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それでは次にあなたの身体に何か症状がでて、病院に行きガンと診断された場合を考えてみましょう。 たとえばいつも胸焼けけがしたり、空腹時に胃が痛くなったり、食欲が落ちたりして、ちょっと心配になり病院に行き、下された診断が胃ガンだったとしましょう。 この場合あなたは残念ながら、すでに進行ガンの可能性が高いのです。胃ガンは初期や早期ではあまり症状がでることはないそうです。また症状がなくても、進行ガンということもあります。それがあなたの場合、自覚症状が三つもあるので進行ガンと考えたほうが良いでしょう。 このような時自分のガンの進行度を大雑把に知ることができます。医者が手術を勧めるか、否かにより、進行度の目安がつくのです。もちろんガンはできる部位により、手術のしにくいところもありますので、一概には言えませんが、もし医者から手術を勧められた場合は、完治の可能性がある、つまり進行ガンでも比較的軽い段階だと、いえると思います。 この場合でもあなたの選択肢は二つです。一つはガンを小さくすることを主体に治癒する方法、もう一つはガンをこれ以上大きくしないことを主体に考えるの二通りです。 「そりゃやっぱりガンは小さくなって欲しいよなぁ、できればきれいになくなってくれれば、いいのだが」 そうそれが普通の考え方だと思います。現代医学もその考えに沿って治癒を進めていくはずです。胃ガンに限らず現代医学は、ガン治癒を手術を中心に方針をたてます。手術でガン細胞を全部取り除ければ、ガンは完治するという実に明解な考え方です。 「そりゃそうだ。ガン細胞が全部なくなれば、俺の体は元の健康な状態に戻るはずだ。」 おっしゃる通りです。しかし進行ガンともなると、ガンはある程度の拡がりが予想されます。 大きなガン細胞の塊が一つではなく、その周辺にポツポツと小さな腫瘍が多数あるという状況が多いようです。 この小さな腫瘍は外からの検査では、見つけるのは困難でしょう。このような時肉眼ではみえないようなガン細胞も、発生していると考えられます。 執刀医は長年の勘と経験でここらへんまでガン細胞が拡がっているだろうと、思われる部位を切除します。当然のこととして、切除する部分が大きければ大きいほど、ガン細胞が残存する可能性は低くなります。また切除する部分が小さければ小さいほど、患者さんの術後の体力消耗度は軽くなることになります。 つまりできるだけ最小限度で、ガン細胞を全て取り除くことがガン手術の命題になります。 ところが、ガン細胞と正常細胞を見分けるのは非常に難しいことなのです。ある程度の塊になればその部分は細胞本来の機能をしていないので、正常な部分との区別はつきます。しかし細胞一つ一つのレベルになると、たとえ顕微鏡でみても、ガン細胞と正常細胞を判別することはとても困難なのだそうです。 この部分を少し考えてみましょう。そもそもガン細胞とはどんな細胞なのでしょうか? 「そりゃ、ほっておけばどんどん大きくなってあちこちに転移してしまう悪い細胞だろ?」 そうだいたい本には、遺伝子の異常により、細胞増殖のコントロールがきかなくなる状態、という意味のことが書かれています。増殖のコントロールがきかないということは、いつまでも増殖し続けるということなので、どんどん大きくなるというあなたの答えは正解です。 細胞は二つに分裂することで増殖していきます。基本的には、もともとの細胞(母細胞)と、新しく生まれる細胞(娘細胞)は同一です。 細胞の形質を決めているのは遺伝子です。細胞は分裂する際、遺伝子を複製してそれぞれの細胞(母細胞と娘細胞)にわけます。この複製はミスのないように、慎重に行なわれます。しかしもしまったくミスがないとすると、この地球上に最初に生まれた生物は、単細胞生物だと考えられていますが、現在でもその同じ単細胞生物しか、この地球上にはいないことになってしまいます。 ということはどこかで遺伝子の複製ミスが起きていて、それが現在、地球上の生物の多様化につながっているのです。 人間はそれから、はるかに進化した多細胞生物です。成体になると約60兆個もの、細胞からできているといわれています。そして最初はたった1個の受精卵からスタートします。1個が2個、2個が4個、4個が8個というように分裂して、その数を増やしていきます。分裂のたびに遺伝子は正確に複製されていきます。受精卵の遺伝子も80歳のおばあちゃんの、皮膚の細胞の遺伝子も、基本的には同じものです。 ここで遺伝子イコールDNAと思っている方も多いと思いますが、実はちょっと違います。DNAの中で実際に遺伝をつかさどっている部分を遺伝子とよび、人間では全DNAの5%以下しかないそうです。 蛋白質の元となるアミノ酸を指定する暗号を持っている部分をエクソンといい、その前後にRNAがその情報を読む時のための制限領域があり、さらに両端には、分裂能力の限界に深く関わっていると思われているテロメアの領域があります。そしてさらにわけのわからないイントロンという部分もあり… 「あの~すみません、わけのわからないのはこっちなんですが…」 これは失礼致しました。わかりやすくお話ししましょう。 受精卵から成長していく過程で細胞は分裂をしていきますが、この時DNAは、ほぼ正確に複製されていきます。そして成長の過程で、細胞はいろいろな姿に変化していきます。 たとえば、皮膚の細胞、神経細胞、胃の粘膜の細胞、生殖細胞という具合にです。これを分化とよびますが、ここで重要なことは、どの細胞もDNAは、基本的に同一ということです。 それでは何が原因でこのように、いろいろな姿に分化していくかというと、DNAに書かれている遺伝情報(これが遺伝子です)を元に、生物の形質を決める蛋白質が作られるのですが、どの遺伝子をどのくらい読むかにより、その細胞の形質が変わってくるのです。 それを決める遺伝子もDNA上にあり、その情報が発現すると、次々と連鎖反応的に細胞の形質を決める遺伝子が情報発現(誘導)し、だんだんにその生物特有の姿になっていくのです。 その誘導因子の発現する順序は非可逆的で、たとえば消化器系の元となる細胞、胃の元になる細胞、胃の粘膜の元になる細胞、と順々に分化し、最終的に胃の粘膜の細胞になり、粘膜としての機能をはたしてゆくのです。 最終的な機能を持った細胞は、もはや分裂することなく、自分の役目が終わったらアポトーシス(細胞自殺)を起こして、自ら死んでいきます。 このことからガン細胞とは、分裂する能力を放棄し、最終的な機能を果たすべき細胞が、遺伝子の異常により、分裂能力を棄てきれずにいる細胞と考えられるのではないでしょうか? しかし仮にそのような細胞ができても、細胞が分裂できる回数の限度は、テロメアによって制限されます。 これではまだ無限に分裂増殖するガン細胞とは言えません。 