワケじゃあなさそーだけど」<br />
「組み直す前の状態が良くて250馬力前後ってところだったからナ―――それに上乗せ250馬力・・勿論このまんまじゃあ
Eg本体がもたない だから高圧縮と高ブーストに耐える為にローターから総換えだ」<br />
「と・・なるとFDの?」<br />
「いやRX-8のローターだ・・マツダの販売戦略のせいかレネシスは従来のREとは全く違うモノという認識が強いが実は同じだ REはその構造ゆえ大幅な設計変更は出来ない・・昔っからREは技術屋泣かせだったのヨ 最近はやれエコだのウルセーだろ?
そんな中新型REをあえて放つ・・これはもう意地だ そしてREである以上それは走りを要求される・・家族で乗れるREだけどRE
である以上求めるのはやはり走り・・事実RX-8のEg圧縮はRX-7より高く設定されている」<br />
「ふーん・・よくわかんないけどなんか凄いね」<br />
「あー!?ここまで優しく説明してやってわかんねーってバカかオメーは(笑)」</p>
<p>「いや違うって・・所長がだよ」<br />
「何?」<br />
「このFCもそうだけど・・前にも東京から来た人いたじゃん あの人に組んだ時もそうだけど正直俺のとはレベルが違うもん」<br />
「レベルねぇ・・・・そりゃオメーは金がねーし(笑)」<br />
「どーせ俺は貧乏だよ!」<br />
「まーまーそうカッ
2008-04-03T21:14:14+09:00
1207224854
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伝えるというコト
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/55.html
<p>須藤の赤城襲来、そして涼介のいろは坂のバトルから一夜が明けた。<br />
走り屋達の間には瞬く間にその噂は広まり、その噂は今現在FDを失っている啓介の耳にも勿論届いたのだった。<br /><br />
「聞いたぜ兄貴・・須藤と走(や)ったんだってな」<br /><br />
検査入院から退院した啓介が自宅のロビーでくつろぐ涼介の前に現れる。<br />
所々に貼ってあるシップが少し痛々しい後を見せるが、日常生活には全く支障が無いように見える。<br /><br />
「もうお前の耳にその話が入っているとはな・・人の噂は伝わるのは早いものだ」<br />
「兄貴・・FCはどうしたんだ?」<br />
「お前が対戦する予定だった御殿場のチューナーから借りたんだ・・凄いぞ啓介 あんなFC俺は見たことがない」<br /><br />
涼介の口から林のFCを賛辞する演説が流れ始める。<br />
目を輝かせ、そして流暢に語る涼介の様子とは裏腹に啓介は苛立ちをつのらせて行くのだった。<br /><br />
「そんなに走りたいのか・・」<br />
「すまない よく聞こえなかった」<br />
「兄貴はそんなに首都高を走りたいのかよ!峠には峠の 首都高には首都高の走り方やルールがあるのは俺にも分かる!<br />
けどな・・俺達はプロジェクトDってチームだろ?兄貴一人であれこれやってこれまで兄貴を信じてついて来た藤原や皆には<br />
なんとも思わないのかよ!?」<br />
「落ち着け!啓介・・今の俺には―――」<br /><br />
ガンッ!<br /><br />
涼介の頬を鈍い衝撃が襲った。</p>
<div class="mes">啓介は何も言わずにロビーから飛び出して行く。<br />
後には唇から血を流して佇む涼介が残されるのだった。<br />
伝う血を拭いながら、涼介は今日は林からFCを借りている猶予であった事を思い出す。<br />
胸にまとわりつく不快感から逃げるかのように、涼介はFCを走らせ、御殿場に向かった。<br /><br />
御殿場にたどり着いた頃には既に午後の日差しとなっていた。<br />
暦の上ではもう秋ではあるが、残暑は厳しい。<br />
陽炎で揺らめくスタンドの一角に涼介はFCを停めると、それを見計らったかのように相変
2008-04-03T21:12:44+09:00
1207224764
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プロジェクトDとの間で⑦
https://w.atwiki.jp/initialdvswangan/pages/54.html
<p>車体の底から火花を飛び散らせ、エボはFCを大きく突き放す。<br />
ハイリスク、ハイリターンであるいろは坂の高低差を利用したジャンプ走法は正に公道だからこそ出来る走法と言えるだろう。<br />
小さく、そして鋭く立ち回るエボⅢに対し豪快にリアを振り回しながら切り返しを続けるFC。<br />
その差は麓が近づき勾配が緩くなった高速区間には前を行くエボの優勢は明らかに見えた。<br /><br />
―――エボの車間距離はややあるが挽回が不可能というワケじゃあない・・残されたタイヤのマージンを使い切り針の穴のような<br />
突破口を付く!―――<br /><br />
最後の左ヘアピンを抜けトンネルに入る二台。<br />
いくら整備された観光道路と言えども、先行するクルマが堂々と真ん中を走れば左右から抜き返すラインは無い。<br /><br />
―――見事だ涼介・・初めて見せる空中のラインにも動じず俺について来る その才能を公道だけにこだわるコトを惜しいと思う<br />
感情と同時にジェラシーすら感じるぜ お前程の男を本気にさせる存在にな―――<br /><br />
ゴール近くの橋が迫り、エボはアウトにラインを振る。<br />
涼介はその瞬間を見逃さなかった。<br />
無謀とも思えるスピードでコーナーに進入し、エボの左後輪の辺りにFCのノーズをねじ込む。<br />
道幅一杯に並ぶ二台には最早ライン変更の余裕は全く無い、<br /><br />
「曲がる!曲がってくれ!FC!」</p>
<p>「ふ・・ざけんなぁ!!」<br /><br />
FCに迫られアクセルを入れる事も抜く事も出来ないエボⅢ、それはFCにも言え、Gにまかせアウトに膨らんで行く。<br /><br />
バチンッ!<br /><br />
双方のボディが接触、その反動をきっかけにFCは体制を建て直しアクセル入れ直す。<br />
僅かに引いたエボⅢ、二台はそのままサイドバイサイドでゴール地点に飛び込んだ。<br /><br />
―――数分後、先程まで響いていたスキール音が嘘のように静まりかえった、本来のいろは坂の姿があった。<br /><br />
「見事だ涼介」<br />
「腕を上げたな京一」<br /><br />
ギリギリの領域で走る事で共感する何かを掴んだ
2008-04-03T21:10:34+09:00
1207224634