「笑う狼」(2008/08/06 (水) 02:34:30) の最新版変更点
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**笑う狼
月の明るい静かな夜だった。クロロ・ルシルフルは三角屋根を赤く塗った、相応に立派な家の門口に立っていた。
道は車二台が楽に行き違えるほど広い。それが家々に沿って真直ぐ続くので、計画的に作られた街だなと感心しながら、
先ほどの部屋から持って来たバッグの点検を始めた。中身はいくらかの食料と水、地図、コンパス、それにバタフライナイフである。
さしあたって必要なものは揃っている。殺し合いを円滑に行う為の手回しだろうと思った。ナイフはポケットにしまった。
クロロは極めて冷静だった。今の状況は不可解であったが、それだけに好奇心を刺激されて、次のようなことを考えた。
オレがあの部屋に転送されて来た時にはもう首輪があった。部屋にいたのはざっと五十人、それだけの人数を強制的に呼び寄せ、なおかつ致命傷に十分な爆弾を仕掛ける……何か超常的な力が働いたと考えるべきか。
不自然に置いてあった黒い球体、恐らくはあれが関係している。
ここまで考えてクロロは微笑を閃かせた。
神秘の道具か、欲しいな。オレにとっては千載一遇の好機、必ず手に入れる。
そこへ足音が近づいて来た。クロロはポケットに手を入れたまま、音のする方に向いた。歩いて来たのは少年である。
しかし普通の少年でないことは明らかだった。態度が堂々としている、不遜なくらいである。
長く伸ばした髪の下で美しく整った顔に少年らしからぬ冷酷さを浮かべている。悪党の顔である。
クロロは何となく、この少年に親近感を覚えた。そこで手をポケットから出して素手であることを示しつつ、こう言った。
「協力しないか。この状況で一人で行動するのはお互い不便だろう。お前が優勝を目指していなければの話だが」
「バクラだ。俺様の名前はな」
「オレはクロロ。で、バクラ、どうするつもりだ」
バクラは少し考え込む様子で、
「確かに仲間が一人いるだけで行動の幅は格段に広がるが、あいにくオレ様は雑魚と組むつもりはないんでな」
随分と上から見た物言いだったので、クロロは少し笑った。
「言いたいことを言う奴だな。試して見るか」
「へっ、面白れえ。ついて来な」
バクラは横を過ぎて家の門を入ってどんどん進んでいく。ついて来ることを少しも疑わない足取りである。
二人は三角屋根の家に入った。そして窓から月の光が差し込む机に座った。
「さあ、始めようか。闇のゲームを」
バクラが不敵に笑うと周りが闇に包まれ、外界とは切り離された薄暗い空間が出来上がった。
これにはクロロも驚いた。
「安心しな、何も取って食おうってわけじゃねえ。だが、もう逃げることは出来ないぜ」
そう言ってサディスティックな笑い声をあげる。
「ゲームと言ったな、何をするんだ」
「貴様がお望みの『協力』ゲームだ。バッグにコンパスが入ってるはずだ、そいつを出しな」
「これで何をする」
「あわてんじゃねーよ。ルールを説明してやる。プレイヤーは裏切りと協力の二つを選択できる。
お互いに協力の場合は両方に十点、協力と裏切りだった場合は裏切りを選択したプレイヤーに十五点、
そして、お互いに裏切りだった場合は双方零点。コンパスの表が協力、裏が裏切りとする。勝負は一度きりだ。
もちろん、相手プレイヤーの選択を知ることは出来ない。オレ様の合図で同時にコンパスを見せ合う。わかったか」
「ああ」と言ってクロロは口を閉ざした。裏切りを選ぶべきだと言うことは知れ切っている。
協力を選べば引き分けか敗北、裏切りを選べば引き分けか勝利。それは相手にもわかっているはずである。
いぶかしんでバクラを伺ったが、不遜な笑みを貼り付けた表情からは何も読み取れない。
「じっくり考えな、その選択にてめえの命がかかってるんだからよぉ」
クロロにある考えが閃いた。
オレはバカだな。奴はオレを試すつもりだ。何を試す?
