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男と女、同じヒトという生物でありながら、ちょっと違う二種類の性。 いったい何故この世の二種類の性があるのでしょう? 非常に奥深いテーマで、ここで私のようなものが、論ずるべき問題ではありません。 しかし単に生物学的な意味で考えると、それは進化に有利な方法だから、といえると思います。 前章([[第5章 進化のビックバン>第5章 進化のビックバン]])で無性生殖をする多細胞生物は非常に進化をしにくい性質があると考えました。 無性生殖は一つの生殖細胞から、新しい個体を作り出す生殖方法です。 しかもその生殖細胞は、進化しにくい保守的な細胞なのです。 仮に染色体が一対しかなければ、彼等の進化には非常に長い時間が必要であると思います。 そう、ここまでとりあげてきませんでしたが、真核細胞系の生物には、相同染色体がおおむね二対あります。 染色体とは二本鎖のDNAがヒストンというたんぱく質にまきついているもので、相同染色体とは、その構造や大きさが同じものをいいます。 いつ頃から相同染色体が二対になったかはわかりませんが、それ程不思議な現象ではありません。 現に原核細胞には、同じ塩基配列のDNAが2000対もある細胞もあります。 DNAの複製だけをして、細胞質分裂をしなければ、染色体は増えることになります。 おそらくかなり早い段階で、染色体が二対の真核細胞が現れ。それが生物にとって有利な形質を示したので、染色体が二対ある細胞だけが、繁栄してきたのだと想像されます。 自然淘汰の原理です。 つまりDNAは、ほとんど同じものが二組あることになります。 これにより細胞分裂の際のDNAの分配の仕方により、娘細胞には二つのパターンが存在することになります。 2006/04/12 (水) 22:07 テロメアの減らない保守的なDNAと、テロメアの減る革新的なDNAの二通りできるので、それを分配する時は、保守的なDNAは二つ持つ細胞と、革新的なDNAを二つ持つ細胞に分かれるか、保革合同のDNAを持つ細胞が二つできるかです。 ここまで生殖細胞は、テロメアの減らない保守的な細胞と考えてきました。 テロメアが減れば、新しくできる生物(子供)の寿命が短くなるなど、大きな形質の変化があることが予想されるからです。 しかしDNAが二対あることにより、保革合同の生殖細胞ができあがる可能性もあります。 しかしそれでもテロメアの数が減ることにはかわりないので、生殖細胞としては、不適当な気がします。 そこで一つ新しい酵素を考えます。 前章でテロメアを短い方にそろえる、ハサミのような酵素を考えましたが、今度はその逆に、長い方にそろえるノリのような酵素の存在です。 DNAを切ったりくっつけたりは、それほど珍しい現象ではありません。 この酵素があれば、保革合同でテロメアの減らない生殖細胞も、できることになります。 さらに次の世代では、革新的なDNAが二つで、テロメアの減らない生殖細胞も、できることになります。 これが無性生殖をする多細胞生物でも、進化できる大きな原因であると考えられます。 それでは有性生殖をする生物はどうでしょうか? 有性生殖をする生物の生殖細胞は、減数分裂という特別な細胞分裂をするため、染色体が一対しかありません。 そこで他の性の生殖細胞と合体することにより、染色体は二対に回復し、新しい生命が誕生するしくみになっています。 このように雄と雌の別々のDNAを混ぜ合わせるので、進化に有利な生殖方法であると、高校の参考書には書いてあります。 たしかにこれも進化のための、大きな要因であることは間違いありません。 私はもう一つの大きな要因として、有性生殖をする生物の生殖細胞は、たくさん作られるということをあげたいと思います。 2006/04/14 (金) 22:36 ヒトでいえば精子は一度の射精で、5億匹も放出されるそうですし、卵子も月に一度、約30年分は作られるのは間違いありません。(実際にはそれよりはるかに多い数が作られるそうです) 生殖細胞も例外なく、分裂によって増えるわけですので、たくさん作られるということは、数多くの分裂を経験していることになります。 分裂回数が多いということは、それだけDNAの塩基配列が、変化する確率が高くなるということです。 だから有性生殖をする生物は、進化しやすいということができます。 しかし何度も分裂を繰り返すと、それだけテロメアの数が減ることになります。 この点を次に考えていきましょう。 精子も卵子も最終的に減数分裂をして、染色体が一対の(これを核相nとよびます。