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(1)養護に関わるねらい及び内容
養護に関わるねらい及び内容は、第1章(総則)の3.保育の原理(1)保育の目標の「(ア)十分に養護の行き届いた環境の下に、くつろいだ雰囲気の中で子どもの様々な欲求を満たし、生命の保持及び情緒の安定を図ること」を具体化したものです。そして、それは「生命の保持」に関わるものと、「情緒の安定」に関わるものとに分けて示されています。

ア生命の保持

(ア)ねらい
①一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。
②一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。
③一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。
④一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。
養護に関わる保育の目標をより具体化した「ねらい」の中で、まず、子どもの「生命の保持」に関わるねらいとして、①から④までが示されています。
ここにあるように、子どもの命を守り、一人一人の子どもが快適に、そして健康で安全に過ごせるようにするとともに、その生理的欲求が十分に満たされ、健康増進が積極的に図られるようにすることは一人一人の子どもの生存権を保障することでもあります。それは、日常の生活の中での保育士等の具体的な関わりにより実現されていきます。特に、「ねらい」に対応して保育士等が行う事項を次の「内容」で示しています。
「生命の保持」に関わる保育の内容は、特に「教育に関わるねらい及び内容」のア「健康」の領域と深く関連し、また、第5章の(健康及び安全)に示されている事項と重なる事柄もあります。それぞれの内容を踏まえ、一人一人の子どもの健康と安全がしっかりと守られるとともに、保育所全体で子どもの健康増進を図っていくことが求められます。

(イ)内容

①一人一人の子どもの平常の健康状態や発育及び発達状態を的確に把握し、異常を感じる場合は、速やかに適切に対応する。一人一人の子どもの健康状態を把握するためには、子どもの発育や発達の状態、家庭での食事、睡眠などの状態について保護者から情報を得ることが必要です。また、登所時の健康観察、保育中の子どもの様子の把握も日々の保育の中で必ず行わなければなりません。
特に、乳児に対しては、常に体の状態を細かく観察し、疾病や異常を早く発見することが求められます。また、生後6か月を過ぎると母親から受け継いだ免疫がなくなり始め、感染症にかかりやすくなるため、朝の受け入れ時はもちろんのこと、保育中も、機嫌、食欲などの観察を十分に行い、発熱などの体の状態に変化が見られたときは適切に対応することが求められます。
乳幼児は疾病に対する抵抗力が弱く、容態が急変しやすいことを十分認識し、第5章で示されていることを踏まえ、職員間で連携を図りながら、適切かつ迅速に対応していきます。

②家庭との連携を密にし、嘱託医等との連携を図りながら、子どもの疾病や事故防止に関する認識を深め、保健的で安全な保育環境の維持及び向上に努める。
疾病予防については、保護者との連絡を密にしながら一人一人の子どもの状態に応じて、嘱託医やかかりつけ医などと相談して進めていくことが必要です。保育士等が子どもの疾病について理解を深めるとともに、感染予防に心がけ保護者に適切な情報を伝え、啓発していくことも大切です。衛生的な環境への細心の注意を払い、保育室や子どもの身の回りの環境、衣類や寝具、遊具などを点検します。
事故防止については、子どもの発達の特性や発達過程を踏まえ、子どもの行動を予測し、起こりやすい事故を想定し、環境に留意して事故防止に努めることが求められます。子どもの成長に伴い行動範囲が広がるので、その活動を保障しながら、保育所全体で安全点検表などを活用しながら対策を講じ、安心、安全な保育環境を作っていかなければなりません。

③清潔で安全な環境を整え、適切な援助や応答的な関わりを通して子どもの生理的欲求を満たしていく。また、家庭と協力しながら、子どもの発達過程等に応じた適切な生活リズムが作られていくようにする。
保育所は保健面や安全面に関して十分に配慮された環境でなければなりません。細やかに清掃され衛生的な場であることはもちろんのこと、明るさ、温度、湿度、音などについても常に配慮することが求められます。また、子どもが安心して探索活動をしたり、のびのびと体を動かして遊ぶことのできる環境であることが必要です。こうした環境の下で、保育士等が応答的に関わりながら食欲や睡眠などの生理的欲求を満たしていくことが、子どもの健やかな成長を支えます。子どもの欲求に応えて、語りかけながら優しく対応をすることにより、子どもは心地よくなる喜びとともに、自分の働きかけによって応じられた行為の意味を感じ取るのです。
送迎時の保護者との会話や連絡帳、懇談会などを通し、積極的に家庭との情報交換を行いながら、24 時間を見据えた子どもの生活時間を考慮し、子どもの食事、睡眠、休息、遊びなどが無理なく営まれるようにしていきます。
そして、一人一人の生活に合わせ、時には柔軟な対応をとりながら、家庭と協力して子どもの生活や発達過程にふさわしい生活リズムが作られるようにしていきます。

④子どもの発達過程等に応じて、適度な運動と休息を取ることができるようにする。また、食事、排泄、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなどについて、子どもが意欲的に生活できるよう適切に援助する。
子どもの発達を見通し、這う、歩く、走る、登る、跳ぶ、くぐる、押す、引っ張るなど全身を使う運動を適度に取り入れ、それぞれの状態にあった活動を十分に行うことが重要です。休息は、心身の疲労を癒したり緊張を緩和したり、子どもが生き生きと過ごすためには大切なことです。一人一人の生活リズムに合わせて安心して適度な休息や午睡がとれるようにするとともに、静と動のバランスに配慮した保育の内容が求められます。
食事は、楽しい雰囲気の中で喜んでできるようにします。友達と一緒に食事をしたり、様々な食べ物を食べる楽しさを味わったりすることで、第5章の3で示されている「食育の推進」が図られるようにしていきます。授乳する時は抱いて微笑みかけながら、ゆったりとした気持ちで行います。離乳の
時期や方法については、保護者と情報を交換し、嘱託医や栄養士、調理員と相談しながら一人一人の子どもに合わせて慎重に進めます。
健康や安全等、生活に必要な基本的生活習慣や態度を身に付けることは、子どもが自分の生活を律し、主体的に生きる基礎となるものです。食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなどの生活習慣の習得は、急がせることなく、子どもの様子をよく見て、一人一人の子どもにとって適切な時期に適切な援助をしていくことが大切です。保育士等は見通しを持って、さりげない援助をしながら、子どもに分かりやすい方法でやり方を示すなどして、自分でできた達成感を味わえるようにします。子どもが、自信や満足感を持ち、更にやってみようとする意欲が高められるようにしていきます。

イ情緒の安定

(ア)ねらい

① 一人一人の子どもが、安定感を持って過ごせるようにする。
② 一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。
③ 一人一人の子どもが、周囲から主体として受け止められ主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていくようにする。
④一人一人の子どもの心身の疲れが癒されるようにする。

次に、「情緒の安定」に関わるねらいとして、①から④までが示されています。

ここにあるように、子どもが保育士等に受け止められながら、安定感を持って過ごし、自分の気持ちを安心して表すことができることは、子どもの心の成長の基盤となります。周囲の大人や子どもから、かけがえのない存在として受け止められ、認められ、自己を十分に発揮していくことは自分への自信につながります。保育士等が子どもを一個の主体として尊重し、主体として受け止め認めるという対応を通して、子どもは自己を肯定する心を育んでいくのです。また、そのことにより保育士等や周囲の人への信頼感が育ち、一人一人がかけがえのない存在であることを感じ取っていきます。人との相互的な関わりにより育まれていくこうした自己肯定感を乳幼児期に育てることは、子どもの将来にわたる心の基盤を培うことでもあります。
一方、子どもの状態を把握し、心身の疲れが癒されるようにすることは、長時間にわたり保育所で過ごす子どもにとって必要なことです。子どもの情緒の安定を図り、その心の成長によりそい、適切に援助するために、「ねらい」に対応して特に、保育士等が行う事項を次の「内容」で示しています。
「情緒の安定」に関わる保育の内容は、「生命の保持」と相互に関連することはもちろん、特に「教育に関わるねらい及び内容」のイ「人間関係」の領域に示されている事項と深く関わります。それぞれの内容を踏まえ、一人一人の子どもの心の成長を助け、保育所全体で子ども主体の保育を実践していくことが求められます。

(イ)内容

① 一人一人の子どもの置かれている状態や発達過程などを的確に把握し、子どもの欲求を適切に満たしながら、応答的な触れ合いや言葉がけを行う。
保育士等は、一人一人の子どもの心身の状態や発達過程を的確に把握し、それぞれの子どもの欲求を受け止め、子どもの気持ちに沿って対応していかなければなりません。また、子どもにとってどうすることが望ましいのかを検討しながら保育していくことが求められます。
子どもは、自分がして欲しいことを心地よくかなえられると安心し、自分の欲求をかなえてくれた人に対し、親しみと信頼感を抱くようになります。
また、日ごろより、自分に向けられる優しいまなざしや態度から、自分が認められ愛されていることを感じ、自分からもそうしたまなざしや態度を示していきます。保育士等とのこうした温かなやり取りやスキンシップが積み重ねられることにより、子どもは安定感を持って過ごすことができるようになります。特に、乳児など低年齢の子どもが十分にスキンシップを受けることは、心の安定につながるだけでなく子どもの身体感覚を育てます。肌の触れ合いの温かさを実感することにより、人との関わりの心地よさや安心感を得て、自ら手を伸ばし、スキンシップを求めるようになっていきます。こうした子どもとの触れ合いは保育士等の喜びとなり、応答的なやり取りや言葉がけが豊かになる中で、子どもは保育士等の気持ちや言葉の表す意味を理解していきます。

