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2. 発生と分化

    

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私はプロフィールにあるとおり、生卵が好きです。
白いご飯に生卵をかけ、ちょっと醤油をおとしてガツガツと一分以内に食べるたまごかけご飯が大好物でした。

我々が食べる卵は、ほうっておいても、いつまでも生卵のままです。
時期がくると腐るだけです。
しかしそれが受精卵になると、時期がくるとヒヨコになってでてきます。

なんという生命の不思議!
この章では、生卵からヒヨコまでの、発生の期間を中心に考えていきたいと思います。

たまごはあんなに大きくても一つの細胞です。(もっともその大部分は栄養分で、実際にヒヨコになるのは、ほんの小さなところですが)

前章で大多数の卵子は、減数分裂の結果テロメアが0になり、分裂能力を失った細胞と考えました。
それが精子というテロメアMAXの細胞と合体することにより、テロメアが完全復活し、細胞分裂が開始されると考えました。

発生の初期受精卵は、成長をせずに分裂だけをする、卵割という細胞分裂を行います。
そのためこの時期一つ一つの細胞の大きさは、だんだん小さくなります。
ボールに仕切りをいれ、細かくわけていくイメージです。
2006/04/22 (月) 7:28

卵割の期間、細胞はものすごい早さで分裂します。
通常の細胞分裂は、分裂と分裂の間に、成長をするための時間が必要ですが、卵割期はDNAの複製だけをしたら、すぐ次の分裂にはいるのです。

卵割期に必要なもの(たんぱく質やmRNA)は、卵形成の時、母親が用意してくれているのです。

卵子という巨大な細胞に仕切りをいれていくのですから、卵子が全く均質でない限り、新しくできる細胞には、差が生じることになります。
実際この時期に将来の身体の向き(どっちが頭でどっちがお尻になるかというような)は決定しているようです。

母親が用意してくれたものの中に、かたちを決める遺伝子が存在していて、その濃度が卵子の中で非均質になっているのです。
ですからある程度卵割が進んだ時点で(これは生物の種によって、違いがあるようです)細胞は分化をしていることになります。

現在、発生生物学という分野の学問では、その遺伝子や、それから作られるたんぱく質などの、解明が進んでいるようです。
しかしまだわからないことも、たくさんあります。

細胞が分化しているといっても、(実際それを確かめる実験も行われています。例えば発生時に、細胞を移植することにより、頭が二つあるオタマジャクシなどを、実験的に作り出しています)それを直接的な方法で、判別することはできないのです。

この時点では分裂能力も残っていて、機能細胞になっていないので、外見上特徴的な変化は見られません。

それではいったい何が変化して細胞の性質がかわっていく(分化していく)のでしょうか?
それはたんぱく質合成の際に、発現する遺伝子が変化していくのです。
第4章 白血病でも少し考えましたが、ここでもう一度詳しくとりあげてみましょう。
2006/04/23 (日) 22:47

細胞が各々の特徴的な形質を示し、実際に機能するようになるまでには、何回も分裂を繰り返す必要があります。
その間に段階的に、遺伝子発現のパターンが、変化していると考えられます。

まず卵割期に、身体の軸が決定されているようです。
身体の軸とは、人間の感覚でいえば、上下、前後、左右の三軸です。
最初に身体全体のおおまかな形を決め、それから個々の組織や器官を作りあげていくようです。

遺伝子でいえば、例えば頭になるような情報が発現されます。
その遺伝子にスイッチをいれるには、それを誘導する因子が必要です。
その物質を母親が卵子の中にたくわえてくれていて、その濃度の違いにより、将来の頭になる部分と、お尻になる部分の向きが決定されます。
遺伝子の情報が、発現されていることになります。

そしてその情報の発現をきっかけにして、次の遺伝子にスイッチがはいります。
前後(背腹)の軸が決まります。
これにより頭の背中側とお腹側、お尻の頭側とお腹側という、大きく四つに細胞の性質がわかれたことになります。
このようにして、細胞は段階的に、次々と分化をしていくのです。

ここで大事なことは、その細胞は各々どんどん分裂していることです。
頭の背中側に決まった細胞が変化するのではなく、その細胞から新しい細胞が、どんどん分裂してできて、器官や組織を形成していくのです。
その器官や組織は必ず頭の背中側になるのです。

少しややこしい言い方ですが、つまり新しくできる娘細胞には、母細胞の記憶が移るということになります。
どのようなカラクリで記憶が移るのでしょう?