つまりガン細胞とは、さらにもう一つテロメアを再生するテロメラーゼという酵素を作る遺伝子の情報を発現させてしまっている細胞のことをいうのではないでしょうか。 これらの異常な遺伝子を発ガン遺伝子とよんでいるようですが、分裂する能力をすてさせない遺伝子とは、成長時とか新陳代謝の時に必要な、細胞の増殖に関わる遺伝子と考えられますし、テロメラーゼを作る遺伝子は、骨髄幹細胞や、小腸の粘膜細胞のように、活発に分裂する細胞では、必ず発現している遺伝子だと思われます。 するとガンとは遺伝子の異常によって起こるのではなく、遺伝子を発現させるタイミングが、狂った細胞といえるような気がします。そうするとガン細胞も正常な細胞も、遺伝子自体には変化がないので、両者を簡単に区別できないのは、当然のことでしょう。 ただガン細胞は、おそらく充分な準備をしないうちに、必要以上に分裂してしまうので、栄養不足で分裂することになるのではないでしょうか? そのため分裂を重ねるたびに少しずつ、形質の変化が大きくなっていってしまうのではないでしょうか? ここでもう一つ大事なのは、先ほどガン細胞は1日に数千から数万個も発生すると書きましたが、ということはこのあやまりは、ある程度普遍的に生じるものであると、考えられます。 正常な細胞の遺伝子の発現量が異なるだけで、ガン細胞になるのですから、どうしてもある程度のミスは、避けられないのでしょう。 生物は総じて、「ミスが出るのならしようがない。そのミスを修復する機構を新たに身につけよう」、という方法で進化してきました。そのミスが新たな進化を生む可能性もあるわけですから。下等な動物は主に、大量生産のシステムでこのミスを補ってきたような気がします。 少々不良品がでても問題にならないほどの数で、種の維持をしてきたのです。しかし高等な動物、特に哺乳類ともなると、一度にできる子供の数は限られてきますので、新たなミスを修復する機構が必要になったと思われます。 それが新しい免疫機構、リンパ球による異物処理の能力なのではないでしょうか? 以上のことがある程度正しいとすると、ガンに対する治療の方向性が見えてくるような気がします。まあ簡単にいうとこんな感じだと思うのですが、わかりましたでしょうか? 「ZZZ…あ、うん、だいたいわかったよ。でもテロメアってなんなの?」 これは、これは、ほとんど寝てたくせに、進行上とてもいい質問をなさいますね。 テロメアとは、染色体の両端についている、DNA塩基の繰り返し構造で、DNAが環状だった頃(原核細胞)の、のりしろの部分で、相補的な一本鎖のDNAだと、考えられています。 多細胞生物ではこのテロメアを、細胞分裂の回数のカウンターとして、使っているようで、分裂のたびごとに少しずつ短くなり、テロメアがなくなると、細胞分裂の能力がなくなるものと、考えられています。 そしてテロメラーゼとは、そのテロメアの修復をする酵素でガン細胞はこのテロメラーゼの情報を発現しているので、無限に分裂する能力があると考えられています。 さて話はだいぶそれましたが、そういうことで進行ガンの手術は、どうしても拡大手術になりがちです。 拡大手術とは、身体にとってみれば、大けがをしたのと同じことなので、激しい免疫抑制が起こります。術後の感染症が即命取りになるのは、このためです。 また人間には、組織再生の能力があまり強くないので、手術の後遺症は、一生つきまとうことになります。それでも術後1カ月もすると、かなり体力も回復してきます。そしてたいていの場合、この時期から抗ガン剤治療が行なわれます。これは手術による取り残しのガンや、すでに転移しているガン、さらに多重ガンの可能性に対して行なわれる、全身的な治療法です。 しかしこの抗ガン剤が、手術後せっかく回復してきた身体に、また強烈なダメージを与えるものなのです。最初の抗ガン剤は、毒ガス兵器であるマスタードガスを基に作られました。 もともと人間を殺傷する目的で作られたものなのですから、その毒性が極めて高いのは当然です。 抗ガン剤がどのような仕組みでガン細胞に作用するかというと、分裂を阻止してガン細胞にアポトーシスにおいこむ効果があるといえます。細胞は分裂する時、DNAを複製しますが、この時普段は固く結合しているDNAの二本鎖が一本ずつにわかれます。複製はこの一本ずつになったDNAに新たなDNAが相補的に作られていくことで、行なわれでいきます。 抗ガン剤はこのタイミングで作用し、DNAの複製を阻止することで、ガン細胞をアポトーシスにおいこむわけです。 細胞には細胞周期というものがあり、蛋白質を合成したり、染色体を形成したりと、いろいろな行程をふみ、分裂します。抗ガン剤はこの中のDNA合成期に作用します。 細胞はだいたい1日に1回分裂する能力があるのだそうですが、全てのガン細胞が同調して分裂するわけではありません。ですから抗ガン剤を投与するタイミングによっては、まったく効果のでない細胞も多数存在するわけです。 しかも細胞には日周リズムがあり、夜にDNA合成期を迎えることが多いそうですが、抗ガン剤投与は夜行なわれることは、ほとんどありません。つまり抗ガン剤ではガン細胞の数は減らせるが、全滅させるのは不可能だといえるのです。もちろん強い薬を長時間使用すればほとんど全滅させることも可能でしょうが、それでは自分の身体のほうがもたないのです。 それは抗ガン剤がガン細胞だけに作用してくれれば良いのですが、分裂する全ての細胞に、作用してしまうのです。ですから抗細胞分裂剤とよぶべきものです。 人間は、成長期はもちろん、大人になってからも、生体維持のため新陳代謝をします。古くなった細胞は、寿命がくるとアポトーシスを起こして死に、最終分化一つ手前の細胞が分裂をして、その補充をします。 抗ガン剤はこの分裂、補充をする細胞にも作用してしまうのです。ちなみに脳細胞や神経細胞、心臓の筋肉の細胞などは組織形成後には分裂しないので、抗ガン剤は作用しません。(同時にこういう細胞には、ガンが発生しません) しかし身体の中でも特に活発に分裂する細胞、毛根の細胞や胃、腸の粘膜の細胞、血液を作る骨髄幹細胞などには、大きなダメージを与えてしまいます。 抗ガン剤を使うと脱毛したり、激しい嘔吐や下痢などをしたりするのは、このためです。また血液を作る骨髄幹細胞も攻撃するので、免疫抑制は三大療法の中でも、一番強く起こります。 また腎機能や肝機能も、損なわれていきます。抗ガン剤のダメージからの回復は、正常細胞のほうがガン細胞より早いので、できるだけ間隔をあけずに、投与するのが最良の方法と考えられているようです。 確かに1回の抗ガン剤治療でガン細胞を全滅させることは不可能なので、ガン細胞が再び大きくなる前に、次々と抗ガン剤を投与すれば、ガンに与えるダメージは非常に大きくなり、ガン細胞は大幅に縮小するでしょう。 しかし全滅させることは不可能なのですが、どんな検査をしても、みつからないほど小さくすることは可能です。 