Memorix core
http://w.atwiki.jp/kozymemory/
Memorix core
ja
2006-05-13T00:59:40+09:00
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十数える
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/22.html
&ref(tanka10.jpg)
心せく旅にしあれど幾度か
思はず花に駒留めにけり
こころせく
たびにしあれど
いくたびか
おもわずはなに
こまとめにけり
乃木希典が任地に赴く途中に詠んだ歌です。軍務で馬を駆る若き日の乃木が、道々、花に目をやっています。
乃木は、心せくのに、駒を止め、路傍の花を見愛でる人であった。
&ref(tanka11.jpg)
はれてさへをぐらきものを夏木立
賤が伏屋の五月雨の空
はれてさえ
おぐらきものを
なつこだち
しづがふせやの
さみだれのそら
昼間なのに真っ暗になってしまうほどの激しい雨のせいで、伏屋に雨宿りしています。こういう光景を詠う乃木の作品はいいです。何でもない事が驚きとなり、しみじみと染みこんでくる感覚があります。
&ref(tanka12.jpg)
咲くことをなどいそぎけむ今更に
ちるををしとも思ふ今日かな
さくことを
などいそぎけん
いまさらに
ちるをおしとも
おもうきょうかな
長男勝典、次男保典を追悼し「悼両典」と題して詠まれた歌です。
日露戦争です。名将乃木は両典を亡くしています。この歌の乃木の思いを思う、さらりとした歌なのだけれど、惜しいと言っているのです。
&ref(tanka13.jpg)
乃木希典辞世 二首
神あがりあがりましぬる大君の
みあとはるかにをろがみまつる
かみあがり
あがりましぬる
おおきみの
みあとはるかに
おろがみまつる
&ref(tanka14.jpg)
うつし世を神さりましゝ大君の
あとをしたひて我はゆくなり
うつしよを
かみさりましし
おおきみの
あとをしたいて
われはゆくなり
乃木の辞世の二首。いい歌です。屈折なく、まっすぐに「我はゆくなり」というところに身を置いています。見事な歌です。
静子夫人の辞世も紹介しましょう。
&ref(tanka15.jpg)
静子夫人辞世
いでましてかへります日のなしときく
けふのみゆきにあふぞかなしき
いでまして
かえりますひの
なしときく
きょうのみゆきに
あうぞかなしき
これも実に見事な歌です。引き締まった調べです。
十
2006-05-13T00:59:40+09:00
1147449580
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春の酔い
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/21.html
&ref(http://www6.atwiki.jp/kozymemory/?cmd=upload&act=open&pageid=21&file=kansi002.jpg)
豊楽亭游春
欧陽修
緑樹交加山鳥啼
晴風蕩漾落花飛
鳥歌花舞太守酔
明日酒醒春已帰
七言絶句
豊楽亭游春
緑樹交加して 山鳥啼き
晴風蕩漾として 落花飛ぶ
鳥は歌い 花は舞い 太守は酔う
明日 酒醒むれば 春 已に帰らん
ほうらくていゆうしゅん
りょくじゅこうかして さんちょうなき
せいふうとうようとして らっかとぶ
とりはうたい はなはまい たいしゅはよう
みょうにちさけさむれば はるすでにかえらん
交加というのは、ふたつの事物が同時に来るという意味です。
緑と樹が同時に来るという、強いイメージが前に出て、広がります。そこに、後から、鳥の声が聞こえて来ます。
その光景を晴れやかな風がかきまわし、花が舞い飛びます。
その光景の中に入り、太守は酔います。
酔っている中身は明日酔いが醒めた時に、この春はすでに帰ってしまった後だろうなと分かっている。そんな醒めた酔いです。それがわかっているからこそ、今、酔うのです。
一行目で、強く生命の横溢を歌い、二行目でそこに花を添え、三行目で風景をまとめながら、人を配し、四行目ですべてを去らせています。
見事だと思います。
帰るという言葉は、一行目の交加を受けています。交加にやって来るというニュアンスがあるようです。
一行目で来て、四行目で帰るのです。大きな生命の流れから、春が私たちのところに来て、帰って行く。豊かな春を楽しみ、遊ぶ私たちの人生は、明日には醒める酔いかもしれません。
2006.4.28
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2006-04-29T06:09:37+09:00
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同宿に
