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ヒソカの性欲×1stステージ×桃の決意



 上空に浮かぶ神秘的な輝きを放つ月が二人の男の影を晒していた。
 一人は物柔らかな風貌をした少年、武藤遊戯。
 もう一人は厳めしくもどこか優しさを持っている、そんな正反対の雰囲気たちを同居させているような少年、剣桃太郎。
 二人の背景に存在するピラミッドの階段の二段目に遊戯が腰を降ろしており、
 桃は後頭部に回した腕を枕に、階段の一段目に頭を預けて横になっていた。

「へぇ。じいさんにもらった宝物か」

 宝物というのは遊戯が探しているという千年パズルのことだ。
 彼の祖父がエジプトで発見してきたもので、彼にプレゼントされた物。
 丁度真後ろの建物を黄金に塗り固めて逆さにしたような形をしている。
 遊戯はそれをペンダントのようにして常に身につけていた。

 さて―――――― その千年パズルには様々ないわくがあると言う。
 祖父が言うには元々千年パズルが見つけ出されたのは今世紀初頭、とある発掘隊が王の谷のファラオの墓から持ち出した。
 だがその発掘に関係した人物は皆〝謎の死〟を遂げたらしい。
 その中の一人だけが、〝闇のゲーム〟という言葉を残して…。
 普通の神経を持つ人間であれば不気味だと取るその昔話も、遊戯にとっては寧ろ好奇心を湧きたてるものにしかならなかった。
 結果、遊戯は無事その後パズルを完成させた。
 そしてそれと同時に遊戯はもう一つの人格を手に入れたのだった。
 遊戯がもう一人の存在に気付いてきたのはごく最近。
 パズルを完成させて以来、どうも記憶が切断されてしまうということがしばしばあった。
 そこで遊戯は考えた。もしかすると、その間自分の身体は別の自分に支配されているのではないか、と。
 考えれば考えるほど怖くなって、その末友人にその事を打ち明けた。
 けれど…遊戯が恐れていた事態は招かれなかった。
 皆、〝それでもずっと友達だ〟と受け入れてくれたのだ。


「それに、たくさんの思い出が詰まった……大切な、とても大切なものなんです」
「そうか」

 この時遊戯の表情に温かさが垣間見えたような気がした。
 桃の頬も、無意識の内に微かに綻ぶ。

「じゃあそろそろ行くか」

 重たい上半身を緩慢な速度で起こした桃がパックを寄せて立ち上がる。
 遊戯も取り敢えず腰を持ち上げてはみるが、その目的が疑問だった。

「行くって、どこにですか?」
「……その千年パズルとやらは探さなくて良いのか?」  
「あ……………ッ、有難うございます!」
「フッフフ」

 ポケットに手を突っ込み歩き出す桃の背後を遊戯が追う。
 二人で〝遊戯の宝物〟を見つけ出すために。

      ◇      ◇      ◇

 右頬に星、左頬に雫。
 それぞれのマークのペイントを施した男が醸し出している雰囲気は不気味だという表現が言い得て妙である。
 喜怒哀楽の感情がまるで読めない。
 殺し合いゲームに対して歓喜しているのか激怒しているのか悲観に走っているのか、はたまた愉快に思っているのか。
 奇妙な外見に表層意識さえも読みとれないとくれば彼を見た者は誰しもが恐怖を覚えるだろう。


「あの子、部屋に居たときから目をつけていたんだけど…」

 男、ヒソカは獲物を狙う野獣の如く、舌なめずりをし木の幹に頬を撫でつけながらピラミッドの側に居る二人の人物を見据えていた。

「うぅ~ん、良い。やっぱり良いねェ……ボクにはわかるよォ………」

 さながら憧れの先輩への告白のタイミングを待つ女生徒のように、木陰から二人を見守る。
 木の影が覆いつくしているのだから、彼には光が届いていない。
 つまり彼の股間が輝いているのは月明かりのせいではなく、目標に与えられた希望のせいなのである。

「おっとそろそろ動き出したか。それじゃあボクも……行こうかな?」

      ◇      ◇      ◇

「で、さっきから見ているあんたは一体何なんだ?」
「え?」

 突然動きを停止させる桃を見れば一歩踏み出そうとした遊戯も足を止める。
 あまりに突発的な出来事なので状況処理を遅らせたまま目の前の桃の背に視線を送ることしかできない。
 数秒後、その脳内作業が終了し恐る恐る桃の背から前方へと顔を覗かせてみるのだが、そこには誰も居ない。

「気付いていたか。やっぱりね」
「え!?」

 後ろから声がした。
 遊戯は驚く。桃が振り向かずとも背後に誰かが居ることに気付いたことに。

「俺たちに何か用か?」
「うーん、まぁそんなトコロかな」


 漸く桃は足先を相手の方向を揃えて、まともに相手と視線を交えた。
 すると淀んだ黒い霧が地面を伝って自身の身体を這い上がってくるような錯覚に陥る。
 それは桃の脳が発する危険信号であり、ただの幻覚というわけではない。
 桃は警戒心に瞳を光らせ遊戯を庇うように腕を横に伸ばした。

 コイツは、この目は左之助とは違う。
 ―――――――――――――――…………殺戮者だ!