「あ~、それならいいんじゃない? とりあえず見えなくなるほど小さくなったということなら……」 確かにその通りです。しかし間隔をあけずに治療をするというのでは、いくら正常細胞のほうが立ち直りが早いとはいっても、回を重ねるたびに全体的なダメージは蓄積されていきます。 特に若い女性にとっては、脱毛による精神的なショックは大変なものでしょうし、吐き気や下痢で食欲不振にもなるでしょう。そしてなにより、ガンと闘う免疫力が著しく落ちてしまうのです。ですからせっかく抗ガン剤でガンを減らしても、免疫力が落ちたことにより、体内でガンと闘う力が弱くなり、再びガン細胞の増殖を許してしまう結果にもなりかねないのです。 このようにならないために大事なことは、なんといってもあなたの「気力」と「体力」です。 「こんなことで負けるものか! 絶対にガンを治してやる!」という強い気持ちと元気があれば、良い結果がでることも多くなるのです。 そしてこの苦しい抗ガン剤治療を、無事乗り越えると、あとは定期的に検査を受け、5年間何ごともなければ、一応あなたのガンは完治したと考えられます。 おめでとうございます。しかし忘れないでください。それはあなたの身体からガン細胞が完全に消えたわけではなく、単に検査でみつからないような大きさになったということなのです。ですから再発を防ぐためにも、ライフスタイルをかえる努力と、健康食品をとることは、続けたほうが良いと思います。 話は少し戻りますが、抗ガン剤の苦しさは、いくら気力があっても体力がもたないこともあるほどです。 そのような時は、逆に、勇気を持って先生に抗ガン剤治療をやめてもらうか、治療の間隔をあけてもらうように、たのんでみることも必要かと思います。 すると先生は、 「もう少しがんばればあなたのガンはよくなりますよ。」 などと言って、あまり間隔をあけずに抗ガン剤をうちたがる例が多いようですが、自分の身体のこと、つまり自覚症状は自分にしかわかりません。いくら検査で数値が良くとも、あなたが本当にしんどいと思ったら、勇気を持って先生に言うべきです。 それは弱気ではありません。逆にしんどいと思っても何も言わず治療を続けてしまうほうが、弱気といえるのではないでしょうか。私は妻の時あまりに副作用がひどいので、 「なんとかなりませんか?」 と相談にいったら、先生は即座に、抗ガン剤治療からホルモン療法に、切り替えてくれました。(ホルモン療法はガンの進行をおさえるねらいの治療法なので、あまり副作用はありません) その時はあまり簡単に変更されたので、逆に不安にもなりましたが、今にして思うと、この先生の判断はとても素晴らしく、本当に名医だと思います。 娘の時は、ガンが転移していることがわかり、体重もどんどん落ちてきている状態での抗ガン剤治療を、できるだけ間隔をあけてもらうような方向で頼みました。間隔をあけ、できる限り外泊の機会を増やしてもらい、体力の回復を第一に考えていたのです。外泊には車椅子を使うほどでしたが、それでも娘は家にいる時は、病院にいる時より、格段に元気そうで食欲も旺盛になりました。 二人とも現在はとても元気で、普通の生活をしています。(身体にガン細胞はありますが、) 正解は神のみぞ知ることですが、時には先生の治療方針に、意見をするくらいの気力も必要だと、感じています。 進行ガンで手術をする場合、このように術後に抗ガン剤治療を行なうことが多いと思いますが、ガンの種類によっては、術前に放射線治療を行なうこともあります。 これはガン細胞を手術前にできるだけ小さくして、手術における患者さんの負担を、できるだけ小さくするのが主な目的です。 放射線療法とは、高エネルギーの粒子をガン細胞に照射し、ガン細胞にアポトーシスを起こさせる治療法です。 細胞に高エネルギーの粒子があたるとDNAに損傷がおきます。ある程度のレベルまでは細胞の自己修復能力によって、この損傷は治されますが、エネルギーが強くなるにしたがい、修復しきれない異常な細胞がでてきます。そしてさらにエネルギーが強くなると、細胞はもはや修復をあきらめて、アポトーシスを起こして死んでしまいます。 中程度の放射線をあびると、細胞がガン化する確率は格段にあがりますし、高レベルの放射線を全身にあびると、人間は即死してしまいます。放射線療法は高レベルの放射線をガン細胞だけにあてて、ガン細胞だけを死滅させるのが、ねらいです。 現在では技術的に大変進歩して、ほとんどガン細胞だけを狙い撃ちすることが可能になってきているそうです。それでも上皮をはじめ、どうしても正常細胞にも損傷を与えてしまいます。 またガン細胞といえども、もともとは自分の身体の一部なので、それに損傷を与えるということは、やはり免疫抑制は起こります。 そしていくら技術が進歩したといっても、事故がまったくおきないとは、言いきれないようです。さらに専門の医師や技術者も不足していると、聞いています。 今述べた、手術、抗ガン剤治療、放射線治療が現代医学のガンに対する、三大療法といわれています。それぞれに特色のある治療法なのですが、共通点もあります。 その一つ目は、ガン細胞を縮小させる能力が強いということです。 どの治療法もガン細胞に、直接的な攻撃をします。0にすることは不可能ですが、検査でみつからないような大きさにすることは可能です。 二つ目の共通点は、どの治療法も、身体の元気を損なうという、欠点を持っていることです。 つまり、免疫抑制が起こってしまうのです。 特に抗ガン剤治療の場合は、血液を作る骨髄幹細胞を直接攻撃するので、三大療法の中でも、免疫抑制は一番強いといえるでしょう。このためせっかくガン細胞が縮小しても、免疫力の落ち込みにより、元以上の勢いで、元以上の大きさになることも、充分ありえるのです。 仮にこのような事態になった場合には、最悪の結果を覚悟しなければならない可能性が、非常に高くなります。また免疫抑制により、感染症など他の病気にかかる危険性も、増してしまいます。これが三大療法一番の問題点で、治療をしたために逆に命を縮めるという結果になるリスクがあるのです。ですから治療による免疫力の落ち込みを、最小限にくいとめるためにも、患者側の免疫療法が非常に重要になるのです。 三つ目の共通点は、これは三大療法に限らず、どの治療法についても、いえることなのですが、治療技術が日進月歩で向上しているということです。 つまり今は難しくても、明日になれば、有効な治療法がみつかることもあるのです。(たとえば5年後をメドにレーザー針による、温熱療法が実用化するというニュースもありました。)そのために時間をかせぐ、つまり延命をする、それもできれば元気な状態で延命をするというのは、特にガン治療において、大きな意味を持っているのです。 そういう観点からいくと、この段階でも病院での治療を受けずに、免疫療法だけでガンに対応するという選択肢もあるのです。 たとえば仕事の都合や、経済的な理由、また家庭の事情等で、病院での長期間の治療を受けるのが困難な人が、免疫療法で元気な状態で延命をし、条件がある程度おりあったところで、病院での治療を受けるというようにです。 