「盗賊について」(2008/08/12 (火) 11:44:28) の最新版変更点
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**盗賊について
「これからどうする?」
ひとつの民家に腰を落ち着けたバクラとクロロはこれからの方針について話し合っていた。
周りの地形から判断して、現在地はA‐5、6付近だと二人は当たりをつけた。随分と端の方に飛ばされたものである。
盗賊という職業柄、周りの状況に敏感なのはごく当然のことだ。地図を広げながら二人は目的地を定めようと目を凝らす。
南に行こうとは決めたが、どこに何があるのかは把握しておく必要がある。
地図を眺めながら、バクラはふと思い出したように呟いた。首の違和感は始まってからずっと消えることはない。
「情報収集も大事だがこいつのことも考えなきゃなんねえ」
「……首輪か」
周りに人の気配がないのを確認した後、口調を崩したバクラは己の首に手をあてる。
主催者に命を握られたも同然の首輪。これがあるせいで出すぎた行動は命取りになる恐れがある。
何かを強制されるのが嫌いな二人であるので、早いところこの首輪を外してしまいたかった。
誰かに命を握られているという状況。上から見下されているようで不快だ。
「ま、俺様は死ぬことはないが……」
「死ぬことがない?」
クロロの疑問にバクラは軽く答えてやることにした。
バクラは千年リングに宿る魂である。三千年もの間、その中で生き続けてきた。
たまにリングの適合者を見つけ寄生し、壊れたら新たな適合者を待つ日々。
この肉体もそうやって使い潰していくものだと思っていた矢先――予定が狂った。
千年パズル。古代の王(ファラオ)が眠る千年アイテムのひとつ。
あのパズルは適合者を選ぶのかこの三千年の間、現代に蘇ることはなかった。
バクラの目的は王に復讐をすることである。長い間、力を蓄えながらその魂が蘇ることを待ち続けていた。
それがやっと叶った。
千年パズルに宿る魂は武藤遊戯に宿り、現世への帰還を果たした。
待ち望み訪れた復讐の機会。バクラはそれを逃すわけにはいかない。
千年パズルよりは容易とはいえ、千年リングの適合者を見つけるのだって楽ではないのだ。
生半可な人間に取り付けば、そいつはたちまち死んでしまう。
次の機会を悠長に待つことなんてバクラには出来ない。
「だから、この体を失うわけにはいかねぇ。遊戯にもしばらくは生き永らえてもらわないと困る」
「なるほど。大体分かった。その千年リングも興味深いな」
話を聞きながらクロロはバクラの持つ千年リングに視線を向けた。
クロロの盗賊としての興味が千年リングに注がれるが、あれを手に入れるということはバクラもセットということになる。
そう考えると、欲しいと思っていた気持ちが急速に沈んでいった。
手に入れたとしても一通り眺めてから、売却だ。素材は金のようだから良い値で売れるだろう。
元より、クロロは盗んだ美術品をそう長くは手元に置かない性質なのだ。
そんなどうでもいいことを思いつつクロロは首輪について考える。
「この首輪は念能力じゃないか?似たような能力者を知ってる」
「本当か」
「ああ。おそらく首輪を具現化して、術者の意思によって自由に爆破できるような能力を付加したんじゃないか。これなら俺が気がつかなかったのもある程度説明がつく」
例えば、クラピカは鎖を具現化させ強制的に絶の状態にするという能力を付加した。
この首輪も誰かが具現化させ、爆破というオプションをつけたのではないか。
最近まで心臓に念の鎖が巻き付いていたクロロが連想したのはそれだった。
余りにも似ている。念を使えず不自由を強いられた昔と、首輪をつけられ殺し合いを強いられる今。
だが、参加者はおそらく五十人以上集められていた。
それだけの人数に念を使うのは大変だ。あの主催にそこまでの能力があるとは思えない。
普通、これだけのものを具現化するのには相当のイメージ修行が必要だ。
黒い球のこともある。何かしらクロロの知らない力が働いた可能性もあるのだ。
決め付けるのは早急かもしれない。
「結局は現物を調べてみない何も分からねぇってことか」
「そういうことだな」
考察は振り出しに戻ってしまう。不確定要素が多すぎるのだ。
バクラにしたって一見しただけで首輪の構造など分かるはずがない。