②一人一人の子どもの気持ちを受容し、共感しながら、子どもとの継続的な信頼関係を築いていく。
保育士等が一人一人の子どもの気持ちや心の声を聴き取り、適切に応答していく行為は保育の基本であり、人への信頼感はこうした関わりが継続的に行われることを通して育まれていきます。子どもは自分の気持ちに共感し、応えてくれる人がいることで、自分の気持ちを確認し、安心して表現したり行動したりしていきます。
また、保育士等が子どもと向き合う中で、自らの思いや願いを子どもに返していくことにより、子どももまた保育士等の存在を受け止め、その気持ちを理解するようになります。保育士等の温かい受容的な雰囲気とともに、自分への気持ちや期待を、子どもは敏感に感じ取るものです。
生涯にわたる人との信頼関係の基盤が保育所での生活によって培われていくことを認識し、互いに認め合い信頼される関わりを育み、子どもの心を豊かに育てていくことは保育士等の責任です。

③保育士等との信頼関係を基盤に、一人一人の子どもが主体的に活動し、自発性や探索意欲などを高めるとともに、自分への自信を持つことができるよう成長の過程を見守り、適切に働きかける。
自分への自信や自己肯定感を育てていくことは、保育の大切なねらいです。一人一人の子どもが豊かに伸びていくその可能性を発揮して、かけがえのない人生を歩んでいること、自らが選択し、決定していくという主体性や生きることへの意欲を育んでいること、保育士等はそれらを心に刻んで子どもと関わることが重要です。そのためには、一人一人の子どもの人格を尊重し、命への尊厳を感受する保育士等の倫
理性が求められます。
また、子どもの主体的な活動を促す保育環境を計画的に構成し、子ども自らが環境に関わり体得していくことが大切です。その姿を見守り、共感しながら、時には励まし、必要な助言をしたり、環境を再構成しながら保育士等も一緒に楽しんでいくことが必要でしょう。
大切なことは時間をかけてゆっくりと醸成されていきます。目に見えない心の育ちや人や物との出会いの中で芽生える子どもの様々な感情や考えを受け止め、多様な経験が重なる中で成長していくその過程を見守り、子どもの自己肯定感を育んでいくことが重要です。主体としての子どもを認め、肯定する気持ちを言葉や態度で子どもに伝えることにより、子どもは自分への自信や人への信頼感を獲得していきます。

④一人一人の子どもの生活リズム、発達過程、保育時間などに応じて、活動内容のバランスや調和を図りながら、適切な食事や休息が取れるようにする。
保育所で長時間過ごす子どもの生活は夜型になりやすく、就寝時間も遅くなりがちです。また、子どもは保護者の就労状況や家庭での食生活などの影響を受けます。乳幼児期の子どもにふさわしい生活リズムや、その心身の成長を支える食事や適度な休息はたいへん重要であり、保育士等は子どもの生活を見通して、家庭と協力しながら適切に援助していくことが求められます。
子どもは、睡眠や食事が不十分であったり、心身の疲れがたまっていると、情緒が安定せず、不機嫌になったり、活動への意欲が衰えたりします。保育士等は一人一人の子どもの心身の状態に応じてきめ細やかに対応していきます。
いつでも安心して休息できる雰囲気やスペースを確保し、静かで心地よい環境の下で、子どもが心身の疲れを癒すことができるようにしていくことが大切です。また、午睡は、子どもの年齢や発達過程、家庭での生活や保育時間などを考慮して、必要に応じて取れるようにしていきます。子どもの家庭での就寝時間に配慮し、午睡の時間や時間帯を工夫し、柔軟に対応します。
さらに、子どもの生活時間全体に留意しながら一日の生活の流れを見通し、発散、集中、リラックスなど、静と動の活動のバランスや調和を図るようにしていきます。

(2)教育に関わるねらい及び内容
教育に関わるねらい及び内容は、第1章(総則)の3.保育の原理(1)保育の目標の(イ)から(カ)までを具体化したものです。そして、すべての領域におけるねらいは、子どもの「心情」、「意欲」、「態度」などを示しています。
教育に関わる領域は、保育士等が、子どもの発達をとらえる視点として5つに区分されています。この5領域が意味するものを理解し、子どもの発達を5つの窓口から的確にとらえることが求められます。
「領域」は、小学校の教科のように独立して扱われたり、特定の活動を示すものではなく、保育を行う際に子どもの育ちをとらえる視点として示されています。子どもが経験を積み重ねていく姿を様々な側面からとらえ、総合的に保育していくことが大切です。

ア健康
健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。

(ア)ねらい

① 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
② 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。
③ 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。

「健康」の領域では、「(イ)健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培うこと」を具体化した「ねらい」として、①から③までが示されています。そして、保育士等の愛情に支えられた安全な環境のもとで、心と体を十分に動かして生活することにより、健康な生活を送るた
めの基盤をつくることを目指します。食事、排泄、睡眠、着脱、清潔などの基本的な生活習慣の確立や、食生活などを通し、自分の健康に関心を持ち、病気の予防や健康増進のための活動をすること、安全に行動することなどが含まれます。
特に、心と体の健康は、相互に密接な関わりがあることを踏まえ、子どもが保育所の生活の中で、「明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう」といった心情を持ち、「自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする」意欲が育つようにすることが大切です。また、子どもが全身を使って活動することを通して、「健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け」、自分の体を大切にしようとする気持ちや態度を育てていくことが望まれます。
こうした「ねらい」を達成するために、保育士等が援助して子どもが環境に関わって経験する事項を次の「内容」で示しています。

(イ)内容

① 保育士等や友達と触れ合い、安定感を持って生活する。
子どもが長時間にわたり生活する保育所において、子どもの欲求を理解し受け止める保育士等との関わりの中で、子どもは次第に心の安定を得て、友達とも安心して関わるようになります。
この安定感は、心の健康につながるものです。子どもが自立して行く過程にはいろいろな出来事が待ち受けていますが、保育士等や友達との温かい触れ合いの中で得た安定感を心の拠りどころとして、子どもは、様々な活動に意欲的に取り組んでいくようになります。

②いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。
保育士等は、子どもの発達過程に沿って十分に体を動かす活動を保障する必要があります。すなわち、寝返り、腹ばい、はいはい、つたい歩き、立つ、歩く、走る、登る、降りる、跳ぶなど、その時期に合わせた運動を取り入れて遊ぶことが、子どもの心と体を育てます。また、つまむ、たたく、ひっぱる、丸める、めくるなどの手や指を使う遊びも、子どもの能力や興味に応じて展開していくことが大切です。発達過程にふさわしい遊具などの物的環境にも十分配慮します。
子どもは十分に体を動かすことの心地よさを味わうことで、自ら活動することの喜びや達成感を味わい、ますます活発に遊ぶようになります。また、様々な遊びを通して身体の諸機能の発達が促されていきます。子どもの心身の成長には身体感覚を伴う様々な経験が必要です。乳幼児期に十分に体を動かすことの意義を踏まえ、子どもの身体の調和的発達を促していきましょう。

③進んで戸外で遊ぶ。
戸外は子どもにとって思いきり全身を動かして遊ぶことのできる空間です。自然は、子どもに様々な刺激を与えます。戸外は自然の不思議さやおもしろさに満ちており、子どもに多くの興味や関心を抱かせます。保育所の園庭だけではなく、公園や広場など、自然環境の豊かな場所に出かけ、戸外で遊ぶ
ことの心地よさを十分に味わうことができるようにします。
乳児にとっても、外気に触れることは大切であり、五感を通して様々な感覚や知覚を得ていきます。一人一人の子どもの健康状態を把握した上で、また、紫外線などの対策に配慮しながら散歩などを心がけたいものです。
また、子どもが進んで体を動かし、様々な遊具や用具などを使った運動や遊びを楽しむことができるように、保育の環境に留意し、戸外での遊びが豊かに展開されるよう工夫して保育することが必要です。

④様々な活動に親しみ、楽しんで取り組む。
子どもの心と体が調和的に発達していくためには、様々な経験を積み重ねることが必要です。子どもが一人でじっくりと好きな遊びに取り組むことは重要であり、その時間と空間が保障されることにより様々な気付きを得ていきます。
子どもは自ら楽しみながら、心と体を十分に動かし、繰り返し試したり、工夫したりすることにより身の回りの事象などへの興味や関心を深めていきます。そして、様々な遊びや活動に親しむ中で、興味や関心を同じくする友達との関わりが生じ、徐々にその関わりを深めていきます。
さらに仲のよい友達と一緒に取り組むだけでなく、グル?プやクラスなど集団で取り組む活動を経験していくことにより仲間と共に活動することのおもしろさを味わい、その楽しさや充実感が子どもの心と体を育てます。

⑤健康な生活のリズムを身に付け、楽しんで食事する。
子どもの生活の場である保育所において、適切な食事や休息はたいへん重要です。バランスのとれた食事や適度な運動と休息により、健康な生活のリズムや生活習慣を身に付けていくことは、子どもの自立の基礎となります。
長時間にわたる保育所での生活において、活動と休息のバランスに配慮するとともに、明るく和やかな雰囲気の中、子どもが友達と一緒に食事を食べることを楽しみ、食への関心や意欲を高めていくことができるようにします。
そして、楽しい食事が子どもの心と体の栄養となるよう食事の環境に配慮することが大切です。
第5 章の3の「食育の推進」を踏まえ、子どもの食生活を充実させていきましょう。

