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1.乳幼児期の発達の特性」(2008/12/23 (火) 14:17:07) の最新版変更点

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乳幼児期は、心身の発育・発達が著しく、人格の基礎が形成される時期です。 個人差が大きいこの時期の子どもたちの一人一人の健やかな育ちを保障するためには、心身共に安定した状態でいることのできる環境と、愛情豊かな大人の関わりが求められます。 そのため、第1章(総則)の2.保育所の役割及び3.保育の原理(2)保育の方法に示されているように、保育士等は、子どもの発達の特性とその道筋を十分に理解し、一人一人の発達過程に応じて見通しを持って保育を行うことが求められていることを踏まえ、この章では子どもの発達について記します。 子どもは、様々な環境との相互作用により発達していく。すなわち、子どもの発達は、子どもがそれまでの体験を基にして、環境に働きかけ、環境との相互作用を通して、豊かな心情、意欲及び態度を身に付け、新たな能力を獲得していく過程である。特に大切なのは、人との関わりであり、愛情豊かで思慮深い大人による保護や世話などを通して、大人と子どもの相互の関わりが十分に行われることが重要である。この関係を起点として、次第に他の子どもとの間でも相互に働きかけ、関わりを深め、人への信頼感と自己の主体性を形成していくのである。 これらのことを踏まえ、保育士等は、次に示す子どもの発達の特性や発達過程を理解し、発達及び生活の連続性に配慮して保育しなければならない。その際、保育士等は、子どもと生活や遊びを共にする中で、一人一人の子どもの心身の状態を把握しながら、その発達の援助を行うことが必要である。 子どもは、生まれながらに備わっている諸感覚を働かせながら、身の回りの環境に働きかけていきます。温かく受容し、優しく語りかける大人に見守られながら、子どもは環境に働きかけ、環境から働きかけられる中で、成長していきます。そして、その相互作用においては、子ども自らが環境に働きかける自発的な活動であることや、五感など身体感覚を伴う直接的な体験であることが大切です。また、特定の大人との親密な関わりにおいて育まれる子どもと大人の信頼関係が、子どもが主体的に環境に関わるその基盤となります。 子どもが人、物、自然などに触れ、興味や関心を広げていくことは、子どもに様々な心情をもたらし、自ら関わろうとする意欲を促していくことでしょう。 また、人、物、自然などと出会い、感覚を磨きながら多様な経験を積み重ねていくことにより、子どもは自らの生活を楽しみながら、環境と関わる姿勢や態度を身に付けていきます。より豊かで多様な環境との出会いの中で、子どもは、行きつ戻りつしながら様々な能力を獲得していきます。こうした過程そのものが、子どもの発達であるといえるでしょう。 子どもと共に過ごす保育士等は、子どもに安心感や安定感を与えながら、子どもの発達の特性や発達過程に沿った適切な援助をしていかなければなりません。 また、生活や遊びを共にする中で、子ども一人一人の心身の状態を把握し、子どもが自ら環境に働きかけ、感じたり考えたり試したり工夫したり繰り返したりする過程を見守り、子どもと共に環境を再構成しながら楽しんでいくことも大切です。 1.乳幼児期の発達の特性 (1)人への信頼感が育つ (1)子どもは、大人によって生命を守られ、愛され、信頼されることにより、情緒が安定するとともに、人への信頼感が育つ。そして、身近な環境(人、自然、事物、出来事など)に興味や関心を持ち、自発的に働きかけるなど、次第に自我が芽生える。 幼い子どもは、周囲の大人からこの世にただ一つ存在するかけがえのない人間として尊重され、愛されることによって、人への信頼感を育んでいきます。この基本的な信頼感を心の拠りどころとして、子どもは徐々に働きかける対象を広げていきます。興味や好奇心に導かれて触れていく世界は、子どもにとって新たな出会いや発見に満ちています。