まず考えられる方法は、DNAに目印をつけることです。
遺伝子には、その情報を発現するのに必要な、調整領域があります。
そこの部分の塩基同士の水素結合がほどけ、そこからRNAポリメラーゼが、遺伝子の情報を読み取っていくわけです。

その調整領域の塩基配列に、特異的に結合するたんぱく質があれば、その部分の遺伝情報は読まれないことになります。
そして遺伝子には、系統的な順位があり、その系統内では、段階的に情報が発現されていきます。
2006/04/25 (火) 7:38

このような遺伝子を制御するたんぱく質を作る情報が、それぞれの遺伝子にコードされています。
そのたんぱく質を細胞分裂の際、娘細胞に持たせれば、母細胞の記憶は娘細胞に受け継がれることになります。

これが私が第4章 白血病で考えたシナリオで、つまり細胞は自分の運命の選択肢がだんだん狭くなっていって、何段階もの分化の後、最終的に自分の運命が決まるという考え方です。

しかし今回娘細胞に記憶を移すのに、もう一つ方法があることに気が付きました。
それは自分が使ったmRNAを、娘に伝える方法です。
DNAの遺伝子部分には、イントロンという情報的に意味の無い部分が含まれています。
最初RNAポリメラーゼが読む情報には、このイントロン部分も含まれています。
これをスプライシングという過程を経て、成熟したmRNAに作り変えていく必要があります。

このスプライシングをする時、mRNAに対して相補的なRNAの存在が、必要なのではないでしょうか?
母細胞は分裂の際、自分が使用した成熟したmRNAと、相補的なRNAを、娘にわたしているのだと考えました。

すると娘細胞は、母と同じ遺伝情報しか、発現できないことになります。
仮に他の部分の遺伝子を読んでも、スプライシングできないので、成熟したmRNAにすることができないという考え方です。
この方法でも母細胞の記憶は、娘細胞に伝えることができます。
するともっと大きな、生物の細胞には、全てのmRNAの鋳型が存在しているという仮定が必要になりそうですが、それについてはまた考えることにします。

娘細胞に記憶を伝えるには、このような二つの方法があると思います。
しかしこれは細胞分裂時に、娘細胞の形質が変わると考えてのことです。
どうも私は勘違いをしていたようです。
細胞の形質が変わるのは、細胞分裂の間期、たんぱく質合成期の可能性もあることに気が付きました。
そうなると細胞の形質が変わってから分裂することになるので、娘細胞には自動的に記憶が伝わるのかもしれません。
2006/04/30 (日) 22:03

そうなると私がこれまで考えてきた、細胞の分化のパターン図①

この新しい考え方で、もう一度発生と分化編スタートです。
今まで考えてきたことも、無駄ではないと思いますし、明らかに違うということもないと思います。

まず卵割期ですが、受精卵の内部組成が不均一であれば、こういうことも考えられます。
図②
3回の分裂でできる8個の細胞全ての形質に、差が生じる場合です。
しかし人間を例にとると、分化全能性のあるES細胞は、8細胞期くらいまでの細胞といわれているので、
図③のようなパターンもあるはずです。

これをモザイク卵と調節卵とよぶのだそうですが、一般的に胎生の哺乳類は、卵黄が小さい等黄卵なので、調節卵の傾向が強いと思われます。
だから一卵性の双生児の方も、それぞれ完全な成体に成長することができるのです。

対してカエルなどの両生類は、二つにわかれた時点で、それぞれの細胞にハッキリした特徴がでるようです。
受精卵が二つにわかれた時点で、そのそれぞれが完全なる個体となることはできないようです。

つまりこういうことです。図④
私は今まで図⑤のように考えていました。

このAの部分に分化全能性があり、それが残ったものが生殖細胞になると。
しかしモザイク卵では、どこかで分化全能性を回復させなければいけないということになります。
2006/05/03 (水) 11:27

しかしこのように考えられないでしょうか?
受精卵は確かに巨大な細胞です。
でも核まで巨大である必要はないように思えます。
細胞質が巨大で、そこにいっぱい母親が用意した物質がつまっているのです。

