十数える

    
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心せく旅にしあれど幾度か
思はず花に駒留めにけり

こころせく
たびにしあれど
いくたびか
おもわずはなに
こまとめにけり

 乃木希典が任地に赴く途中に詠んだ歌です。軍務で馬を駆る若き日の乃木が、道々、花に目をやっています。
 乃木は、心せくのに、駒を止め、路傍の花を見愛でる人であった。



はれてさへをぐらきものを夏木立
賤が伏屋の五月雨の空

はれてさえ
おぐらきものを
なつこだち
しづがふせやの
さみだれのそら

 昼間なのに真っ暗になってしまうほどの激しい雨のせいで、伏屋に雨宿りしています。こういう光景を詠う乃木の作品はいいです。何でもない事が驚きとなり、しみじみと染みこんでくる感覚があります。



咲くことをなどいそぎけむ今更に
ちるををしとも思ふ今日かな

さくことを
などいそぎけん
いまさらに
ちるをおしとも
おもうきょうかな

 長男勝典、次男保典を追悼し「悼両典」と題して詠まれた歌です。
 日露戦争です。名将乃木は両典を亡くしています。この歌の乃木の思いを思う、さらりとした歌なのだけれど、惜しいと言っているのです。



乃木希典辞世 二首
神あがりあがりましぬる大君の
みあとはるかにをろがみまつる

かみあがり
あがりましぬる
おおきみの
みあとはるかに
おろがみまつる


うつし世を神さりましゝ大君の
あとをしたひて我はゆくなり

うつしよを
かみさりましし
おおきみの
あとをしたいて
われはゆくなり

 乃木の辞世の二首。いい歌です。屈折なく、まっすぐに「我はゆくなり」というところに身を置いています。見事な歌です。
 静子夫人の辞世も紹介しましょう。



静子夫人辞世
いでましてかへります日のなしときく
けふのみゆきにあふぞかなしき

いでまして
かえりますひの
なしときく
きょうのみゆきに
あうぞかなしき

 これも実に見事な歌です。引き締まった調べです。
 十数えるのに、
「のぎさんはえらいひと」
 と数えるようになるのは、大正時代のことだったでしょう。



2006.5.13


















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