⑥ 身の回りを清潔にし、衣類の着脱、食事、排泄など生活に必要な活動を自分でする。
身の回りを清潔にする習慣については、おむつを取り換えてもらい、きれいになった心地よさを感じること、食事の前後に手や顔を拭いてもらい、清潔になることの心地よさを感じることなど、保育士等の援助が必要ですが、次第に子ども自らがやってみようとするようになります。衣服の着脱についても、発達過程に応じて保育士等が手を添え、丁寧に優しく援助することにより、自分でしようとする気持ちが芽生えていきます。その気持ちを大切にし、子どもの意志を尊重しながら見守ったり援助したりしながら、自分でできたことの喜びを味わえるようにしていきます。
和やかな雰囲気の中で、丁寧に援助してもらい、自分でできたことをともに喜んでもらう中で、徐々に食事や排泄などの生活習慣が身に付いていきます。子どもの気持ちに寄り添い、繰り返し丁寧に関わるとともに、発達過程や子どもにふさわしい食器やテーブルなどの生活用具に配慮することが求められます。

⑦ 保育所における生活の仕方を知り、自分たちで生活の場を整えながら見通しを持って行動する。
子どもの一日の生活の流れを明確にすることにより、子どもは安心感を持ち、その都度必要な行動や約束事などを徐々に理解していきます。
例えば、登所後の持ち物の始末、遊んだ後の遊具などの片づけ、自分の持ち物や用具を整理すること、食事の前や排泄後の手洗いなど、保育士等が手を添え、繰り返し丁寧に伝えていくことが大切です。保育士等の立ち居振舞いや物を扱う態度などは子どもが生活する上でのモデルとなり、子どもに大
きな影響を及ぼします。
保育士等は、子どもが見通しを持って意欲的に行動することができるように、物の配置や子どもの動線などに留意するとともに、快適に生活するための約束事を子ども自身が理解し、その必要性に気付いていけるよう援助します。
例えば、遊んだ後に遊具などを片付けることにより、次に遊ぶときに気持ちよく使えることに気付いたりしながら、子どもが生活の場を自ら整えようとすることを促していきます。また、十分に遊んで楽しかったといった充実感や満足感が次の活動につながっていくという子どもの活動の連続性に留意することも大切です。

⑧自分の健康に関心を持ち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
保育士等は、日頃から子どもの心身の健康について理解を深めるとともに、子ども自身が自分の体や健康に関心を持ち、健康に過ごすことの大切さに気付くことが大切です。そのためにも、生活面の細やかな援助やスキンシップなどを通し、子どもの身体感覚を育て、また、健康診断や身体測定などの機会を通して、自分の体に関心を持つようにすることが必要です。
保育士等が看護職や栄養士等と連携を図りながら子どもの状態を把握し、適切に対応していくとともに、子ども自身が自分の体の状態を意識し、異常などを感じた時に、保育士等に伝えられるようになることが大切です。そのためには、様々な方法で病気や発熱、排便などについて、子どもに分かりやすく伝え、清潔にすること、手洗いやうがいをすること、汗をかいたら着替えること、寒暖に応じて衣服の調節をすること、戸外では帽子をかぶることなど、子どもが自分で気付いてできるように日常的な働きかけも重要です。

⑨危険な場所や災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する。
保育所の事故防止や安全対策が重要であることはいうまでもありません。第5章に示されていることを踏まえ、子ども自身が安全に過ごすための習慣を身に付け、危険を回避することができるよう計画的に保育していくことが必要です。
年齢や発達過程などに応じて、子どもへの声のかけ方、注意の促し方、安全の確保、危険回避の仕方などは様々ですが、子どもの安全を第一に考慮するとともに、危険に対する知識やその理由を繰り返し丁寧に伝えていくことが重要です。
また、子どもの遊びや行動を狭めることなく、子どもが保育士等や友達と一緒に行動しながら、危険な場所や遊び方を知り、考えながら行動していくことが大切です。
交通安全や避難訓練などを定期的に計画、実施する中で、子ども自らが安全に対する認識や関心を高め、災害時の行動や避難場所、非常時の行動、不審者への対応などについて、保育士等の指示を聞いて行動できるようにしておくことが必要です。

また、家庭や地域との連携を図るとともに地域の安全に関わる行事などに参加することも大切です。

イ人間関係他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。

(ア)ねらい
①保育所生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
②身近な人と親しみ、関わりを深め、愛情や信頼感を持つ。
③社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。

「人間関係」の領域では、第1章(総則)3.保育の原理(1)保育の目標の「(ウ)人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと」をより具体化した「ねらい」として、①から③までが示されています。
人が人として人との関わりの中で生きていくこと、そしてその関わりの力を養い、子どもが周囲の人への信頼感を基盤に十分に自己を発揮し、充実感を持って生きていくことが重要であり、こうしたことがこの領域のねらいでもあります。
特に、人生の初期に人への基本的信頼感が養われることは重要であり、その信頼感に支えられて「保育所生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう」心情を持つことにより、様々な意欲や態度が培われていきます。それは、「身近な人と親しみ、関わりを深め、愛情や信頼感を持つ」ことであり、さらに人との関わりを通して、「社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける」ことでもあります。
乳幼児期の子どもにとって身近な保育士等や友達と楽しく過ごし、意欲的に活動していくことにより、自分も相手も大切にしようとする気持ちや人への思いやりが育つことはたいへん重要です。子どもは保育所での生活の中で、考えながら行動したり、友達と協同して遊んだりすることを通して徐々に社会性を身に付けていくのです。
こうした「ねらい」を達成するために、保育士等が援助して子どもが環境に関わって経験する事項を次の「内容」で示しています。

(イ)内容

①安心できる保育士等との関係の下で、身近な大人や友達に関心を持ち、模倣して遊んだり、親しみを持って自ら関わろうとする。
子どもは、特定の保育士等への安心感を基盤として、徐々に人間関係を広げていきます。
人生のかなり早い時期に、自分とよく似た子どもの存在を認め、同じものを見つめたり、同じ遊具を手にしたりしながら、徐々に保育士等が仲立ちとなり、同じ動作や身振りをしたり、友達に手を伸ばしたり、笑い合ったりするようになります。
友達との関わりが増えるにつれて、友達の様子を観察したり、一緒に遊ぼうとしたり、また、友達のすることに関心を持ったり刺激を受けながら遊びの幅を広げていきます。やがて、一緒に遊ぶことを喜び、友達と役割分担をしながら協力して遊ぶようになります。
こうした人間関係の広がりと深まりの基盤となるのは、常に子どもが保育士等や友達に受け入れられているという安心感と人への信頼感です。
子どもは、保育士等が様々な人とより良い関係を築こうとしているその姿をよく見ています。保育士等は子どもにとって最も身近な人的環境であるとともに、子どもにとってモデルとなっていることを常に心に留めましょう。

②保育士等や友達との安定した関係の中で、共に過ごすことの喜びを味わう。
子どもは、成長とともに徐々に友達と一緒に過ごす時間を増やしていきます。そして、友達と一緒に遊んだり活動したりする中で、共に過ごす楽しさを味わうようになります。その様子を見守ったり、援助したり、仲立ちしたりする保育士等の役割は重要であり、一人一人の子どもの友達への興味や関心、仲間関係などを把握する必要があります。
子どもが友達の様子を観察し模倣したり、一緒に遊ぶ喜びを味わうことは、社会性の発達を促し、ひいてはより豊かな人間理解へとつながっていきます。
また、子ども同士で遊ぶ体験を重ねることにより、創造力を発揮しながら、長時間にわたって組織的な遊びを豊かに展開していくようになります。友達や保育士等と共に過ごすことの楽しさを十分に味わうことが、乳幼児期には特に重要です。

③自分で考え、自分で行動する。
子どもが生活する中で、自分なりに考え自分でやってみようとすることは、主体的に生きていく力の基礎を培う上で重要です。きめ細やかな援助を受け、十分に依存したり、守られたりする経験を重ねた子どもが、安心して自己主張するようになり、自我を形成していきます。そして、人との関わりの中で自分の考えや気持ちをみいだし、自ら環境に働きかけ、活動を生み出していきます。
子どもは自ら行動することで、創造力を発揮したり、先の見通しを立てたり、期待や目的を持って、遊びや活動を発展させていきます。そうした姿を保育士等や友達に認めてもらうことで、自分とは異なる人の気持ちに気付き、その考えを聞き、更にもう一度自分で考えるようになります。子どもが、様々な遊びや活動の中で、試行錯誤を重ねながら、自分なりにじっくりと考えて行動することができるように、子どもの気持ちに寄り添って保育していくことが大切です。

④自分でできることは自分でする。
子どもは、安心できる保育士等との関係の下で、食事や排泄など生活に必要なことを自分でしようとするようになります。子どもが自分でできることの喜びや自信を持つことができるよう援助するとともに、できたことを褒めるだけではなく、自分でしようとする意欲や姿勢を十分に見守り、認めていくことが必要です。
成長の途上で、子どもは自分でやりたい気持ちがかなえられず、思い通りにいかないことで泣いたり、かんしゃくを起こしたりする姿も見られます。
反抗しながらも大人に依存するなど、子どもの自立は一直線に進むのではなく、大人への依存と自律を繰り返し、行きつ戻りつしながら成長していくものです。
子どもが自ら選択して行動できるよう、保育士等にはじっくりと待つ姿勢と発達過程への深い理解が求められます。