笑ったり泣いたり驚いたり不思議に感じたり、周囲の大人や子どもと共感したり楽しんだりする中で、子どもの情感が豊かに育っていきます。 また、子どもは、生活や遊びを通して、周囲の様々な人との接触を通して関心を広げ、様々な体験を重ねていく中で、自分と他者との違いなどに気付き始めます。この気付きが自分の気持ちを相手に表現していく意欲や行動につながり、自我の育ちとなっていきます。 (2)環境への関わり (2)子どもは、子どもを取り巻く環境に主体的に関わることにより心身の発達が促される。 環境との相互作用において重要なことは、自分から興味や関心を持って、自発的、主体的に関わろうとする意欲や態度です。自ら心や体を動かし、積極的に身近な環境に関わっていく中で、子どもの成長は促されていきます。 子どもの周囲には、子どもが興味や関心を持ち、思わず関わってみたくなるような物や人、事柄、雰囲気が必要です。 また、遊びたいという気持ちが高まり、遊びに夢中になり、十分に遊ぶことのできる環境であることが重要です。子どもは遊びそのものを楽しみ、遊ぶことによって満足感や充実感を得ていきます。子どもの感性を揺さぶり、目を輝かせて遊んでみたくなる環境や、遊びにより様々に変化する応答的な環境であることが望まれます。 また、子どもが自発的に試してみれば到達できる課題などを用意することも大切です。何より、子どもが主体的に関わろうとする姿を見守り、ゆったりと構えて待つ、大人の存在が求められます。 (3)子ども同士の関わり (3)子どもは、大人との信頼関係を基にして、子ども同士の関係を持つようになる。この相互の関わりを通じて、身体的な発達及び知的な発達とともに、情緒的、社会的及び道徳的な発達が促される。 子どもは大人との安定した関係を土台にして、次第に他の子どもとの間でも相互の関わり合いを持つようになります。 乳児同士であっても互いに関心を示し、表情を模倣したり、這って追うなど接近したり、同じ玩具を手にしたりといった姿が見られます。また、1歳半から2歳頃になると玩具を取り合ったり、自分のしたいことを主張したり、自分の欲求と友達との欲求のぶつかり合いを体験していきます。その後も友達への関心は高まり、一緒に体を動かして遊んだり、同じ遊びを楽しみ、遊びを発展させていくなど、互いに影響し合いながら育っていきます。 子ども同士で行われるやり取りの中で、互いに自分の欲求を貫き通したいという気持ちを持ち、時には、けんかも起きます。その中で、子どもは、大人に気持ちを代弁してもらったり、共感してもらったりしながら、次第に自分とは異なる相手の気持ちを理解していきます。自己主張することや、時には我慢することに加え、感情をコントロールすることを学び、徐々に社会性を身につけていきます。道徳性の芽生えも、こうした友達との関わりの中で、自分の感情や意志を表現したり、相手の気持ちに気付いたり、共感したりすることを通して培われていきます。 (4)発達の個人差 (4)乳幼児期は、生理的、身体的な諸条件や生育環境の違いにより、一人一人の心身の発達の個人差が大きい。 子どもは一人一人異なる資質や特性を持っています。子どもの生育環境がその成長に大きく影響するのはいうまでもありません。 保育所に入所するまでにどのように過ごしてきたか、家庭ではどのような生活を送っているか、これまでにどのような経験をしてきたかなどによって、一人一人の子どもの環境の受け止め方や環境への関わり方は異なります。乳幼児期は、同じ年齢や月齢であってもその興味や関心は様々であり、身体の特性や発達の足取りなど、個人差がたいへん大きいのです。 (5)遊びを通して育つ (5)子どもは、遊びを通して、仲間との関係を育み、その中で個の成長も促される。 幼い子どもは、大人の仲立ちに助けられながら子どもの世界を広げ、様々な遊びを子ども同士で楽しむようになります。遊びは子どもにとって主体的な活動であり、遊びには人として成長していくためのあらゆる要素が含まれています。 成長するにしたがい、子どもは好んで友達と一緒に遊ぶようになり、一人遊びから集団的な遊びへと発展していきます。子どもは協同的な遊びの中で、友達と一緒に活動する楽しさを経験し、仲間の一人であることを自覚し、更に仲間意識を芽生えさせます。