しかもその時には、現在よりもさらに進んだ、安全で確実な治療法が、確立されているかもしれないのです。 「でもその免疫療法だけで、元気な状態で延命するというのは、可能なのか?」 それは良いところに気がつきましたね。確かに初期や早期のガンと違って、この段階のガンには免疫力の増強だけで、ガン細胞の増殖をおさえるのは、難しいかもしれません。いくらリラックスした状態を長く保てば良い、とわかっていても、日々の生活の中でそれが許されない状況がでてくることもあるでしょう。 特にあなたくらいの年齢になると、仕事においても家庭においても、責任ある行動を迫られることも多くなり、否応なしにストレス状態にさらされる可能性も強いと思います。そこで健康食品を、より抗ガン性の高いものにする、必要があるかもしれません。 その一例として、阿部博幸先生の時間差療法をお奨めします。(詳しくは阿部博幸先生著の『秋ウコン、アガリクス、フコイダンの時間差療法』をぜひお読みください。) これは秋ウコン、アガリクス、フコイダンという3種類の抗ガンサプリメントを、それぞれの特色を活かし、また人間の日周リズムまで考えて、朝昼晩と飲み分ける治療法です。 今の元気な娘があるのは、この先生の本のおかげだと、断言できます。(娘にはこの他キトサンとドクタートロンという電子医療機器を使っています。) 私のような素人がこの先生の本の解説をすること自体、失礼の極みなのですが、とりあえず各サプリメントの飲む時間と、ガンに対する効能を書いておこうと思います。 まず「秋ウコン」(植物)です。 これは抗血管新生の作用を、おもに担当します。ガン細胞はある程度の大きさになると、栄養と酸素を補給するために、自分専用の血管を作る能力があるのだそうです。秋ウコンには、この血管新生を阻害する効果があるのだそうです。そしてこの血管新生は、朝活発に起こるので、秋ウコンを飲む時間帯は“朝が一番有効”であると、書かれています。 そして「アガリクス」(キノコ)です。 これは免疫力増強の仕事が主になります。キノコ類は、免疫力増強の効果のある、抗ガンサプリメントも非常に多いのですが、阿部先生はその中でも、アガリクスをお奨めになっています。これは人間の免疫力が落ち込みだす“昼に飲む”のが最良だということです。 最後に「フコイダン」(海藻)です。 これにはガン細胞にアポトーシスを起こさせるという、特殊な能力があるのだそうです。しかも正常な細胞には一切作用しない、つまり副作用のまったくない、まさに夢のような抗ガンサプリメントなのです。ガン細胞は夜おもに増殖するので、フコイダンは“寝る前に飲め”ばいいと、書かれています。 この秋ウコン、アガリクス、フコイダンによる、時間差療法は必ずや、あなたのガン治療に大きな効果をもたらすことを、信じています。 「なんだ、そんないい治療法があったのか! それなら最初からそれでいけばいいのじゃないのか?」 おっしゃる通りです。ガンは早ければ早いほど治る確率は高くなります。つまり早期治療はガンを克服するうえで、最も大切なことだと思います。 「アンタさっき早期発見、早期治療が、ガン患者を増やしていると、言ってなかったか?」 良く覚えてますね。確かに三大療法は全て免疫抑制を起こす、つまり身体から元気を奪い取る治療法なので、素早く治る可能性も高いが、今より悪くなる恐れもあると言いました。 しかしこの時間差療法をはじめとする免疫療法には、副作用がなく、身体に元気を与えて、ガンと闘う治療法です。だから少なくとも、やらないよりは、やったほうがいいという治療法です。しかしそれにもまったく問題がない、というわけではありません。 現在市場では、数多くの種類の抗ガンサプリメントが出回っています。 アガリクス一つにしても、何十種類もの商品が、陳列されています。 そのうちのどれを選ぶべきかは、私たちにはなかなか判断ができません。薬ではないので、効能を書くことは禁止されています。成分は書かれていますが、われわれ素人には、それを見ても良くわかりません。 おのずと一番わかりやすい値段で選ぶことが多くなります。これが正直あまり安い買い物ではないのです。なぜかというとあまり値段が安いと、ほんとに効き目があるのだろうかと、まるで根拠のない心配をし、ついついそれなりの価格のものを購入するようになります。 また、健康保険も適用されず、医療費控除の対象にもなりません。ですから本当は予防のためにも、あなたくらいの年齢になれば、飲み始めていただきたいのですが、経済的に少しどうかと思います。 そこでガン患者側として、切なる願いごとがあります。それはこの種の健康食品を、薬に準ずるものとして、扱ってほしいのです。抗ガン作用が強い、確かな商品については、健康保険が適用され、医療費控除の対象となるような。そうすれば当然品質管理も厳しくなるので、よりよい商品が、より安い価格で、われわれに提供されることになるでしょう。 そのためには、ぜひ医療機関による専門的な研究が必要です。最近は健康食品をとり入れたガン治療をしてくださる病院も、だいぶ増えてきたように本には書いてあります。 しかし私の娘や妻がお世話になっている病院では、このような健康食品に、ほとんど興味を示されることはありません。特に娘は現代医学が見放したほどの症状だったのが、学校に普通に通えるまでに回復しているのですから…。健康食品がなんらかの効果があることは、もはや疑いようのない事実です。 それなのになぜか先生達は、健康食品の話題をまるでとりあげようとしません。私にはこれがとても、残念でかつ不思議です。 本来医師とは、患者の病気を治すのが仕事です。まして大学病院(娘がお世話になっている病院です)ともなれば、より多くの同じ病気で苦しんでいる患者さんのために、研究することを義務づけられている機関であると思います。 それなのにあと半年か1年と診断した娘が、1年2カ月後の現在、元気で学校に通っているという事実に対して、もっと興味を示し、研究する必要があるのではないでしょうか。 娘と同じ病気で苦しんでいる方は、全国に何万人といらっしゃるでしょう。そのうちの何%かの方でも、娘と同じ治療をすれば、健康になる可能性があると思います。 私はけっして娘が奇跡の子だとは思っていません。ごく普通の娘が、それなりのことをした結果が、現在の状態になっているだけだ、と思っています。 医療機関としても、私たちが娘にしてきたことを、真剣に研究していただければ、娘と同じ病気で苦しんでいる方、いえ、もしかすると全てのガン患者さんのために、大いなる力になると確信しています。 そうなれば、よりよい健康食品をより安価で求められる、いえ、欲をいえば病院で処方してもらえるようになれば、私たちガン患者側の負担も、かなり軽くなるとは思うのですが、どうでしょう? (2005年5月4日)