戦闘力や思考力も大事だが一番確かめておきたいのは信用できるかどうか。
このゲームはオレたちの置かれた状況を暗示するものと考えていいだろう。
選択肢に無意味な点数がついていることもそれを裏付ける。
オレと奴が互いに裏切った場合、これは最悪。ただの遭遇戦と変わらない。オレが裏切った場合は奴を簡単に始末して、物資を得られる。
だが、総合的に見れば協力し合ったほうが得。裏切りほど目立った利益はないが、行動の幅が広がり、事を有利に進められる。
ゆえにお互いに十点づつ、合計二十点なのだろう。問われているのは目先の事にとらわれず、協力を選択できるかどうか。
「さあて、時間だぜ」
バクラの合図でコンパスが机に置かれた。二つとも表だった。
「協力するかしないか、返答を聞こうか」
「ふん、今は消さずに置いてやるぜ、骨の髄まで利用しつくすためにな。だがオレ様の邪魔をするようなら」
と言いさしてサディスティックな笑いを浮かべる。クロロは彼の笑みにはきっとサディスティックな要素が含まれることに気づいた。
「死がまってるぜ」
闇が晴れ二人は元の窓辺に戻った。
クロロは内心ほくそ笑んだ。この男には元より何も求めていなかった。信用が置けなくとも構わなかった。
裏切られた時、確実に殺せる自信があるから。更に言うなら、誰が襲ってきても返り討ちにする自信があるから。
彼に協力を申し入れたのは気まぐれだった。奇妙な親近感、同類には分かる盗賊の匂い、滲み出る強欲さ、狡猾さ、冷酷さ、そういったものが気まぐれを起こさせた。
だが思った以上に頭が切れる。これなら利用する価値もある。
月明かりの照らす机に向かい合って、お互いのことを話した。やはりバクラは盗賊のようなことをしているらしい。
クロロは少しは名のある盗賊団の頭だという事を話した。
それから、以前から付き纏われていた戦闘狂とあわや戦いになろうという所でここに飛ばされてきたので、その意味では幸運だと言うような笑い話をした。
「へっ、殺し合いのさなかに飛ばされたってのに随分余裕じゃねえか」
「オレにとっては昼下がりのコーヒーブレイクとなんら変わらない平穏なものだ。興味があるのは部屋に置いてあった球だけだ。それを頂く。ついでに持ち主の命もな」
「殺し合いは眼中にないってわけか、気に入ったぜ。オレ様も一人だけ生き残るってわけにはいかないんでな。それにあのカバにはオレ様に屈辱的な首輪をつけた罰を与えなきゃならない」
例の笑みが浮かぶ。
「さあて、互いの目的がはっきりした所で支給品のお披露目と行こうか」
「いいだろう」
クロロはポケットからナイフを取り出した。柄の部分が刃を覆うように出来ている。
「オレはこれだけだ」
「ちっ、しけてやがる。出し惜しみはしてないだろうな」
「それじゃ協力の意味がないだろ。オレはそれほど馬鹿じゃない」
バクラはもう一度舌打をして、何やら取り出した。銃のような物と液体の入ったビンが二つ。クロロは髑髏のラベルが張ってある方を手にとって、
「あからさまだな。毒か」
「おそらくな。片方は解毒薬だろう。それよりこっちの銃だ、こいつは強力だぜえ」
バグラは銃を余っていた椅子に向けて引き金を引いた。くぐもった音が響いた。数秒間をおいて椅子が砕け散った。
「驚いたな」と覚えず声に出た。クロロは銃を受け取って丹念に回して調べた。
「妙な形だ。引き金が二つあるな」
「上の引き金で照準を固定できるぜ」
「なるほど。この画面であわせるわけか」
クロロは壁に向けて上の引き金を引いた。銃のモニタに壁が写ったまま静止する。次にでたらめな方向に向けて銃を撃った。さっきと同じようにして壁が崩れた。
「興味深いな。これはお前が持っていろ」
銃をバクラに返す。
「初めからそのつもりよ」
「バクラ、オレは気が変わったよ。支給品も頂く、一つ残らずな」
「好きにしな。オレ様も用が済んだらこんな銃は必要なくなる。貴様にくれてやるぜ、ほかの支給品もな。その代わりと言っちゃ何だが、ある目的のために生かしておきたい奴がいる」
「いいだろう。そいつの名前は」
「武藤遊戯だ」
