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お昼と深夜の映画館8

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毒々しい拒絶――スターシップ・トゥルーパーズ


  南米の若者たちが、アメリカ市民権を獲得するために戦争に従軍するという映画だ。
  敵は虫で、戦闘のイメージは『風の谷のナウシカ』からとっている。
  虫はやっつけてもやっつけても際限なく攻撃を仕掛けてくる。このような敵というのは、アメリカにとっては朝鮮戦争の中国軍である。この映画は米中戦争の映画なのだ。
  監督は主人公も地球軍(米軍)も冷たく突き放している。悪意と言ってもいい視線を向けている。これほど共感を拒絶して作られている作品も珍しい。
  世界を拒絶しながら世界の中にあり、しかも世界を作る。この監督はそういうことをしている。
  これは、吹きっさらしの寒々しさに身を置き、耐え抜く存在の仕方だ。
  これができるのは、この監督が相当に毒々しい人だからだと思う。この場合、それは知性の証しである。
  作家の毒々しさが作品の毒を上回っているために、通常なら後味が悪くなるはずの映画が、別の風味をそなえる事となった。
2005.1.31
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