それに対し、染色体が二対ある普通の細胞は、核相2nになります)細胞になります。 この細胞(卵子の場合は未受精卵と考えていいでしょう)には原則として、分裂能力はありません。 ここで原則としてというのは、実は例外があるからです。 例えばミツバチの雄は、未受精卵のまま発生して(単性生殖といいます)個体となります。 実はこの例外から非常に重要な考察をすることができます。 大多数の生物は受精により、卵子の分裂能力が復活します。 受精は核相がnから2nになる現象ですが、そのことが分裂能力の復活には、関係ないことがわかります。 卵子はテロメアを使い切って、分裂能力を失った、機能細胞と考えるべきだと思います。 しかしミツバチの雄などでは、未受精卵から完全な個体が作られるわけなのですから、この場合の未受精卵には、テロメアは完全にあると考えられます。(テロメアMAXと呼びましょう) 全く両極端の卵子です。 ミツバチの雄は、例外中の例外の生物なのでしょうか? ところがそれほど無理なく、この例外を説明する屁理屈があるのです。 2006/04/16 (日) 22:27 元々細胞には、染色体は二対あります。 生殖細胞は分裂のたびに、この二対の染色体に、片方はノリの酵素、もう片方にはハサミの酵素が発現すると、仮定します。 すると生殖細胞の染色体は、常にテロメアMAXのものと、分裂のたびにテロメアが減っていくものとが、あることになります。 そして一方のテロメアが残り1になった時、生殖母細胞になり、減数分裂をします。 減数分裂とは、DNAの複製が一回で、細胞分裂が二回の分裂方法をいいます。 つまり一つの生殖母細胞から、四つの卵子ができることになり、そのうちの二つのテロメアはMAX、残り二つのテロメアは0ということになります。 そして卵子の場合は、この四つのうち成長して未受精卵となるのは、一つだけなのです。 あとの三つは消滅してしまいます。(ちなみに精子も同じような減数分裂をしますが、四つとも成長して精子になります) これから大多数の生物の未受精卵はテロメア0、ミツバチの雄など単性生殖をするものは、テロメアMAXの卵子が生き残るという理屈になります。 一方精子の方はどうでしょう? 精子も精母細胞になるまでは、卵子と同じようにノリとハサミの酵素が発現すると思います。 そして片方の染色体のテロメアが1になった時、形質が発言して精母細胞となり、減数分裂をします。 その時のDNA複製時に、ノリの酵素が発現し、全ての精子のテロメアはMAXになると考えられます。 そして受精の瞬間、またノリの酵素が発言して、卵子のテロメアもMAXにまで、回復するのです。 そして細胞分裂が開始され、新しい生命の誕生となります。 これが私が考えた受精のシナリオの屁理屈です。 なかなか筋がとおっていると思うのですが、どうでしょう? 2006/04/17 (月) 22:28 ところでヒトの場合を例にして考えると、少しおもしろい数字の一致があります。 生殖細胞は、受精卵から最も早く、体細胞系と分化する細胞です。(ですから精子も卵子も分化全能性を維持し、体細胞系による獲得形質が遺伝しないのです) ですから最も早く機能細胞になるはずなのですが、実際にはそれまで10年以上かかるようです。(初潮を機能細胞の完成と考えると) 分裂の途中で、時期がくるのを待機しているようです。 おもしろい数字の一致とは、男性の場合一度の射精で、約5億匹の精子を放出するといわれています。 ちなみにちょっと計算してみたところ、2の28乗が268,435,456で、2の29乗が536,870,912、つまり一つの細胞が28~29回分裂すると、約5億という数字になります。 女性の場合は、月経の周期は約28日だそうです。 細胞分裂が一日に一回おきるとすると、テロメアの残が28~29の細胞が、テロメアをなくし卵子という機能細胞になるまでの、期間とも考えられます。 どうもヒトの場合、男性も女性もテロメアの残が28~29くらいのところで、待機している生殖細胞群があるような気がします。 仮にヒトのテロメアが通説どおり60だとすると、それまでに32回くらいの細胞分裂がおこっている計算になります。 2の32乗は4,294,967,296で、ヒトの成体の細胞の数が60兆だとすると、約1万分の1、重さにすると4g程度です。 また受精後約1カ月、妊娠2カ月目くらいのこととなります。 体細胞系も同じように考えられないでしょうか? 次章では、体細胞系の細胞が、受精から約30回程度分裂するまで(発生期)を、細胞の分化ということを中心にして考えていきたいと思います。 2006/04/19 (水) 6:35 [[「2. 発生と分」へ >>2. 発生と分]]