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/20.html
&ref(http://www6.atwiki.jp/kozymemory/?cmd=upload&act=open&pageid=20&file=tanka002.jpg,center)
与謝野鉄幹に
同宿に窪田通治の歌をめでて泣く人みたり浪花江の秋
あいやどに
くぼたつうじの
うたをめでて
なくひとみたり
なにわえのあき
という歌があります。
窪田通治は窪田空穂(うつぼ)の事で、その歌は、
&ref(http://www6.atwiki.jp/kozymemory/?cmd=upload&act=open&pageid=20&file=tanka003.jpg,center)
死なんとぞしつつもあはれうれしげの笑顔見するか父と母とに
しなんとぞ
しつつもあわれ
うれしげの
えがおみするか
ちちとははとに
&ref(http://www6.atwiki.jp/kozymemory/?cmd=upload&act=open&pageid=20&file=tanka004.jpg,center)
笑ふより外はえ知らぬをさな子のあな笑ふぞよ死なんとしつつ
わらうより
ほかはえしらぬ
おさなごの
あなわらうぞよ
しなんとしつつ
&ref(http://www6.atwiki.jp/kozymemory/?cmd=upload&act=open&pageid=20&file=tanka005.jpg,center)
この父を怠けものとぞなしはててわが子のなつ子墓に隠るる
このちちを
なまけものとぞ
なしはてて
わがこのなつこ
はかにかくるる
などの作品かと思います。胸を打たれる歌です。不覚(おぼえずではなく、ふかくです)をとるに決まっているので、人前では読まない歌です。
他の作品では、
&ref(http://www6.atwiki.jp/kozymemory/?cmd=upload&act=open&pageid=20&file=tanka006.jpg,center)
其の子らに捕へられむと母が魂蛍となりて夜を来たるらし
そのこらに
とらえられんと
ははがたま
ほたるとなりて
よをきたるらし
という情緒を歌う
2006-04-29T06:10:28+09:00
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秋の田の
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/19.html
&ref(http://www6.atwiki.jp/kozymemory/?cmd=upload&act=open&pageid=19&file=tanka001.jpg)
百人一首から、天智天皇の御製である。
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ
我が衣手は露に濡れつゝ
あきのたのかりほのいおのとまをあらみ
わがころもではつゆにぬれつつ
字余りである。
あきのたの
かりほのいおの
とまをあらみ
わがころもでは
つゆにぬれつつ
本居宣長の字余りについての考えから言うと、声に出して読む時に、
あきのたの
かりほのいおの
とまをあら
みわがころもでは
つゆにぬれつつ
という気持で読むと読みやすいという。
あまった音を後ろにくっつけてしまうのである。
字余りについて、吉本隆明さんが、五七五七七の姿というのは、四六四六六も、六八六八八も含み込んでいると言っている。
つまり、「あきのたの」は、音としては「あぁきぃのぉたぁのぉ」という風に分解できるがそれをつめたり、伸ばしたりする事が可能だと言うのである。
「あきのた」だった場合は、「あきいのた」として五に持っていってしまうのである。
先に挙げた本居式は、反対に「とまをあらみ」の「み」の音をなくしてしまうやり方という事になる。
秋の田 というのは刈り取りの時期の田で、
かりほの庵 は仮の庵
そこで寝ずの番をしていると夜露で衣服が濡れてしまうと歌っている。
これは天皇が自分の事を歌ったと見る「由注するはわろし」と尾崎雅嘉が『百人一首夕話』で言っている。百姓が寝ずの番をする苦労を思いやり「土民になり代わりて詠ませられたる御歌」と解釈しているのである。
秋の田で仮設番小屋で徹夜の見張り、夜露でそでが濡れてます
袖が濡れてるあたりは寒そうな感じがするけど、湿気が多いのは、まだ暑くて、湿気が多いという事かもしれない。
秋の夜は長い。
2006.4.20
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2006-04-29T06:11:35+09:00
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不覚の春