⑤友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う。
子どもは自分と同じものに興味を示したり、同じような行動をしたり、同じ遊びをする身近な子どもの存在を、やがて「友達」と理解します。そして、友達と一緒に遊ぶことに喜びや楽しさをみいだし、関わりを深めていくことで仲間意識を持つようになりますが、その中で反発したり、競争心を持ったり、複雑な感情を経験します。けんかをしたり、自己主張し合うことも多くなりますが、共に過ごす中で徐々に互いの気持ちに気付いたり、相手の感情を理解していきます。
嬉しいときや悲しいときに、共に喜んだり、共に悲しんだりしてくれる友達の存在は子どもにとって心の支えとなります。子どもは友達とやり取りを重ねる中で、友達の喜びや悲しみに気付き、他者を思いやる気持ちを育んでいきます。

⑥自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
子どもは、保育士等や友達との安定した関係が築かれることにより、自分のしたいこと、して欲しいことを主張するようになります。相手に自分の思いをぶつけ、その気持ちが受け入れられたり、受け入れられなかったりする経験を経て、徐々に、相手にも分かるように話したり、相手の言うことを理解しようとするようになります。また、遊びを楽しくする上で互いに合意することが大切だと気付いたり、対話を通してどうすることがよいのかを考えたりしていきます。子どもは、自己主張し合うなかから、自己抑制することを少しずつ体得していくのです。
子どもは共に遊んだり、生活したりする中で、相手の気持ちを理解するだけでなく、相手に分かるように話すにはどうすればよいかを考えていきます。
保育士等の言動は子どもが他者と関わる際のモデルになったり、他者と関わるきっかけとなったりすることに留意することも大切です。

⑦友達の良さに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。
子どもは様々な友達と遊ぶ中で、自分とは異なる思いや感情を持つ友達の存在に気付き、徐々にそれぞれの友達の良いところを知っていきます。友達の得意な遊びや性格、特徴など、自分と違う友達の個性を認めて様々な感情を抱くようになります。そして、人は皆違いがあり、違っていて良いことを実体験として感じ取っていくのです。また、遊びや活動に取り組むプロセスで、様々に自己主張したり、アイデアを出し合ったり、友達の考えや気持ちに耳を傾ける経験を通して、友達の良さに気付き、相互理解を図っていきます。
保育士等は、それぞれの良さを十分に認め、そのことを子どもたちに伝えながら、一緒に活動する楽しさを味わえるようにしていきます。

⑧友達と一緒に活動する中で、共通の目的を見いだし、協力して物事をやり遂げようとする気持ちを持つ。
子どもは幼い頃から友達の存在を気にかけ、次第に同じ遊具で遊んだり、顔を見合わせて笑ったり、名前を呼び合ったりします。そして、ままごとなどのごっこ遊びを楽しんだり、言葉を交わしながら様々な活動に一緒に取り組んでいくようになります。
また、子どもは徐々に目標や期待を持って活動するようになりますが、失敗を恐れて活動することをためらったり、試行錯誤する中、やり続ける気持ちが途中で衰えてしまったりすることもあります。そうした気持ちを、保育士等が敏感に感じ取り、子どもの気持ちを認め、励ますとともに、子ども自身が友達との関わりの中で意欲を高めていくことが大切です。途中であきらめず、友達と一緒に達成感や充実感を味わうことを通して、子どもは物事を最後までやり遂げようとする集中力や持続力を培っていきます。友達と活動する中で、共通の目的をみいだしたり、一緒に遊ぶ中で協力して遊びを発展させたり、子ども同士が力を合わせ取り組んでいく姿を保育士等は十分に認め、集団での活動が意義あるものとなるようにしていきます。

⑨良いことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する。
子どもは、自分や友達のしたことに対して、周りの大人や友達が様々に対応する姿やその言動により、物事には良いことや悪いことがあることに気付いていきます。特に、保育士等が自分の行動を受け入れたかどうかに基づいて、自分のしたことが良いことだったのか、悪いことだったのかを判断しようとすることがあります。保育士等は子ども自身が気付き、考えていく過程を見守るとともに、適宜、良いこと、悪いことを明確に示すことが必要です。
子どもは、保育士等の適切な援助を受けることで、相手の内面にも徐々に注意を向けることができるようになります。自分の行動が相手にどのように受け止められたかについて子ども自身が考えられるような働きかけが必要です。また、子どもが様々な感情を味わいながら、自分で考え判断していく経験を積み重ねていくことができるよう援助していくことが重要です。

⑩身近な友達との関わりを深めるとともに、異年齢の友達など、様々な友達と関わり、思いやりや親しみを持つ。
保育所は、0歳から6歳までの子どもが、共に生活しているところです。興味や関心の似通っている同年齢の子ども同士の関わりでは、自分の気持ちや欲求を出し合い、様々な遊びをつくり上げていきます。また、そうした活動を通して、友達との関わりを深めていきます。自分より年下の子どもに対しては、生活や遊びの様々な場面で手助けをしたり気持ちを汲んで慰めたり優しい言葉をかけたりするなど、思いやりの気持ちを持ったり、態度で示したりします。また、年上の子どもに対しては、大きくなることの喜びやあこがれを持ち、自分が困っている時などに優しくされた経験があると、年下の子どもに同じように優しくしてあげようという気持ちを持つことでしょう。
このように、保育所の生活において、子どもは異年齢の子どもとの関わりを通して様々な感情を経験し、自分とは異なる存在を受け止めていきます。
保育士等は、このような経験が相互によいものとなるように、環境を設定したり、異年齢での活動を積極的に取り入れていくことが大切です。

⑪友達と楽しく生活する中で決まりの大切さに気付き、守ろうとする。
保育所の生活の様々な場面には、順番を待つなど、生活や遊びをスムーズにするための決まりやルールがあります。
子どもはまず、保育士等の関わりや言葉がけにより、このような決まりの存在に気付きます。また、保育士等に助けられて決まりの意味を理解したりしていきます。年齢が高くなるにしたがい、友達と一緒に簡単なルールのある遊びを楽しむ中で、次第に決まりを守ることができるようになります。また自分と友達の欲求や思いがぶつかりあった時には、決まりに従うことで解決に結びつきやすいことにも気付いていきます。保育士等は、状況をよく把握しながら、子どもたち自身が様々な感情を表しながら、ルールを作ったり、ルールを変えたりなど仲間の中で調整したり、工夫したりする姿を見守り、必要に応じて援助します。
子どもはこうした子ども同士のやり取りや集団での活動の中で、徐々に規範意識を身に付けていくのです。

⑫共同の遊具や用具を大切にし、みんなで使う。
保育所の中には、友達や仲間と共に使うものがたくさんあります。保育士等と共に遊具を使って楽しく遊ぶ経験をしたり、物の名前や役割を知ったりする中で、遊具などに親しみ、それらが自分にとって大事なものになっていきます。遊具などに愛着を持ち、大切に取り扱う保育士等の姿は子どもにも伝わることでしょう。
また、子どもは友達と共に一つの遊具で遊んだり、みんなで使って遊ぶ楽しさを味わったりすることを通して、遊具が遊びをおもしろくすることやその活用の仕方を理解していきます。保育士等は遊具や用具を介して子どもの遊びや生活が広がり、友達との関わりが深まっていくことにも留意し、そうした中で共同のものを大切にしようとする気持ちや態度が育まれていくよう環境を整えていきます。

⑬高齢者を始め地域の人々など自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみを持つ。
都市化や核家族化が進行する中、世代間の交流が乏しくなった現代では、子どもが高齢者などと触れ合う機会が少なくなっています。こうした状況の中で、保育所に高齢者や地域の方を招き、伝承遊びを教えてもらったり、昔話を語ってもらったり、伝統芸能などを披露してもらったりすることは、人に対する親しみや感謝の気持ちを育む上で、重要な機会です。こうした人々との触れ合いを通し、子どもが様々な文化に出会い、興味や関心を持ったり、自分の家族や身近な人のことを考えたりするきっかけとなることも大切でしょう。
また、子どもは、散歩などの機会に地域の人と挨拶を交わしたり、地域の高齢者施設などを訪れたりする中で、人への関心を深め、人は周囲の人と関わり、支え合いながら生きていることに気付いていきます。

⑭外国人など、自分とは異なる文化を持った人に親しみを持つ。
異なる文化を持つ人々の存在は、近年、ますます身近になってきています。
保育所においても、多くの外国籍の子どもや様々な文化を持つ子どもたちが、一緒に生活しています。保育士等は、一人一人の子どもの状態や家庭の状況などに十分配慮するとともに、それぞれの文化を尊重しながら適切に援助することが求められます。また、子どもが一人一人の違いを認めながら、共に
過ごすことを楽しめるようにしていきます。
保育所の生活の中で、様々な国の遊びや歌などを取り入れたり、地球儀や世界地図を置いたり、簡単な外国語の言葉を紹介していくことも、子どもが様々な文化に親しむ上で大切なことです。
異なる文化を持つ人との関わりを深めていくことは子どもだけでなく保育士等にとっても重要であり、多文化共生の保育を子どもや保護者と共に実践していきたいものです。