目が肥えている二人には首輪が相当にやっかいなものだということしか推測できない。
「調べるっていっても俺達のを外すわけにはいかねえだろ、どうする」
「簡単な事だ。誰かから奪えばいい」
クロロは断言した。彼らは盗賊なのだ。必要な物は奪うのが基本だ。
死体から奪えれば良いのだが、そう都合よく見つかるはずもないだろう。現実は非情だ。
「誰かをぶっ殺して頂くか」
「それが一番効率の良い方法だろうな」
今の時点で何人死んだのかは分からないが、生存者と出会う確立のほうが高いだろう。
目的地はとりあえず中央に決めた。首輪を手に入れるにしても情報を集めるにしても、他者との接触が必要になる。
民家を出るとき、二人は再び偽りの仮面を被る。
数秒後にそこに立っているのはいかにも人当たりの良さそうな青年と、穏やかそうな少年だ。
二人に殺人についての躊躇はない。彼らは闇の世界に染まりきっている。
人殺しに快楽など求めていない。ただ必要だから殺す。そして奪う。
彼らは――盗賊だから。
【B-5 北東・街 / 一日目 深夜】
【クロロ・ルシルフル@HUNTER×HUNTER】
【装備】:バタフライナイフ
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康
【思考・行動】
1:情報収集、首輪解除のため首輪を手に入れる(人を殺して奪うことも考慮)
2:支給品を集める
3:武藤遊戯を探す
4:黒い球を奪う
【獏良了@遊戯王】
【装備】:Xガン@GANTZ、千年リング@遊戯王
【所持品】:支給品一式、毒薬、解毒薬
【状態】:健康、闇バクラ
【思考・行動】
1:情報収集、首輪解除のため首輪を手に入れる(人を殺して奪うことも考慮)
2:生き残る
3:武藤遊戯を探す
4:邪魔者は消す
|018:[[鬼]]|CENTER:[[投下順>本編(投下順)]]|020:[[約束]]|
|017:[[喧嘩]]|CENTER:[[時間順>本編(時間順)]]|020:[[約束]]|
|004:[[笑う狼]]|クロロ・ルシルフル||
|004:[[笑う狼]]|獏良了||
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**盗賊について
「これからどうする?」
ひとつの民家に腰を落ち着けたバクラとクロロはこれからの方針について話し合っていた。
周りの地形から判断して、現在地はA‐5、6付近だと二人は当たりをつけた。随分と端の方に飛ばされたものである。
盗賊という職業柄、周りの状況に敏感なのはごく当然のことだ。地図を広げながら二人は目的地を定めようと目を凝らす。
南に行こうとは決めたが、どこに何があるのかは把握しておく必要がある。
地図を眺めながら、バクラはふと思い出したように呟いた。首の違和感は始まってからずっと消えることはない。
「情報収集も大事だがこいつのことも考えなきゃなんねえ」
「……首輪か」
周りに人の気配がないのを確認した後、口調を崩したバクラは己の首に手をあてる。
主催者に命を握られたも同然の首輪。これがあるせいで出すぎた行動は命取りになる恐れがある。
何かを強制されるのが嫌いな二人であるので、早いところこの首輪を外してしまいたかった。
誰かに命を握られているという状況。上から見下されているようで不快だ。
「ま、俺様は死ぬことはないが……」
「死ぬことがない?」
クロロの疑問にバクラは軽く答えてやることにした。
バクラは千年リングに宿る魂である。三千年もの間、その中で生き続けてきた。
たまにリングの適合者を見つけ寄生し、壊れたら新たな適合者を待つ日々。
この肉体もそうやって使い潰していくものだと思っていた矢先――予定が狂った。
千年パズル。古代の王(ファラオ)が眠る千年アイテムのひとつ。
あのパズルは適合者を選ぶのかこの三千年の間、現代に蘇ることはなかった。
バクラの目的は王に復讐をすることである。長い間、力を蓄えながらその魂が蘇ることを待ち続けていた。
それがやっと叶った。
千年パズルに宿る魂は武藤遊戯に宿り、現世への帰還を果たした。
待ち望み訪れた復讐の機会。バクラはそれを逃すわけにはいかない。
千年パズルよりは容易とはいえ、千年リングの適合者を見つけるのだって楽ではないのだ。
生半可な人間に取り付けば、そいつはたちまち死んでしまう。
次の機会を悠長に待つことなんてバクラには出来ない。