「も、桃さん…」
「遊戯、下がってろ」

  お い し そ う な 子 
 桃の熱い眼差しによって、ヒソカの全身にゾクゾクと電撃が駆け巡る。
 目を離さなければ電撃に出口などないためとうとうショートし、我慢できなくなったヒソカが一瞬にして桃の鼻先スレスレまで顔を近付けた。

「…ッ!!」
「さぁ、戦ろうか」

      ◇      ◇      ◇

 ドゴォ!

 影と影がぶつかり合い、中央から凄まじい土煙が立ち上がる。
 遊戯は階段の影から息を潜めてその光景を見ていることしかできなかった。

「すごい……桃さんもあのピエロみたいな人も………人間とは思えないぜ…!」

 ヒソカが腕を突き出せば、桃は腕を掲げて攻撃を阻止する。
 桃が足を振り上げれば、ヒソカは上体を捻って攻撃をかわす。
 まさに一進一退の攻防が繰り広げられていたのだが。

「……あれ?何か桃さんの様子がおかしいな」



「…………フッフフ…やるな…」

 端から見れば互角。しかし実際には、ヒソカが桃をおしていた。

 桃は本来右手を使って戦闘を行っている。けれど、だからこそ左手も必要になる。
 拳を出したと同時に相手からの攻撃が襲ってきた時、回避できぬ状況にあればそれを防ぐのは左腕の役割なのだ。
 しかし先ほどから桃は攻撃から逃げることを選択しようとしない。
 いや、正確に言うならば選択できなかった。
 ヒソカは人間を遥かに凌駕するほどの速度をもって的確に攻撃を繰り出してくるのだ。
 桃が距離をとろうと後ろに退がったとしても、磁石のように素早くヒソカがくっついてくるので意味が無い。
 そのため相手の拳は左腕で防御しているのだが、その度に左拳にまで衝撃が到達し軋むような痛みに襲われる。
 やはり、左之助と対峙したときに負った怪我が問題なのだろう。
 一応遊戯の支給品によって簡単な処置は施しているが…あまり役割を果たしてはいない。

(……何か様子が変だねェ)

 また、ヒソカも桃の様子がおかしいことを察していた。
 何と言うか、動きがぎこちない。
 それに戦いにあまり集中できていないようにも見える。
 恐らくその原因は―――――――。

(怪我をしているのか)

 桃の左手に巻かれた包帯。その下に隠れているのは膨れ上がった左拳。

「つまらないな、今はボクだけをみてくれないと…」
「…う!」

 視野全体に広がるヒソカの顔面。
 目線がかち合って寒気が走ったと共に、ヒソカの膝が桃の腹部にめり込んだ。

「桃さん!!」

 思わず立ち上がる遊戯の胸の中は桃への不安だけが面積を埋め尽くしていた。
 自分にできることなど何も無い、それでもつい、遊戯は吹っ飛んだ桃の元へと駆け出してしまった。

 その光景を見てヒソカは歪んだ笑みを漏らしゆっくりと桃の方へ歩み寄る。

 〝ゴン=フリークス〟という少年。
 彼は父親を探す、夢を叶えるという目的をもってハンター試験を受けた才能ある少年である。
 ヒソカはそんな彼の実力を認め、彼の成長を見る度に性的興奮を覚えていた。
 成長すればするほど確かにゴンは自分に近付いていった。
 今はまだ遠くあっても、ゆっくりと、着実に。 

 ヒソカは桃が〝その感覚〟に似ていると感じていた。だからこそこうやって戦いに誘ったのだ。
 だが、桃から与えられた高揚感はゴンのそれとは少し違うものであった。
 自分の目標のために戦い、成長を遂げるゴンとは、違う目の輝き。

(なるほど)

 ――――――ヒソカが、足を止めた。

「大丈夫ですか、桃さ………ッ!?」
「遊戯!」

 途端、どういうわけか遊戯の身体が綺麗な放射線を描いて宙を舞った。
 桃も不可思議な現象にただ、困惑して―――――遊戯の行き着く先へと視線を動かすと。

 〝ヒソカの手のひらの上に、遊戯の頭が乗っていた〟

「…………」

 そこから足元へと視線を落とすと、その頭と繋がっていたはずの胴体。

 そう、ヒソカは自らの肉体に宿るオーラを自在に操作することができる、〝念〟を使ったのだ。
 正確には、ヒソカはそれをガムのように伸縮させることが可能な技、〝伸縮自在の愛(バンジーガム)〟
 その技で自身のオーラを付着させていた遊戯を引き寄せればあとは簡単。
 全ての握力を右手に注いで遊戯の首を、ちぎった。