ウ環境
周囲の様々な環境に好奇心や探究心を持って関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。

(ア)ねらい

①身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ。

②身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。

③身近な事物を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。

「環境」の領域では、第1章(総則)3.保育の原理(1)保育の目標の「(エ)生命、自然及び社会の事象についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うこと」をより具体化した「ねらい」として、①から③までが示されています。
子どもと環境の関わりにおいては、身体感覚を伴う直接的な体験を通して身近な環境に親しみ、子どもの「心情」が豊かに湧いてくることが大切です。特に自然と触れ合う中で、その不思議さ、おもしろさ、心地よさなどを十分に味わい、周囲の子どもや保育士等と共感しながら興味や関心を広げ、自ら環境に関わる「意欲」を高めていきます。環境との関わりによる様々な発見や気付きは子どもの考える力を培ってい
きます。また、環境に関わる「態度」を徐々に養っていきます。
さらに、子どもは、様々な物を見たり、扱ったり、それらについて考えたりする中で、物の性質や数量、文字などを認識するようになっていきます。生活や遊びを通してそれらに親しみ、感覚を豊かにすることが求められます。
こうした「ねらい」を達成するために、保育士等が援助して子どもが環境に関わって経験する事項を次の「内容」で示しています。

(イ)内容

①安心できる人的及び物的環境の下で、聞く、見る、触れる、嗅ぐ、味わうなどの感覚の働きを豊かにする。
環境との相互作用により成長・発達していく子どもにとって、最も身近な人的環境である保育士等の存在は重要であり、保育士等により情緒の安定が図られ、基本的な信頼感を得ていきます。そして、それを拠りどころにして、周囲の環境に興味や関心を向け、盛んに探索活動をするようになります。特に、歩行によって自由に歩けるようになることは子どもの探索意欲を大いに高めます。
また子どもは、聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚を働かせ、その敏感な諸感覚により様々な人や物を認識していきます。乳幼児期には、音、匂い、感触、味などへの感覚を豊かにしていくことが必要です。身体感覚を伴う経験を積み重ね、自ら環境に関わる中で、豊かな感覚や感情が培われていくことに留意し、物的環境を整えるとともに、保育士等自ら感受性を豊かにしていくことが求められます。

②好きな玩具や遊具に興味を持って関わり、様々な遊びを楽しむ。
子どもは、身の回りに用意された玩具や遊具や生活用具に興味や好奇心を持ちます。また、それらに自分から関わり、満足するまで触って遊ぶことで、外界に対する好奇心や関心を持つようになります。子どもは、そうした活動の中から自分から物や人に関わっていこうとする自発性を育んでいきます。
保育士等は、子どもが自ら興味を持ち、関わってみたいと思うような玩具や遊具を、子どもの周りに準備しておくことが必要です。そして子どもと共にそれらに関わり、遊びを発展させることが求められます。玩具や遊具の安全性はもちろん、その質、色、デザインなど、乳幼児期の子どもが出会い、関わる物が子どもの感覚や感性を育んでいくことを自覚し、その種類、質、量などにも十分に配慮していくことが必要です。

③自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
近年、子どもは自然と触れ合う体験をする機会が乏しくなっています。子どもが全身を介して直接自然と触れ合う体験は、子どもの心を癒すだけでなく、自然に対する驚きの気持ちや、その美しさに感動する気持ちを子どもに抱かせ、その不思議さに魅せられる中で様々な気付きを得ていきます。動植物や土、砂、水や光、それらを含めた野外の自然に触れて過ごしたり、遊びに取り入れたりする中で、好奇心や探究心、思考力が生まれてきます。こうした体験は、子どもが科学的な見方や考え方の芽生えを培う基礎となるものであり、身近な自然に心を動かしながら保育士等や友達と共感したり、表現活動に結び付けていくことも大切です。
保育士等は、園庭の自然環境を整備したり、散歩に出かけて自然と触れ合う機会を作ったりして、身近な動植物や自然事象に子どもが接する機会を多く持つようにしていくことが大切です。また、保育士等自身が感性を豊かに持ち、自然の素晴らしさに感動することや、子どもの気付きに共鳴していくことが求められます。保育室の環境構成に四季折々の自然物を取り入れるなどの工夫も必要でしょう。

④生活の中で、様々な物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心を持つ。
子どもは、生活の中で遊具や用具、素材等の様々な物に触れ、それらを手にして遊んだり、その感触を味わったりします。乳児など年齢の低い子どもは玩具を舐めたり、繰り返し触ったり、試したりします。そうする中で、徐々に、それらの形や性質、仕組みなどに興味や関心を持つようになっていきます。
また、子どもは、身近にある物の働きや仕組みについて、自分なりに考えたり、試行錯誤しながら触ったり試したり工夫を凝らしてみたりします。そして、それらに対し親しみを持ち、遊びに取り入れようとします。物を介して、また物に触発されて遊びが発展すると、友達も一緒にその遊びに加わり、ますます遊びが楽しくなるという循環が生じます。また、友達と一緒に様々な物に見立てたり、作り出したりすることで、ごっこ遊びを楽しんだり仲間関係を深めたりします。
保育士等は、こうした遊びが豊かに展開されるよう様々な遊具や用具、素材などを用意し、物的環境を整えることが大切です。また、保健や安全面への配慮も欠かせません。

⑤季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
子どもは、散歩の機会や園庭で遊んでいる時などに、温度の変化、木々の葉の色のうつろいや、日差しの強さ、風の冷たさなどを通して季節によって自然が変化することに気付きます。また、自然の変化に伴って、食べ物や衣服、生活の仕方など、人間の生活も様々に変化することに関心を持つようになります。
こうした季節の変化に目を向けたり、気付いたりしていくことができるよう、自然に触れる機会を計画的に設けたり、季節感のある遊びを取り入れたりしながら環境構成に生かしていきます。また、季節の草花や野菜などを栽培したり、季節に応じた伝統行事に触れたりする機会を持つことも大切です。
子どもが自分の感覚を用いて季節の変化を感じ取ることができるようにするとともに、保育士等が季節感を取り入れた生活を楽しめるような取組も求められます。

⑥自然などの身近な事象に関心を持ち、遊びや生活に取り入れようとする。
子どもは、身近な環境に興味を持ち、自分から関わり、自分の生活を広げていきます。子どもが最初に触れる身近なものには、土や水、木の枝や葉っぱ、小石や昆虫などの自然があります。子どもはそうした自然に心を動かし、親しみながら遊びの中に取り入れ、自然との関わりを深めていきます。
また、子どもは身近にある事物や事象に興味や関心を抱くとともに、自分たちの生活との関連にも気付いていきます。特に近年では地球環境やゴミなどの環境問題について、様々な情報を通して関心を持つ機会が増えています。
保育士等は、子どもが身近な自然などの様々な事物や事象に触れる機会を多く持つことができるようにするとともに、それらへの興味や関心を深め、探索したり、自分の生活との関連を考えたりするきっかけをつくることも必要です。また、遊びに取り入れたりすることができるよう環境を整えていく
ことが大切です。

⑦身近な動植物に親しみを持ち、いたわったり、大切にしたり、作物を育てたり、味わうなどして、生命の尊さに気付く。
子どもは、親しみの持てる小動物や植物を見たり、触ったり、世話をしたりすることを通して、身近な動植物に親しみを持つとともに、いたわりの気持ちを持ち、やがては生命の尊さに気付いていきます。
親しみやすい小動物を飼育したり植物を栽培したりすることを通して、子どもは保育士等と共にえさや水を与えて世話をしながら、興味や関心を深め、自ら関わっていくようになります。また、世話をすることで、その成長や変化などに気付き、感動したり大切にする気持ちを持つようになります。動植物がどのようにして生きているのかを考えたり、命の持つ不思議さに気付いたり、生きているものへの温かな感情が芽生えるよう、保育士等はそのきっかけを与えたり、動植物への関わり方を伝えていきます。子どもの興味や関心に応じて、図鑑や関連する絵本などを用意することも必要でしょう。

⑧身近な物を大切にする。
子どもが、身近な物との関わりや愛着を深め、自分から大切にしようとする気持ちが持てるようになることが大切です。
子どもは、様々な物が身近にあることに気付き、興味を持って関わり、十分にその物で遊んだり、扱ったりしながら、物への愛着や親しみを育てていきます。それぞれの物の役割や特徴を認識していきながら、物を介して友達と楽しく遊んだり、活動したりする経験を重ねていくことが大切です。
また、保育士等が不要になったものを工夫して作ったり、身近な物を大切に扱っている様子を見ることで、子どもは物を大切にしようとする気持ちが芽生えたり、大切に扱うことの必要性に気付くようになります。保育士等は、その物に応じた関わり方や扱い方、片付け方などを繰り返し丁寧に伝えてい
く必要があります。

⑨身近な物や遊具に興味を持って関わり、考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
子どもは、身の回りの物を触ったり、たたいたり、感触を味わったりしますが、やがてその物を何かに見立ててごっこ遊びを展開したり、遊びの道具として使ったりします。子どもは遊びの中で、その物の使い方について独自の着想を得てそれを試してみたり、工夫を凝らしてみたりするなど、じっくりと遊びに取り組み、考える力を育んでいきます。
子どもと物との出会いや関わりを見守り、子どもが身近な物や遊具を使って、じっくりと遊び込む時間を十分に持つことが大切です。また、子どもが、身近な物や遊具に興味を持ち、自由に触ったり、試したり、工夫したりしていることに保育士等が気付き、その様子を他の子どもに伝えたり、保育士等の工夫を示したりすることも重要です。子どもが心と体を働かせて物と関われるよう環境を構成し、いろいろな物に興味を持って自ら関わる機会をつくるようにしていきます。

