夜学の男

7 名前: NPCさん 2005/03/28(月) 23:33:30 ID:???

およそ5年ほど前にとんでもない困ったちゃんに遭遇した。
俺の人生の中でも間違いなくNo.1に該当する人物だ。

その日、俺達は一日目の学園祭が終了して上機嫌。
出し物として冊子をいくつか作成してそれなりに売れたのだ。
何人かは家に帰らず部屋に泊まりこみ、深夜にRPGをやっていた。
夜に騒がしいと思われるかもしれないが、
実のところ、案外他のところでもドンチャン騒ぎで
問題はなかったのだ。
プレイしていたシステムは「熱血専用」。
テンションが高い時には最高に面白いゲームだ。
そして幸運なことに(実は不幸なことだが)、
その時は俺達はみなテンションが高かったのだ。
未だかつてないほど、セッションは盛り上がっていた。
冗談ではなく、我が人生において最高のセッションだったろう。
奴が来るまでは……。

10 名前: NPCさん 2005/03/28(月) 23:35:23 ID:???

突如、事件は起こった。
俺達は学園祭の、自分のサークルに割り当てられた部屋で
遊んでいたわけだが、そこに突然見知らぬ闖入者が現れたのだ。
一同は呆然とした。
プレイは中断し、テンションは最高潮から0にまで落ちた。
そしてその男―我々とそう変わらない―は開口一番こう言った。

「楽しそうだね、混ぜてくれない?」

見れば片手には酒を持っている。他のサークルか何かの者で、
俺達と同じように泊りこんでいたのだろうか。
よく観察してみれば、彼の後ろには彼より少し若い男が
難しい顔をして立っていた。彼の動向を監視しているようだ。
どうも、俺達が盛り上がっていたので勝手に入ってきたらしい。
つまり、最高潮に達したテンションにこの男は引き寄せられたのだ。


11 名前: NPCさん 2005/03/28(月) 23:36:48 ID:???

さて、突然現れた闖入者を快く迎えられるほど俺達は気さくじゃない。
しどろもどろで言葉を濁していた。本音はみんな「早く出てけよ」と
思っていたが、どうにも出て行く気配がない。

「何やってたの?教えてよ」
「RPG? ひょっとしてダンジョンズ&ドラゴンズとか言う奴?」
「オタク臭いな~、そんなことより酒飲もうよ」

だんだん俺は腹が立ってきた。(他の連中は知らん)
せっかくいい気分になってプレイしていたのに、
突然こんな酔っ払いが現れて全部オシャカだ。
何か追い出すいい口実はないかと思案し始めた……。
監視役の男も困った顔をしている。が、口を出す気配はない。
そうしている内に男は俺達が書いた冊子に目をつけた。

「これ君達の? あはは、これじゃだめだよ。これじゃ売れなかったでしょ」

この言葉が引き金となった。メンバーの中でも血の気の多いやつが
売り言葉に買い言葉で口論になり……、それから取っ組み合いになったのだ。
暴力沙汰はごめんだ。とりあえずみんな(監視役含む)で二人を止めた。


12 名前: NPCさん 2005/03/28(月) 23:38:19 ID:???

それから先は実に不愉快だった。
暴力沙汰になりかけたものだからとりあえず学祭運営委員に報告しようと言うことになった。
警察の名前も出た。(さすがに大げさだろうが……)
だが、監視役は必死に止めていたので思いとどまる。
(今思えば連絡しときゃよかった。こんなちんけな事件でお咎めなんかないだろうし)
そしたらそいつ、今度は自分の境遇をタネに世間の批判を始めやがった。
「何が夜学だ!」
どうもこいつは夜学らしい。相当コンプレックス抱いていたらしく支離滅裂な説教を
俺達にし始めた。夜学の話からなぜか国際的な、本人曰くぐろーばるな話をし始めた。
はっきり言って内容は覚えていない。全く必要ないからだ。
もうみんな呆れて「とりあえず、話だけ聞いて追っ払う」ことにした。
それでも不器用な輩が話振られた時にため息をついて怒りを買ったが。
結局、言いたいことを言ったそいつは満足して帰って行った。
監視役の男はすまなそうに頭を下げて帰った。
俺達はしたくもない拍手をしてそいつを「円満に」送り出してやった。

……奴はいなくなった。だが、最高潮まで盛り上がったテンションは今やマイナスだ。
再開する気も起きず、そのまま就寝した。
人生最高のセッションとなるはずだったプレイは、人生最悪のセッションとなって
幕を閉じた。実に苛立たしい話だ。
とにもかくにも、話はこれで終わりである。

……書いているうちにスレの趣旨に合ってない気がしてきたが、まあいい。
奴が困ったちゃんであることは間違いないのだから。



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