MI-O 第11話「謎の男」 2007年 12月 16日 20:53
痛恨の一打で美央は呆然自失になった。ダマとはいえ捨て牌を見れば明らかに聴牌気配だった。
一方、男の方はたまたまトップ目から出たに過ぎないと冷静に美央から点棒を受け取った。
もう美央には手が入らず後は消化試合のようなものだった。オーラスも逆転に望みを賭けながらも男の周りを制するような和了で逆転の望みを断たれた。
「優勝は、南さーん。」
メンバーのトップを報告する声を聞きながら美央は次こそ勝つための突破口を見いだそうとした。しかしその気持ちも虚しく次もその次も二着になるのがやっとだった。
連に絡めない両脇がたまらずやめて南も立ち上がって美央に
「あんたもやめときな、大事な生活費だろ。」
それを聞いて美央はなぜそんなことを言われるのか理解出来なかった。続いて南は
「村上のやりそうなことだ。」
美央は南が団体の圧力で自分がこの店をやめさせられたことを知っていたのだと初めてわかった。
MI-O 第12話「一時の沈黙」 2007年 12月 18日 13:17
「代表とは知り合いですか?」
美央は南にそう聞いてみた。南は
「ああっ、ここではまずい、近くの喫茶店にでも行こうか。」
そう言われて美央はうなずき籠を清算して二人でエレベーターに乗った。静かな雰囲気の中、南は
「タイトル戦はまた八百長だったか。」
それを聞いて美央は驚いて
「またって前回もですか?」
と激しく南に聞いた。その質問の答えを聞く前にエレベーターは止まりドアが開いた。
南は何も語らずエレベーターを降り喫茶店に向かって歩いた。美央はその背中を見つめながらただついていくだけだった。
喫茶店に入って二人は向かい合わせに座った。
「コーヒーでいいか?」
と南に美央は聞かれてはいと答えた。コーヒーが注文されてる間に美央は南に何を聞けばいいか一生懸命に考えた。
MI-O 第13話「退会の真相」 2007年 12月 19日 12:25
美央が黙って考えてるときに南がいきなり
「タイトル戦は八百長だったろ?」
そう言われて美央は静かに頷いた。続いて南は
「他の三人は組んでたけどあんたは協定に逆らってタイトルを取ろうとしたから団体を追い出された。」
静かに美央は頷く。さらに南は
「強制退会だけど表向きは自主退会にした。自主退会なら理事会の判断は必要ないからな。」
それを聞いて美央は
「ひ、ひどい・・・」
と自分が騙されて退会になったことを初めて知った。事実を知って憤慨する美央に追い打ちを掛けるように南は
「あいつらは女子プロを道具としか思ってないからな。」
MI-O 第14話「覚醒」 2007年 12月 20日 13:39
その南の発言に美央は怒りで体を震わせて
「私たちって何ですか?、みんな麻雀が好きで真剣に強くなろうと頑張ってきたのですよ。それを道具だなんて、私、こんな屈辱的な扱い許せません。」
美央はうっすらと涙を浮かべてそう語った。涙が出てくる程扱われ方が悔しかったのである。そんな美央に南は冷たく
「それが力無い者の宿命や。」
と冷たく言い放った。それでも美央は引き下がらず
「じゃあ、力を付けます。力を付ければいいんでしょ!!」
そう美央は強く言った。しかし南は呆れるように美央を諭す意味で
「一個人が頑張ってもあいつらを打ち負かしてあいつらの麻雀はお遊びだと証明することしか出来んわ。」
と言って美央を思い止まらせようとした。しかし美央は
「それでもいいです。私に麻雀を教えてください。」
MI-O 第15話「師弟関係の始まり」 2007年 12月 21日 19:32
その美央の返答に南は驚いた。続いて美央は
「あの人達に教わった麻雀じゃあの人達には勝てません。勝つにはあなたのような打ち方でやるしかないのです。」
と南に麻雀を教えてくれるよう強く願った。しかし南はその願いを振り切るように
「悪いけど明日からまた旅打ちだから教えてる暇無いわ。」
と冷たく拒否した。それでも美央は
「それなら旅打ちに連れてってください。足手纏いにならないようにしますから。」
と必死に食い下がりさすがに南は根負けして美央に
「それなら準備もあるだろうし明日の10時にここで会おう。」
と美央に言った。それを聞いた美央は喜び
