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地域において最も身近な児童福祉施設であり、保育の知識、経験、技術が蓄積されている保育所への期待は、今日ますます高まっています。子育て家庭や地域社会に対し、保育所の役割を確実に果たしていくことは、保育所の社会的使命であり責任です。その際、特に遵守しなければならない3つの事項が「保育所の社会的責任」として規定されました。保育所が社会的な信頼を得て日々の保育に取り組んでいくとともに、地域の共有財産として、広く利用され、活用されることが望まれます。

(1)子どもの人権の尊重

(1)保育所は、子どもの人権に十分配慮するとともに、子ども一人一人の人格を尊重して保育を行わなければならない。保育士等は、保育という営みが、子どもの人権を守るために、法的・制度的に裏付けられていることを認識し、「憲法」、「児童福祉法」、「児童憲章」、「児童の権利に関する条約」などにおける子どもの人権等について理解することが必要です。
また、子どもの発達や経験の個人差等にも留意し、国籍や文化の違いを認め合い、互いに尊重する心を育て、子どもの人権に配慮した保育となっているか、常に職員全体で確認することが必要です。体罰や言葉の暴力はもちろん、日常の保育の中で、子どもに身体的、精神的苦痛を与え、その人格を辱めることが決してないよう、子どもの人格を尊重して保育に当たらなければなりません。保育士等の言動は子どもに大きな影響を与えます。幼い子どもは、身近な保育士等の姿や言動を敏感に受け止めています。そのため、保育士等は常に、自らの人間性や専門性の向上に努めるとともに、豊かな感性と愛情を持って子どもと関わり、信頼関係を築いていかなければなりません。
さらに、子どもが健やかに育つ環境を醸成し、子どもや子育てを大切にする文化を紡ぎ出していくことも、保育所の社会的責任といえるのではないでしょうか。

(2)地域交流と説明責任

(2)保育所は、地域社会との交流や連携を図り、保護者や地域社会に、当該保育所が行う保育の内容を適切に説明するよう努めなければならない。

①地域交流
保育所は、地域に開かれた社会資源として、地域の様々な人や場、機関などと連携していくことが求められています。また、次世代育成支援や世代間交流の観点から、小・中学校などの生徒の体験学習や実習を受け入れ、高齢者の方との交流を行うなど様々な事業が展開されています。
さらに災害時などにおいては、保育所が被災者や地域の方々の生活を支える上で、重要な役割を担っています。こうした地域の公的施設としての保育所の役割は、今日ますます求められています。

②説明責任
また、今般の改定では、保護者や地域社会への保育所の説明責任について示されました。
平成18 年に改正された社会福祉法(昭和20 年法律第45 号)第75 条では、利用者への情報の提供が社会福祉施設の努力義務とされました。また、児童福祉法第48 条の3においても保育所の情報提供が努力義務として明記され、保育所は保育の内容等、すなわち、一日の過ごし方、年間行事予定、当該保育所の保育方針、職員の状況その他当該保育所が実施している保育の内容に関する事項等について、情報を開示し、保護者等が適切かつ円滑に利用できるようにすることが規定されています。
また、保育所が保護者や地域社会との連携、交流を図り、風通しのよい運営をすることで、一方的な「説明」ではなく、分かりやすく応答的な「説明」となることが望まれます。
保育所の「評価」については、保育士等一人一人の内発的な自己評価を基盤に職員全員で共通理解を持つて取り組んでいくことが求められます。
特に今後は、保育課程の編成を中心に、保育の内容の充実と質の向上を図り、組織的、計画的に保育を行い、保育所の自己評価に積極的に取り組んでいくことが期待されます。
また、平成12 年の社会福祉法改正を契機として、保育所を含めた社会福祉事業において、第三者評価が実施されるようになりました。保育所の保育が第三者により公正かつ客観的に評価され、その結果が公表されることは、保育所の組織性や職員の意識を高め、保育の質の向上につながると考えられます。保育所から積極的に発信され、保護者や地域の様々な人の理解を得ていくことが望まれます。

(3)個人情報の保護と苦情解決

(3)保育所は、入所する子ども等の個人情報を適切に取り扱うとともに、保護者の苦情などに対し、その解決を図るよう努めなければならない。

①個人情報の保護
保育所の個人情報の適切な取り扱いについて示されています。
保育所が保育に当たり知り得た子どもや保護者に関する情報は、正当な理由なく漏らしてはならず、児童福祉法第18 条の22 には、保育士の秘密保持義務について明記されています。また、平成15 年に制定された「個人情報の保護に関する法律」においても、個人情報は「個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべき」ものであることが示されています。
なお、子どもの発達援助のための関係機関等との連携、保護者への伝達、保護者同士の交流や地域交流などに必要な情報交換等については、関係者の承諾を得ながら適切に進める必要があります。また、特に、「児童虐待の防止等に関する法律」にある通告義務は守秘義務より優先されることに留意しなければなりません。

②苦情解決
保育所は「保護者の苦情などに対し、その解決を図るよう努めなければならない」としています。
社会福祉法第82 条及び児童福祉法最低基準第14 条の3には、「苦情の解決」について明記されています。
保育所が、苦情解決責任者である施設長の下に、苦情解決担当者を決め、苦情受付から解決までの手続きを明確化し、書面における体制整備をすることが必要です。また、中立、公正な第三者の関与を組み入れるために第三者委員を設置することも求められています。
苦情を通し、自らの保育や保護者等への対応を謙虚に振り返り、誠実に対応していくことが肝要です。そして、保護者等との相互理解を図り、信頼関係を築いていくことが必要です。また、苦情に関しての検討内容や解決までの経過を記録し、職員会議などで共通理解を図り、実践に役立てます。保護者等の意向を受け止めながら、保育所の考えや保育の意図などについて十分に説明するとともに、改善や努力の意思を表明することも必要といえます。
苦情解決とは、保育所の説明責任や評価とともに、保育の内容を継続的に見直し、改善し、保育の質の向上を図っていくための仕組みであり、保育所が社会的責任を果たしていくためには欠かすことのできないものです。