男と女、同じヒトという生物でありながら、ちょっと違う二種類の性。 いったい何故この世の二種類の性があるのでしょう? 非常に奥深いテーマで、ここで私のようなものが、論ずるべき問題ではありません。 しかし単に生物学的な意味で考えると、それは進化に有利な方法だから、といえると思います。 前章([[第5章 進化のビックバン>第5章 進化のビックバン]])で無性生殖をする多細胞生物は非常に進化をしにくい性質があると考えました。 無性生殖は一つの生殖細胞から、新しい個体を作り出す生殖方法です。 しかもその生殖細胞は、進化しにくい保守的な細胞なのです。 仮に染色体が一対しかなければ、彼等の進化には非常に長い時間が必要であると思います。 そう、ここまでとりあげてきませんでしたが、真核細胞系の生物には、相同染色体がおおむね二対あります。 染色体とは二本鎖のDNAがヒストンというたんぱく質にまきついているもので、相同染色体とは、その構造や大きさが同じものをいいます。 いつ頃から相同染色体が二対になったかはわかりませんが、それ程不思議な現象ではありません。 現に原核細胞には、同じ塩基配列のDNAが2000対もある細胞もあります。 DNAの複製だけをして、細胞質分裂をしなければ、染色体は増えることになります。 おそらくかなり早い段階で、染色体が二対の真核細胞が現れ。それが生物にとって有利な形質を示したので、染色体が二対ある細胞だけが、繁栄してきたのだと想像されます。 自然淘汰の原理です。 つまりDNAは、ほとんど同じものが二組あることになります。 これにより細胞分裂の際のDNAの分配の仕方により、娘細胞には二つのパターンが存在することになります。 2006/04/12 (水) 22:07 テロメアの減らない保守的なDNAと、テロメアの減る革新的なDNAの二通りできるので、それを分配する時は、保守的なDNAは二つ持つ細胞と、革新的なDNAを二つ持つ細胞に分かれるか、保革合同のDNAを持つ細胞が二つできるかです。 ここまで生殖細胞は、テロメアの減らない保守的な細胞と考えてきました。 テロメアが減れば、新しくできる生物(子供)の寿命が短くなるなど、大きな形質の変化があることが予想されるからです。 しかしDNAが二対あることにより、保革合同の生殖細胞ができあがる可能性もあります。 しかしそれでもテロメアの数が減ることにはかわりないので、生殖細胞としては、不適当な気がします。 そこで一つ新しい酵素を考えます。 前章でテロメアを短い方にそろえる、ハサミのような酵素を考えましたが、今度はその逆に、長い方にそろえるノリのような酵素の存在です。 DNAを切ったりくっつけたりは、それほど珍しい現象ではありません。 この酵素があれば、保革合同でテロメアの減らない生殖細胞も、できることになります。 さらに次の世代では、革新的なDNAが二つで、テロメアの減らない生殖細胞も、できることになります。 これが無性生殖をする多細胞生物でも、進化できる大きな原因であると考えられます。 それでは有性生殖をする生物はどうでしょうか? 有性生殖をする生物の生殖細胞は、減数分裂という特別な細胞分裂をするため、染色体が一対しかありません。 そこで他の性の生殖細胞と合体することにより、染色体は二対に回復し、新しい生命が誕生するしくみになっています。 このように雄と雌の別々のDNAを混ぜ合わせるので、進化に有利な生殖方法であると、高校の参考書には書いてあります。 たしかにこれも進化のための、大きな要因であることは間違いありません。 私はもう一つの大きな要因として、有性生殖をする生物の生殖細胞は、たくさん作られるということをあげたいと思います。 2006/04/14 (金) 22:36 ヒトでいえば精子は一度の射精で、5億匹も放出されるそうですし、卵子も月に一度、約30年分は作られるのは間違いありません。(実際にはそれよりはるかに多い数が作られるそうです) 生殖細胞も例外なく、分裂によって増えるわけですので、たくさん作られるということは、数多くの分裂を経験していることになります。 分裂回数が多いということは、それだけDNAの塩基配列が、変化する確率が高くなるということです。 だから有性生殖をする生物は、進化しやすいということができます。 しかし何度も分裂を繰り返すと、それだけテロメアの数が減ることになります。 この点を次に考えていきましょう。 精子も卵子も最終的に減数分裂をして、染色体が一対の(これを核相nとよびます。それに対し、染色体が二対ある普通の細胞は、核相2nになります)細胞になります。 この細胞(卵子の場合は未受精卵と考えていいでしょう)には原則として、分裂能力はありません。 