同時に友達との間で様々な葛藤を経験します。そして、自己主張することと同時に我慢しなくてはならないことを学び、遊びをより楽しく展開するために自分たちで約束事や決まりを作っていきます。 やがて子どもは、仲間との関係の中で徐々に自分を発揮できるようになります。これは仲間の中で個が成長する過程と言えます。集団の中で一人一人の良さが生かされること、お互いの存在や良さを認め合えるようになることこそが集団の育ちとなります。 (6)生きる力の基礎を培う (6)乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎が培われる時期であり、特に身体感覚を伴う多様な経験が積み重なることにより、豊かな感性とともに好奇心、探究心や思考力が養われる。また、それらがその後の生活や学びの基礎になる。 子どもたちが生涯にわたって生きていくために必要な力を培うためには、乳児の頃からスキンシップを受けるなど体が触れ合う関わりを通して心地よさを味わうことが重要です。 また、十分に身体を動かし、諸感覚を働かせた多様な活動を生活や遊びの中で経験することが大切です。それらの体験が積み重なっていく中で、感性や好奇心、探究心や思考力などが培われていきます。 好奇心や探究心の旺盛な乳幼児期に、子どもが自然など身近な環境に関わり、身体感覚を十分に働かせることが大切です。更に興味や関心を育て、思考力や認識力の基礎を培うことは、子どものその後の生活や学びにつながっていきます。子どもたちは遊びや生活を通し、今を充実させながら、生涯にわたって主体的に生きていくために必要な力の基礎を養っているのです。
(1)人への信頼感が育つ (1)子どもは、大人によって生命を守られ、愛され、信頼されることにより、情緒が安定するとともに、人への信頼感が育つ。そして、身近な環境(人、自然、事物、出来事など)に興味や関心を持ち、自発的に働きかけるなど、次第に自我が芽生える。 幼い子どもは、周囲の大人からこの世にただ一つ存在するかけがえのない人間として尊重され、愛されることによって、人への信頼感を育んでいきます。この基本的な信頼感を心の拠りどころとして、子どもは徐々に働きかける対象を広げていきます。興味や好奇心に導かれて触れていく世界は、子どもにとって新たな出会いや発見に満ちています。笑ったり泣いたり驚いたり不思議に感じたり、周囲の大人や子どもと共感したり楽しんだりする中で、子どもの情感が豊かに育っていきます。 また、子どもは、生活や遊びを通して、周囲の様々な人との接触を通して関心を広げ、様々な体験を重ねていく中で、自分と他者との違いなどに気付き始めます。この気付きが自分の気持ちを相手に表現していく意欲や行動につながり、自我の育ちとなっていきます。 (2)環境への関わり (2)子どもは、子どもを取り巻く環境に主体的に関わることにより心身の発達が促される。 環境との相互作用において重要なことは、自分から興味や関心を持って、自発的、主体的に関わろうとする意欲や態度です。自ら心や体を動かし、積極的に身近な環境に関わっていく中で、子どもの成長は促されていきます。 子どもの周囲には、子どもが興味や関心を持ち、思わず関わってみたくなるような物や人、事柄、雰囲気が必要です。 また、遊びたいという気持ちが高まり、遊びに夢中になり、十分に遊ぶことのできる環境であることが重要です。子どもは遊びそのものを楽しみ、遊ぶことによって満足感や充実感を得ていきます。子どもの感性を揺さぶり、目を輝かせて遊んでみたくなる環境や、遊びにより様々に変化する応答的な環境であることが望まれます。 また、子どもが自発的に試してみれば到達できる課題などを用意することも大切です。何より、子どもが主体的に関わろうとする姿を見守り、ゆったりと構えて待つ、大人の存在が求められます。 (3)子ども同士の関わり (3)子どもは、大人との信頼関係を基にして、子ども同士の関係を持つようになる。この相互の関わりを通じて、身体的な発達及び知的な発達とともに、情緒的、社会的及び道徳的な発達が促される。 子どもは大人との安定した関係を土台にして、次第に他の子どもとの間でも相互の関わり合いを持つようになります。 