「わかった」と言った。その後これからの方針を話し合って、とりあえずは情報収集することが先決だと言う事にまとまった。二人は家を出た。歩きながらクロロは後ろに纏め上げていた髪を下ろした。そうすると自身が温和な好青年に見える事を自覚していたからである。
「友好的に近づくためにはある程度見た目が重要だ。お前はとりあえず笑うな」
「オレ様を見くびるんじゃねーよ。猿芝居はあまり好きじゃないが、しかたねえ」
クロロは自分の目を信じられなかった。バクラはほとんど別人になったと言って良い。歩き方が優雅である。
先ほどまで邪悪な表情の浮かんでいた顔には、優しい美貌がある。周囲を威圧していた態度はひどく穏やかになってしまった。
そして目が違う。クロロはかねがね、目の色を変えることが出来なくては一流の役者とは言えないという持論を持っていたが、この男は一流であった。
冷酷に光っていた瞳は、今では優しく善良であった。クロロはこの変貌に驚いて思わず足を止めた。
「さあ行こうか、クロロくん」
バクラは微笑んだ。
「そうだな、とりあえず南に行こう」
クロロはコンパスと地図を持って、先に立って進んだ。心優しい美少年と頼れる青年の一行、傍からはそう見えるだろう。
二人は時折笑みを交わしながら街を進んだ。
【B-5 北東・街 / 一日目 深夜】
【クロロ・ルシルフル@HUNTER×HUNTER】
【装備】:バタフライナイフ
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康
【思考・行動】
1:情報収集
2:支給品を集める
3:武藤遊戯を探す
4:黒い球を奪う
【獏良了@遊戯王】
【装備】:Xガン@GANTZ、千年リング@遊戯王
【所持品】:支給品一式、毒薬、解毒薬
【状態】:健康、闇バクラ
【思考・行動】
1:情報収集
2:生き残る
3:武藤遊戯を探す
4:邪魔者は消す
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|003:[[クライモリ]]|CENTER:[[時間順>本編(時間順)]]|005:[[Girl meets Falcon]]|
|&color(skyblue){初登場}|クロロ・ルシルフル|019:[[盗賊について]]|
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**笑う狼
月の明るい静かな夜だった。クロロ・ルシルフルは三角屋根を赤く塗った、相応に立派な家の門口に立っていた。
道は車二台が楽に行き違えるほど広い。それが家々に沿って真直ぐ続くので、計画的に作られた街だなと感心しながら、
先ほどの部屋から持って来たバッグの点検を始めた。中身はいくらかの食料と水、地図、コンパス、それにバタフライナイフである。
さしあたって必要なものは揃っている。殺し合いを円滑に行う為の手回しだろうと思った。ナイフはポケットにしまった。
クロロは極めて冷静だった。今の状況は不可解であったが、それだけに好奇心を刺激されて、次のようなことを考えた。
オレがあの部屋に転送されて来た時にはもう首輪があった。部屋にいたのはざっと五十人、それだけの人数を強制的に呼び寄せ、なおかつ致命傷に十分な爆弾を仕掛ける……何か超常的な力が働いたと考えるべきか。
不自然に置いてあった黒い球体、恐らくはあれが関係している。
ここまで考えてクロロは微笑を閃かせた。
神秘の道具か、欲しいな。オレにとっては千載一遇の好機、必ず手に入れる。
そこへ足音が近づいて来た。クロロはポケットに手を入れたまま、音のする方に向いた。歩いて来たのは少年である。
しかし普通の少年でないことは明らかだった。態度が堂々としている、不遜なくらいである。
長く伸ばした髪の下で美しく整った顔に少年らしからぬ冷酷さを浮かべている。悪党の顔である。
クロロは何となく、この少年に親近感を覚えた。そこで手をポケットから出して素手であることを示しつつ、こう言った。
「協力しないか。この状況で一人で行動するのはお互い不便だろう。お前が優勝を目指していなければの話だが」