⑩日常生活の中で数量や図形などに関心を持つ。
子どもは、ままごとや積み木などの遊具で遊ぶ中で、また、食事など生活の様々な場面で、物の形や大きさ、その量などに気付いていきます。同じ形や違う形の積み木で遊んだり、ままごとの器を並べたり、木の実や収穫した野菜を分けてみたり、食事やおやつの際に量を確かめたりすることを通して、数量や数などへの関心を徐々に高めていきます。また、保育士等や友達とのやり取りを通して、長さや大きさを比べたり、自然物の多様な形に触れたりしながら、具体的な体験を通して、数量などへの感覚を深めていきます。こうした体験を重ねることにより、子どもは数、量、形などといった抽象的な概念に触れていくのです。
概念を把握する基礎は幼児期に形成されます。保育士等は、図形や数量だけでなく、前後、左右、遠近などの位置の違いや時刻等について、毎日の生活の中で次第に関心を持つことができるよう、環境構成に配慮していくことが求められます。

⑪日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心を持つ。
子どもは、生活や遊びの中で身近な標識や文字に関心を持つようになります。保育所でも子どもの関心に沿って興味が持てるように環境を構成していくことが大切です。子どもは象徴機能の発達や言葉の獲得などを通して、物と名前の結びつきや、表示などが示す物や事柄を理解していきます。
また、保育所では一人一人の子どものマークを決めることがあります。子どもは、自分のマークを覚え、愛着を持つとともに、友達とそのマークを照らし合わせて覚えたりするなどマークが意味するものを認識していきます。
そして、徐々に身の回りの表示などが一定の意味やメッセージを持つことに気付いていきます。子どものこうした発見は、様々な場所にある標識や文字への興味、関心となり、象徴機能として存在する標識や文字が何を意味するのかを保育士等に聞いたり、自分で考えたりすることで、更に認識を高めて
いきます。
また、使われている言葉が特定の文字や標識に対応していることや、文字による様々な表現があることを、絵本などに親しむ中で気付くことができるよう配慮することも必要です。

⑫近隣の生活に興味や関心を持ち、保育所内外の行事などに喜んで参加する。
子どもは、身近な大人の様子を観察し、模倣したり、イメージを取り込んでいきます。また、大人の仕事や生活に興味を持ち、それらをままごとやお店屋さんごっこなどの遊びに取り入れて遊んだり、役になりきって表現遊びを楽しみます。大人の生活や身近な社会の事象への関心は年齢と共に高まり、大人の手伝いをしたり、近隣の人々の生活や環境などへの興味や関心を広げていきます。そして、電車やバス、消防署や図書館などの公共機関にも関心を持ち、さらに地域には様々な場があり、様々な人がいることを知っていきます。
また、子どもは、友達や保育士等、保護者と共に保育所内外の行事に参加し、その雰囲気を味わったり、楽しんだりしながら、徐々にその中で自分なりの役割を果たすことができるようになります。
子どもが、こうした社会の事象に関心を持ち、人と人が支え合って生活していることに気付いたり、人の役に立とうとしたりする気持ちが芽生えていくように、保育士等が子どもの気付きに共感しながら、適切に働きかけていくことが求められます。

エ言葉
経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。

(ア)ねらい

①自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
②人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。
③日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、保育士等や友達と心を通わせる。

「言葉」の領域は、第1章(総則)3.保育の原理(1)保育の目標の「(オ)生活の中で、言葉への興味や関心を育て、話したり、聞いたり、相手の話を理解しようとするなど、言葉の豊かさを養うこと」をより具体化した「ねらい」として①から③までが示されています。
言葉をめぐっては、話すことと聞いて理解することが大切ですが、特に乳幼児期には言葉への感覚を豊かにし、言葉を交わすことの楽しさが十分に味わえるようにしていくことが重要です。そのためには、子どもが言葉や表情で表した気持ちをしっかりと受け止め、応えていくことが大切であり、保育士等との応答による心地よさや嬉しさといった「心情」が言葉を獲得する上での基盤となります。そうしたやり取りにより、子どもは更に自分の気持ちを伝えようとしたり、保育士等や友達の言うことを分かりたいと思うようになり、話すこと、聞くことへの「意欲」を高めていきます。
また、言葉の意味するものや話されたことの内容を徐々に理解し、言葉で伝え合うことの喜びや言葉により心を通わせる楽しさを味わっていきます。
言葉を話したり、相手の言うことを聞いたりする「態度」はこうした経験を積み重ねることにより身に付いていくのです。
こうした「ねらい」を達成するために、保育士等が援助して子どもが経験する事項を次の「内容」で示しています。

(イ)内容

①保育士等の応答的な関わりや話しかけにより、自ら言葉を使おうとする。
赤ちゃんは人の声に最もよく反応し、話しかける大人の顔をじっと見つめます。周りで物音がしたり、大人が話していたりするとそちらの方を見ますし、音に対してとても敏感です。また、自分の欲求を泣き声で表したり、感情をこめて様々な泣き方をするようになるとともに、その欲求を受け止め、かなえてくれる人の関わりにより、自ら声を出したり微笑んだりするようになります。そして、大人の微笑みに微笑みを返したり、喃語や片言を優しく受け止めてもらったりする中で、心の安定を得て、表情や発声を豊かにしていきます。
保育士等は、言葉を獲得する前の子どもの表情や姿をよく観察し、その場面に適した言葉をかけたり、子どもの発声を真似たりしながら、声を介した関わりを楽しいものにしていくことが必要です。こうした応答的な関わりがコミュニケーションの基礎となります。子どもは保育士等の声や言葉をよく聞き、口元や表情をじっと見ています。その中で、適切な発音への準備をしています。また、信頼できる相手に伝えたい、わかってもらいたいという気持ちが発語を促していきます。

②保育士等と一緒にごっこ遊びなどをする中で、言葉のやり取りを楽しむ。
子どもは玩具や遊具などを何かに見立てたり、保育士等や友達のしぐさをまねたりする中で、簡単なごっこ遊びを保育士等と楽しめるようになっていきます。そして、保育士等と心を通わせながら簡単な言葉を交わしたり、やり取りを重ねたりしていきます。保育士等が挨拶を交わしたり、返事をしたり、擬音語や擬態語を口にしたり、場面に適した言葉を話したりすることで、言葉への感覚を豊かにし、自らもこうした言葉を使おうとする意欲を高めていきます。
自分がしたいこと、して欲しいことなどを言葉で表現できるよう応答的に関わるとともに、言葉を交わすことの楽しさが味わえるようにしていきます。

③保育士等や友達の言葉や話に興味や関心を持ち、親しみを持って聞いたり、話したりする。
保育士等に名前を呼んでもらったり、友達同士で名前を呼び合ったり、人と言葉を交わすのは楽しいものです。こうした楽しさを味わうには、保育士等や友達との間に安心して話せるような雰囲気があることや、言葉を交わす相手への安心感と信頼感が必要です。この基本的信頼関係を基盤として、子どもは、保育士等や友達の言葉や話に興味や関心を持ち、自分の思ったことや感じたことを言葉に表し、言葉のやり取りを楽しむようになるのです。
保育士等は、子どもが安心して自分を表現することができるよう、温かな雰囲気で子どもの気持ちを受け止めます。そして、自ら話そうとする意欲を見守りながら親しみを持って接し、しっかりと視線を合わせて子どもの話に耳を傾けます。

④したこと、見たこと、聞いたこと、味わったこと、感じたこと、考えたことを自分なりに言葉で表現する。
子どもが言葉を獲得するためには、乳児の頃からの身近な環境との関わりや微笑や表情などによる人との相互的なやり取りが必要です。様々な気付きや感情が豊かに積み重ねられて子どもの言葉に結びついていくのです。
こうした経験の積み重ねにより、子どもは、自分の気持ちが揺り動かされると、誰かに伝えたいと感じるようになります。その気持ちが受け止められ、自分の思ったことや感じたこと、経験したことを言葉に表し、保育士等や友達に共感してもらうと、ますます伝えたい、言葉で表現したいという意欲が高まります。また、相手に分かるように言葉で伝えようとすることで、自分の気持ちを確認したり、考えがまとまったりするようになり、思考力の芽生えが培われていきます。
子どもは自分の経験や気持ちを自分なりに言葉で表現し、話を組み立てていきます。保育士等は、じっくりと子どもの言葉に耳を傾け、子どもが思いや考えを言葉で表現することを助け、良い聞き手となりながら、子どもが話したい、聞いてもらいたいという気持ちを十分に満たすことができるようにすることが大切です。

⑤したいこと、してほしいことを言葉で表現したり、分からないことを尋ねたりする。
子どもは生活していく中で必要なことが分かるようになると、自分がしたいこと、して欲しいことを言葉で表すようになります。それは、玩具を使いたい、保育士等に欲求を満たしてもらいたい、遊具や用具の使い方を知りたい、友達とのトラブルなど困ったことを解決してもらいたい等、多岐にわたります。また、好奇心や知識欲の高まりとともに、「なぜ?」「どうして?」と質問を繰り返し、保育士等に答えを求めたり、自ら考えたりします。保育士等は、子どもの気持ちに寄り添いながら疑問や質問に答えたり、一緒に考えたりしていくことが必要です。
また、友達との関わりを深め、一緒に遊んだり活動に取り組む中で、互い
に質問をしたり言葉での意思の疎通を図ったりしていきます。そして、自分の思いを相手に伝え、相手の思いを聞き、友達とイメージを共有することで、遊びを深めていこうとします。