卵割期の間は、核のDNAによるたんぱく質合成はなく、母親由来の物質(たんぱく質やmRNA)により細胞分裂していきます。
ですから細胞質の不均質さにより、細胞の性質はそれぞれ変わりますが、核内のDNAには変化がなく、皆同じであると考えることもできます。

つまり卵割期の細胞には、分化全能性はあるが、細胞質中の物質が足りなくなるため、一人前の個体になることができないということです。

胎生の哺乳類では、4分割くらいまではギリギリ物質が足りるのでしょうが、卵生の生物は、2分割の時点で成体になることが、できなくなるのでしょう。

10回くらい分裂して、細胞の数が1000を超えた頃から、活発に核内のDNAによる、たんぱく質合成が行われるようです。
それまでのどこかの時点で、核内のDNAも目覚め。核の分化、本当の意味での細胞分化がスタートするのだと思います。

そしてやはり最初は、分化全能性を持った生殖細胞と、生殖細胞にだけはなれない細胞(体細胞)とに分化していくと思います。
また細胞質中のいろいろな物質の濃度や、割球内での位置関係により、その後の分化の方向も、自動的に決まっているのでしょう。

動物の発生では、桑実胚期(分裂回数5~6回)の頃、内部に卵割腔というすきまができ、さらに分裂回数を重ねると、卵割腔は発達し、胞胚期をむかえます。
そして生物の種類により決まった場所から、原腸陥入がおこります。

この原腸陥入までは、有性生殖をする動物の基本形のようなものです。
この段階は例えていうと、ゴムマリの空気がぬけて、へこんだ状態のようなものです。
重力という物理的な要因により、生じやすい形であるような気がします。
2006/05/04 (木) 21:50

カイメン動物がこのような形で、それに触手をつけたり、逆さになったり、少し複雑になったのが、クラゲやイソギンチャクなどの、刺胞動物であるといえます。
物理的要因により生じやすい形を、酵素などの化学物質の活用で、強制的に作りあげるようになったのが、多細胞生物の進化の始まりだと思います。
原腸陥入した形は、へこんだ部分に海水がはいるので、栄養を効率良く摂取できるという利点がありそうです。

ちなみに葉緑素を持ち、自ら栄養を作り出せる能力を持った細胞群は、胚胞をあまり大きくする必要がなく、導管という形で、栄養の通り道だけを作り、海藻から陸上に進出して、植物に進化していったものと思われます。

葉緑素も持たず、多細胞化にも取り残された細胞は、他の生物から栄養をもらう菌類になり、多細胞化しても、カビやキノコくらいが、進化の限界点なのかもしれません。
またずぅっと一匹狼でとおして、単細胞で生活している原生動物類も、現在でも生息しています。

さて話を動物の発生に戻しましょう。
桑実胚期の頃には、核内のDNAにも差が生じている可能性が強いと思います。
DNAによる遺伝情報は、段階的になっていて、ある情報が発現して作られるたんぱく質によって、次の情報が発現するというようなしくみになっていると思います。

それは細胞周期の間期、つまりDNAの情報に基づき、たんぱく質がさかんに合成されている時期におこります。
だから細胞はグングン分化することができるはずです。

しかしテロメアがあり、分裂能力のある間は、細胞には外見上の変化は見られません。
分裂するのに必要な情報が、主に発現しているからです。
核内DNAは、情報発現を促進する酵素や、逆に抑制する酵素などを合成し、非可逆的に、そして生物によりだいたい一定のペースで、分化の度合いをすすめていきます。
2006/05/05 (金) 20:06

一度情報の発現を制限する酵素を作ったら、それ以降何度分裂してもその酵素は作られ続け、制限をうけた系統の細胞になることはできなくなるのでしょう。
また一度使ったmRNAを核内に持ち、記憶として残している可能性もあります。

それらが一定のパターンでおこるのは、最初の受精卵の細胞質の成分が、生物により一定であるからだと思います。
細胞の分化は、最初はこの細胞質の成分により、そしてそれをきっかけに、核内DNAによる系統的な方向ですすみます。

