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Girl meets Falcon



建ち並ぶ民家とは裏腹に全く人の気配が存在しない、人によっては不気味とも言える静けさに包まれた住宅街。
しかしそんな周囲の異様さを気にした様子も無く、緑色のツナギを着たスキンヘッドの巨漢がガードレールに座り込む。
男の名は伊集院隼人、裏の世界では海坊主やファルコンなどと呼ばれている。
海坊主は表向きは喫茶店の経営者だが、かつては傭兵であり現在も裏の世界では現役のスイーパーだ。
何人もの命でその手を汚し、それを仕事として割り切って生きてきた。
悪人と言われても否定は出来まい。
しかし汚れ仕事だからこそ、通すべき筋が有る。
少なくとも海坊主はそう考える。
仕事として正式に依頼するのでなく、爆弾を仕込んだ首輪で脅し殺し合いを強いる。
(フン! こんなもんで脅せばおれが、はい分かりましたと殺して回るとでも思ったのか?)
これはプロのスイーパーに対する、侮辱に他ならない。
この殺し合いを主催する者、ワポルはプロのスイーパーの誇りを汚した。
ならばプロの流儀に拠る報いを受けて貰う。
殺し合いには乗らずに生還した上で、ワポルを殺す。
海坊主の己自身に課す任務は定まった。

海坊主は湧き上がる怒りに突き動かされる様に、自分の持つデイパックを、乱暴に開ける。
中に入っているという武器を、確認する必要が有る。
支給したのがワポルだというのは引っ掛かったが、細かい事を気にしていられない。
今の状況では、支給武器が大事な生命線なのだ。
そして開ける時とは対照的に、慎重にデイパックの中を改める。
海坊主は視力が無い為、デイパックの中を改めるのも手探りになる。
接触が即命取りになるような物は入っていないだろうが、慎重になるに越した事は無い。
(刀……にしちゃ、妙な造りになってやがる…………)
デイパックの中に入っていたのは日本刀。
ただ刃が通常と違い、反りに対して内側になっている。
他に入っていた物は紙片や食料等、武器にはなりそうに無い物ばかりだった。


(…………何時までもここでじっとしてても始まらねえ。これだけで行動するしかねーな)
日本刀以外の荷物を仕舞って、海坊主は歩き始める。
当座の目的は、殺し合いに乗っていない人物との接触。
その人物から自分の支給品の詳細等のミクロな情報から、現在地や主催者等の殺し合いに関するマクロな情報まで
生存及び殺し合いからの脱出に必要な情報を交換し、可能ならば協力体勢を取る。
(理想を言えば、こいつを外す方法に繋がりそうな奴がいいんだがな…………)
海坊主は自分の首元を擦り、首輪の感触を確かめる。
殺し合いから脱出するには、首輪の解除が不可欠。
だが少なくとも工具も首輪の構造の知識も無しに、外せる代物では無さそうだ。
工学に明るい者ならば、解析が可能かもしれない。

「リトーっ!! どこー!?」

それまで海坊主に拠るもの以外の物音が無かった住宅街に、若い女性の声が木霊する。
視力が無い代わりに発達した聴覚が、即座に声の主の位置を把握する。
(近いな。しかし殺し合いの真っ只中ででかい声を上げるとは、何考えてやがる!?)
殺し合いの参加者以外が居るとは思えないが、殺し合いの当事者なら大声を上げて人を呼び寄せる危険性は分かる筈だ。
それが出来るのはよほど考えが足りない者か、あるいはよほどの自信家か。
(…………取り合えず、どんな奴か確かめに行くか……)

「リトーっ! 春菜ーっ!! 出てきてよー!」
建物の陰から、声の主の様子を窺う。
10代後半と思しき女性が、周囲を警戒する様子も無く呼び掛けながら歩いている。
奇妙な事に、どれ程耳を澄ましても衣擦れの音がしない。
(服着てねー訳、無いよな……。そんな事より問題は接触するか否か、だ)
周囲に余人の気配は無い。
歩行音から察して、武器は持っていない。
武器も無い小娘1人、いざとなれば力付くでどうとでもなる。
海坊主は接触を試みる事にした。


極力気配を消して近付き、建物の陰から女の腕を掴まえた。
「リトと春菜、どこいったのかな…………あっ!!」
建物の陰に引き込み、後ろから女の首に手を回す。
「動くな! 声も上げるんじゃねえぞ。こっちの指示に従えば危害は加え…………おまえ、本当に裸じゃねえか!!」
女の服の感触が無い事に、海坊主が顔を真っ赤にして驚く。
「やっ…………はなしてよっ!!」
女は海坊主の手を強引に引き剥がし、身体ごと振り回す。
振り回されている当の海坊主は、自分の状況が把握出来ていない。
自分より遥かに体格で劣る少女に腕力で振り回されるなど、海坊主の常識では考えられない事態からだ。
しかし女――――ララ・サタリン・デビルークは、正に地球人である海坊主の常識外の存在
デビルーク星の人間であった。
振り回す勢いのまま地面に叩きつけられる。
全身に走る衝撃を最後に、海坊主は意識を失った。

     ◇     ◇     ◇

「うーん、ちょっとやりすぎちゃったかな? 地球人のパワーに合わせるのって、難しいんだよねー」
倒れ気絶している海坊主を見下ろして、ララは珍しく僅かに困惑の色を浮かべそう呟いた。

殺し合いが始まって、ララが思った事は訳が分からないという事だった。
地球の文化では珍しくないのかも知れないが、デビルーク星に生まれ育ったララには
何の意味があって殺し合いなどしなければならないのか、まるで理解が出来ない。
行動方針を定めかねたララは、最初に集められた場に居た知人の結城梨斗と西連寺春菜を捜す事にした。
地球人の2人ならば殺し合いについて、何か知っているかもしれない。
ペケが居ないので着る服も無いが、近くにはほとんど人が居ない様だし
もし襲われたとしても、地球人相手ならば遅れをとる事も無いだろう。
そう判断し呼び掛けて回っていたら、予想外の奇襲を受け
咄嗟に相手を投げ付けてしまい、現在の状況に到った。
「この人も、私を殺そうとはしてなかったみたいだし…………どうしよっかなー?」
地に倒れた傭兵、そして未知の殺し合いを前にララの困惑は深まっていった。


【B-6 北西・街 / 一日目 深夜】

【伊集院隼人@CITY HUNTER】
【装備】:逆刃刀・真打
【所持品】:支給品一式 未確認支給品0~2
【状態】:健康 気絶中
【思考・行動】
1.気絶中に付き思考停止

【ララ・サタリン・デビルーク@To LOVEる】
【装備】:無し
【所持品】:支給品一式 未確認支給品1~3
【状態】:健康 全裸
【思考・行動】
1.この人をどうしよっかなー?
2.結城梨斗、西連寺春菜と合流



004:笑う狼 投下順 006:はじまり
004:笑う狼 時間順 006:はじまり
初登場 伊集院隼人 023:聞く耳持ちません
初登場 ララ・サタリン・デビルーク 023:聞く耳持ちません