「バクラだ。俺様の名前はな」
「オレはクロロ。で、バクラ、どうするつもりだ」
バクラは少し考え込む様子で、
「確かに仲間が一人いるだけで行動の幅は格段に広がるが、あいにくオレ様は雑魚と組むつもりはないんでな」
随分と上から見た物言いだったので、クロロは少し笑った。
「言いたいことを言う奴だな。試して見るか」
「へっ、面白れえ。ついて来な」
バクラは横を過ぎて家の門を入ってどんどん進んでいく。ついて来ることを少しも疑わない足取りである。
二人は三角屋根の家に入った。そして窓から月の光が差し込む机に座った。
「さあ、始めようか。闇のゲームを」
バクラが不敵に笑うと周りが闇に包まれ、外界とは切り離された薄暗い空間が出来上がった。
これにはクロロも驚いた。
「安心しな、何も取って食おうってわけじゃねえ。だが、もう逃げることは出来ないぜ」
そう言ってサディスティックな笑い声をあげる。
「ゲームと言ったな、何をするんだ」
「貴様がお望みの『協力』ゲームだ。バッグにコンパスが入ってるはずだ、そいつを出しな」
「これで何をする」
「あわてんじゃねーよ。ルールを説明してやる。プレイヤーは裏切りと協力の二つを選択できる。
お互いに協力の場合は両方に十点、協力と裏切りだった場合は裏切りを選択したプレイヤーに十五点、
そして、お互いに裏切りだった場合は双方零点。コンパスの表が協力、裏が裏切りとする。勝負は一度きりだ。
もちろん、相手プレイヤーの選択を知ることは出来ない。オレ様の合図で同時にコンパスを見せ合う。わかったか」
「ああ」と言ってクロロは口を閉ざした。裏切りを選ぶべきだと言うことは知れ切っている。
協力を選べば引き分けか敗北、裏切りを選べば引き分けか勝利。それは相手にもわかっているはずである。
いぶかしんでバクラを伺ったが、不遜な笑みを貼り付けた表情からは何も読み取れない。
「じっくり考えな、その選択にてめえの命がかかってるんだからよぉ」
クロロにある考えが閃いた。
オレはバカだな。奴はオレを試すつもりだ。何を試す?
戦闘力や思考力も大事だが一番確かめておきたいのは信用できるかどうか。
このゲームはオレたちの置かれた状況を暗示するものと考えていいだろう。
選択肢に無意味な点数がついていることもそれを裏付ける。
オレと奴が互いに裏切った場合、これは最悪。ただの遭遇戦と変わらない。オレが裏切った場合は奴を簡単に始末して、物資を得られる。
だが、総合的に見れば協力し合ったほうが得。裏切りほど目立った利益はないが、行動の幅が広がり、事を有利に進められる。
ゆえにお互いに十点づつ、合計二十点なのだろう。問われているのは目先の事にとらわれず、協力を選択できるかどうか。
「さあて、時間だぜ」
バクラの合図でコンパスが机に置かれた。二つとも表だった。
「協力するかしないか、返答を聞こうか」
「ふん、今は消さずに置いてやるぜ、骨の髄まで利用しつくすためにな。だがオレ様の邪魔をするようなら」
と言いさしてサディスティックな笑いを浮かべる。クロロは彼の笑みにはきっとサディスティックな要素が含まれることに気づいた。
「死がまってるぜ」
闇が晴れ二人は元の窓辺に戻った。
クロロは内心ほくそ笑んだ。この男には元より何も求めていなかった。信用が置けなくとも構わなかった。
裏切られた時、確実に殺せる自信があるから。更に言うなら、誰が襲ってきても返り討ちにする自信があるから。
彼に協力を申し入れたのは気まぐれだった。奇妙な親近感、同類には分かる盗賊の匂い、滲み出る強欲さ、狡猾さ、冷酷さ、そういったものが気まぐれを起こさせた。
だが思った以上に頭が切れる。これなら利用する価値もある。
月明かりの照らす机に向かい合って、お互いのことを話した。やはりバクラは盗賊のようなことをしているらしい。
クロロは少しは名のある盗賊団の頭だという事を話した。
それから、以前から付き纏われていた戦闘狂とあわや戦いになろうという所でここに飛ばされてきたので、その意味では幸運だと言うような笑い話をした。