ここで原則としてというのは、実は例外があるからです。 例えばミツバチの雄は、未受精卵のまま発生して(単性生殖といいます)個体となります。 実はこの例外から非常に重要な考察をすることができます。 大多数の生物は受精により、卵子の分裂能力が復活します。 受精は核相がnから2nになる現象ですが、そのことが分裂能力の復活には、関係ないことがわかります。 卵子はテロメアを使い切って、分裂能力を失った、機能細胞と考えるべきだと思います。 しかしミツバチの雄などでは、未受精卵から完全な個体が作られるわけなのですから、この場合の未受精卵には、テロメアは完全にあると考えられます。(テロメアMAXと呼びましょう) 全く両極端の卵子です。 ミツバチの雄は、例外中の例外の生物なのでしょうか? ところがそれほど無理なく、この例外を説明する屁理屈があるのです。 2006/04/16 (日) 22:27 元々細胞には、染色体は二対あります。 生殖細胞は分裂のたびに、この二対の染色体に、片方はノリの酵素、もう片方にはハサミの酵素が発現すると、仮定します。 すると生殖細胞の染色体は、常にテロメアMAXのものと、分裂のたびにテロメアが減っていくものとが、あることになります。 そして一方のテロメアが残り1になった時、生殖母細胞になり、減数分裂をします。 減数分裂とは、DNAの複製が一回で、細胞分裂が二回の分裂方法をいいます。 つまり一つの生殖母細胞から、四つの卵子ができることになり、そのうちの二つのテロメアはMAX、残り二つのテロメアは0ということになります。 そして卵子の場合は、この四つのうち成長して未受精卵となるのは、一つだけなのです。 あとの三つは消滅してしまいます。(ちなみに精子も同じような減数分裂をしますが、四つとも成長して精子になります) これから大多数の生物の未受精卵はテロメア0、ミツバチの雄など単性生殖をするものは、テロメアMAXの卵子が生き残るという理屈になります。 一方精子の方はどうでしょう? 精子も精母細胞になるまでは、卵子と同じようにノリとハサミの酵素が発現すると思います。 そして片方の染色体のテロメアが1になった時、形質が発言して精母細胞となり、減数分裂をします。 その時のDNA複製時に、ノリの酵素が発現し、全ての精子のテロメアはMAXになると考えられます。 そして受精の瞬間、またノリの酵素が発言して、卵子のテロメアもMAXにまで、回復するのです。 そして細胞分裂が開始され、新しい生命の誕生となります。 これが私が考えた受精のシナリオの屁理屈です。 なかなか筋がとおっていると思うのですが、どうでしょう? 2006/04/17 (月) 22:28 ところでヒトの場合を例にして考えると、少しおもしろい数字の一致があります。 生殖細胞は、受精卵から最も早く、体細胞系と分化する細胞です。(ですから精子も卵子も分化全能性を維持し、体細胞系による獲得形質が遺伝しないのです) ですから最も早く機能細胞になるはずなのですが、実際にはそれまで10年以上かかるようです。(初潮を機能細胞の完成と考えると) 分裂の途中で、時期がくるのを待機しているようです。 おもしろい数字の一致とは、男性の場合一度の射精で、約5億匹の精子を放出するといわれています。 ちなみにちょっと計算してみたところ、2の28乗が268,435,456で、2の29乗が536,870,912、つまり一つの細胞が28~29回分裂すると、約5億という数字になります。 女性の場合は、月経の周期は約28日だそうです。 細胞分裂が一日に一回おきるとすると、テロメアの残が28~29の細胞が、テロメアをなくし卵子という機能細胞になるまでの、期間とも考えられます。 どうもヒトの場合、男性も女性もテロメアの残が28~29くらいのところで、待機している生殖細胞群があるような気がします。 仮にヒトのテロメアが通説どおり60だとすると、それまでに32回くらいの細胞分裂がおこっている計算になります。 2の32乗は4,294,967,296で、ヒトの成体の細胞の数が60兆だとすると、約1万分の1、重さにすると4g程度です。 また受精後約1カ月、妊娠2カ月目くらいのこととなります。 体細胞系も同じように考えられないでしょうか? 次章では、体細胞系の細胞が、受精から約30回程度分裂するまで(発生期)を、細胞の分化ということを中心にして考えていきたいと思います。 2006/04/19 (水) 6:35 [[「2. 発生と分化」へ >>2. 発生と分化]]

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