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2008年版ジェトロ貿易投資白書-内と外の一層のグローバル化を目指す日本経済- - ジェトロ
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2008年版ジェトロ貿易投資白書-内と外の一層のグローバル化を目指す日本経済-

2008年8月7日
-ポイント-

ポイント1.
世界経済の下ぶれリスクが高まる中で、日本は、資源高による所得流出を純輸出(貿易黒字)のみならず所得収益で補っている(1.、2.参照)

ポイント2.
日本の対外M&Aは、企業体質の改善を背景に2007年下期の鈍化から2008年には増加に転じており、世界のM&Aが減速する中で拡大の好機を迎えている(4.参照)

ポイント3.
グローバル化に向けた日本の成長戦略:
(1)グローバル戦略追求のための対外M&Aの推進(4.参照)
(2)経済活性化に向けたさらなる対日投資の促進(5.参照)
(3)資源賦存型の新興国、特に若年層を中心とした消費市場の開拓(8.、9.参照) 

-概要-

1.下ぶれリスクが高まる世界経済
2007年の世界経済は前年の5%とほぼ同様の4.9%の高成長を遂げた(実質、購買力平価ベース)。08年前半の世界経済においては、金融環境の悪化やインフレから、先進国を中心に景気の下ぶれリスクが高まっている。2007年の世界貿易(ジェトロ推計、商品貿易、名目輸出ベース)は前年比15.0%増と5年連続で2ケタの伸びを記録し、13兆7,597億ドルに達したが、数量では5.6%増にとどまった。世界の対内直接投資(ジェトロ推計)は活発なクロスボーダーM&Aなどを背景に初めて2兆ドルを突破したが、サブプライムローン問題の影響から2008年は鈍化が避けられない状況にある。

2.日本は資源高による所得流出を貿易投資利益で補う
一次産品価格の高騰は、輸出国と消費国間での所得移転をもたらす。交易条件(輸出価格/輸入価格)の変化は、資源が豊富な国では交易利得と純輸出の拡大が所得増に結びつく一方、資源の賦存量が少ない国では所得が海外に流出することになる。この点、交易条件の悪化が著しい日本は、交易損失が発生した半面、海外からの純受取(海外からの送金や投資収益)や純輸出でこれを補っている。

3.日本は輸出先・品目の多様化で対米輸出鈍化に対応
2007年の日本の貿易は輸出入とも過去最高額を記録した。輸出額は初めて7,000億ドルを突破し、輸出依存度も過去最高の16.3%に達した。2008年第1四半期は、円高、原油高、米国経済の減速などで輸出の伸びは鈍化したものの、東アジアを筆頭にEUや新興国向けの伸びで増勢を維持している。輸出品目も多様化し、電気機械や一般機械の寄与が相対的に低下する一方で、輸送用機器、卑金属および同製品等の寄与が高まっている。

4.日本の対外M&Aは拡大の好機
2007年の日本の対外M&A金額は410億ドルと過去最高額に達した。上半期の331億ドルに対し、下半期は79億ドルと大幅減少したが、2008年に入り、大型案件の寄与で222億ドルと再び増加に転じた。日本は米欧と比べサブプライムローン問題の影響が限定的なうえ、潤沢なキャッシュフロー、有利子負債依存度の低下を背景にクロスボーダーM&Aを進めやすい環境にある。日本企業は、世界経済の変化を見据えながら、資源確保なども含むグローバル戦略追求のための対外M&A戦略を積極的に展開できるチャンスを逃さないことが望まれる。

5.求められる内外双方向の投資活性化 
2007年の日本の対内直接投資は、222億ドルの過去最高を記録した。金融、自動車、医薬品など世界的な業界再編が進展する中で、大型の対日M&Aが増加したことによる。これは、日本市場が引き続き重要かつ魅力ある市場として認知されていることが背景にあるとみられ、実際、ビジネスコスト、市場の開放度、行政手続など投資環境に対する評価は改善している。対内投資の拡大による日本経済の内なる国際化が進めば、雇用の拡大や生産性の向上を通じ経済にも活力をもたらすと期待される。