「はい、今から準備してきます。あっ、コーヒーの代金は私が払っときますね。」
と伝票をレジに持っていき代金を払って喫茶店を出ていった。南はそんな美央の素早い行動についていけずにただ美央の背中を見てるだけだった。
MI-O 第16話「旅打ちの準備」 2007年 12月 22日 20:57
あそこまで言っても朝になったら私には無理でしたと断るだろうなと南は思い、馬鹿馬鹿しいと思いながら喫茶店を出た。
冷静に考えれば麻雀強くなるためだけで見知らぬ男と旅打ちするわけないわな。そうぼやきながら南は飯を食いに定食屋に向かった。
一方、美央は本気で旅打ちに出る気で部屋に着くなり準備を始めた。ゲストで地方に行ったことがあるから外に出る準備はすぐに出来た。
美央は旅打ちは長くても一週間だと思い、当座の生活費は貯金があるし何せ勝てばいいだけの話と簡単に考えていた。
そんな感じで美央は何事も心配なく明日に備えて眠りについた。
MI-O 第17話「期待」 2007年 12月 24日 12:30
一方、南の方はカプセルホテルのベットに横になりながら眠れずにいた。
美央の一方的な申し出を馬鹿馬鹿しいと思いながら少しずつ美央に賭けようかという気持ちが芽生えていた。
しかし、今までいろんな人が並み居るプロを押し退けて大会に優勝してきたがプロの評価はまったく変わらなかった。だから美央を仕込んでも無駄に思えてまた気が乗らなくなった。
女の子一人優勝しても・・・
南は考える自体無意味に思えた。そう思い、あきらめて寝ようとするが美央が気になって大阪から上京してきたことを思い出した。
タイトル戦の決勝まで観戦して尚且つ美央の勤める雀荘に顔を出してまで美央に麻雀を教えようとしたのは美央に期待していたからだった。
MI-O 第18話「旅打ち前」 2007年 12月 26日 12:46
しかし、美央が麻雀界の希望だとしても不毛な麻雀界の為に犠牲にしていいわけではなかった。
今なら足を洗える。
彼女に復讐を思い止まらさせよう。と南は考えたが美央の熱意を思い出したら美央を説得する言葉が思いつかなかった。
すべては彼女にまかせよう、途中で嫌になって帰ることになってもすべては彼女が決めることだから自分は口出しすべきじゃない。
そう思い南は静かに目を閉じた。
朝、美央は時間前に待ち合わせの喫茶店に着いていた。旅打ちに関してまったく不安が無いまま南を待った。
麻雀を教わるのだからこれからは師匠と弟子の関係だと自分に強く言い聞かせていた。
MI-O 第19話「師匠と呼ばせていただきます」 2007年 12月 27日 14:08
少し遅れて待ち合わせの喫茶店に南が到着した。
「お待たせ、さあ行こうか。」
と南は美央に呼び掛けた。美央は明るく「はい」と返事をして二人は喫茶店を出た。東京駅に向かう途中、美央は南に
「南さんのことこれから師匠と呼ばせて頂きます。私は弟子だから美央と呼んでください。」
その唐突な話に南は困惑しながら
「師匠と呼ばれるほど立派な人間じゃないぞ。」
と軽く苦笑しながら美央に返答した。それでも美央は
「そんなこと無いですよ、師匠は欲が無いというか悟りを開いたような感じで人間的に立派だと思います。」
と南に言った。さすがにそんな風に言われると南は返す言葉が無く仕方なく美央に
「まあ、ええわ。これから美央と呼ぶわ。」
それを聞いた美央は
「はい、師匠ありがとうございます。」
と南に言った。
MI-O 第20話「移動開始」 2007年 12月 28日 18:35
南は美央に師匠と呼ばれることに戸惑いを感じながらも別の意味でうれしさを感じていた。
美央は10年間待ち望んだ逸材
そう思えてうれしくて仕方なかった。普通の女子プロならここまで真剣に教わろうとしないだろう。
美央なら腐り切った麻雀界に小石を投じることが出来るだろう。小石どころか大きな波紋になると。
ただ寝不足で思考力が落ちていたからこれ以上考えていられなかった。
それよりも無事に名古屋行きの新幹線に乗ることが大事と移動に集中した。美央も疲れてる南に話し掛けるのは迷惑だと思い静かに連れ添った。
新幹線に乗ると南は安心感から座席に座るなり寝始めた。美央はそんな南に
「師匠、ごくろうさまです。」
とやさしく微笑んだ。
最終更新:2008年06月20日 09:21