MI-O 第121~130話

MI-O 第115話(実質121話)「歩ませたくない人生」 2008年 06月 06日 20:31


美央は歩きながら旅打ちの終焉が近いことを感じていた。休みなく動いてるのはそろそろ東京に戻るためだと美央は考えていた。

あわてる気が無いなら墓参りなど後にして大阪に戻っていただろう。そして明日余裕を持って墓参りをすればいいのである。この無理なスケジュールから美央は明日東京に帰ると確信していた。

下に降りて交差点の反対側のコンビニに入り、適当に買って店を出る。そして道路を渡りバス停に向かった。

「普通の女の子が歩む人生じゃ無いな。」

と南がつぶやいた。それを聞いた美央は南に

「師匠、私が決めた人生ですからどうか気になさらないでください。」

と言い返した。

MI-O 第116話(実質122話)「さよなら京都」 2008年 06月 07日 11:00


「先、食うもの食ってからにするか。」

と南は美央に言い、美央は素直にうなずいた。そして食べながら美央は東京に戻ってもまた同じ事をするのだろうと思っていた。

二人とも食べ終える頃にはバスが来て二人はバスに乗り込んだ。そして窓から見える京都の景色に美央はさよならと心の中でつぶやいた。

バスは京都駅のバスターミナルに着き、二人は降りて京都駅に向かった。

「ほんま疲れるな。」

と笑いながら南が美央に声を掛けた。美央も笑いながら

「麻雀の方が楽ですね。」

と答えた。

「裏プロやめて雀荘に就職しようかな。」

と南が冗談で語り、美央も

「今から面接に行きますか?」

と冗談で返した。

MI-O 第117話(実質123話)「メンバー」 2008年 06月 08日 13:03


二人は大阪までの切符を買い、改札を通りホームに着いた。

「師匠はメンバーの経験はありますか?」

と美央は南に聞いた。

「全然無い。」

と南は答えた。

「メンバーをやろうと思わなかったのですか?」

と続けて美央は南に聞いた。

「メンバーは自由が無いから雀ゴロをやめてまでやりたいと思わん。」

と南は答え、その答えに美央は素直に納得した。

さらに南は

「裏メンも自由が無いからやる気無いわ。」

と付け足した。その付け足しにも美央は素直に納得した。

MI-O 第118話(実質124話)「逃げ道」 2008年 06月 10日 21:39


「プロはメンバーをやってはいけない理由をわかるか?」

と南が美央に質問した。その唐突な質問に美央は戸惑い答えられなかった。答えられない美央を見て南は

「逃げ道を作ったらプロで無くなるからや。」

と言った。美央は逃げ道の意味がわからず南に

「逃げ道って何ですか?」

と聞いた。そんな時に快速電車が来て二人は乗り込んだ。

「逃げ道とは負けても生きていける方法のことや。つまりいつでもプロをやめれる段取りをつけてしまえばもう極度の緊張感に耐えられなくなって、勝負事に勝てなくなってしまうから。」

と南は答えた。

MI-O 第119話(実質125話)「不可解な世界」 2008年 06月 11日 20:29


美央は南の言ってるレベルまで実力が到達してないから、南の言うことを完全に理解出来てなかった。けど女流リーグの決勝とかで実際に崩れていく人達を観たことがあるから納得は出来た。

美央は少し考え、南に

「けどメンバーやってる人でもタイトル取るほど強い人いますよ。」

と反論した。それに対して南は

「強かったらメンバーやりながら一財産築けるだろ、実際にそういう人間が居るのだから。」

と返した。そう言われて美央は言葉に詰まった。続けて南は

「この業界だけや、メンバーを真面目にやって店長にまでなっても自分の店が持てないのに、メンバーを嫌になって辞めた方が自分の店を持てるって不可解な世界は。」

と言った。

MI-O 第120話(実質126話)「ハイレベルな話」 2008年 06月 12日 21:07


美央自身、メンバーをやっていたからメンバーが一財産を築けないことを良くわかっていた。

かといってまったく築けないメンバーが居ないとは言えない。例え居たとしてもほんのわずか、よっぽど環境の良い店で働けたからだろうと心の中で思った。

「美央はまだ洗面器に顔を突っ込むレベルにまで到達してないから、今はまだわからなくていいわ。」

といまいち理解できてない美央に南が言った。その洗面器も美央にはわからない話だが、おぼろげに忍耐の話と感じて美央は納得し自分自身のレベルの低さを痛感していた。

MI-O 第121話(実質127話)「次に何をやるのか」 2008年 06月 15日 20:34


もう美央から話すことも無く南も語る気が無かったから、二人は静かに大阪駅に着いて地下鉄に向かった。

そして難波に向かうと知った美央は南に

「チケットを買った後はまたあの雀荘ですか?」

と聞いた。その質問に

「今回は時間無いからあそこでは打たん。」

と答えた。そのまだ昼なのに時間が無いと言われて美央は変に思った。チケットを買うだけでそんなに時間が必要な訳が無く、しかも難波だからすぐに着く所だから移動にも時間はそう必要無かった。

チケットを買った後、美央は次に何をやるかまったく想像出来なかった。

MI-O 第122話(実質128話)「八百長というより喜劇」 2008年 06月 17日 20:51


地下鉄に乗り難波で降りる。そのまま地下のショッピング街を歩きだした。大阪の地理を知らない美央には今どこに居るのかわからなかった。ただわかってるのはチケットショップを目指して歩いてることだった。

だいぶ歩いた後、上に上がり難波の商店街に出た。昨日とはまた違う商店街と気付いても、ここはどこかわからず、昨日の場所がどの方角にあるかは美央はわからなかった。

二人は商店街の中を歩き、南が

「ここや。」

と美央に教えた。そこには大阪プロレスと書いてありまるでお祭り広場みたいな建物だった。

八百長というより喜劇

それが美央のプロレスに対する初感想だった。

MI-O 第123話(実質129話)「違和感」 2008年 06月 19日 21:13


リアルな闘いの場に生きる男が喜劇を楽しむとは美央には信じられないことだが、実際に売店のカウンターでチケットを買っているのだからそのことを受け入れざるを得なかった。

「指定席買えたわ。」

南が早く戻ってきて正解だとうれしそうに美央に言った。

「私の分は私が払います。」

と美央はあわてて南に言った。しかし南は

「ええよ、強制的に観せるのだから金は俺が出す。どうしても金払いたいのなら麻雀で稼いでからにしてくれ。」

と美央の申し出を断った。そう言われて美央は素直に聞くしかなかった。ただこれだけ金にシビアな男が喜劇に大事な生活費を使うのが余計理解出来なくなり不思議で困惑した。

MI-O 第124話(実質130話)「NO.3の事務所」 2008年 06月 21日 19:57


「試合まで時間有るしネカフェに行くか?」

と南は美央に聞いた。美央は

「はい。」

と返事をした。もう歩き回る体力も無いし雀荘で打つ気も無かったからネカフェと聞いて喜んだ。

ネットカフェに向かって歩いてると南が

「あそこがNO.3の事務所や。」

ととある建物の場所を指した。美央が不思議そうにその建物を見ると名前からして大工さんの事務所に見えた。

「まともに見たらやばいって、あこは広域暴力団のNO.3の事務所やって。」

と南があわてて美央に教えた。それを聞いて美央は怖くなって寒気がしてきた。

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最終更新:2008年06月20日 09:25