「だから、この体を失うわけにはいかねぇ。遊戯にもしばらくは生き永らえてもらわないと困る」
「なるほど。大体分かった。その千年リングも興味深いな」
話を聞きながらクロロはバクラの持つ千年リングに視線を向けた。
クロロの盗賊としての興味が千年リングに注がれるが、あれを手に入れるということはバクラもセットということになる。
そう考えると、欲しいと思っていた気持ちが急速に沈んでいった。
手に入れたとしても一通り眺めてから、売却だ。素材は金のようだから良い値で売れるだろう。
元より、クロロは盗んだ美術品をそう長くは手元に置かない性質なのだ。
そんなどうでもいいことを思いつつクロロは首輪について考える。
「この首輪は念能力じゃないか?似たような能力者を知ってる」
「本当か」
「ああ。おそらく首輪を具現化して、術者の意思によって自由に爆破できるような能力を付加したんじゃないか。これなら俺が気がつかなかったのもある程度説明がつく」
例えば、クラピカは鎖を具現化させ強制的に絶の状態にするという能力を付加した。
この首輪も誰かが具現化させ、爆破というオプションをつけたのではないか。
最近まで心臓に念の鎖が巻き付いていたクロロが連想したのはそれだった。
余りにも似ている。念を使えず不自由を強いられた昔と、首輪をつけられ殺し合いを強いられる今。
だが、参加者はおそらく五十人以上集められていた。
それだけの人数に念を使うのは大変だ。あの主催にそこまでの能力があるとは思えない。
普通、これだけのものを具現化するのには相当のイメージ修行が必要だ。
黒い球のこともある。何かしらクロロの知らない力が働いた可能性もあるのだ。
決め付けるのは早急かもしれない。
「結局は現物を調べてみない何も分からねぇってことか」
「そういうことだな」
考察は振り出しに戻ってしまう。不確定要素が多すぎるのだ。
バクラにしたって一見しただけで首輪の構造など分かるはずがない。
目が肥えている二人には首輪が相当にやっかいなものだということしか推測できない。
「調べるっていっても俺達のを外すわけにはいかねえだろ、どうする」
「簡単な事だ。誰かから奪えばいい」
クロロは断言した。彼らは盗賊なのだ。必要な物は奪うのが基本だ。
死体から奪えれば良いのだが、そう都合よく見つかるはずもないだろう。現実は非情だ。
「誰かをぶっ殺して頂くか」
「それが一番効率の良い方法だろうな」
今の時点で何人死んだのかは分からないが、生存者と出会う確立のほうが高いだろう。
目的地はとりあえず中央に決めた。首輪を手に入れるにしても情報を集めるにしても、他者との接触が必要になる。
民家を出るとき、二人は再び偽りの仮面を被る。
数秒後にそこに立っているのはいかにも人当たりの良さそうな青年と、穏やかそうな少年だ。
二人に殺人についての躊躇はない。彼らは闇の世界に染まりきっている。
人殺しに快楽など求めていない。ただ必要だから殺す。そして奪う。
彼らは――盗賊だから。
【B-5 北東・街 / 一日目 深夜】
【クロロ・ルシルフル@HUNTER×HUNTER】
【装備】:バタフライナイフ
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康
【思考・行動】
1:情報収集、首輪解除のため首輪を手に入れる(人を殺して奪うことも考慮)
2:支給品を集める
3:武藤遊戯を探す
4:黒い球を奪う
【獏良了@遊戯王】
【装備】:Xガン@GANTZ、千年リング@遊戯王
【所持品】:支給品一式、毒薬、解毒薬
【状態】:健康、闇バクラ
【思考・行動】
1:情報収集、首輪解除のため首輪を手に入れる(人を殺して奪うことも考慮)
2:生き残る
3:武藤遊戯を探す
4:邪魔者は消す
|018:[[鬼]]|CENTER:[[投下順>本編(投下順)]]|020:[[約束]]|
|017:[[喧嘩]]|CENTER:[[時間順>本編(時間順)]]|020:[[約束]]|
|004:[[笑う狼]]|クロロ・ルシルフル|043:[[俺様の軍事力はエリア一ィィィィィ!!]]|
|004:[[笑う狼]]|獏良了|043:[[俺様の軍事力はエリア一ィィィィィ!!]]|
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