乳児同士であっても互いに関心を示し、表情を模倣したり、這って追うなど接近したり、同じ玩具を手にしたりといった姿が見られます。また、1歳半から2歳頃になると玩具を取り合ったり、自分のしたいことを主張したり、自分の欲求と友達との欲求のぶつかり合いを体験していきます。その後も友達への関心は高まり、一緒に体を動かして遊んだり、同じ遊びを楽しみ、遊びを発展させていくなど、互いに影響し合いながら育っていきます。 子ども同士で行われるやり取りの中で、互いに自分の欲求を貫き通したいという気持ちを持ち、時には、けんかも起きます。その中で、子どもは、大人に気持ちを代弁してもらったり、共感してもらったりしながら、次第に自分とは異なる相手の気持ちを理解していきます。自己主張することや、時には我慢することに加え、感情をコントロールすることを学び、徐々に社会性を身につけていきます。道徳性の芽生えも、こうした友達との関わりの中で、自分の感情や意志を表現したり、相手の気持ちに気付いたり、共感したりすることを通して培われていきます。 (4)発達の個人差 (4)乳幼児期は、生理的、身体的な諸条件や生育環境の違いにより、一人一人の心身の発達の個人差が大きい。 子どもは一人一人異なる資質や特性を持っています。子どもの生育環境がその成長に大きく影響するのはいうまでもありません。 保育所に入所するまでにどのように過ごしてきたか、家庭ではどのような生活を送っているか、これまでにどのような経験をしてきたかなどによって、一人一人の子どもの環境の受け止め方や環境への関わり方は異なります。乳幼児期は、同じ年齢や月齢であってもその興味や関心は様々であり、身体の特性や発達の足取りなど、個人差がたいへん大きいのです。 (5)遊びを通して育つ (5)子どもは、遊びを通して、仲間との関係を育み、その中で個の成長も促される。 幼い子どもは、大人の仲立ちに助けられながら子どもの世界を広げ、様々な遊びを子ども同士で楽しむようになります。遊びは子どもにとって主体的な活動であり、遊びには人として成長していくためのあらゆる要素が含まれています。 成長するにしたがい、子どもは好んで友達と一緒に遊ぶようになり、一人遊びから集団的な遊びへと発展していきます。子どもは協同的な遊びの中で、友達と一緒に活動する楽しさを経験し、仲間の一人であることを自覚し、更に仲間意識を芽生えさせます。同時に友達との間で様々な葛藤を経験します。そして、自己主張することと同時に我慢しなくてはならないことを学び、遊びをより楽しく展開するために自分たちで約束事や決まりを作っていきます。 やがて子どもは、仲間との関係の中で徐々に自分を発揮できるようになります。これは仲間の中で個が成長する過程と言えます。集団の中で一人一人の良さが生かされること、お互いの存在や良さを認め合えるようになることこそが集団の育ちとなります。 (6)生きる力の基礎を培う (6)乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎が培われる時期であり、特に身体感覚を伴う多様な経験が積み重なることにより、豊かな感性とともに好奇心、探究心や思考力が養われる。また、それらがその後の生活や学びの基礎になる。 子どもたちが生涯にわたって生きていくために必要な力を培うためには、乳児の頃からスキンシップを受けるなど体が触れ合う関わりを通して心地よさを味わうことが重要です。 また、十分に身体を動かし、諸感覚を働かせた多様な活動を生活や遊びの中で経験することが大切です。それらの体験が積み重なっていく中で、感性や好奇心、探究心や思考力などが培われていきます。 好奇心や探究心の旺盛な乳幼児期に、子どもが自然など身近な環境に関わり、身体感覚を十分に働かせることが大切です。更に興味や関心を育て、思考力や認識力の基礎を培うことは、子どものその後の生活や学びにつながっていきます。子どもたちは遊びや生活を通し、今を充実させながら、生涯にわたって主体的に生きていくために必要な力の基礎を養っているのです。

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