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喜劇・個人情報保護法

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喜劇・個人情報保護法


  医療機関などで警察の捜査照会に対して、個人情報保護法を理由に回答を拒否する事例が4月から6月の3カ月間だけで約500件に上っている事が分かった。
  報道によると、これは厚労省や日本医師会の指針に
「照会に応じても保護法違反ではないが、本人から損害賠償を求められるおそれもある」
  と記されているためらしい。
  まず、ふたつほどつけくわえておきたい。
  ひとつは、個人情報保護法がひどくわかりにくい法律だという事がある。
  どうも、世間では騒ぎになっていて、個人情報保護法はうるさそうだから、対処しなければならないだろうという風に企業などが動いているが、かなり苦労しているようだ。
  企業によっては、体質の未開な部分が露呈して、悲喜劇が演じられているらしい。
  個人情報保護法は、故意に破ろうと思っても、難しい、やっかいな法律だ。それを守ろうというのだから、最後は祝詞でもあげてもらうしかないかもしれない。風水がいいか、細木数子がいいか、色々あるが、何にするかは、他者の立ち入るべき問題ではない。
  つまり、個人情報保護法という法律自体の問題が、捜査照会の回答拒否という形で現象したという事だ。これは、総務省に責任がある。
  次に、医療機関と司法の問題がある。
「照会に応じても保護法違反ではないが、本人から損害賠償を求められるおそれもある」
  というのは、端的にこの問題を現している。
  誤診など、医療過誤などは、本来、刑事責任が問われるべき事例であっても、すべて民事で処理されている。ようするに、医療機関は患者を殺しても、金で済まして来た。判事どもが無責任だから、逃げてしまうのだ。
  そこで、「損害賠償」は、医療機関にとって、最も恐ろしい言葉となった次第である。
  厚労省は、
「一般論として例示しただけで、過剰に受け取られるのは本意ではない」
  としているが、官僚にとっては想定外の事態でとまどっているのだろう。役人の想定範囲の狭さがよくわかる話でもある。
  個人情報保護法に対する誤解で、個人(の情報)を守ってくれるものだというものがある。しかも、国に対して、個人情報保護法を盾にとろうとする人もいるようだ。
  どんどんやればいいと思うが、個人情報保護法は国や地方自治体などの機関には適用されない、民間の大量に個人情報を持つ企業・団体にだけ適用される法律なのだ。だから、個人情報保護法によって、国の機関の責任を追求する事はできない。
  また、ある人が、数十人程度の個人情報を持っていて、これを本人の同意なしにどうこうしても、個人情報保護法にはひっかからない事になっている。
  この点について、三千人規模から問題になると、総務省が言っていたが、今後、どうなるかはわからない。
  個人情報保護法をめぐるドタバタは、面白いと言えば面白い。国が「個人」を守ると考えている人々がいるが、法律が問題としているのは人ではなく「情報」の扱い方なのです。
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