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/18.html
&ref(kansi001.jpg)
この詩は、春暁(しゅんぎょう)という詩で、
春眠暁を覚おぼえず
処処啼鳥を聞く
夜来風雨の声
花落つること知んぬ多少ぞ
と詠む。五言絶句である。
しゅんみんあかつきをおぼえず
しょしょていちょうをきく
やらいふううのこえ
はなおつることしんぬたしょうぞ
である。
大体、これを学校で習った後は、寝坊をすると「春眠暁を覚えず」と口にするようになる。後の三行は忘れてしまう場合が多い。漢詩好きには信じられない話だと思う。
後は、女房にやいのやいの言われた時に、「不覚=覚えず」の状態となる。気がつかないという意味だが、転じて、逃避し幽体離脱状態になる場合に使われるようになった。
春はお寝坊しちゃうよ
あちこちから鳥のさえずりが聞こえる
昨夜は雨風の音がした
花が散ってるだろうけど、まだわかんないや
二行目と三行目の、朝に鳥の啼く声と、昨夜、雨風の音が対比になっている。
両方とも聴覚から、外の様子をたぐりよせているあたりに寝床でゴロゴロしている光景を浮かび上がらせる。
春だけでもなく、また、暁だけでもない、のべつまくなしに「不覚」であると、歌になどはならない。
2006.4.19
[[トップページ>トップページ]]
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2006-04-29T06:12:12+09:00
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詩歌を読んで行きます。
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[[千年灸の話>千年灸の話]]
千年灸という製品があります。自分で自分にやったりする簡易灸です。
本物の灸はやはりプロの技術が必要ですが、千年灸なら、少し慣れると、かなり簡単に自分の体の面倒を見てやれるようになります。
[[more>千年灸の話]]
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[[お昼と深夜の映画館]] イグジステンズ
[[お昼と深夜の映画館2]] 元大統領危機一髪
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[[お昼と深夜の映画館4]] プリティー・ウーマン
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[[お昼と深夜の映画館7]] ギャラクシー・クエスト
[[お昼と深夜の映画館8]] スターシップ・トゥルーパーズ
#ref(ikd0001s.jpg)
[[喜劇・個人情報保護法]]
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2008-08-01T11:57:52+09:00
1217559472
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千年灸の話
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/16.html
*千年灸の話
2005.11.14 up
千年灸という製品があります。自分で自分にやったりする簡易灸です。
本物の灸はやはりプロの技術が必要ですが、千年灸なら、少し慣れると、かなり簡単に自分の体の面倒を見てやれるようになります。
触って腹が冷えていたら、そこに灸を打ってやるといった使い方が出来るのです。
おとつい、足の裏に打ったら、朝から出ていた鼻水が止まりました。とても助かります。
血圧が高い時にも、足に打ちます。
ただし、簡易灸をやったがために、深刻な体の異変であるのに、目先を誤魔化して悪化させ、命取りになるといった事も考えられますので、ちょっとした事の対処としてやるだけにしています。
[[トップページ>トップページ]]
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2006-04-19T14:13:49+09:00
1145423629
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喜劇・個人情報保護法
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/15.html
**喜劇・個人情報保護法
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医療機関などで警察の捜査照会に対して、個人情報保護法を理由に回答を拒否する事例が4月から6月の3カ月間だけで約500件に上っている事が分かった。
報道によると、これは厚労省や日本医師会の指針に