6.ASEAN+1のFTAの活用に大きな期待
アジア太平洋地域においてもFTAの発効が相次いでおり、ASEAN+6域内貿易の5割はFTA締結国間の貿易によって占められている。発効済みのASEAN・韓国FTA、ASEAN・中国FTAに加え、ASEAN・日本FTA(AJCEP)も2008年中に発効することが見込まれており、ASEAN+1のFTAは広がりをみせている。さらに、AJCEPが発効すれば、在ASEAN日系企業はフラットパネルなどの高付加価値の部品を日本から輸入し、完成品を他のASEANに無税で輸出することが可能になる。2010年にはAFTAやASEAN・韓国FTA、ASEAN・中国FTAなどの主要FTAにおいて、多くの品目で無税化される見込みであり、これらをにらんだ企業の活用が増えることが期待される。

7.一層のサービス、投資、政府調達の自由化を
FTAはモノの分野のみならず、サービス、投資、政府調達の自由化をもたらしている。日本・タイFTA、豪州・タイFTAでは、タイの外資規制の緩和が盛り込まれ、今後、日本企業等の進出において活用されることが期待される。また、米国・シンガポールFTAでは、シンガポールの金融分野の自由化によって、シティバンクが支店やATM数を拡大した事例がみられ、日本・シンガポールFTAにおいても、シンガポールが日本の銀行に対するフルバンクの免許枠を1行拡大することが盛り込まれるなど、いわゆる「WTOプラス」の自由化はメリットをもたらしている。加えて、日本の独自のスキームである「ビジネス環境整備委員会」は、税務・通関手続きなど既に幾つかの点で成果を上げており、今後のFTAの展開においても組み込んでいくことが期待される。

8.求められる資源賦存型の新興国への広域展開
「ジェトロ海外情報ファイル(JETRO-File)」(注1)への国別アクセス件数を基に、BRICs以外の新興国で過去2年のアクセス件数の伸びが高い国を16ヵ国抽出した(JETRO-File Increasing-Interest Countries:JFIC 16 )(注2)。これら新興国の特徴は、地域がアジアから中東、中南米、中東欧、アフリカと広域に分布していることである。また、JFIC16では所得が上昇しているが、これは食料・資源価格の上昇、外国からの投資による雇用拡大、海外からの送金の増加などが要因と考えられる。BRICsやJFIC16 のような新興国は、鉱物資源、食料資源、人的資源(海外からの送金)などが豊富な国が多く、食料・資源価格上昇のメリットを受けやすい貿易構造を持っている。したがって、日本企業としては資源賦存型の新興国をターゲットにした海外戦略が考えられる。

9.新興国の若年層をターゲットに
新興国では中国やロシア・東欧のように高齢化が進展している国は限られ、若い世代の人口構成の割合が高い。39歳以下を若年層とすると、人口比率は欧米では50%台半ばであるが、BRICsでは65%、JFIC16では73%に達する。しかも、若年層の可処分所得に占める割合も、JFIC16では57%でG7の38%を大きく凌駕する。これは、新興国では若年層が消費に与える影響が強いことを示唆しており、親などからの所得の移転を考慮すると、数字以上のインパクトを持っていると考えられる。一人っ子政策で高齢化が進む中国でも、80年以降に生まれた世代「80後」がこれからの消費をリードするようだ。日本企業には新興国市場における若年層の消費行動と影響力を考慮した販売戦略が求められる。

(注1)ジェトロが各国の経済概況、貿易・投資制度情報、経済統計データ等を提供する海外情報総合サイト

(注2)JFIC16は2007年度のアクセス件数順に以下の通り。ベトナム、タイ、トルコ、アラブ首長国連邦、パキスタン、メキシコ、南アフリカ、ベネズエラ、サウジアラビア、ペルー、ポーランド、アルゼンチン、ルーマニア、ハンガリー、ナイジェリア、エジプト
なお、本書は2008年9月17日(水曜)に発売予定(定価4,095円消費税込み)。

担当部課
ジェトロ国際経済研究課(TEL:03-3582-5177)