さらにもう一つ重要なことは、細胞個々の相互関係による変化です。
ある細胞から情報伝達物質が、細胞外に分泌されます。
その情報をうけとることのできる細胞も決まっています。
また近接の細胞は、同じ種類のものが集まるという性質もあり、これらの複雑な相互関係により、だんだんと生物の形が作られていきます。

原腸陥入した部分が新たな体腔となるような生物には、その構造により細胞が三つに大きく分かれます。
内胚葉、中胚葉、外胚葉で、それぞれの胚葉から特定の器官や組織が作られるようになります。
概ねこのレベルまで進化した動物は、有性生殖をすると考えられるような気がします。

そしてここからは、我々人間も含めた、脊椎動物を中心に考えていきましょう。
脊椎動物では、原腸陥入に続き、神経誘導という現象がおこります。
陥入により裏打ちされた部分の外胚葉の細胞から、神経系の器官が形成されていきます。

私はこの神経細胞が、最も早く機能細胞になると考えています。
誘導時期が早いこともありますが、最も早くに必要とされる器官であると思われるのです。

最も早く分化の方向が決まる生殖細胞は、成体になるまで必要のない細胞です。
また原腸陥入は、消化器系の器官ができるきっかけですが、これも自分で栄養がとれるようになるまでは、使われない器官です。
2006/05/07 (日) 19:59

胚の段階で神経器官が早く成熟すれば、それを使い発生のコントロールができるようになるはずです。
特に脊椎動物にもなると、中枢神経系も発達してきます。
神経系による身体全体の管理、これが神経胚以降の発生を考える上で、非常に重要なポイントになっていると思います。

すなわち高等な動物である脊椎動物の発生は、
①遺伝子による細胞個々の性質の決定
②細胞同士の相互関係による集団としての機能
③神経系による全体的な管理
以上の三つの要素を考えることが、必要になってくるのです。

そしてこの順番は、発生の順であるとともに、進化の順でもあるのです。
ヒトとサルでは、DNAの塩基配列は5%程度の差しかないといわれています。
ほとんど同じたんぱく質を使っていることになるのです。
それでいて、一目でわかるハッキリした個性が現れるのは、②そして③が大きく両者で違っているためだと思います。

その全てのキッカケとなるのが、受精卵内部の物質組成の不均質です。
すでに受精卵の段階で、将来どの部分がどの器官になるか、あらかた決まっているようです。(予定運命)
教科書によくでている、カエルやイモリの卵を例にとると、図⑥のようになっています。

両生類の卵は端黄卵なので、図で上側(動物半球)の方が、下側(植物半球)より分裂速度は早いそうです。
そして上の右側が将来神経になる領域で、この部分は原腸陥入により、移動してきた細胞(原口背唇部)による誘導をうれることになります。
最も活動的な領域と考えていいと思います。
2006/05/10 (水) 21:48

発生がさらに進むと、神経領域から神経板が形成され、それが管状となります(神経管)。
神経管は陥入した細胞群(将来脊索になる部分。脊椎動物では大半が退化する)とともに、尾側に伸びていき尾芽胚となります。
そして神経管の頭の側から順に、大脳、間脳、中脳、小脳、延髄、脊髄の中枢神経系が形成されていきます。

この尾芽胚の時点で、カエルではオタマジャクシとして孵化します。
つまり幼生です。
そしてさらに発生を続け、カエルという成体に成長します。

またこの尾芽胚の時期は、ヒトからサカナにいたるまで、皆その形はほとんど同じです。
それ以降の成長により、それぞれの種としての特徴が、ハッキリと現れてくるのです。

私はこれから神経胚から尾芽胚にかけて、神経系の細胞は完全分化し、機能細胞となり、器官として身体全体を管理するようになる、そしてそれ以降の成長には、この神経系の管理システムが最も強く影響を与える、このように考えることができると思っています。

神経系の細胞に続き、いろいろな細胞も機能細胞となり、いろいろな器官や組織が形成されていきます。
そして人間では、受精から十月十日後に、母親の胎内から卒業して、一個の独立した生命体として認知されます。

神経胚ができてから、かなりの時間が経過しています。
さらに生殖能力をもった、一人前の成体になるには、約十年の年月が必要です。

いわゆる成長期です。
次章では、この成長期について、考えていきたいと思っています。
2006/05/12 (金) 22:48