「照会に応じても保護法違反ではないが、本人から損害賠償を求められるおそれもある」
と記されているためらしい。
まず、ふたつほどつけくわえておきたい。
ひとつは、個人情報保護法がひどくわかりにくい法律だという事がある。
どうも、世間では騒ぎになっていて、個人情報保護法はうるさそうだから、対処しなければならないだろうという風に企業などが動いているが、かなり苦労しているようだ。
企業によっては、体質の未開な部分が露呈して、悲喜劇が演じられているらしい。
個人情報保護法は、故意に破ろうと思っても、難しい、やっかいな法律だ。それを守ろうというのだから、最後は祝詞でもあげてもらうしかないかもしれない。風水がいいか、細木数子がいいか、色々あるが、何にするかは、他者の立ち入るべき問題ではない。
つまり、個人情報保護法という法律自体の問題が、捜査照会の回答拒否という形で現象したという事だ。これは、総務省に責任がある。
次に、医療機関と司法の問題がある。
「照会に応じても保護法違反ではないが、本人から損害賠償を求められるおそれもある」
というのは、端的にこの問題を現している。
誤診など、医療過誤などは、本来、刑事責任が問われるべき事例であっても、すべて民事で処理されている。ようするに、医療機関は患者を殺しても、金で済まして来た。判事どもが無責任だから、逃げてしまうのだ。
そこで、「損害賠償」は、医療機関にとって、最も恐ろしい言葉となった次第である。
厚労省は、
「一般論として例示しただけで、過剰に受け取られるのは本意ではない」
としているが、官僚にとっては想定外の事態でとまどっているのだろう。役人の想定範囲の狭さがよくわかる話でもある。
個人情報保護法に対する誤解で、個人(の情報)を守ってくれるものだ
2005-10-29T14:06:52+09:00
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お昼と深夜の映画館8
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/14.html
**毒々しい拒絶――スターシップ・トゥルーパーズ
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南米の若者たちが、アメリカ市民権を獲得するために戦争に従軍するという映画だ。
敵は虫で、戦闘のイメージは『風の谷のナウシカ』からとっている。
虫はやっつけてもやっつけても際限なく攻撃を仕掛けてくる。このような敵というのは、アメリカにとっては朝鮮戦争の中国軍である。この映画は米中戦争の映画なのだ。
監督は主人公も地球軍(米軍)も冷たく突き放している。悪意と言ってもいい視線を向けている。これほど共感を拒絶して作られている作品も珍しい。
世界を拒絶しながら世界の中にあり、しかも世界を作る。この監督はそういうことをしている。
これは、吹きっさらしの寒々しさに身を置き、耐え抜く存在の仕方だ。
これができるのは、この監督が相当に毒々しい人だからだと思う。この場合、それは知性の証しである。
作家の毒々しさが作品の毒を上回っているために、通常なら後味が悪くなるはずの映画が、別の風味をそなえる事となった。
2005.1.31
2005-10-28T14:47:50+09:00
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お昼と深夜の映画館7
https://w.atwiki.jp/kozymemory/pages/13.html
**笑うべきではないものはある――ギャラクシー・クエスト
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ギャラクシー・クエストというのは架空のSFテレビドラマである。宇宙人がこれを現実と思いこみ、あこがれて、ドラマそっくりに自分たちの科学文明を作り上げてしまっている。
高度な科学文明を持ちながら、精神的に子供である宇宙人は、強大な別の宇宙人に脅かされ、ギャラクシー・クエストの出演者に救いを求めて、地球にやって来る。宇宙人にとって、彼らは宇宙戦士であるのだ。
この宇宙人は日本人と台湾人と韓国人を混ぜ合わせたようなものだ。もちろん、強大な宇宙人は中国である。今、人工衛星を打ち上げて、アメリカとスターウォーズを展開しているのは中国人である。
フランス人が日本人にあてつけて『猿の惑星』を書いて以来、SFはアジア人を宇宙人、アジアを宇宙とする一面を持つ。
この映画は、アメリカの「自由」や「民主主義」を真に受けて戦後を作ってきた宇宙人(アジア人)を笑っている。それはアメリカ白人の傲慢をそのまま表に出した、あまり上等ではない冗談だ。
さほど力の入った映画ではないが、もう少し面白くてもいい。
2005.1.31
2005-10-28T14:44:08+09:00
1130478248