それでは次にあなたの身体に何か症状がでて、病院に行きガンと診断された場合を考えてみましょう。 たとえばいつも胸焼けけがしたり、空腹時に胃が痛くなったり、食欲が落ちたりして、ちょっと心配になり病院に行き、下された診断が胃ガンだったとしましょう。 この場合あなたは残念ながら、すでに進行ガンの可能性が高いのです。胃ガンは初期や早期ではあまり症状がでることはないそうです。また症状がなくても、進行ガンということもあります。それがあなたの場合、自覚症状が三つもあるので進行ガンと考えたほうが良いでしょう。 このような時自分のガンの進行度を大雑把に知ることができます。医者が手術を勧めるか、否かにより、進行度の目安がつくのです。もちろんガンはできる部位により、手術のしにくいところもありますので、一概には言えませんが、もし医者から手術を勧められた場合は、完治の可能性がある、つまり進行ガンでも比較的軽い段階だと、いえると思います。 この場合でもあなたの選択肢は二つです。一つはガンを小さくすることを主体に治癒する方法、もう一つはガンをこれ以上大きくしないことを主体に考えるの二通りです。 「そりゃやっぱりガンは小さくなって欲しいよなぁ、できればきれいになくなってくれれば、いいのだが」 そうそれが普通の考え方だと思います。現代医学もその考えに沿って治癒を進めていくはずです。胃ガンに限らず現代医学は、ガン治癒を手術を中心に方針をたてます。手術でガン細胞を全部取り除ければ、ガンは完治するという実に明解な考え方です。 「そりゃそうだ。ガン細胞が全部なくなれば、俺の体は元の健康な状態に戻るはずだ。」 おっしゃる通りです。しかし進行ガンともなると、ガンはある程度の拡がりが予想されます。 大きなガン細胞の塊が一つではなく、その周辺にポツポツと小さな腫瘍が多数あるという状況が多いようです。 この小さな腫瘍は外からの検査では、見つけるのは困難でしょう。このような時肉眼ではみえないようなガン細胞も、発生していると考えられます。 執刀医は長年の勘と経験でここらへんまでガン細胞が拡がっているだろうと、思われる部位を切除します。当然のこととして、切除する部分が大きければ大きいほど、ガン細胞が残存する可能性は低くなります。また切除する部分が小さければ小さいほど、患者さんの術後の体力消耗度は軽くなることになります。 つまりできるだけ最小限度で、ガン細胞を全て取り除くことがガン手術の命題になります。 ところが、ガン細胞と正常細胞を見分けるのは非常に難しいことなのです。ある程度の塊になればその部分は細胞本来の機能をしていないので、正常な部分との区別はつきます。しかし細胞一つ一つのレベルになると、たとえ顕微鏡でみても、ガン細胞と正常細胞を判別することはとても困難なのだそうです。 この部分を少し考えてみましょう。そもそもガン細胞とはどんな細胞なのでしょうか? 「そりゃ、ほっておけばどんどん大きくなってあちこちに転移してしまう悪い細胞だろ?」 そうだいたい本には、遺伝子の異常により、細胞増殖のコントロールがきかなくなる状態、という意味のことが書かれています。増殖のコントロールがきかないということは、いつまでも増殖し続けるということなので、どんどん大きくなるというあなたの答えは正解です。 細胞は二つに分裂することで増殖していきます。基本的には、もともとの細胞(母細胞)と、新しく生まれる細胞(娘細胞)は同一です。 細胞の形質を決めているのは遺伝子です。細胞は分裂する際、遺伝子を複製してそれぞれの細胞(母細胞と娘細胞)にわけます。この複製はミスのないように、慎重に行なわれます。しかしもしまったくミスがないとすると、この地球上に最初に生まれた生物は、単細胞生物だと考えられていますが、現在でもその同じ単細胞生物しか、この地球上にはいないことになってしまいます。 ということはどこかで遺伝子の複製ミスが起きていて、それが現在、地球上の生物の多様化につながっているのです。 人間はそれから、はるかに進化した多細胞生物です。成体になると約60兆個もの、細胞からできているといわれています。そして最初はたった1個の受精卵からスタートします。1個が2個、2個が4個、4個が8個というように分裂して、その数を増やしていきます。分裂のたびに遺伝子は正確に複製されていきます。受精卵の遺伝子も80歳のおばあちゃんの、皮膚の細胞の遺伝子も、基本的には同じものです。 ここで遺伝子イコールDNAと思っている方も多いと思いますが、実はちょっと違います。DNAの中で実際に遺伝をつかさどっている部分を遺伝子とよび、人間では全DNAの5%以下しかないそうです。 蛋白質の元となるアミノ酸を指定する暗号を持っている部分をエクソンといい、その前後にRNAがその情報を読む時のための制限領域があり、さらに両端には、分裂能力の限界に深く関わっていると思われているテロメアの領域があります。そしてさらにわけのわからないイントロンという部分もあり… 「あの~すみません、わけのわからないのはこっちなんですが…」 これは失礼致しました。わかりやすくお話ししましょう。 受精卵から成長していく過程で細胞は分裂をしていきますが、この時DNAは、ほぼ正確に複製されていきます。そして成長の過程で、細胞はいろいろな姿に変化していきます。 たとえば、皮膚の細胞、神経細胞、胃の粘膜の細胞、生殖細胞という具合にです。これを分化とよびますが、ここで重要なことは、どの細胞もDNAは、基本的に同一ということです。 それでは何が原因でこのように、いろいろな姿に分化していくかというと、DNAに書かれている遺伝情報(これが遺伝子です)を元に、生物の形質を決める蛋白質が作られるのですが、どの遺伝子をどのくらい読むかにより、その細胞の形質が変わってくるのです。 それを決める遺伝子もDNA上にあり、その情報が発現すると、次々と連鎖反応的に細胞の形質を決める遺伝子が情報発現(誘導)し、だんだんにその生物特有の姿になっていくのです。 その誘導因子の発現する順序は非可逆的で、たとえば消化器系の元となる細胞、胃の元になる細胞、胃の粘膜の元になる細胞、と順々に分化し、最終的に胃の粘膜の細胞になり、粘膜としての機能をはたしてゆくのです。 最終的な機能を持った細胞は、もはや分裂することなく、自分の役目が終わったらアポトーシス(細胞自殺)を起こして、自ら死んでいきます。 このことからガン細胞とは、分裂する能力を放棄し、最終的な機能を果たすべき細胞が、遺伝子の異常により、分裂能力を棄てきれずにいる細胞と考えられるのではないでしょうか? しかし仮にそのような細胞ができても、細胞が分裂できる回数の限度は、テロメアによって制限されます。 これではまだ無限に分裂増殖するガン細胞とは言えません。 つまりガン細胞とは、さらにもう一つテロメアを再生するテロメラーゼという酵素を作る遺伝子の情報を発現させてしまっている細胞のことをいうのではないでしょうか。 