⑥人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。
人の話を聞く態度を習得していくことは、たいへん重要です。人の話を聞き、その言葉を通して相手の気持ちや考えを理解することは、様々な場面で聞く経験を重ねることにより体得されていきます。それは、乳児期からの積み重ねであり、人への親しみの気持ちや相手への興味や関心が、聞くことを促していきます。そして、言葉によるイメージを持つことができるようになることで、人の話に共感したり、話の内容を理解することができるようになります。また、自分の話を十分に聞いてもらえることが、人の話を聞くことにつながっていきます。
話すこともまた様々な場面で話す経験を積み重ねることにより身に付いていきます。その過程において、幼い子どもは言葉で伝えることが難しいと、泣いたり、不機嫌になったりしますが、保育士等が子どもの気持ちを汲み取り、丁寧に対応していくことで、子どもは徐々に分かるように話したり、言葉を介して相互に理解し合うことの大切さに気付いていきます。
さらに、子どもは成長とともに、自分の気持ちを調整しながら相手に分かるように話したり、相手の言葉からその気持ちを汲み取ることができるようになり、保育士等や友達との会話を楽しめるようになります。そして、相手の話し方や話のおもしろさを味わいながら、自分も相手に伝わるように話し
たり、言葉を選んだりするようになっていきます。

⑦生活の中で必要な言葉が分かり、使う。
乳児が発する「マンマ」という言葉には様々な意味が込められていますが、いずれにしてもそれは乳児の生活に必要な言葉です。また、保育士等が乳児の欲求を言葉にして返すことを重ねることにより、徐々に欲求の意味や言葉との結びつきを理解していきます。また、「ちょうだい」、「どうぞ」、「ネンネ」
など、しぐさを伴う言葉を、幼い子どもは早くに覚え、使うようになります。
それらは子どもの生活に密着した言葉であり、子どもは身近な人と一緒に過ごす中で、自ら体を動かしながら言葉を獲得していきます。
成長とともに、子どもは保育士等とのやり取りの中で、あいさつや返事など、生活や遊びに必要な言葉を使うようになります。また、保育士等や友達と一緒に生活する中で、繰り返し聞いたり用いたりする言葉を理解するようになり、自分でも状況に応じて言葉が使えるようになっていきます。
保育士等は、子どもが生活する中で、日常使う言葉を十分に理解できるようにその意味するところを丁寧に伝えるとともに、それらの言葉に親しみ、子ども自身が言葉を聞いたり話したりできるよう援助することが大切です。

⑧親しみを持って日常のあいさつをする。
保育所で日常的に交わされるあいさつには、朝のあいさつや、帰りのあいさつ、食事のときのあいさつ、物を借りたり、何かをしてもらったりしたときのあいさつなどがあります。子どもは、温かく安心できる雰囲気の中で、身近な保育士等と心を通わせながらこのようなあいさつを自分でもしようとするようになります。
保育士等や友達と共に楽しく生活する中で、子どもはあいさつの習慣を身に付けて、相手への親しみをこめてあいさつを交わすようになっていきます。
保育士等は、自ら子どもや保護者を含めた周囲の人に対して、親しみを持ってあいさつし、明るく和やかな保育所の雰囲気をつくっていきましょう。

⑨生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
子どもは気に入った言葉が見つかると何度も使ってみたり、また響きの愉快な言葉を見つけると、友達と一緒に使いながら笑い合ったりします。保育士等が話す美しい言葉に惹き込まれたり、繰り返す言葉のリズムの楽しさや音の響きのおもしろさに気付いたり、自ら使って楽しもうとします。
保育士等は、生活の中で、子どもが言葉に親しむことのできる環境を整えるとともに、日頃から言葉への感覚を豊かに持つことが望まれます。また子どもが美しい、おもしろい、楽しいと感じていることに気付く感受性の豊かさも必要です。子どもの興味や好奇心を満たすような絵本や詩や歌などを通し、言葉の世界を味わいながら、子どもが言葉への豊かな感覚を身に付けていくことができるようにしていきます。

⑩いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
子どもは自分が体験した内容を、生き生きとしたイメージとして心の中に蓄積していきます。こうしたイメージは、似たような場面や、ふとした刺激を受けて、子どもの心の中によみがえってくるものです。実体験と結びついたこうしたイメージを数多く心の中に蓄積していくことが、子どもの言葉の発達に結び付いていきます。
子どもの内面に身体感覚を伴う豊かなイメージが蓄積されていくよう働きかけながら、子どもの言葉への感覚や想像力を膨らませていきます。また、子どもの想像力や感覚の豊かさに共感を持って向き合い、子どもの感受性や言葉による表現を受け止めていきます。こうした保育士等の関わりが更に子どもの想像力や表現力を培っていきます。

⑪絵本や物語などに親しみ、興味を持って聞き、想像する楽しさを味わう。
絵本は環境の一つとしてたいへん重要です。子どもは、保育士等に絵本を読んでもらったり、自ら絵本を手にして楽しみます。そして、簡単な言葉を繰り返したり、模倣して楽しんだり、絵本の中の登場人物や物に感情移入したり、話の展開を楽しんだりしながら、イメージを膨らませていきます。
子どもの興味や発達過程に応じて、どのような絵本をどのように置いたり、扱ったりしていくのかを保育士等は吟味します。また、絵本だけでなくお話や童話、視聴覚教材などを見たり聞いたりする機会をつくりながら、子どものイメージの世界を広げていきます。そして、視覚に頼らず自分の心の中に自由にイメージを膨らませていくことができるよう、語りや読み聞かせを取り入れていくことも大切です。さらに、心の中に描いたイメージを言語化したり、身体表現など様々な表現に結び付けていく機会をつくっていくことが、想像する楽しさを膨らませていきます。

⑫日常生活の中で、文字などで伝える楽しさを味わう。
前項、ウ「環境」の(イ)、内容の⑪にあるように、子どもは日常生活の中で様々な標識や文字があることに気付き、興味や関心を高めていきます。そして、象徴機能として存在する標識や文字が何を意味するのかを保育士等との関わりの中で知り、認識を深めていきます。
最も早く認識する文字は様々な物に記されている自分の名前であり、その文字が自分自身を示していることに喜びを持ち、保育士等に呼ばれる名前と文字で表されている名前を照合させていきます。そして、友達や身の回りの人の名前や物の名前を覚え、それらを表す文字に興味や関心を抱いたり、いろいろなところに文字や記号を見つけ、確認していきます。また、絵本や自分の連絡帳、室内外の様々な表示や文字を見たりする中で、自ら真似て書いてみようとしたり、保育士等に書いてもらったりして文字に親しんでいきます。
お店屋さんごっこや郵便屋さんごっこのように、文字や記号のやり取りのある遊びを楽しみながら、文字などに親しみ、保育士等や友達と文字で伝え合う喜びが芽生えていくよう見守ることが大切です。また、画材や筆記具などの用具や室内の環境設定にも十分配慮していきます。

オ表現
感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。

(ア)ねらい

① いろいろな物の美しさなどに対する豊かな感性を持つ。
② 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
③ 生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。

「表現」の領域は、第1章(総則)3.保育の原理(1)保育の目標の「(カ)様々な体験を通して、豊かな感性や表現力を育み、創造性の芽生えを培うこと」をより具体化したものです。

子どもは毎日の生活の中で、身の回りの環境と関わり生活しています。その中で、美しいもの、不思議なもの、驚くようなものに出会い、いつも心を動かしています。こうした「心情」を豊かに持つことが、子どもの心の成長の基盤となります。
子どもは環境との関わりの中で抱いた様々な気持ちや気付きを友達や保育士等に伝えようとし、それらを自分なりに表現しようという「意欲」を育んでいきます。そして、環境との関わりの中で、また、友達や保育士等と一緒に生活する中で、様々な体験を通してイメージを豊かにし、表現することの喜びや表現を楽しむ「「態度」を培っていくのです。
こうした「ねらい」を達成するために、保育士等が援助して子どもが経験する事項を次の「内容」で示しています。

(イ)内容

①水、砂、土、紙、粘土など様々な素材に触れて楽しむ。
子どもは、水の冷たさや砂のざらざら感、泥のぬめりなど、土や水の素材に触れ、全身でその感触を楽しみます。乳児の頃からこうした感触を十分に味わい、諸感覚を働かせていくことが、子どもの感性を育んでいきます。
また、子どもは、それぞれの素材への関わり方や組み合わせにより、その性質を様々に変化させる意外性や不思議さに感動し、その喜びや驚きを全身で表します。十分に素材に触れその特徴や性質を知ると、いろいろと工夫してみようとしたり、必要な遊具や用具を求めたりします。例えば、砂遊びのお団子作りでは、何度も挑戦し硬さや大きさを自分なりに工夫したり、友達と協力して大きな砂山を作ろうとします。自分の思ったものを作り上げた充実感や、友達と一緒に一つのものを作り上げた感動を共有する体験は子どもが成長する上でたいへん重要です。
保育士等は、子どもが様々な素材に接することができるようにするとともに、子どもと一緒に、様々な素材に直接触れたり扱ったりしながら、子どもの感性に寄り添い、感動を共有していくことが求められます。