「遊戯―――――――――――ッ!」 
「あんまりこういうやり方はしないんだけど…君は、こうした方が強くなるだろう?」 

 驚愕の表情を浮かべる桃を挑発するようにヒソカが遊戯の頬を舌で撫で上げた。
 そして一頻り舐め回した後で頭部を草むらに放り投げた。

「遊戯………」

 〝じいちゃんにもらった、大切な宝物〟
  ――――――蘇える。
 〝たくさんの思い出が詰まった……大切な、とても大切なものなんです〟
  ――――――遊戯の温もりある笑顔が。
 〝あ……………ッ、有難うございます!〟
  ――――――温かい過去の情景が、桃の中に蘇える。

「おおおおおおおおおおおおおおおお!」
「!!」


 燃え盛る炎!空に届く獣の呻き!
 額に巻いていたハチマキを解き、重力に従って垂れ下がったそれに氣を注入する!
 見よ、これぞまさしく!

「硬布拳砕功!!!」

 鋭い刃と化したハチマキがヒソカに襲い掛る。
 咄嗟に身をひねったことによって怪我は負わなかったものの、ヒラヒラと舞う自身の髪の毛が視界の隅を通り抜けていくのをヒソカは見逃さなかった。
 先刻のヒソカの蹴りが腹部に入っていなければ、間違いなく舞ったのは髪の毛ではなく鮮血だっただろう。

「念……とはちょっと違うね。フフフ、やっぱりボクの目は間違っていなかった。
 ―――――でも、ボクを倒したいならもう少し強くならなくちゃいけない。それから…その左手も治すことだね」
「………」
「それじゃあ、そろそろ行くよ。君も疲れているようだしねェ。
 君が強くなったらこのカードを使ってボクを呼ぶと良い。早くしないと…会場中が死体だらけになる」

 磁力のカードと添えられていた説明書を置いてヒソカは踵を翻し立ち去った。
 桃はそれがわかるとガクリと膝を落とし、涙を飲み込んで足元に転がった遊戯の頭を見据える。

「すまねェ……遊戯、俺は…………」

 数時間とは言えど、桃にとって遊戯は仲間となっていた。
 守りきれなかった、仲間。失った、悲しみ。
 この感覚には嫌というほど覚えがある。
 寂しさ、虚しさ、怒り、後悔、様々な色が桃の中で渦を巻く。
 あの時ああしていれば、こうしていれば…そんなことを言っていたって時が戻るというわけでもないのに。

 骨が砕けそうになるほど握り締めた右拳を地面に叩きつけ、悔恨する。
 救えなかったものを、左腕で胸の中に抱き締めて。


「………」

  〝千年パズルっていうものを知りませんか?〟

「………俺が」

  〝たくさんの思い出が詰まった……大切な、とても大切なものなんです〟

「……俺がお前の代わりに探してきてやるよ」

 ―――――千年パズルを。
 ――――――そして、もう絶対に負けたりなんかしない。

「あぁ、強くなってみせるさ。仲間を失わないくらいに、強く…な」

 誓いを背負った少年の背中を、月が優しく照らしていた。


【A-3 ピラミッド付近/一日目 黎明】


【剣桃太郎@魁!男塾】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式 不明支給品1~3個(刀剣類はないようです)
【状態】:左拳損傷(包帯済み) 疲労(中)
【思考・行動】
1: カードを受け取る?
2: 強くなる
3: パズルを見つける
4: 主催者打倒
5: そのために仲間を集める


【ヒソカ@HUNTER×HUNTER】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式 スペルカード(初心、再来)@HUNTER×HUNTER 不明支給品1~2個
【状態】:健康
【思考・行動】
1: 桃とまた再戦したい
2: ゲームを楽しんだ上で優勝し、主催者を殺す

※ 支給品の一つ、魔法カード(磁力)の所有権は桃に渡しました。

【武藤遊戯@遊戯王 死亡】

※ 支給品 包帯@るろうに剣心、他不明支給品1~2個は放置されたままです。

029:想い人 投下順 031:鬼女 が 生まれた 日
029:想い人 時間順 032:探し人
017:喧嘩 武藤遊戯 死亡
017:喧嘩 剣桃太郎 044:死ぬことと見つけたり
初登場 ヒソカ