これらの異常な遺伝子を発ガン遺伝子とよんでいるようですが、分裂する能力をすてさせない遺伝子とは、成長時とか新陳代謝の時に必要な、細胞の増殖に関わる遺伝子と考えられますし、テロメラーゼを作る遺伝子は、骨髄幹細胞や、小腸の粘膜細胞のように、活発に分裂する細胞では、必ず発現している遺伝子だと思われます。 するとガンとは遺伝子の異常によって起こるのではなく、遺伝子を発現させるタイミングが、狂った細胞といえるような気がします。そうするとガン細胞も正常な細胞も、遺伝子自体には変化がないので、両者を簡単に区別できないのは、当然のことでしょう。 ただガン細胞は、おそらく充分な準備をしないうちに、必要以上に分裂してしまうので、栄養不足で分裂することになるのではないでしょうか? そのため分裂を重ねるたびに少しずつ、形質の変化が大きくなっていってしまうのではないでしょうか? ここでもう一つ大事なのは、先ほどガン細胞は1日に数千から数万個も発生すると書きましたが、ということはこのあやまりは、ある程度普遍的に生じるものであると、考えられます。 正常な細胞の遺伝子の発現量が異なるだけで、ガン細胞になるのですから、どうしてもある程度のミスは、避けられないのでしょう。 生物は総じて、「ミスが出るのならしようがない。そのミスを修復する機構を新たに身につけよう」、という方法で進化してきました。そのミスが新たな進化を生む可能性もあるわけですから。下等な動物は主に、大量生産のシステムでこのミスを補ってきたような気がします。 少々不良品がでても問題にならないほどの数で、種の維持をしてきたのです。しかし高等な動物、特に哺乳類ともなると、一度にできる子供の数は限られてきますので、新たなミスを修復する機構が必要になったと思われます。 それが新しい免疫機構、リンパ球による異物処理の能力なのではないでしょうか? 以上のことがある程度正しいとすると、ガンに対する治療の方向性が見えてくるような気がします。まあ簡単にいうとこんな感じだと思うのですが、わかりましたでしょうか? 「ZZZ…あ、うん、だいたいわかったよ。でもテロメアってなんなの?」 これは、これは、ほとんど寝てたくせに、進行上とてもいい質問をなさいますね。 テロメアとは、染色体の両端についている、DNA塩基の繰り返し構造で、DNAが環状だった頃(原核細胞)の、のりしろの部分で、相補的な一本鎖のDNAだと、考えられています。 多細胞生物ではこのテロメアを、細胞分裂の回数のカウンターとして、使っているようで、分裂のたびごとに少しずつ短くなり、テロメアがなくなると、細胞分裂の能力がなくなるものと、考えられています。 そしてテロメラーゼとは、そのテロメアの修復をする酵素でガン細胞はこのテロメラーゼの情報を発現しているので、無限に分裂する能力があると考えられています。 さて話はだいぶそれましたが、そういうことで進行ガンの手術は、どうしても拡大手術になりがちです。 拡大手術とは、身体にとってみれば、大けがをしたのと同じことなので、激しい免疫抑制が起こります。術後の感染症が即命取りになるのは、このためです。 また人間には、組織再生の能力があまり強くないので、手術の後遺症は、一生つきまとうことになります。それでも術後1カ月もすると、かなり体力も回復してきます。そしてたいていの場合、この時期から抗ガン剤治療が行なわれます。これは手術による取り残しのガンや、すでに転移しているガン、さらに多重ガンの可能性に対して行なわれる、全身的な治療法です。 しかしこの抗ガン剤が、手術後せっかく回復してきた身体に、また強烈なダメージを与えるものなのです。最初の抗ガン剤は、毒ガス兵器であるマスタードガスを基に作られました。 もともと人間を殺傷する目的で作られたものなのですから、その毒性が極めて高いのは当然です。 抗ガン剤がどのような仕組みでガン細胞に作用するかというと、分裂を阻止してガン細胞にアポトーシスにおいこむ効果があるといえます。細胞は分裂する時、DNAを複製しますが、この時普段は固く結合しているDNAの二本鎖が一本ずつにわかれます。複製はこの一本ずつになったDNAに新たなDNAが相補的に作られていくことで、行なわれでいきます。 抗ガン剤はこのタイミングで作用し、DNAの複製を阻止することで、ガン細胞をアポトーシスにおいこむわけです。 細胞には細胞周期というものがあり、蛋白質を合成したり、染色体を形成したりと、いろいろな行程をふみ、分裂します。抗ガン剤はこの中のDNA合成期に作用します。 細胞はだいたい1日に1回分裂する能力があるのだそうですが、全てのガン細胞が同調して分裂するわけではありません。ですから抗ガン剤を投与するタイミングによっては、まったく効果のでない細胞も多数存在するわけです。 しかも細胞には日周リズムがあり、夜にDNA合成期を迎えることが多いそうですが、抗ガン剤投与は夜行なわれることは、ほとんどありません。つまり抗ガン剤ではガン細胞の数は減らせるが、全滅させるのは不可能だといえるのです。もちろん強い薬を長時間使用すればほとんど全滅させることも可能でしょうが、それでは自分の身体のほうがもたないのです。 それは抗ガン剤がガン細胞だけに作用してくれれば良いのですが、分裂する全ての細胞に、作用してしまうのです。ですから抗細胞分裂剤とよぶべきものです。 人間は、成長期はもちろん、大人になってからも、生体維持のため新陳代謝をします。古くなった細胞は、寿命がくるとアポトーシスを起こして死に、最終分化一つ手前の細胞が分裂をして、その補充をします。 抗ガン剤はこの分裂、補充をする細胞にも作用してしまうのです。ちなみに脳細胞や神経細胞、心臓の筋肉の細胞などは組織形成後には分裂しないので、抗ガン剤は作用しません。(同時にこういう細胞には、ガンが発生しません) しかし身体の中でも特に活発に分裂する細胞、毛根の細胞や胃、腸の粘膜の細胞、血液を作る骨髄幹細胞などには、大きなダメージを与えてしまいます。 抗ガン剤を使うと脱毛したり、激しい嘔吐や下痢などをしたりするのは、このためです。また血液を作る骨髄幹細胞も攻撃するので、免疫抑制は三大療法の中でも、一番強く起こります。 また腎機能や肝機能も、損なわれていきます。抗ガン剤のダメージからの回復は、正常細胞のほうがガン細胞より早いので、できるだけ間隔をあけずに、投与するのが最良の方法と考えられているようです。 確かに1回の抗ガン剤治療でガン細胞を全滅させることは不可能なので、ガン細胞が再び大きくなる前に、次々と抗ガン剤を投与すれば、ガンに与えるダメージは非常に大きくなり、ガン細胞は大幅に縮小するでしょう。 しかし全滅させることは不可能なのですが、どんな検査をしても、みつからないほど小さくすることは可能です。 「あ~、それならいいんじゃない? とりあえず見えなくなるほど小さくなったということなら……」 確かにその通りです。