「へっ、殺し合いのさなかに飛ばされたってのに随分余裕じゃねえか」
「オレにとっては昼下がりのコーヒーブレイクとなんら変わらない平穏なものだ。興味があるのは部屋に置いてあった球だけだ。それを頂く。ついでに持ち主の命もな」
「殺し合いは眼中にないってわけか、気に入ったぜ。オレ様も一人だけ生き残るってわけにはいかないんでな。それにあのカバにはオレ様に屈辱的な首輪をつけた罰を与えなきゃならない」
例の笑みが浮かぶ。
「さあて、互いの目的がはっきりした所で支給品のお披露目と行こうか」
「いいだろう」
クロロはポケットからナイフを取り出した。柄の部分が刃を覆うように出来ている。
「オレはこれだけだ」
「ちっ、しけてやがる。出し惜しみはしてないだろうな」
「それじゃ協力の意味がないだろ。オレはそれほど馬鹿じゃない」
バクラはもう一度舌打をして、何やら取り出した。銃のような物と液体の入ったビンが二つ。クロロは髑髏のラベルが張ってある方を手にとって、
「あからさまだな。毒か」
「おそらくな。片方は解毒薬だろう。それよりこっちの銃だ、こいつは強力だぜえ」
バグラは銃を余っていた椅子に向けて引き金を引いた。くぐもった音が響いた。数秒間をおいて椅子が砕け散った。
「驚いたな」と覚えず声に出た。クロロは銃を受け取って丹念に回して調べた。
「妙な形だ。引き金が二つあるな」
「上の引き金で照準を固定できるぜ」
「なるほど。この画面であわせるわけか」
クロロは壁に向けて上の引き金を引いた。銃のモニタに壁が写ったまま静止する。次にでたらめな方向に向けて銃を撃った。さっきと同じようにして壁が崩れた。
「興味深いな。これはお前が持っていろ」
銃をバクラに返す。
「初めからそのつもりよ」
「バクラ、オレは気が変わったよ。支給品も頂く、一つ残らずな」
「好きにしな。オレ様も用が済んだらこんな銃は必要なくなる。貴様にくれてやるぜ、ほかの支給品もな。その代わりと言っちゃ何だが、ある目的のために生かしておきたい奴がいる」
「いいだろう。そいつの名前は」
「武藤遊戯だ」
「わかった」と言った。その後これからの方針を話し合って、とりあえずは情報収集することが先決だと言う事にまとまった。二人は家を出た。歩きながらクロロは後ろに纏め上げていた髪を下ろした。そうすると自身が温和な好青年に見える事を自覚していたからである。
「友好的に近づくためにはある程度見た目が重要だ。お前はとりあえず笑うな」
「オレ様を見くびるんじゃねーよ。猿芝居はあまり好きじゃないが、しかたねえ」
クロロは自分の目を信じられなかった。バクラはほとんど別人になったと言って良い。歩き方が優雅である。
先ほどまで邪悪な表情の浮かんでいた顔には、優しい美貌がある。周囲を威圧していた態度はひどく穏やかになってしまった。
そして目が違う。クロロはかねがね、目の色を変えることが出来なくては一流の役者とは言えないという持論を持っていたが、この男は一流であった。
冷酷に光っていた瞳は、今では優しく善良であった。クロロはこの変貌に驚いて思わず足を止めた。
「さあ行こうか、クロロくん」
バクラは微笑んだ。
「そうだな、とりあえず南に行こう」
クロロはコンパスと地図を持って、先に立って進んだ。心優しい美少年と頼れる青年の一行、傍からはそう見えるだろう。
二人は時折笑みを交わしながら街を進んだ。
【B-5 北東・街 / 一日目 深夜】
【クロロ・ルシルフル@HUNTER×HUNTER】
【装備】:バタフライナイフ
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康
【思考・行動】
1:情報収集
2:支給品を集める
3:武藤遊戯を探す
4:黒い球を奪う
【獏良了@遊戯王】
【装備】:Xガン@GANTZ、千年リング@遊戯王
【所持品】:支給品一式、毒薬、解毒薬
【状態】:健康、闇バクラ
【思考・行動】
1:情報収集
2:生き残る
3:武藤遊戯を探す
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