②保育士等と一緒に歌ったり、手遊びをしたり、リズムに合わせて体を動かしたりして遊ぶ。
幼い子どもは、母親の胎内で聞いていた「拍」に安心感と親しみを持っているようです。わらべ唄や子守唄の拍子が母親の心臓の音と重なり、子どもに安らぎを与えていること、刺激の強い音楽や機械音に不安感を持つことなど、保育士等は子どもの環境としての「音」に敏感でなければなりません。
子どもは、身体機能が発達することにより、保育士等の声や音の響き、音色に親しむことから、保育士等の歌うわらべ唄などに合わせて体を揺らしたり、一緒に歌おうとします。また、手遊び歌などのしぐさを真似たり、歌に合わせてリズムをとったりするようになります。さらに、保育士等が歌う楽しく心地よい歌を聞き、自分も同じように表現したいという気持ちになり、一緒に歌ったり、リズムに合わせて体を動かしたりすることを楽しんでいきます。
保育士等には、子どもの発達過程や興味などに合わせた季節感のある歌や手遊びを提供していくことが望まれます。

③生活の中で様々な音、色、形、手触り、動き、味、香りなどに気付いたり、感じたりして楽しむ。
子どもは、安心して生活する中で、風や雨の音、花の色や形、毛布の手触り、おやつや食事の味や香りなど、身の回りにある様々な色や形、音色や感触、味や香りに気付いたり、その心地よさを感じたりしていきます。また、保育士等や友達と一緒にそれらの感覚を楽しんだり、伝え合ったりするよう
になります。
日常の生活で、身体感覚を伴う様々な体験を積み重ねる中で、子どもはその性質や不思議さ、おもしろさに気付き、更に興味を膨らませます。また、様々な感覚を共に働かせながら、情緒を安定させたり、生活を楽しんだり、遊びに取り入れたりしていきます。
保育士等は、身近な環境に関わって直接、見たり、聴いたり、触れたり、嗅いだり、味わったりする子どもの感覚に心を傾け、子どもの感動や発見に寄り添いながら子どもの感性が豊かに育つよう働きかけていきたいものです。

④生活の中で様々な出来事に触れ、イメージを豊かにする。
前項エの「言葉」の(イ)内容の⑩にあるように、子どもは、自分が体験した内容を、いきいきとしたイメージとして心の中に蓄積していきます。実体験と結びついたイメージを数多く心の中に蓄積していくことにより、子どもはその感性や表現力を培っていきます。言葉で表現することがまだできない乳児や低年齢の子どもであっても、生活の中での経験や環境との関わりによる心の動きを、表情やしぐさや泣き声で表し、その心に様々なイメージや感触を蓄積していきます。
子どもは人や物、自然や社会事象と関わり、様々な感覚や感情を味わう中で、それらへの対応を自分なりに考えようとします。例えば、保育士等や友達との関わりの中で嬉しさや喜びを共有したり、悔しさや悲しみをぶつけ合ったりします。また、自然の不思議さに感動したり、動植物の世話をしたり、
その生死に遭遇するなどして感性を豊かにしていきます。
喜び、楽しさ、悲しみ、怒り、恐れ、驚きなど、目に見えない心の動きをイメージしたり、相手の感じ方を推測しながら具体的なイメージを描いていくことは子どもの想像力や感性を育てます。
保育士等は、一人一人の子どもの心に寄り添い、ごっこ遊びや表現遊びなどを通してイメ?ジを共有したり、それぞれのイメージを生活や遊びの中で生かしていくことが大切です。

⑤様々な出来事の中で、感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
子どもは、日々の生活や遊びの中で、何か新しいことを発見したり、できなかったものができるようになったりすると、喜んで保育士等や友達に伝えようとします。それを伝え、表現することで感動を共有しようとし、自分の思いが保育士等や友達に伝わったことが分かると、更にその感動を深めていきます。人と共感する経験が積み重なることで、子どもは自分への自信や人への信頼感を得ていくのです。
保育士等は、子どもが見たこと、聞いたこと、感じたこと、考えたことなどを言葉で表現できるように時間や場を設け、自分の思いを素直に表現できる雰囲気をつくることが大切です。そして、子ども同士の伝え合いを大切にしながら、相手の気持ちに思いをはせたり、共感したり、認め合ったりする経験を重ねていくことが重要です。その中で、保育士等自身も自ら感動したことを表現するなど伝え合う楽しさを子どもと共有していきましょう。

⑥感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由にかいたり、つくったりする。
子どもは楽しいことがあると、歌を口ずさんだり、手をたたいたり、体をゆらしたりするなど身振りや動作、声や表情など身体全体で表現しようとします。そして、自分なりの方法で自由に表現することを楽しみます。こうした表現を保育士等や友達に受け止めてもらうことで、更に様々な方法で表現しようとします。
子どもは様々な方法を混在させて表現を楽しみますが、次第に特定の方法を中心とした表現が可能になります。それは絵画や製作であったり、音楽による表現であったりします。こうした子どもの表現活動が、子どもの自由な発想やイメージにより楽しく繰り広げられていくことが重要です。
保育士等は、子ども一人一人の表現を受け止め、そのおもしろさや発想の豊かさに共感し、その工夫を十分に認め、子どもが表現することの楽しさを味わっていくことができるようにします。また、子どもの興味や関心が湧くような動機付けや環境設定も重要です。

⑦いろいろな素材や用具に親しみ、工夫して遊ぶ。
子どもは、身の回りにある様々な素材に興味を持ち、その感触を味わい、並べたり積んだり、いろいろな物をたたいて音の変化を楽しんだり、様々に扱って楽しみます。さらに、自分なりの表現の材料として利用し、工夫を加えて遊ぶことを楽しんでいきます。小枝や木の実などの自然物をいろいろなものに見立てたり、空き箱や廃品を組み合わせて作ったり、それらをごっこ遊びに利用したりします。また、目的を持っていろいろな材料を組み合わせたりするなど、素材の特性を生かした使い方や組み合わせ方に気付き、遊びに取り入れようとします。
保育士等には、子どもが様々な素材や用具を利用してかいたり、つくったりすることを工夫して楽しめるよう、環境を整えておくことが求められます。
子どもが自分で素材や用具を選んで使えるようにしたり、季節感のある自然物の素材を用意しておくことも大切です。子ども達は様々な素材の適切な使い方を、試行錯誤を繰り返しながら学んでいくので、その様子を見守りながら、適切に援助したり、ヒントを与えたりすることも必要です。

⑧ 音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりする楽しさを味わう。
保育士等は、聴覚の敏感な幼い子どもたちにどのような音や音楽的環境を与えたら良いのかを、子どもの状態や発達過程に応じて考えていくことが必要です。心地よい音色や情緒が安定する音楽に触れて、子どもは音への関心や音楽への親しみを持つようになります。そして、歌を歌うこと、音楽に合わせて体を動かすこと、友達と一緒に踊ることなどを楽しみ、音の多彩さ、不思議さ、美しさに心を動かしていきます。また、きれいな音のするものや楽器に出会うと、音を出して、友達と一緒に音色を味わったり、簡単なリズム楽器を使ったりするようになります。その中で、音楽と自分の気持ちを重ね合わせたり、音楽を通して自分の気持ちを込めて表現するなどの経験をしていきます。
保育士等は、子どもにとって心地良い音楽、楽しめるような音楽との出会いを大切にしていかなければなりません。また、子どもの表現しようとする気持ちを大切にして環境設定を行うとともに、生活経験や意欲と遊離した特定の技能の習得に偏らないよう配慮することが必要です。

⑨ かいたり、つくったりすることを楽しみ、それを遊びに使ったり、飾ったりする。
1、2歳の子どもがクレヨンなどを手にして、なぐり描きを十分に楽しむことはとても大切です。なぐり描きの線がやがて円(まる)になり、子どもはそれを何かに見立てたり、その内側と外側に更に描きこんだりしていきます。
年齢が高くなるにしたがい、子どもは自分のイメージを表現するために、かいたり、つくったりします。また、かいたものやできたものを友達に見せて話をしたり、遊びに使ったりして楽しみます。このような経験を通して、自分のイメージを更に膨らませ、積極的に表現していきます。つくったものが遊びの中で、友達との共通のイメージを持つための道具として使われたりすることもあります。
保育士等は、子どもが自由にかいたりつくったりできるように、様々な材料や画用紙や描画道具などをいつでも取り出せる場所においておく必要があります。子どもがかきたい時にかく、つくりたい時につくれるような環境が必要であり、子どもの様々な表現に共感し、つくることの楽しさを子どもと共に味わうことが大切です。また、子どもがかいたり、つくったりしたものを丁寧に扱うとともに、その飾り方や提示の仕方に工夫を加えて、魅力的な室内環境にしていくことが求められます。

⑩ 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりする楽しさを味わう。
子どもは見たことや経験したことを動きや言葉などで表現したり、興味を持った話や出来事を再現してみようとします。例えば、電車に乗った体験をもとに電車ごっこを始めたり、お店で買い物をした体験をもとにお店屋さんごっこをしたり、大人の姿や動きをまねて役になりきって楽しみます。家庭での生活をまねたままごとなどの遊びも各年齢で繰り広げられます。これらの遊びを楽しむためには、子どもの観察力やその経験を振り返る力とともに、友達と一緒に共通のイメージを持つことが必要です。
年齢が高くなるにつれ、ごっこ遊びの中には劇遊びに発展していくものもあります。劇遊びは言葉や音楽、絵画や製作などと関連し、総合的な遊びや表現活動となり、その中で子どもは友達と共に充実感や達成感を味わっていきます。
保育士等は、子どものイメージがより豊かに引き出されるように、道具、用具、素材を十分に用意するとともに、コーナーやスペースを確保し、表現することが楽しめるよう配慮しなければなりません。また子どもの表現や演技を、子どもの内面の表れとして理解しようとすることも大切です。保育士等や友達に理解してもらうことで、その遊びが楽しくなり、更に表現しようという意欲が生まれていきます。