しかし間隔をあけずに治療をするというのでは、いくら正常細胞のほうが立ち直りが早いとはいっても、回を重ねるたびに全体的なダメージは蓄積されていきます。 特に若い女性にとっては、脱毛による精神的なショックは大変なものでしょうし、吐き気や下痢で食欲不振にもなるでしょう。そしてなにより、ガンと闘う免疫力が著しく落ちてしまうのです。ですからせっかく抗ガン剤でガンを減らしても、免疫力が落ちたことにより、体内でガンと闘う力が弱くなり、再びガン細胞の増殖を許してしまう結果にもなりかねないのです。 このようにならないために大事なことは、なんといってもあなたの「気力」と「体力」です。 「こんなことで負けるものか! 絶対にガンを治してやる!」という強い気持ちと元気があれば、良い結果がでることも多くなるのです。 そしてこの苦しい抗ガン剤治療を、無事乗り越えると、あとは定期的に検査を受け、5年間何ごともなければ、一応あなたのガンは完治したと考えられます。 おめでとうございます。しかし忘れないでください。それはあなたの身体からガン細胞が完全に消えたわけではなく、単に検査でみつからないような大きさになったということなのです。ですから再発を防ぐためにも、ライフスタイルをかえる努力と、健康食品をとることは、続けたほうが良いと思います。 話は少し戻りますが、抗ガン剤の苦しさは、いくら気力があっても体力がもたないこともあるほどです。 そのような時は、逆に、勇気を持って先生に抗ガン剤治療をやめてもらうか、治療の間隔をあけてもらうように、たのんでみることも必要かと思います。 すると先生は、 「もう少しがんばればあなたのガンはよくなりますよ。」 などと言って、あまり間隔をあけずに抗ガン剤をうちたがる例が多いようですが、自分の身体のこと、つまり自覚症状は自分にしかわかりません。いくら検査で数値が良くとも、あなたが本当にしんどいと思ったら、勇気を持って先生に言うべきです。 それは弱気ではありません。逆にしんどいと思っても何も言わず治療を続けてしまうほうが、弱気といえるのではないでしょうか。私は妻の時あまりに副作用がひどいので、 「なんとかなりませんか?」 と相談にいったら、先生は即座に、抗ガン剤治療からホルモン療法に、切り替えてくれました。(ホルモン療法はガンの進行をおさえるねらいの治療法なので、あまり副作用はありません) その時はあまり簡単に変更されたので、逆に不安にもなりましたが、今にして思うと、この先生の判断はとても素晴らしく、本当に名医だと思います。 娘の時は、ガンが転移していることがわかり、体重もどんどん落ちてきている状態での抗ガン剤治療を、できるだけ間隔をあけてもらうような方向で頼みました。間隔をあけ、できる限り外泊の機会を増やしてもらい、体力の回復を第一に考えていたのです。外泊には車椅子を使うほどでしたが、それでも娘は家にいる時は、病院にいる時より、格段に元気そうで食欲も旺盛になりました。 二人とも現在はとても元気で、普通の生活をしています。(身体にガン細胞はありますが、) 正解は神のみぞ知ることですが、時には先生の治療方針に、意見をするくらいの気力も必要だと、感じています。 進行ガンで手術をする場合、このように術後に抗ガン剤治療を行なうことが多いと思いますが、ガンの種類によっては、術前に放射線治療を行なうこともあります。 これはガン細胞を手術前にできるだけ小さくして、手術における患者さんの負担を、できるだけ小さくするのが主な目的です。 放射線療法とは、高エネルギーの粒子をガン細胞に照射し、ガン細胞にアポトーシスを起こさせる治療法です。 細胞に高エネルギーの粒子があたるとDNAに損傷がおきます。ある程度のレベルまでは細胞の自己修復能力によって、この損傷は治されますが、エネルギーが強くなるにしたがい、修復しきれない異常な細胞がでてきます。そしてさらにエネルギーが強くなると、細胞はもはや修復をあきらめて、アポトーシスを起こして死んでしまいます。 中程度の放射線をあびると、細胞がガン化する確率は格段にあがりますし、高レベルの放射線を全身にあびると、人間は即死してしまいます。放射線療法は高レベルの放射線をガン細胞だけにあてて、ガン細胞だけを死滅させるのが、ねらいです。 現在では技術的に大変進歩して、ほとんどガン細胞だけを狙い撃ちすることが可能になってきているそうです。それでも上皮をはじめ、どうしても正常細胞にも損傷を与えてしまいます。 またガン細胞といえども、もともとは自分の身体の一部なので、それに損傷を与えるということは、やはり免疫抑制は起こります。 そしていくら技術が進歩したといっても、事故がまったくおきないとは、言いきれないようです。さらに専門の医師や技術者も不足していると、聞いています。 今述べた、手術、抗ガン剤治療、放射線治療が現代医学のガンに対する、三大療法といわれています。それぞれに特色のある治療法なのですが、共通点もあります。 その一つ目は、ガン細胞を縮小させる能力が強いということです。 どの治療法もガン細胞に、直接的な攻撃をします。0にすることは不可能ですが、検査でみつからないような大きさにすることは可能です。 二つ目の共通点は、どの治療法も、身体の元気を損なうという、欠点を持っていることです。 つまり、免疫抑制が起こってしまうのです。 特に抗ガン剤治療の場合は、血液を作る骨髄幹細胞を直接攻撃するので、三大療法の中でも、免疫抑制は一番強いといえるでしょう。このためせっかくガン細胞が縮小しても、免疫力の落ち込みにより、元以上の勢いで、元以上の大きさになることも、充分ありえるのです。 仮にこのような事態になった場合には、最悪の結果を覚悟しなければならない可能性が、非常に高くなります。また免疫抑制により、感染症など他の病気にかかる危険性も、増してしまいます。これが三大療法一番の問題点で、治療をしたために逆に命を縮めるという結果になるリスクがあるのです。ですから治療による免疫力の落ち込みを、最小限にくいとめるためにも、患者側の免疫療法が非常に重要になるのです。 三つ目の共通点は、これは三大療法に限らず、どの治療法についても、いえることなのですが、治療技術が日進月歩で向上しているということです。 つまり今は難しくても、明日になれば、有効な治療法がみつかることもあるのです。(たとえば5年後をメドにレーザー針による、温熱療法が実用化するというニュースもありました。)そのために時間をかせぐ、つまり延命をする、それもできれば元気な状態で延命をするというのは、特にガン治療において、大きな意味を持っているのです。 そういう観点からいくと、この段階でも病院での治療を受けずに、免疫療法だけでガンに対応するという選択肢もあるのです。 たとえば仕事の都合や、経済的な理由、また家庭の事情等で、病院での長期間の治療を受けるのが困難な人が、免疫療法で元気な状態で延命をし、条件がある程度おりあったところで、病院での治療を受けるというようにです。 しかもその時には、現在よりもさらに進んだ、安全で確実な治療法が、確立されているかもしれないのです。 「でもその免疫療法だけで、元気な状態で延命するというのは、可能なのか?」 それは良いところに気がつきましたね。確かに初期や早期のガンと違って、この段階のガンには免疫力の増強だけで、ガン細胞の増殖をおさえるのは、難しいかもしれません。いくらリラックスした状態を長く保てば良い、とわかっていても、日々の生活の中でそれが許されない状況がでてくることもあるでしょう。 特にあなたくらいの年齢になると、仕事においても家庭においても、責任ある行動を迫られることも多くなり、否応なしにストレス状態にさらされる可能性も強いと思います。そこで健康食品を、より抗ガン性の高いものにする、必要があるかもしれません。 その一例として、阿部博幸先生の時間差療法をお奨めします。(詳しくは阿部博幸先生著の『秋ウコン、アガリクス、フコイダンの時間差療法』をぜひお読みください。) これは秋ウコン、アガリクス、フコイダンという3種類の抗ガンサプリメントを、それぞれの特色を活かし、また人間の日周リズムまで考えて、朝昼晩と飲み分ける治療法です。 今の元気な娘があるのは、この先生の本のおかげだと、断言できます。(娘にはこの他キトサンとドクタートロンという電子医療機器を使っています。) 私のような素人がこの先生の本の解説をすること自体、失礼の極みなのですが、とりあえず各サプリメントの飲む時間と、ガンに対する効能を書いておこうと思います。 まず「秋ウコン」(植物)です。 これは抗血管新生の作用を、おもに担当します。ガン細胞はある程度の大きさになると、栄養と酸素を補給するために、自分専用の血管を作る能力があるのだそうです。秋ウコンには、この血管新生を阻害する効果があるのだそうです。そしてこの血管新生は、朝活発に起こるので、秋ウコンを飲む時間帯は“朝が一番有効”であると、書かれています。 そして「アガリクス」(キノコ)です。 これは免疫力増強の仕事が主になります。キノコ類は、免疫力増強の効果のある、抗ガンサプリメントも非常に多いのですが、阿部先生はその中でも、アガリクスをお奨めになっています。これは人間の免疫力が落ち込みだす“昼に飲む”のが最良だということです。 最後に「フコイダン」(海藻)です。 これにはガン細胞にアポトーシスを起こさせるという、特殊な能力があるのだそうです。しかも正常な細胞には一切作用しない、つまり副作用のまったくない、まさに夢のような抗ガンサプリメントなのです。ガン細胞は夜おもに増殖するので、フコイダンは“寝る前に飲め”ばいいと、書かれています。 この秋ウコン、アガリクス、フコイダンによる、時間差療法は必ずや、あなたのガン治療に大きな効果をもたらすことを、信じています。 「なんだ、そんないい治療法があったのか! それなら最初からそれでいけばいいのじゃないのか?」 おっしゃる通りです。ガンは早ければ早いほど治る確率は高くなります。つまり早期治療はガンを克服するうえで、最も大切なことだと思います。 「アンタさっき早期発見、早期治療が、ガン患者を増やしていると、言ってなかったか?」 良く覚えてますね。確かに三大療法は全て免疫抑制を起こす、つまり身体から元気を奪い取る治療法なので、素早く治る可能性も高いが、今より悪くなる恐れもあると言いました。 しかしこの時間差療法をはじめとする免疫療法には、副作用がなく、身体に元気を与えて、ガンと闘う治療法です。だから少なくとも、やらないよりは、やったほうがいいという治療法です。しかしそれにもまったく問題がない、というわけではありません。 現在市場では、数多くの種類の抗ガンサプリメントが出回っています。 アガリクス一つにしても、何十種類もの商品が、陳列されています。 そのうちのどれを選ぶべきかは、私たちにはなかなか判断ができません。薬ではないので、効能を書くことは禁止されています。成分は書かれていますが、われわれ素人には、それを見ても良くわかりません。 おのずと一番わかりやすい値段で選ぶことが多くなります。これが正直あまり安い買い物ではないのです。なぜかというとあまり値段が安いと、ほんとに効き目があるのだろうかと、まるで根拠のない心配をし、ついついそれなりの価格のものを購入するようになります。 また、健康保険も適用されず、医療費控除の対象にもなりません。ですから本当は予防のためにも、あなたくらいの年齢になれば、飲み始めていただきたいのですが、経済的に少しどうかと思います。 そこでガン患者側として、切なる願いごとがあります。それはこの種の健康食品を、薬に準ずるものとして、扱ってほしいのです。抗ガン作用が強い、確かな商品については、健康保険が適用され、医療費控除の対象となるような。そうすれば当然品質管理も厳しくなるので、よりよい商品が、より安い価格で、われわれに提供されることになるでしょう。 そのためには、ぜひ医療機関による専門的な研究が必要です。最近は健康食品をとり入れたガン治療をしてくださる病院も、だいぶ増えてきたように本には書いてあります。 しかし私の娘や妻がお世話になっている病院では、このような健康食品に、ほとんど興味を示されることはありません。特に娘は現代医学が見放したほどの症状だったのが、学校に普通に通えるまでに回復しているのですから…。健康食品がなんらかの効果があることは、もはや疑いようのない事実です。 それなのになぜか先生達は、健康食品の話題をまるでとりあげようとしません。私にはこれがとても、残念でかつ不思議です。 本来医師とは、患者の病気を治すのが仕事です。まして大学病院(娘がお世話になっている病院です)ともなれば、より多くの同じ病気で苦しんでいる患者さんのために、研究することを義務づけられている機関であると思います。 それなのにあと半年か1年と診断した娘が、1年2カ月後の現在、元気で学校に通っているという事実に対して、もっと興味を示し、研究する必要があるのではないでしょうか。 娘と同じ病気で苦しんでいる方は、全国に何万人といらっしゃるでしょう。そのうちの何%かの方でも、娘と同じ治療をすれば、健康になる可能性があると思います。 私はけっして娘が奇跡の子だとは思っていません。ごく普通の娘が、それなりのことをした結果が、現在の状態になっているだけだ、と思っています。 医療機関としても、私たちが娘にしてきたことを、真剣に研究していただければ、娘と同じ病気で苦しんでいる方、いえ、もしかすると全てのガン患者さんのために、大いなる力になると確信しています。 そうなれば、よりよい健康食品をより安価で求められる、いえ、欲をいえば病院で処方してもらえるようになれば、私たちガン患者側の負担も、かなり軽くなるとは思うのですが、どうでしょう? (2005年5月4日) [[つぎへ 「進行ガン後期」>>進行ガン後期]]

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